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読書感想文【東の海神 西の滄海 十二国記】

2006年08月21日 09時25分57秒 | 読書感想文
今回も十二国記シリーズから。主人公の尚隆はほぼ全シリーズに登場する、十二国きっての快男児。

東の海神(わだつみ)西の滄海

ストーリー:
雁の国の麒麟である延麒はまだ胎果の時に蓬莱に流されてしまい、室町時代の日本で六太という名で育った。が、戦乱の日本から戻った六太はとある海辺で妖魔に育てられた少年と出会い、更夜という名を与えた。
自分の使命を知った六太は再び日本に行き、瀬戸内海の弱小豪族である小松氏の元に厄介になる。そこで六太は、小松氏の跡取り・尚隆に出会う。

小松氏は村上軍によって滅ぼされ、尚隆は六太によって選ばれて雁の国の王・延王となった。当時の雁の国は前王の暴虐により国土は荒廃し、人口も激減していた。
だが王となった尚隆は自分に諫言をした二人の官吏を抜擢したこと以外はなすことなく、政務をまったく省みずに6年の月日が過ぎていった。
雁の国の中の元州から、治水工事の嘆願が3度に渡って尚隆の元に届いたが、尚隆はまったく手を付けない。尚隆は各州の長である州侯の権限を奪い取っていたため、州では治水工事ができないのだが…。
ある日、更夜が六太のところへ尋ねてきた。久しぶりの再開に喜ぶ六太だったが、更夜に拉致されて元州に連れ去られる。元州では数年前から州侯が病に臥せ、かわりに息子の斡由が政務を取り仕切っていた。民衆への思いが強い斡由は、その民衆を脅かす川の氾濫を防ぐため、治水工事の嘆願を王へ提出していたが、一向にその願いが叶えられないため、業を煮やして麒麟をさらったのだった。そして斡由は尚隆へ要求した。王の上に上帝の位をつくり斡由を上帝につけ、一切の権限を委譲しろと。
大騒ぎする廷臣たちを他所に、一向にあわてない尚隆は元州の討伐を決定する。だが、討伐しようにも兵が不足していた。それに麒麟を人質にとられている以上、尚隆の生殺与奪も相手の思うままだった。
そこで尚隆は国中に宣伝し、兵を募り、尚隆自身はいつのまにか元州の将軍にスカウトされ、斡由の懐に潜り込んでいた。
自身の思惑がことごとくはずれた斡由は、化けの皮がはがれ、尚隆と六太の前で罪を暴かれて斬首された。こうして元州の反乱は終わった。


感想:
シリーズの中で、年代順に並べると、この巻が一番最初にあたる。
作中では六太が尚隆を王に選ぶまでの話しと、現在の元州の反乱のストーリーが交互に描かれる。
結論からいうと、すべて尚隆の手のひらの上で踊らされたような感じで、尚隆が政務を省みず、下界に下りていたのも実は深謀遠慮があってのこと、そんな感じになっている。途中から筋書きが見えてきたのだが、最後の終わり方が爽やか。

読書感想文【月の影 影の海 十二国記】

2006年08月21日 03時13分12秒 | 読書感想文
十二国記シリーズはネットの書評を読んで、前々から興味を持っていたのだが、巻数表示がないのでどこから読んでいいかわからず躊躇していた。
たまたま仕事中暇だったのでネットで注文して入手した。

月の影影の海(上) 月の影影の海(下)

十二国記シリーズはそれぞれが独立した話しなので、一応どこから読んでもいいらしいのだが、やはり独特の世界観はとっつきにくいので発売順がいいんじゃないだろうか?ということで今回は最初のシリーズ。

『月の影 影の海』

ストーリー:
東京に住む女子高生・中嶋陽子は家では親に決して逆らわず、学校では決して友達に嫌われないよう振舞う大人しい性格をしていた。ある日学校に金髪の男・ケイキが訪れ、陽子を主と呼び、一緒にきてほしいと行ってきた。ケイキと見たこともない獣(使令)の後を、バケモノが追いかけてくる。逃げた先は海に浮かぶ月の影。きづくと陽子は異世界にいた。

その世界は十二の国と中央の山から成り、それぞれの国は王が治めている。陽子が辿り着いたのは”巧”という国だった。この世界では”蝕”という怪現象が稀に起き、そのたびに日本(こちらの世界では蓬莱とよぶ)から流れてくる日本人が昔からごくごく少数だがいた。それらの人は海客と呼ばれるのだが、巧の国では海客は役人に突き出され、よくて軟禁、最悪処刑されるのが法で定められていた。

ケイキたちとはぐれてしまった陽子は何をしていいかわからない。そして一度は役人に捕まった陽子だったが護送中に妖獣が襲ってきたため運良く逃げ延びた。その後も人に見つからないよう旅を続け、夜は襲い掛かってくる妖獣と戦い続ける日々が続いた。頼りになるのはケイキからもらった宝剣と、陽子の体を操って妖獣を切ってくれるジョウユウだけだった。途中、人に騙され続け、完全に人を信用できなくなっていた陽子だったが、力尽きた時に助けてくれた半獣の楽俊と一緒に雁の国を目指すことに。一度は楽俊とはぐれてしまった陽子だったが機転で船に乗り込み雁の国に辿り着き楽俊と合流。そして雁の王・延王と邂逅する。そして陽子は自分が景の国の王であることを知る。

景の国は現在、全王の妹・舒栄が偽王として振舞っていた。が、この世界では王が偽者であると国は乱れる。景の国は最悪の状態であり、さらに王を補佐する麒麟であったケイキ(景麒)は捕らえられていた。その背後には巧の王・塙王がいた。陽子に襲い掛かってきた妖獣はすべて塙王の差し金であった。
そして延王の力を借りて舒栄を討った陽子は景の国王となる。

感想:
世界観がすごいというかやたら細かい。一応中国の神話などをベースにした世界観になっており、国の風俗も中世の中国に倣っているようだ。また、歴史背景なども色々設定されており、とにかく設定だらけの小説。まぁファンタジーだから仕方ないが。
内容は最初の方こそ結構退屈で、そもそも陽子の性格がいまいち好きになれなかったせいもあるんだが、一人旅の途中からだんだん面白くなり、陽子が王だというのがわかってから一気に加速する物語がよかった。
ただ麒麟の景麒はいまいちだようなぁ。