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アラビアのロレンス[完全版]

2007年01月14日 | 歴史映画/時代劇


1988年 イギリス 227分
■原題「Lawrence of Arabia : Restored Version」
■2007.1.13 wowow
■監督 デヴィッド・リーン
■出演
  ピーター・オトゥール(T・E・ロレンス)
  アレック・ギネス(ファイサル王子)
  オマー・シャリフ(アリ)
  アンソニー・クイン(アウダ・アブ・タイ)
  ジャック・ホーキンス(アレンビー将軍)
  アンソニー・クエイル(ブライトン少佐)
  アーサー・ケネディ (ベントリー)

《story》
第一次世界大戦のまっただ中、1916年カイロにいたロレンス少尉は、ファイサル王子を探し、イギリスとアラブとの同盟を強調し、トルコ軍をけん制することを目的に、派遣された。しかし、ロレンスは、アラブのために、ハリト族の族長アリとともに、越えることは不可能と言われているネフド砂漠を越える。そして海に大砲を向けているアカバのトルコ軍の背後から襲い、アカバを陥落させるのだった。ロレンスは、砂漠のアラブ愛しながらも、部族間の争いが耐えないことや、白い肌を持ち、アラブに完全に入りきれない自分があることや、フランスとイギリスの密約など、さまざまな困難を前にして崩れていく。しかし、再度立ち上がり、アラブの軍隊を率いて、どの国の軍隊よりも早くダマスカスを千占領したのだった。けれども、再度民族の争いが立ちはだかるのだった。

まるで子どものように情熱をもった人
考古学などロマンあふれる研究をしている人には、こんな情熱がだれよりもあふれ出してくるのだろう。そこには無限の可能性があり、夢や希望が埋まっている。本気でそれを信じている人は強い。周りを強く動かしていく。失敗のイメージがないから、必ずうまくいくと思っているから、やりきることができる。ネフド砂漠を越えることだって、はぐれた仲間をさがすことだって、ロレンスの頭の中には、成功のイメージしかなかった。しかし、自分が助けた仲間を殺さなければならなかったこと、自分の部下が砂地国に飲み込まれたことで、その自信は揺らぎはじめる。それでも、彼は砂漠を愛した。アラブを愛した。自分もその中に浸っていった。ロレンスの頭の中では、いつもアラブは1つだった。でも、ダマスカスを占領したあと、部族で争うアラブの中にロレンスは入ることができなかった。ロレンスの情熱で、アラブは動いたが、1つにはなれなかった。

物語というより詩なのだろか
数分の序曲から始まり、あらゆる場面で音楽と情景が散りばめられている。そして数分の終曲。ロレンスの情熱、悲哀、残虐、怒り、落胆・・・と、アラブととともに生きようとする、異質の人間が感じる喜怒哀楽、人生の詩だと言えるのではないだろうか。彼の頭の中に、国家のためにという気持ちは微塵もない。詩的に広がる愛する砂漠とアラブの姿しかなかった。踏み入れる前の情熱、失うことの悲哀、戦うことの残虐、政治的な背景への怒り、そして自分とアラブの人々の違いに対する落胆、理想とかけ離れていることに気づいた落胆。それらが、音楽とともに奏でられていく。
この映画は、かつて数度見た覚えがある。若い頃は難解だと思っていたが、今少し何かわかったような気がする。

 中心になれる人、なれない人
ロレンスはなれる人。自分を疑うことなく進むことができるから。なれない人というのは、自分を疑う人。自分がやろうとしていることがいいことなのかどうなのか判断できない。いつも迷っている。周りを見て、みんながやっているかどうかを確かめる。小心者だ。優柔不断な人間だ。自分を信じて、自分は判断してやったことが、ロレンスのようにうまくいけばいい。でも、そうじゃない人は、自信たっぷりにやってはみたものの、大失敗をしてしまう。恥ずかしい思いをする。そして、さらに小さくなっていく。名にもしようとしなくなる。あなたにはまかせられないという目で見られる。話もしてもらえない。中心にはならなくてもいいから、自分の考えくらい自分で大切にしてやらなければ。いやいや、そんな甘いことを言っているから、また失敗するんだ。袋小路でうろうろしている人がいる。



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