“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

尊敬されるお金持ちがいないのか

2014年12月30日 12時57分33秒 | 臼蔵の呟き

【コラム】なぜ尊敬されるお金持ちがいないのか

寡聞なせいかもしれないが、いくら頭を絞ってみても、今や伝説になった「慶州の崔氏」以外に思い浮かぶ人がいない。今日の財閥・企業家の富は、慶州の崔氏のそれとは比較そのものが滑稽なほど巨大化したが、残念なことに社会的な尊敬はそれに伴って大きくなれなかった。富と尊敬の比例というより、片方だけがひょろひょろと育ってしまえば滑稽だったり見苦しかったりするのもまた事実だ。

尊敬されるお金持ちというのは、お金をうまく儲ける人ではなく、お金をうまく使う人だ。

この国で貧困にやつれた時代から脱却させた故鄭周永(チョン・ジュヨン)・李秉チョル(イ・ビョンチョル)会長、そしてサムスン電子を世界最高の企業にした李健熙(イ・ゴンヒ)会長のような人物をすんなりと含ませるのが難しい理由だ。

よく調べれてみれば、必ずしも韓国だけがそうでもない。社会主義が発芽し、福祉の歴史が根深い欧州を見てみても、尊敬される資産家がすぐには思い浮ばない。お金持ちが多くても社会的尊敬がいつも彼らと伴うわけではない。

尊敬される富裕層は、むしろ適者生存資本主義のジャングルといえる米国に多い。2010年にマイクロソフトのビル・ゲイツ創業者やバークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット会長が財産の半分以上を社会還元する約束をして結成した富の寄付クラブ「ザ・ギビング・プレッジ(The Giving Pledge)」会員128人中の104人が米国人だ。このクラブの最年少会員2人も米国人だ。2010年、26歳の若さで加入したフェイスブック共同創業者マーク・ザッカーバーグとダスティン・モスコヴィッツだ。

なぜそうなのか。「犬のように稼ぐ」ことを拒まない米国社会で「きれいに使う」人が多い理由が何か。米国よりはもはるかに人間らしい顔をした資本主義社会である欧州で、尊敬される富裕層が少ない理由は何か。
欧州で尊敬されるお金持ちが少ないのは、逆説的に彼らが人間らしい顔をした資本主義を持っているからだ。欧州の企業家たちは普段から企業活動で社会主義政党や消費者団体の干渉を多く受ける。それで企業を個人の所有物と考えることも難しく、「犬のように稼ぐ」のも容易ではない。そして普段から、稼いだ金の半分以上を税金として出している。フランスの場合、来年から廃止されるが高所得者などが収入の75%を富裕税として支払わなければならなかった。特に寄付をしなくても強制的に富の社会還元を実践してきたのだ。

米国に「きれいな人」が多いのは、米国社会の土台になった清教徒精神の影響も明らかにある。だが、それより重要なのは教育の力だ。特に、分かち合いの精神をDNAに刻む「食卓の向こう側教育」の力だ。ホームレスでフォーブス世界100大長者番付の隊列に上ったことで有名なジョン・ポール・ミッチェル・システムズの最高経営者ジョン・ポール・デジョリア会長も2012年、「ザ・キビング・プレッジ」の会員になった。貧しい移民者だった彼の母親はデジョリア兄弟に「お前たちがいくら持とうが、お前たちよりも貧しい人々がいることを一生忘れるな」と教えたという。有名なロックフェラー一族は5代に渡る寄付を受け継いでいる。

韓国の私たちはどうなのか。いとこが土地を買うだけでも腹が痛くなる韓国社会が、他人の成功に評価が渋いのも事実だ。だが世界的に醜聞が出回ろうとも「大切な私の子」さえうまくいけば、それだけの現実で、尊敬されるお金持ちを作る教育は期待し難い。

この前「ナッツリターン」航空会社の操縦士が社内掲示板に掲載した文は、オーナー一家の教育がどうだったのか推し量ることができる。22年前に小学生だった末娘が兄と米国から帰国する飛行機に乗ったが、操縦室を見物させてくれと言って入ってきてはこのように話したという。「兄さん、よく見ておいて。これからは兄さんの会社になるのだから」。オーナー(この言葉自体も間違いだが)一家が一定の株だけを持って株式会社の代を引き継ぎ譲る個人所有物と考えているのは、一体この会社だけだろうか。

「ザ・キビング・プレッジ」の会員になった企業家は誓約書に参加理由を書くが、概して「特権」や「責任」「還元」「未来世代」「変化」に要約されるという。要するに「自分たちが特権を享受した責任として社会還元をするものであり、それが未来世代のための変化を導けると信じる」ということだ。

恐竜になった韓国の経済圏力が一日でこうした考えを持つようになるのは期待しがたい。社会還元はさておき社会的責任だけでも果たせるよう彼らを変えられるのは、可愛いくても、憎くても政治だけだ。だが容易に経済圏力と結託するのがまた政治権力だ。それを防いで経済圏力を牽制できる政治家を選ぶこと、それが有権者の義務だ。

イ・フンボン中央日報国際部長(中央SUNDAY第407号)

<現実と皮肉>

法人税、2年は減税先行 税制大綱きょう決定

与党税制協議会後、取材に応じる自民党の野田毅税調会長(右)と公明党の斉藤鉄夫税調会長=29日夜、東京都内のホテル

 自民、公明両党は29日、与党税制協議会を開き、2015年度の与党税制改正大綱に盛り込む内容について最終案を取りまとめた。法人税は企業の負担軽減を優先し、穴埋めの財源よりも減税幅が大きい実質減税を来年度から2年間続け、3年目に減税分の財源を確保する先行減税の形を取る。バイクにかかる軽自動車税の増税は1年延期する。大綱は、エコカー減税の見直しや地方創生、家計支援関連の税制などを盛り込み、30日に決定する。

 法人税は、標準で34・62%の実効税率を、15年度は32・11%、16年度は31・33%とする。引き下げ幅は15年度が2・51%、2年間で計3・29%で、16年度は引き下げ幅のさらなる上乗せを図る。


長時間労働削減を

2014年12月30日 11時10分50秒 | 臼蔵の呟き

安倍、自民党政権自身が長時間労働の野放し、正規労働の削減、非正規労働の拡大を推し進める中で、厚生労働省の1部局何ができると言うのでしょうか??

でも、長時間労働の規制、残業代の支払いを企業に指導し、させるのは正しいことです。法律に基づく労働条件の確保と実践は政治の重要な課題です。

<琉球新報記事>

 沖縄労働局は谷直樹局長を本部長とする「働き方改革」推進本部を年明けから始動させる。長時間労働者が4万人を超え、賃金不払い残業が15・5%に上るなどの県内企業の労働環境の改善が目的。県内企業へ長時間労働の削減や、労働者の生活と仕事のバランスを考慮した仕組みづくりなどを働き掛ける。
 県の労働力調査によると、県内企業の中で週60時間以上の長時間労働者は2013年には全体の6・5%に当たる4万1730人(推計値)いた。全国では8・8%に上り、30代など働き盛り世代に多いという。政府は長時間労働者の割合を08年の10%から20年までに半減させる目標を掲げており、県内でも5%への減少を目指している。
 また労働局によると、県内企業のうち労働基準法違反である賃金不払い残業が確認された割合は、11年15・1%、12年12・5%、13年15・5%で推移。職場のいじめや嫌がらせの相談件数は11年321件、12年450件、13年483件と増加傾向にある。
 労働局は今月26日に「働き方改革」推進本部を設置しており、来年1月にも初会合を開く方針。「企業トップが『過労死や過重労働で健康障害を生じさせない』との方針を表明する必要がある。不払い残業もやむを得ないとの職場風土などを改革しないといけない」と対策へ本腰を入れる構えだ。


原発被害は見ず、聞かず

2014年12月30日 10時30分26秒 | 臼蔵の呟き

原子力発電所を政治的に導入し、建設を促進した自民党政権、電力会社、原子力産業(利益を得ている企業群)、資金を巨額に貸し付けている大手金融機関、それらから袖の下をいただく御用学者、かれらの思惑を受けて利益誘導される地元の有力者。彼らの政治的、法的な責任は全く問われていません。

逆に、事故は自然災害のため(東電の言い分)自分たちは責任がない。だから、東電としての自己責任は取れない。自民党、大手企業が都合よく自己責任を使い分けしている。事故処理費用は税金を使わせる(自民党政権)、使わせて欲しいと言う企業群、―――日本以外には収束した、原発は安全だと宣伝してトルコ、中近東、ベトナムなどに原発を次々と輸出する。狂っているとしかいえない安倍、自民党、公明党の政権です。鹿児島、福井県知事の傍若無人な振る舞いには怒り心頭です。ふざけるな!

<東京新聞社説>年の終わりに考える 見ず、聞かずの原発被害

 福島の復興はこの一年、どれほど人間の痛みの問題として語られてきたでしょう。原発事故から三年九カ月を経てもなお、被害救済は進んでいません。

 福島県ではいまだに約十二万人が県内外での避難生活を強いられています。安倍政権は事故はもう終わったかのように、各地の原発の再稼働を加速させようとしています。たしかに先の衆院選で自民・公明の与党は三分の二の議席を獲得しました。その選挙中に、被災者の苦悩に向き合う公約や言葉はどれほどあったのでしょうか。印象に残りません。

○顧みられない犠牲

 「ここのおいしい水産物を多くの皆さんに食べてもらいたい。風評被害を払拭(ふっしょく)しなきゃいけない」。安倍晋三首相は総選挙が公示された今月二日、福島県相馬市(福島1区)の漁港で第一声を上げました。「経済対策で復興を推し進める」というアピールです。一方、今も放射能汚染に苦しむ人々の生活再建をどうするのか、強いメッセージはありません。福島1区は原発事故後、全村避難となった飯舘村を含む選挙区です。

 東京電力福島第一原発から北西50キロに位置する飯舘村では先月半ば、村民が一丸となって原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に第一次申し立てをしました。求めたのは、政府が避難指示を遅らせたことによる初期被ばくの慰謝料や、現在月10万円の精神的慰謝料の増額など。参加者は村の人口の半数の2800人余に上りました。

 その事務局を担ったのが、隣接する伊達市に避難し、仮設住宅に暮らす酒井政秋さん(36)でした。

 都会に憧れ、高校を卒業して上京した酒井さんですが、古里を離れてはじめて村に愛着を覚えるようになったと言います。

○再稼動に向けた帰還

 十年ほどで飯舘村に帰郷し、友人家族が経営する小さな縫製工場で工場長をしていました。地域に雇用の場をつくることで、自分も古里とつながろうと思ったのです。工場は10人の村の女性の働く場に育ちました。ですが、原発事故で夢は破れます。従業員は避難でばらばらになりました。

 原発事故はまた、賠償問題が地域の人の感情を複雑にこじれさせます。避難地域指定という国の線引き一つで、賠償の対象になる人とならない人に分けられる。酒井さんが避難する伊達市は多くが賠償の対象ではありません。飯舘村のADR申し立ても、軋轢(あつれき)を覚悟しなければなりませんでした。

 一方、飯舘村に先立つ浪江町の集団ADRでは、精神的慰謝料の「一律月5万円増額」という和解案が示されましたが、東電が和解を拒んでいます。救済されずに放置される、理不尽ともいえる状況の一つ一つが被災者の心を傷つけます。

 酒井さんも「何も言わない方がいい」と思った時がありました。それでもADRに加わったのは、被害者が声を上げなければ被害はなかったことにされてしまうからです。そのことは戦争中の原爆や空襲被害、水俣病などの公害の歴史が物語っています。

 年明けとともに政府は、九州電力川内原発(鹿児島県)、関西電力高浜原発(福井県)の再稼働に向けた動きを本格化させる。「原発回帰」の意志は強固です。そのためには、避難している被災住民の帰還や賠償の課題は早く終わらせたい。避難解除の要件となる年間積算線量の緩和もそのためでしょう。

 福島原発の周辺では田村市都路地区を皮切りに、今秋には川内村の一部を解除し、来春には楢葉町の指定も解かれようとしています。解除されれば賠償も打ち切られる。避難先での生活が維持できず、放射能への不安はあっても帰らざるを得ない人は少なくない。住民の合意が不十分なまま、強引に帰還が進められているかのようです。

 原発事故の後、全国に離散し、分断されてきた被災者たちに、再び一つにつながろうとする動きがありました。十一月十六日、福島市の公会堂で開かれた「原発事故被害者集会」。集まったのは、各地で被害救済の裁判やADRへの申し立てを起こした人たちです。

○被災者を孤立させない

 事故は子どもや若者の夢を奪い、大人たちも先の見えない暮らしの中にとどめおかれている。この救済すら終わっていないのに、再稼働を促す政府の方針に沈黙はできない-。発信されたのは「福島を忘れさせない」という強いメッセージでした。

 会場に酒井さんの姿がありました。飯舘村の集団ADRの横断幕に「償(まや)え!」という福島の言葉とともに、原発事故で傷つく前の美しい古里の風景写真を刷り込みました。

 この叫びを見過ごし、孤立させることがあってはなりません。