・夏の切手３題

富山の風のおわら（おわら風の盆・舞）を数年前の夏に一度、地元羽村で見たことがある。玉川上水開削350周年記念事業として、市が八尾町に協力を依頼して「富山県民謡おわら保存会」を招聘したのだ。根拠はわからない。それでも多摩川河原の特設ステージを舞台に、深編み笠で顔を隠した踊り手の静かな舞、三味線と胡弓のもの悲しい音色が印象的だった。

徳島の阿波踊りや、鳴子を打ち鳴らす高知のよさこい、浅草のサンバカーニバルと夏の踊りは汗を吹き飛ばすほど激しい動きが似合うけれど、荒ぶる魂を鎮めるような静のおわらも、また夏の終わりに味わいたい。その風の盆を描いたきり絵風の切手シートが左。真ん中のシートには「第11回IAAF世界陸上競技選手権大阪大会記念」と印刷されている。日本選手、惜しい、と力が入る世界陸上の記念切手。

右は、広重、歌麿、写楽の代表作を並べた「江戸名所と息の浮世絵」だ。こんな切手を貼った手紙をもらったらうれしいだろうな、と郵便局の窓口で仕入れてきた。あ、そろそろ残暑見舞いを描かなくちゃと思っていたのだった。葉書用の50円切手にも、もっと力いれてくれたらいいのに。