原子力発電所再稼動のあらたな基準の問題は、この基準(条件)を達成していなければ、稼動できない基準ではありません。これらの安全対策は長期の年数、安全性確保の投資などが必要なものであり、すぐに出来るような課題ではありません。したがって、今回の基準は電力会社に対して安全対策の計画を作成し、持つことを求めています。これで、現時点での再稼動条件が出来たことになるのでしょうか??誰が考えても分かる「ごまかし」です。簡単に出来る設備、購入などは出来ても、耐震基準の見直しなどによる設備の安全性確保などは出来るはずもありません。
また、福島第一原発事故は、東京電力、原子力保安院が地震強度、津波の被害を過小評価し、安全対策を怠った結果、引き起こされた災害であることは明確です。事前に地震学会、福島の各団体から事故要因に合致した申し入れ、勧告を受けていました。しかし、その申し入れ、勧告を誠実に検討し、実施していれば防げた可能性もある内容でした。したがって、再稼動するかどうか、安全かどうかは政治的な判断ではなく、純粋に「科学技術」の問題です。その最終判断を関係閣僚――野田首相、官房長官、経済産業大臣、細野原発担当大臣の4人が行う。この4人で何を議論し、判断をするのでしょうか?
立地自治体の説得を枝野大臣が行うそうです。立地自治体判断とは何なのでしょうか。福島の立地自治体の町長が「原発の安全神話を信じたことが間違いであった」と言っています。立地自治体の長が判断できるのでしょうか?何を持って判断するのでしょうか?結局は政府の言葉を信用してーーーーとしかならないことは明らかです。
政府は説明した。立地自治体は政府を信用して了解した。電力会社は原子力発電所を再稼動した。これまでの「茶番劇を繰り返す」だけです。その結果、福島原発事故の事故要因はうやむやにされ、稼動ありきのエネルギー政策が1人歩きし始めるのでしょう。
事故が起きて被害を受けるのは立地自治体住民、周辺住民、周辺農家、周辺漁民、周辺県民です。その周辺には100万人を超える直接被害を受ける市民がいるのです。
野田政権と電力会社、経団連の思惑は、全ての原子力発電所が止まっても電力需要に問題がなかったという事実を作らない一点にあるのだと思います。