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【マンガ100選】その20 ああ播磨灘

2007年02月07日 02時22分28秒 | マンガ100選
数少ない相撲マンガの中でも金字塔的な存在。



『ああ播磨灘』
作者:さだやす圭


ストーリー:
雷光部屋の力士・播磨灘は横綱就任後の初めての土俵入りで仮面を被って登場。度肝を抜いた演出で協会の理事たちの怒りを買う中、一度でも敗れたら引退する、双葉山の69連勝を越えると宣言した。
大混乱の相撲協会を尻目に播磨灘は連勝街道を突き進む。太刀風、大江川、北道山の3横綱をはじめ、全力士が妥当播磨灘を掲げて挑むが播磨灘のあらぶる相撲には歯が立たない。そればかりではなく、仮面を被ってプロレスにも乱入し、米国レスラーを一撃でマットに沈めるなどの不可解な行動もする。


そんな播磨灘に惚れる人間も多く、ヤクザの親分から化粧回しを贈られたり、押しかけ女房が現れたりと、私生活でも破天荒。
また、土俵の禁の破り方も半端ではなく、一日ごとに仮面を変えて土俵入りしたり、敗れた力士の顔の上を跨いだり、敗れた力士に改名を迫ったりもした。
やがて播磨灘は相撲協会に見切りをつけ、自身で相撲興行を行う。7月場所にあわせて開催された「播磨十番勝負」には、相撲協会の制止を振り切った力士たちが参加。だがついに誰も播磨灘を破る事は出来なかった。



感想:
この作者の作品らしく相撲の世界の内情を鋭く、また面白おかしく描き、それが播磨灘の相撲協会への批判にも表現されている。いい意味で玄人好みの作品。
登場する力士は実在の力士をモデルにしてると思われる者も多く登場するのだが、中でも千代の富士をモデルにしてるっぽい太刀風が個人的には一番好き。心技体すべてが備わったその太刀風だが、播磨灘との対戦では開始と同時に手首を捕まれ、そのままお手つきをさせられるというえげつない手で負けてしまうところも作者のアイデアの良さ。
播磨灘は独自の相撲美学みたいなのを持っており、対戦力士がその美学にそぐわないと徹底的に痛めつけたりするのだが、この美学というか価値基準がいまいちよくわからなかった。が、凄ノ尾に対し、犬ノ尾と改名を迫ったり、不動王にお不動と改名を迫るなど、敗者に対する厳しい態度も実はこのマンガの魅力だったりする。