■2004年 日本 131分
■2008.2.10 DVD
■監督 山田洋次
■出演
永瀬正敏(片桐宗蔵) 松たか子(きえ)
吉岡秀隆(島田左門) 小澤征悦 (狭間弥市郎)
田畑智子(島田志乃) 小林稔侍 (大目付・甲田)
緒形拳(家老・堀将監)
《story》
「人のさだめは変えられますか」
「幕末。愛に生きる侍がいた」
東北の海坂藩、片桐宗蔵は、以前奉公に来ていた百姓の娘のきえと再会。油問屋に嫁ぎ幸せに暮らしていた思っていたのに、やつれた表情に驚く。しばらくして、きえが床に伏せっていてあまり介抱されていないと聞き、油問屋に乗り込み、きえを連れ帰る。藩の内紛が起こり、狭間が牢獄の刑に服される。が、まもなく抜けだし、百姓家に立てこもる。狭間は剣の使い手で、大目付は同じ道場に通った宗蔵に討つ事を命じる。周蔵と狭間の一騎打ち、宗蔵は狭間に侍らし死に方を望んでいたが、鉄砲隊が彼の命を奪うのだった。また大目付は、嘆願した狭間の妻をないがしろし、狭間の夫妻の悔しい思いを宗蔵を押さえることができなかった。宗蔵は、城内で秘伝の隠し剣を使い大目付の命を奪う。まるで心臓発作のようにだれにも宗蔵の仕業だということはわからなかった。侍に未練のない宗蔵は、きえの故郷に向け旅立つ
伝えられるべく秘伝
同じ門下生同士の対決になったが、秘伝が伝えられたのが宗蔵であったことは納得できる。知られてはいけない、使ってはいけない秘伝の剣。しかし、許すわけにはいかない、このままのうのうと生かすわけにはいかない。自分のためではなく、無念を思っての剣。確かにその剣を使える人物だからこそ伝授されたことがよくわかる。
侍としての尊厳。かたや尊厳の看板を掲げ、かたやないがしろにしている裏表に対する怒り。それは現代でもたくさんあること。自分自身でさえ、いいことは言うものの真反対のことを考えやろうとしていることもある。いや、その方が多いと言ってもいいかもしれない。宗蔵のように自分のまっすぐな気持ちを信じ生きることは、地味に見えるが価値のあること。そう生きたいと願いながらも、自信のない私はうねうねと曲がり下り落ちていくのだ。侍を捨てることを、自信と誇りに思える生き方はすばらしいものだ。