“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

高線量:新築マンションで検出 二本松市

2012年01月17日 15時00分00秒 | 臼蔵の呟き
二本松市の新築マンションで高線量は計測されました。なぜ?????ということで追跡調査を行った結果判明したことは、建築資材に使われた砕石が浪江町から産出されていたとのことです。その時期は2011年4月ころとのことで事故直後の放射能汚染、物質が付着した砕石が県内の建設関係に出荷されていました。何の知識も与えられず砕石を販売した販売者にはまったく責任はありません。稲藁事件とまったく同種の汚染拡散事故です。東京電力の事故がいかに罪深いかを知らせる、考えさせられる事故です。新築マンション購入者、入居者も本当にショックが大きな話です。

<高線量:新築マンションで検出 コンクリ発生源 二本松>

 内閣府原子力災害対策本部と福島県二本松市は1月15日、同市内の鉄筋コンクリート3階建て新築マンションの1階屋内部分から、屋外より高い最大毎時1.24マイクロシーベルトの放射線量が検出され、1階住民に転居を勧めていると発表した。同本部などは、原発事故当時、同県浪江町の採石場に保管されていた石を使ったコンクリートが発生源とみている。建築資材の砕石は放射線量による出荷制限はなく、他にも汚染された建材が流通した可能性があるとみて調査を始めた。
 二本松市などによると、マンションは同市若宮地区にあり、2011年7月完成、12世帯が居住している。1階に住む女子中学生が個人線量計で測定した累積被ばく線量が高いことが12月に判明。調査したところ、放射線量は屋外では毎時0.7~1.0マイクロシーベルトのところ、1階は0.90~1.24マイクロシーベルト、2~3階は0.10~0.38マイクロシーベルトだった。同本部は「避難が必要な値以下で、直ちに健康を害するものではない」としているが、市は1階住民にあっせんする転居先物件を探すと共に、2~3階住民の意向を聞いている。
 汚染の原因については、1階に使われたのと同じ業者のコンクリートを使った市内の農業用水路でも周囲より高い放射線量が検出されたことから、コンクリートが主因と判断した。材料の石は、同県双葉郡に本社がある砕石業者が、同県浪江町のうち「計画的避難区域」になった地区で原発事故前に採取したもので、事故後も現地で屋外に置かれていた。二本松市の建築資材会社が2011年4月11日に生コンクリートに加工した。
 この砕石業者の浪江町内の事業所は、原発事故後から4月22日の計画的避難区域指定までに、県内の建築資材会社約20社に計約5200トンの石を販売したという。経済産業省と国土交通省は福島県とも連携して流通先の確認を進めるほか、同区域に採石場がある6社についても流通実態を調べる。
 原発事故後、汚泥やがれきの再利用については基準が定められたが、コンクリート用の砕石には基準はないという。原発事故後、新築住宅の汚染判明で住民移転が迫られるのは初とみられる。
 ◇入居の10世帯が被災者 「やっと落ち着いたのに…」
 現場のマンションは、市や住民によると、完成後間もない昨年8月から入居を始めた。12世帯中10世帯が震災で元の住居に住めなくなった被災者という。
 浪江町から避難してきた2階の60代の住民女性は「小中学生の孫が一緒にいるので心配。除染してもらいたいが、できなければ転居もやむを得ない。避難先を転々として8月末に引っ越し、やっと落ち着いたところだったのに」とこぼした。
 浪江町から移ってきた住民女性(32)は1歳と4歳の子供がおり、「正月明けに突然、市の職員が来て室内を測っていった。私は上層階だが、一部でも高ければ不安」と表情を曇らせた。

◇汚染コンクリ、100社以上に出荷の疑い
 福島県二本松市の新築マンションに放射性物質に汚染されたコンクリートが使われていた問題で、原料になった同じ砕石が、県内の生コン会社2社を通じ、建設会社など100社以上にコンクリートとして出荷された疑いのあることが、経済産業省の聞き取り調査で分かった。
 同省が出荷先の特定を進めている。
 砕石は、富岡町の採掘会社が浪江町の阿武隈事業所の採石場で採ったもので、採掘会社の社長(50)は16日朝、郡山市内の事業所で記者会見し、生コン会社以外にも、建設会社など17社に出荷していたことを明らかにした。一部は、県内の農場やゴルフ場などで土木工事に使用されているという。昨年4月11日に計画的避難区域の設定が政府から発表された後も砕石の出荷を続けたことについて、社長は「放射能に関する知識がなく、正直『何で住んじゃいけないの』という程度の感覚だった」と釈明した。

3.11震災と<福島第一原子力発電所事故>

2012年01月17日 11時00分00秒 | 臼蔵の呟き
<福島第一原子力発電所事故>

1995年1月17日阪神大震災が発生しました。早朝の都市直下型震災で高速道路の崩壊、火災の多発、多くの家屋倒壊と圧死が災害の特徴でした。17年の歳月がたち、社会基盤の物理的復旧・復興は進みました。それでも、孤独死、地域社会の復旧には問題があると指摘されています。空港、高速道路、道路の拡幅整理、住宅建設、橋、鉄道、港湾が復旧しても、地域に暮す住民が地域で生き生きと暮らしを取り戻し、安心して暮せる環境つくり、世代間の協力を作り出すことはたやすいことではないと思います。なくなられた方、ご遺族の方々のご冥福を祈ります。

16年後の2011年3月11日午後2時46分東日本大震災が発生しました。東日本大震災は震度、津波被害ともに1000年に1回の巨大地震と評価されました。したがって、これまでの防災対策は機能せず、福島第一原発の事故も想定外であったと民主党政権、経済産業省、東京電力、電力業界は主張しています。

下記に日経新聞の<日本経済新聞の原発事故とストレステストに関する主張>を記しました。ブラック・スワン現象について触れています。地震(阪神、東日本ともに)、津波は天災です。したがって、震度、震災の規模は人間が経験した(想定)範囲以外の巨大地震、津波は今後もいくつか起こりうるのだと思います。
しかし、震災復旧対策は、政府、行政機関がその中心的な役目を果たします。復旧対策、復旧・復興計画の立案、予算措置、スピードなどは行政機関、人間が行うことで、その立案、予算措置、スピードなどの遅れ、不十分さは人災となります。中でも原子力発電所事故は3つの点で人災であり、想定外は言い逃れでしかありません。1つ目は、福島、新潟、敦賀、浜岡原発は巨大地震が発生する地域に立地しており、地震学会から何回も警告されていました。また、東京電力、原子力安全委員会は、その指摘をまともに検討せず、経営効率の視点からかかるコストの大きさを勘案して無視したのが経過です。2つ目は、原子力発電が核兵器開発と同根の技術であり、アメリカによる核物質管理、核技術管理下にあります。その技術の独占、秘密性などで大きな問題がありました。安全神話が批判されていますが、その技術、情報の開示がされない点で欠陥がはじめからありました。3つめは核兵器自身が非人間性、非人道性を持ち「破壊力」で抜きに出た異質な兵器であり、戦争であっても使用がためらわれるくらいの危険性を持った兵器でした。核兵器と同種の危険性をもった原子力発電は絶対に事故を起こしてはならない技術、設備でした。その意味で、核兵器廃絶運動が起こると同様に原子力発電は人類が手をつけてはならない、技術、産業であると思います。この点が日経新聞、野田政権、電力業界、経済産業省、原子力安全保安院の致命的な間違いです。彼らはその点を理解しているはずです。

<定義「ブラック・スワン」3つの特徴>
1つは予測できないこと。
2つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。
3つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることということである。

<日本経済新聞の原発事故とストレステストに関する主張>
「べき分布」では、極めてまれだが、巨大な変動をもたらす出来事が必ず起きる。予想外の黒い白鳥が発見されたことを引き合いに、過去に例がない事象が社会に大きな衝撃を与えることを「ブラック・スワン」現象と呼ぶ。「べき分布」にはこの黒い白鳥が潜む。
 原発事故の発生頻度と被害規模の大きさも「べき分布」になるとの指摘がある。もしそうなら、従来の安全対策の考え方を大きく見直す必要が出てくる。
 原発は格納容器をはじめ様々な多重の安全策によって大事故を起こす確率を10万分の1とか、100万分の1とか極めて低く抑える設計思想をとる。しかし100万分の1の頻度で起きる事故の規模が100万倍の大きさだとしたら、発生確率と想定損害額を掛け合わせたリスク(期待値)は決して小さくはならない。
 大学や企業の工学研究者でつくる日本工学アカデミー(小宮山宏会長)が昨年12月に報告書をまとめた。「原発事故はべき分布である」との立場から、従来の安全評価手法を改めるべきだと提言する。
 事故シナリオを想定し安全系の多重化で事故の発生確率を下げる。世界で原発の安全評価の基本とされてきた従来の考え方では「事故のリスクは計算通りに低くならない」と電力中央研究所の木下幹康氏は指摘。福島の教訓を基に「新しい安全評価の思想を日本が編み出す機会だ」とも言う。
 「事故がべき分布になるなら、それは多重の防護が個々に独立した防御になっていないからだ」と高安氏も指摘する。一つの防壁を破った現象が雪崩のように第二、第三の防壁も破ってしまう。福島第1ではまさにそうしたことが起きた。
 巨大な自然災害や計画的なテロに対処するには、安全系をただ多重化するにとどまらず、事象の暴走を確実に止める堅固で独立した「防壁」が要る。
 想定外のブラック・スワンも、いったん起きると「起こるべくして起きた」と感じられる。後知恵で「B5bを徹底していれば」としたり顔で言うつもりはない。今は有効にみえても完璧な策というものはない。
 必要なのは事故の教訓を真正面から受け止め、原発の設計思想や安全評価のあり方をいま一度再検討することではないだろうか。

陰膳(かげぜん)の話 その2

2012年01月17日 06時00分12秒 | 蜂助の呟き
 こんにちは。蜂助です。今日は、「陰膳」の2回目です。

 「陰膳方式」は家族の人数より一人分多く作り、2日分6食を検査する。均等に混ぜ合わせ1キログラムを取り、ゲルマニウム半導体検出機という精密な測定器で放射性物質の量を測るものです。

 コープふくしまではこれまで、福島市や二本松市、郡山市などの中通りを中心に27世帯分を測定しました。その結果、放射性ヨウ素は全く検出されず、放射性セシウム134と137の合計が検出されたのは4世帯でした。その値は1キログラム当り1・1~11.7ベクレルで、同じ食事を1年間食べ続けた場合の内部被爆線量は最大でも0.06ミリシーベルト(60マイクロシーベルト)と推計されます。厚生労働省が基準引下げで目指す年間1ミリシーベルト(千マイクロシーベルト)の6%程度でした。

 コープふくしまの役員のひとりは「(食品中の放射性物質の)基準の引下げが消費者の安全を守ることに直接はつながらない」「むしろ、引下げがもたらす本県の農林水産業への影響が心配だ」と言っています。新基準値を100ベクレルに下げた場合、作付け制限がどこまで対象になるか心配しています。

 「国は食の安全を確保するための除染や測定態勢の充実もなしに基準値だけを下げようとしている。むしろ復興の妨げになるのではないか」と言っています。全くその通りだと思います。先に、「コメの全袋検査の非科学性」で書いたように、やることもやらずに基準だけを下げたり、根本的なところに手を付けず目先だけのことをやろうとしています。

 コープふくしまの調査では「消費者の放射性物質への警戒心と実際の食生活とで、ずれが出ている」という分析もあります。放射性セシウムが検出された4世帯のうち、食品に含まれる放射性物質に対するこだわりは「非常に意識している」2世帯、「どちらかと言えば意識している」が1世帯、「あまり意識していない」が1世帯でした。

 コープふくしまは、4世帯が食べた食材の産地から原因を推定しました。検査を経て流通している野菜ではなく、自家栽培の野菜を食べていたり、天然きのこを食べたりしていたことがわかりました。「意識が食品選択の対応と結びついていない」とも考えられます。

 同じものばかり食べるのではなく、いろいろなものをたべるようにしたほうが良さそうです。それにしても、食品の新基準は生産者をどれだけ痛めつけることになるのでしょうか。