そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

ミスト

2008年06月08日 | ホラー


2007年 アメリカ 125分
■原題「THE MIST」
2008.6.6 TOHOシネマズ緑井
■監督 フランク・ダラボン
■出演
   トーマス・ジェーン(デヴィッド・ドレイトン)
   マーシャ・ゲイ・ハーデン(ミセス・カーモディ)
   ローリー・ホールデン(アマンダ・ダンフリー)
   アンドレ・ブラウアー(ブレント・ノートン)
   トビー・ジョーンズ(オリー・ウィークス)
   ウィリアム・サドラー(ジム・グロンディン)
   ジェフリー・デマン(ダン・ミラー)
   フランシス・スターンハーゲン(アイリーン・レプラー)
    アレクサ・ダヴァロス(サリー)
   ネイサン・ギャンブル(ビリー・ドレイトン)  クリス・オーウェン(ノーム)
   サム・ウィットワー(ウェイン・ジェサップ)
   ロバート・トレヴァイラー(バド・ブラウン)  デヴィッド・ジェンセン(マイロン)
   ケリー・コリンズ・リンツ(ステファニー・ドレイトン)

 《story》

「この子と約束した。必ず守ると-」
「霧の中には“何”が待っていたのか。
          映画史上かつてない、震撼のラスト15分」


風雨と雷鳴、嵐が町を襲った。一夜明けた朝、祖父が植えた木が倒れていた。辺りは折れた枝葉が散乱し、ボート小屋は隣の家の倒れた木で潰されていた。湖の向こう岸に怪しい霧が出ていた。デヴィッドは息子と町に買い出しに出かけた。スパーマーケットで買い物をしていると、店は怪しい霧に包まれる。何者かに襲われたと血を流しながら男が飛び込んできた。携帯電話も不通になった。店内にいた人々は閉じこめられてしまった。毛布を取りに倉庫に行ったデヴィッドは、シャッターの向こうで変な音を聞く。店内の男達がシャッターを開けると、大きな触手が若者を連れ去る。夜になると、大きな蚊のような昆虫がガラスに集まる。その蚊を求めて大きなコウモリがやってきて、ガラスを割り店内入り、パニックになる。神の怒りだと人々を洗脳する女、何かを知っているような若い軍人。デヴィッドたちは、薬を求めて、隣の薬局に行く。そこで見たものは、人間に寄生する怪しげな怪物。店内では女が生け贄を捧げよと煽動。デヴィッドたちはここにいては殺されると思い、駐車場に停めてあった車に乗り込み、行けるところまで行くことにした。何十メートルもの大きな怪物が通る。霧の中でガソリンが切れ車が止まる。ピストルに弾は4発。車の中は5人。自分は何とかすると、4人がピストルで自殺。デヴィッドが自分も死のうと車から降りたとき・・・。

 いたたまれないラスト

店内で、女に煽動される人々。誰かの責任にしてその誰かを痛めつける。人間の醜い場面。私も窮地に陥ったらきっと誰かのせいにして責めるだろう。そうならない冷静な判断ができればうれしいが。デヴィッドたちはそれができた。だからこそ、みんなのために命をかけて行動した。女は煽動するだけで何もしない。誰が見ても、この女の口をふさいでみんなを冷静にさせたいと思うだろう。そこから脱出して、自ら行動することが未来を切り開くと思うはず。「ポセイドン・アドベンチャー」の牧師は、船底に向けて進んだ。そうすることで助かった。デヴィッドたちだって、きっと・・・・しかし、唖然とするラストだった。やめてほしいと思った。何にもしなかった店内に残った人々はきっと助かったにちがいない。自分の子を殺してしまったデヴィッドは、これからどうやって生きていくのだろうか。あんなにみんなのことを思い、行動したのに、彼の人生はどん底に落ちた。これが神のすることなのか。悪魔の支配する現代。

どうしても見たかった映画だった。ラスト15分どうなるのか、知りたかった。スティーブン・キング原作だから、ハッピーエンドになることはないと思っていたけど、霧から出ることなく闇に包まれるラストだ。一生懸命な人間はいつか報われる。そんな人を最期に神が崖からたたき落とす。悪いのはあの女ではない、実験をした軍でもない、神だった。映画は最悪な終わり方だったけど、見に行ってよかった。こんな衝撃もあるんだ。映画だけがそれでも寄り添ってくれる。エンドロールが始まり、音楽が途絶えたとき、車が通りすぎる音、ヘリコプターが通り過ぎる音、延々と続く。空しさが大きくふくれあがる。しかし、空しさだけでなく、惨劇が終わったあとの復興への兆しが絡む。新たな霧の発生。それは怪物ではなく、人間の心の霧。

 公式サイト「ミスト」


7月24日通りのクリスマス

2008年06月08日 | ラブロマンス/青春


2006年 日本 108分
■2008.6.4 日本映画専門チャンネル
■監督 村上正典
■出演
   大沢たかお(奥田聡史)
   中谷美紀(本田サユリ)  佐藤隆太(森山芳男)
   上野樹里(神林メグミ)  阿部力(本田耕治)
   劇団ひとり(真木勇太)  沢村一樹(安藤譲)
   川原亜矢子(安藤亜希子)  YOU(海原和子)
   小日向文世(本田五郎)

 《story》

「クリスマスには、告白しよう。」
「妄想のリスボン(実は長崎)を舞台に、ダメな私の恋が始まる!」


サユリは、地味で平凡で自分に自信のない女の子。長崎の町をあこがれのリスボンにたとえ妄想にふける。愛読書のマンガの世界に入っていく。私の王子様を思いながら。一番のあこがれの王子様は、大学時代の演劇部の先輩本田さん。電車の中で再会。本田さんに近づいていく。しかし、イケメンの弟に自分と同じようなタイプの彼女ができて自分と重ねて見てしまう。現実は、いつか彼女は捨てられる。自分も本田さんから捨てられる。本田さんから離れ、弟の結婚式で、「お姉さんの言う通りだ」という彼女に、「まちがってもいいじゃないか」と言う。そう、まちがってもいい。式場の前まで来ていた本田さんを追いかける。

 まちがってもいい

そうだと思う。まちがうことを恐れていては何もできない。自分の妄想の世界の中だけで生きるなんてさみし過ぎるよ。外に顔を向けて歩き始めたら、自信がついて、自分にもこんな力があったのだと発見できる。新しい自分が生まれる。まちがってもいい・・・まちがいに気づかなければ何でもない。気づき過ぎるからつらくなる。見えなかったらまちがっていないのと同じだよ。自信を持って生きていける。まちがいだとわかったときが大切。そのまちがいにおぼれてもがいて沈んでいくなら、まちがいをおそれて何もできなくなってしまうだろう。まちがいに気づいたら、迷惑をかけたら素直に謝って、今度はそんなまちがいをおこさないようにがんばればいい。まちがいをおかしたあなたがすべてではない。

中谷さんは演技がうまい。私に演技の素晴らしさが見えているわけではないが、彼女が出てくる映画を見て、すべてちがうイメージになる。「電車男」「嫌われ松子・・」地味なサユリ、自信をもったサユリ、すべてちがう。演技をしている・・という感じ方ではなく、そこにその人がいるという自然なイメージだ。

長崎の町もいい。路面電車が走っている広島だとどうだろうか。広島は「原爆」から離れられない。広島のちがったイメージを発見できるような映画をだれか作ってくれないだろうか。そういえば、新藤兼人の新しい映画は近くの広島の石内が舞台だ。とは言っても、昔の石内だけど。現代の広島は何かの映画の題材にはならないだろうか。ヤクザではなく、感動を与えられるような題材はないかなあ。