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読書感想文【チーム・バチスタの栄光】

2006年06月02日 01時38分35秒 | 読書感想文
第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。以前に感想文を書いた「サウスポー・キラー」も同じ賞。
本屋で見かけるたびに気にかけてたのだが、たまたまドラマ「医龍」でバチスタ手術のネタをやっていたので思い切って買ってしまった。

チーム・バチスタの栄光

タイトルの「バチスタ」とは「左室縮小形成手術」、通称「バチスタ手術」のことを指している。この手術は肥大した左心室の心筋を切除して小さく作り直すという術式。創始者の名をとってバチスタ手術と呼ばれる。
「チーム・バチスタ」とは作中に登場する東城大学医学部臓器統御外科の桐生助教授率いる、バチスタ手術専門のチームを指している。

ストーリー:
東城大学医学部神経内科の万年講師・田口公平はある日、高階病院長から呼び出される。用件はチーム・バチスタに医療過誤の疑いがあるため、その内部監査をしてほしいという辞令。
この病院には、結成以来26連続成功という奇跡的な成功率を誇るチーム・バチスタが存在しているのだが、27、29、そして最新の30症例目で失敗、すなわち患者を死なせてしまっていた。しかし成功率6割といわれるバチスタ手術において、9割の成功率は問題ないように思える。だがチームを率いる桐生助教授自ら内部監査を高階病院長に直訴したため、内部監査に田口に白羽の矢が立ったのだ。しかも3日後にはマスコミが注目するオペが待っていた。それまでにチーム全員の事情聴取を行い、3日後の手術には立ち会わなければならない。

田口は出世街道から自ら降り、不定期愁訴外来、通称愚痴外来を受け持っている。それは、すでに治療が済んでいるにも関わらず病院に通い続ける患者を受け持ち、ただひたすら患者の話の聞くだけという変わったセクションだった。

田口は早速チームの聴取を開始。だが、プロの目からみても原因がわからない術死を、15年間も外科から離れていた田口に見抜けるわけがなかった。そして3日後の手術。これは無事成功に終わった。特に変わった様子も見られず安堵するチームと田口。だが32例目。術死が起こった。田口は自分の手に負えないと悟り、高階病院長にリスクマネジメント委員会の招集を提案する。
そこに厚生労働省大臣官房秘書課付技官の肩書きを持つ白鳥圭輔が、高階の招聘により調査に乗り込んできた。


感想:
最初から最後まで一気に読ませる面白さだった。前半は田口がチーム・バチスタの面々を聴取が何気に読ませる。また、田口の性格・セクションなどの由来も面白い。「白い巨塔」もそうだが、やはり大学病院というのは権力闘争の場なんだな、というのを認識させられる。そして前半最大の山場は31例目、アガピの手術シーン。専門用語ばかりでわけがわからないが、とにかく興奮する。特に、手術中止めていた心臓を、術後に再び動かすシーン。このときに心臓が動くかどうかで手術の成功・不成功がわかるので、非常に緊張感がある。
後半は白鳥の登場で一気ににぎやかになる。この白鳥、簡単に言うと奥田英郎作品の伊良部にそっくりなのだ。ただし白鳥はロジカル・モンスターの異名をとり徹底的に論理的に相手を論破するタイプ。その過程で相手を平気でバカにする。田口も何度となく白鳥にけなされる。
そして白鳥がチーム全員を再聴取するシーンも圧巻。容赦なく相手を犯人扱いにしたりするので修羅場になる。
だが結局はすべてを見抜いていた白鳥が見事な手際で事件を解決してしまう。シリーズ化してほしくなるくらい白鳥のキャラは面白い。
あえて重箱の隅をつつくような感想を言うと、最後の方の後日談はちょっと余計だった気がする。なんか妙に爽やかにまとめようとしすぎではないだろうか・・・。
また、謎解きは、犯人当てが終わったあともささやかな伏線の回収がいくつかあるのだが、最後の最後に大どんでん返しがあったらもっと面白かった。


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