今回はいよいよガンダムの舞台となった「一年戦争」について書いていきます。
この一年戦争という名前はU.C.0079の1/3から12/31にまで続いたことに由来します。
【一週間戦争】
U.C.0079 1/3、ジオン公国は突如連邦に宣戦布告し、その3秒後には宇宙にいる連邦軍に攻撃をしかけます。もちろんこの戦いでMSも実戦参加します。
また、同時にMS部隊がサイド1,2,4に毒ガス攻撃をしかけコロニーの住民を大量虐殺してしまいました。サイド1~7あるうち、なぜ上記3つのサイドに攻撃をしかけたかということについては説明がいります。
サイド3はジオン本国なので当然標的ではありません。サイド5には連邦軍の名将レビル将軍がおり、ここの攻撃は厳しいとジオン軍は判断しました。そしてサイド7はサイドといってもコロニーが1基しかないため、戦略的な価値がありませんでした。また、サイド6とは実は不可侵条約のような密約を結んでいました。後にサイド6は中立宣言をします。
さて、この一週間戦争の目玉はブリティッシュ作戦という作戦です。これはなんとコロニーそのものを地球に落下させる、いわゆるコロニー落としを行う作戦でした。ジオン軍はサイド2の8バンチコロニーに核パルスエンジンをつけ、地球に向けて発進させます。連邦政府はこのコロニーの軌道から、落下目標が南米にあるジャブローと判断しました。なぜジャブローをジオンが狙うかというと、ここは地下の巨大空洞に連邦軍の総司令部があり、兵器工廠でもあったからです。ちなみにこの作戦名はコロニー(植民地)を失った大英帝国が急速に力を弱めたという歴史にちなんでつけられたものです。
余談になりますが、コロニー落としに使われたサイド2の8バンチコロニーは、外伝「08小隊」の主人公シロー・アマダの出身地でもあります。
結局この作戦は連邦軍の猛烈な反撃と大気圏の影響によりコロニーは途中で分解し、その一部がオーストラリアに落下するにとどまりました。また、ジオン軍の損害も少ないものではありませんでした。
といってもオーストラリア大陸の地形は変わってしまい、地球の水位はあがり、上空まで吹き上がった土砂が地球の気候も変えてしまうという大惨事につながりました。この一週間戦争で人類の25%にあたる30億人が死にました。
このコロニー落としという作戦は後の「0083」のデラーズ紛争、「ZZ」の第一次ネオ・ジオン抗争、「逆襲のシャア」の第二次ネオ・ジオン抗争とたびたびガンダム世界の中では行われることになります。
【ルウム戦役】
といってもジオン軍的にはこの作戦は失敗に終わり、1/13にサイド5を攻撃して再びブリティッシュ作戦を行おうとします。これに対しレビル将軍率いる第3艦隊が攻撃を開始、コロニーに核パルスエンジンをつけるのは阻止できましたが、大規模な宇宙艦隊戦に発展します。
この戦いでシャアは専用にカスタマイズしたMS-06ザクⅡを駆り戦艦5隻を撃沈、”赤い彗星”の名を轟かせます。シャア専用ザクはシャア自身の操縦能力が標準をはるかに上回るため、通常の3倍のスピードで動いたといいます。
また、黒い三連星と呼ばれるMS小隊によって総司令のレビル将軍は捕虜となってしまいました。
1/16まで続いたこの戦いで連邦軍は投入した戦力の5割を失い、ブリティッシュ作戦こそ防げたものの総司令まで失うという大惨敗に終わりました。サイド5も壊滅です。そしてこの敗戦がMSを持つものと持たざるものの差であったことも一目瞭然であったため、ここから連邦軍はMSの量産を急速に進めていくことになります。
ちなみにルウムとはサイド5の愛称です。
【南極条約】
ここにきて初めて両者は会談を持ちます。1/31に行われたこの会談では事実上ジオンが連邦に城下の盟を強いるものになるはずでした。ところが、連邦が秘密裏に送り込んだレビル救出部隊によりレビル将軍は奇跡的に生還、そして会談の真っ最中に全世界に向けて、虜囚となった時に目撃したジオン兵の実情を明かし、「ジオンに兵なし」と鼓舞した。
これで会談の流れは一気に変わり、結局核兵器の禁止等、一般的な戦時条約が結ばれるにとどまりました。
【地球侵攻】
ここから先、ジオン軍は地球攻撃部隊を次々と降下させていきますが、これには多少の困難もありました。第一にジオン兵たちは地球の重力も環境も未経験でした。また、ジオンが開発したMSやその他の兵器にしても重力化での操縦は未テストに近い状態だったため、ザクなどは地球に降下してから地上戦用に改修したりもしました。特にひどかったのは航空機で、これは宇宙での航行と重力化での航行では航空力学からしてすでに別次元の話になるからです。ジオンの科学者たちは昔の航空理論書を丸写ししたような航空機を開発せざるをえず、結果的には胴体が極端に短いいびつな航空機が作られました。
ジオン軍は連邦軍の潜水艦とその基地を支配下におき、制海権を手に入れます。また、東欧のオデッサ(黒海沿岸にあるウクライナの実在の都市)をはじめとして、各地に鉱物採掘基地が作られ、地球でしか採掘できないレアメタルがジオン本国へ送られていくようになりました。
さらにガルマ・ザビ大佐を司令官とする地球攻撃軍が北米を完全に支配化に治めてしまいました。そして北米キャルフォルニア・ベースは地球におけるジオンの最大の拠点となりました。
こうして状況は圧倒的ジオン優勢で進んでいくのですが、兵力・物資ともに連邦との圧倒的な差を覆すにはいたらず、3月から9月までは戦況は膠着状態に陥ります。
また、宇宙要塞(巨大隕石によって作られた軍事基地)ソロモンとア・バオア・クーが完成し、月面のグラナダ基地と結んで本土防衛ラインが完成しました。ちなみにソロモンもア・バオア・クーも元々資源採掘用の小惑星です。
【フラナガン機関】
ジオン軍少将キシリア・ザビはMSの操縦で著しい戦果をあげる兵士がいることに着目。彼らの能力を、かつてジオン・ダイクンが提唱したニュータイプと位置付け、心理学者フラナガン博士にその研究を委託しました。これによりサイド6内にフラナガン機関というニュータイプの軍事的利用を研究する研究所が作られました。また、ニュータイプ専用のMSの開発も進みました。
元々ジオン・ダイクンが提唱したニュータイプとは、宇宙で暮らすようになった人類がその能力をさらに進化させた新人類ともいうべき人のことを指します。しかし、ジオン軍が研究するニュータイプはややニュアンスが違っていて、敵の攻撃の予測など、超能力者に近い能力を指しています。ニュータイプについてはまた詳しく触れたいと思います。
【新MS開発】
ジオン軍はこの他にもMS-07グフを実戦配備。ホバー走行ができるMS-09ドムも量産、その後も一年戦争終結まで新型機が次々と配備されていきます。
これに対し連邦軍は新型MSと強襲揚陸艦の開発・運用を目的としたV作戦を発動。同時に艦隊の再編成を目的としたビンソン計画も発動しました。これによりRX-78-2ガンダムが開発されました。このRX-78-2こそが、このアニメの主人公機となるMSです。そしてこのMSの活躍が、連邦軍にとって計算外の戦果をもたらし戦争の終結まで進んでいくことになります。
今回はここまで。
この一年戦争という名前はU.C.0079の1/3から12/31にまで続いたことに由来します。
【一週間戦争】
U.C.0079 1/3、ジオン公国は突如連邦に宣戦布告し、その3秒後には宇宙にいる連邦軍に攻撃をしかけます。もちろんこの戦いでMSも実戦参加します。
また、同時にMS部隊がサイド1,2,4に毒ガス攻撃をしかけコロニーの住民を大量虐殺してしまいました。サイド1~7あるうち、なぜ上記3つのサイドに攻撃をしかけたかということについては説明がいります。
サイド3はジオン本国なので当然標的ではありません。サイド5には連邦軍の名将レビル将軍がおり、ここの攻撃は厳しいとジオン軍は判断しました。そしてサイド7はサイドといってもコロニーが1基しかないため、戦略的な価値がありませんでした。また、サイド6とは実は不可侵条約のような密約を結んでいました。後にサイド6は中立宣言をします。
さて、この一週間戦争の目玉はブリティッシュ作戦という作戦です。これはなんとコロニーそのものを地球に落下させる、いわゆるコロニー落としを行う作戦でした。ジオン軍はサイド2の8バンチコロニーに核パルスエンジンをつけ、地球に向けて発進させます。連邦政府はこのコロニーの軌道から、落下目標が南米にあるジャブローと判断しました。なぜジャブローをジオンが狙うかというと、ここは地下の巨大空洞に連邦軍の総司令部があり、兵器工廠でもあったからです。ちなみにこの作戦名はコロニー(植民地)を失った大英帝国が急速に力を弱めたという歴史にちなんでつけられたものです。
余談になりますが、コロニー落としに使われたサイド2の8バンチコロニーは、外伝「08小隊」の主人公シロー・アマダの出身地でもあります。
結局この作戦は連邦軍の猛烈な反撃と大気圏の影響によりコロニーは途中で分解し、その一部がオーストラリアに落下するにとどまりました。また、ジオン軍の損害も少ないものではありませんでした。
といってもオーストラリア大陸の地形は変わってしまい、地球の水位はあがり、上空まで吹き上がった土砂が地球の気候も変えてしまうという大惨事につながりました。この一週間戦争で人類の25%にあたる30億人が死にました。
このコロニー落としという作戦は後の「0083」のデラーズ紛争、「ZZ」の第一次ネオ・ジオン抗争、「逆襲のシャア」の第二次ネオ・ジオン抗争とたびたびガンダム世界の中では行われることになります。
【ルウム戦役】
といってもジオン軍的にはこの作戦は失敗に終わり、1/13にサイド5を攻撃して再びブリティッシュ作戦を行おうとします。これに対しレビル将軍率いる第3艦隊が攻撃を開始、コロニーに核パルスエンジンをつけるのは阻止できましたが、大規模な宇宙艦隊戦に発展します。
この戦いでシャアは専用にカスタマイズしたMS-06ザクⅡを駆り戦艦5隻を撃沈、”赤い彗星”の名を轟かせます。シャア専用ザクはシャア自身の操縦能力が標準をはるかに上回るため、通常の3倍のスピードで動いたといいます。
また、黒い三連星と呼ばれるMS小隊によって総司令のレビル将軍は捕虜となってしまいました。
1/16まで続いたこの戦いで連邦軍は投入した戦力の5割を失い、ブリティッシュ作戦こそ防げたものの総司令まで失うという大惨敗に終わりました。サイド5も壊滅です。そしてこの敗戦がMSを持つものと持たざるものの差であったことも一目瞭然であったため、ここから連邦軍はMSの量産を急速に進めていくことになります。
ちなみにルウムとはサイド5の愛称です。
【南極条約】
ここにきて初めて両者は会談を持ちます。1/31に行われたこの会談では事実上ジオンが連邦に城下の盟を強いるものになるはずでした。ところが、連邦が秘密裏に送り込んだレビル救出部隊によりレビル将軍は奇跡的に生還、そして会談の真っ最中に全世界に向けて、虜囚となった時に目撃したジオン兵の実情を明かし、「ジオンに兵なし」と鼓舞した。
これで会談の流れは一気に変わり、結局核兵器の禁止等、一般的な戦時条約が結ばれるにとどまりました。
【地球侵攻】
ここから先、ジオン軍は地球攻撃部隊を次々と降下させていきますが、これには多少の困難もありました。第一にジオン兵たちは地球の重力も環境も未経験でした。また、ジオンが開発したMSやその他の兵器にしても重力化での操縦は未テストに近い状態だったため、ザクなどは地球に降下してから地上戦用に改修したりもしました。特にひどかったのは航空機で、これは宇宙での航行と重力化での航行では航空力学からしてすでに別次元の話になるからです。ジオンの科学者たちは昔の航空理論書を丸写ししたような航空機を開発せざるをえず、結果的には胴体が極端に短いいびつな航空機が作られました。
ジオン軍は連邦軍の潜水艦とその基地を支配下におき、制海権を手に入れます。また、東欧のオデッサ(黒海沿岸にあるウクライナの実在の都市)をはじめとして、各地に鉱物採掘基地が作られ、地球でしか採掘できないレアメタルがジオン本国へ送られていくようになりました。
さらにガルマ・ザビ大佐を司令官とする地球攻撃軍が北米を完全に支配化に治めてしまいました。そして北米キャルフォルニア・ベースは地球におけるジオンの最大の拠点となりました。
こうして状況は圧倒的ジオン優勢で進んでいくのですが、兵力・物資ともに連邦との圧倒的な差を覆すにはいたらず、3月から9月までは戦況は膠着状態に陥ります。
また、宇宙要塞(巨大隕石によって作られた軍事基地)ソロモンとア・バオア・クーが完成し、月面のグラナダ基地と結んで本土防衛ラインが完成しました。ちなみにソロモンもア・バオア・クーも元々資源採掘用の小惑星です。
【フラナガン機関】
ジオン軍少将キシリア・ザビはMSの操縦で著しい戦果をあげる兵士がいることに着目。彼らの能力を、かつてジオン・ダイクンが提唱したニュータイプと位置付け、心理学者フラナガン博士にその研究を委託しました。これによりサイド6内にフラナガン機関というニュータイプの軍事的利用を研究する研究所が作られました。また、ニュータイプ専用のMSの開発も進みました。
元々ジオン・ダイクンが提唱したニュータイプとは、宇宙で暮らすようになった人類がその能力をさらに進化させた新人類ともいうべき人のことを指します。しかし、ジオン軍が研究するニュータイプはややニュアンスが違っていて、敵の攻撃の予測など、超能力者に近い能力を指しています。ニュータイプについてはまた詳しく触れたいと思います。
【新MS開発】
ジオン軍はこの他にもMS-07グフを実戦配備。ホバー走行ができるMS-09ドムも量産、その後も一年戦争終結まで新型機が次々と配備されていきます。
これに対し連邦軍は新型MSと強襲揚陸艦の開発・運用を目的としたV作戦を発動。同時に艦隊の再編成を目的としたビンソン計画も発動しました。これによりRX-78-2ガンダムが開発されました。このRX-78-2こそが、このアニメの主人公機となるMSです。そしてこのMSの活躍が、連邦軍にとって計算外の戦果をもたらし戦争の終結まで進んでいくことになります。
今回はここまで。