そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

サイレン FORBIDDEN SIREN

2008年02月02日 | ホラー

2006年 日本 87分
■2008.1.27 DVD
■監督 堤幸彦
■出演
   市川由衣(天本由貴)  森本レオ(天本真一=父)
   田中直樹 (南田豊=診療所の医師)
   阿部寛 (土田圭=事件の生き残り)  
   西田尚美 (里美=隣人) 
   西山潤(天本英夫)

 《story》

「不可解な『警告』それがすべての始まりだった」
「警告1 サイレンが鳴ったら外に出てはならない」
「警告2 森の鉄塔に近づいてはならない」
「警告3 その謎は解かない方がいい」


1976年、夜美島で謎のサイレンとともに、全島民が消失した。発見されたただ一人の生き残り土田は、警告を繰り返し発狂した。事件は解明されることなく闇に消えた。夜美島は新しい入居者を迎え平穏を取り戻していた。あれから29年。天本由貴は、フリーライターの父と弟の英夫と、父の仕事と療養のために夜美島に引っ越す。島についた由貴を迎えた島民は異様な目で彼らを見た。借りた家の隣に住む女は、「夜は外に出てはならない」「森の鉄塔に近づいてはいけない」と警告する。そして、村の異様な宗教、小屋に書かれた文字、赤いフードの女など、次第に由貴は疑心暗鬼に陥っていった。父親が仕事で外に出た後、サイレンが鳴り響く。英夫の行動がおかしくなる。夜美島の封印された記憶。三度目のサイレンが鳴る。父が由貴を襲う。島民が襲ってくる。診療所の先生が助けの手を差し伸べ、由貴に叫ぶ。「サイレンなんか鳴ってない」・・・・・・

 すべては自分の頭の中で
今思うと、そうだったのか、と新鮮さに気づく。でも、映画の中では何となく「そうなんだ」と緩やかに流れていった。衝撃的な展開、ではなかった。なぜなら、父親のゾンビ姿がイマイチだからだ。恐怖心がわかない。警官もそうだ。配役がよくない。今までのイメージをもって見るから、お笑いの一場面のように感じてしまう。ここで恐ろしさをもっと引き出していたら、鉄塔の上での真実は衝撃的なものに変わったと思う。映画の出だしの救助隊そのものが、まるで「ウルトラマン」に出てくるような、ちゃちな偽物の雰囲気を漂わせていた。リアルさがないのだ。英夫も、下手な素人演技に見えた。もっとしゃべれよ、と思ったが、しゃべれなかったのだ。そうなら、もう少し、虚ろさだけでなく、もっと生きていたときの明るさを出していいのでは。そして、自分はもうこの世にはいないんだと、たたきつけるように姉に知らせる。何となくもったいない映画だと思った。
私の頭の中にもサイレンは鳴る。だれでも、大なり小なり、サイレンの音は鳴るのではないだろうか。そして自分で自分だけの現実を作って、恐れおののいている。だれかに言われて初めて気づく。そんなものはなかったんだと。言われなければ、頭の中はサイレンが鳴り響き、自分で自分を痛めつけてしまう。そんな怖い現実を思い知らせる映画であれば良かったのだけど。

 公式サイト「サイレン FORBIDDEN SIREN」

僕は妹に恋をする

2008年02月02日 | ラブロマンス/青春

2006年 日本 122分
■2008.1.26 wowow
■監督 安藤尋
■出演
   松本潤(結城 頼)  榮倉奈々(結城 郁)
   平岡祐太(矢野 立芳)  小松彩夏(楠 友華)
   浅野ゆう子(結城咲=母)

 《story》

「その時、世界は残酷なほど美しく見えた」

高校三年の双子の頼と郁。幼い頃の草原での思い出は、二人で交わした結婚の約束。しかし、頼は、そんなことは忘れてしまったかのように、郁に冷たい。頼の友人の矢野が、郁に告白するという。頼の胸の奥底に押し込んでいた気持ちが溢れ出す。頼は郁に、自分と矢野とどちらを選ぶか迫る。郁の心の中には頼しかなかった。頼は、頼に告白した楠と付き合うことで、もう一度兄妹に戻ろうとしたが、ますます二人の思いを深まった。頼と郁は、幼い頃に行ったあの草原に出かける。

 袋小路の愛
兄妹としての愛以上になってはいけないのだと思った。切ないどころか、ただの泥沼状態だ。ラストで二人で草原を歩いていたけど、行き着くところは幸せな場所などではない。決してハッピーエンドにはならない。兄として男として、愛しつつも距離を置くことができたとき、何か道が切り開けるかもしれない。そんな不満足な道より、袋小路を選んだ二人。どちらにしても、後悔する。美しいとは思えない。男が越えてはならない一線というものがある。妹として、親友として、友人として、そんな関係であることを大事にするために。男どうしなら変わらない関係も、男女ならいつ変化するかわからない。その変化をを認めたとき、今までの関係は崩れる。あの友人の矢野は何を考えていたのだろうか。二人の幸せ? 友人として、それで良かったのか。自分だったらどうするか。説得できるか。自分が頼の立場だったら、自分の気持ちを抑えられずに行き着くところまで落ちてしまうか。やっぱり美しいものではない。

 公式サイト「僕は妹に恋をする」

回路

2008年02月02日 | ホラー


2000年 日本 118分
■2008.1.26 DVD
■監督 黒沢清
■出演
   加藤晴彦(川島亮介)  麻生久美子(工藤ミチ)
   小雪(唐沢春江)  有坂来瞳(佐々野順子)
   松尾政寿(矢部俊夫)  武田真治(吉崎)
   風吹ジュン(ミチの母)  菅田俊(社長)
   哀川翔(従業員)  役所広司(船長)

 《story》

「助けて」
「ボクラハ、ヒトリズツ 死に ツナガレテイッタ」


観葉植物販売会社に勤めるミチのまわりで、奇妙なことが起こり始めた。同僚が会社に出て来ないので自宅に行った。今そこにいたその同僚が消え、黒い影が壁に。次の瞬間には、その影は首を吊って死んでいた同僚に変わった。もう一人の同僚も、社長も友人も、黒い影を残して消えていった。亮介は図書室で会った吉崎の話によると、霊の世界から霊が溢れ出しているのだという。それらの霊魂に出くわした人間は、孤独に耐えられなくなり自殺していく。街から人間が消えていく。巡り会ったミチと亮介は、船で海に逃げる。貨物船に拾われるが、船内で亮介も影となって消えていった。

 しまりのない映画

霊界からあふれる霊魂。遭遇すると孤独に陥り自殺。影と人間の関わり。興味をそそられるテーマだが、あっち行ったりこっちに行ったり、突然切れる道みたいに、納得がいかない。どうして列車に乗るの? どうして降りるの? どうして家に帰るの? どうしてそこにいるの? どうしていつの間に親しくなって呼び捨てにするの? それまでの間どうしていたの? 
霊を信じる? 怖がりの私は、暗闇に何かがいそうで、そう思うだけで怖くなる。でも、きっと何もいない。自分の心がただ怯えているだけ。そう思いこんで自分で自分を恐れさせているだけ。今までそんな場面に出会ったことはない。何かを見たこともない。暗くて足下が見えない、先が見えない不安はある。つまずくのではないか。ぶつかるのではないか、どこかに落ちるのではないか、それは大きな不安となってのしかかってくる。まるで神経症みたいに。急激な変化が怖い。指先に感じる静電気でさえ絶えられない。それだけ神経が細いのだ。
不思議な世界に憧れはある。それはファンタジーの世界。温泉にゆったりつかるみたいに、そこに逃げ込みたいのだろうな。映画もその一つなんだと思う。