ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 204コンピューター・グラフィック 「アメリカの子どもたちも頑張っているね」 「そうよ、戦争ばかりしたがっている人ばかりなら、アメリカもやってはいけないと思うわよ」 と、バーバラ。 禎子の像が映った。鶴を抱いた禎子が、ブロンズから生きた人間に変わっていく。 「これはコンピューター・グラフィックだろうなあー」と多くの人は思った。 折り鶴も、赤色に変わった。禎子が鳩を放つように、折り鶴をほうり投げた。 折り鶴はとんだ。禎子は笑っていた。禎子はそして両手を広げた。 輝代の目が黄金色に輝いた。その光はまわりを、黄金色に輝かせた。 「あれ、ここはどこだろう」 勇気はあの多摩六都科学館で見た全天周映画を思い出した。 「プラネタリウムでの映画みたいだね」 子どもの平和の像が映っている。 そのなかに、禎子がいた。とても幸せそうな禎子である。そして禎子の仲間たちがいる。 「僕たちは、平和のなかで生きていき、愛し合うことができたら、どんなに幸福なことだろうか。そうなれば、戦争をしているのなんか、馬鹿らしいことになっているさ」 画面には、「きづく会」のメンバーが集まってきた。 禎子は手話で「がんばって」というのをしている。 子どもの平和の像をつくったメンバーたちが集まってくる。どんどん、人は多くなってきている。 そして、日本人が何人か走ってくる。 ジョン・レノンがあらわれて、「イマジン」を歌い出した。 みんなのコーラスが、コダマしている。禎子も気持ちよさそうに歌っている。 「すごいCGだなあー」と一同は驚いている。 そして、スタジオは普通の照明になった。 「子どもの平和の像に賛同した人たちは、日本の東京にも広島にも姉妹像をつくったのよ。禎子の像は日本だけでなくアメリカにもあるわよ」 「禎子は世界の人々に希望を与えている。オーストラリアでは、ボスアニア・クロアチア・ソマリアの内戦で親を殺され、家を焼かれた難民の子ども達が、同じ教室で勉強しているそうだけど、サダコの本を読み、敵対していた人たちも話し合わなければならないと、サダコは教えてくれたという」 「クロアチアの心が傷ついた子どもたちも、折り鶴を広島に送ってきてくれました。ある人は言います。サダコの「希望」は死を超えていると……」 「それが本当の愛よ」 とバーバラは、落ち着いた口調で話した。 「だれか、マイクに愛の手を」 と、勇気がふざけた。 「バーバラのだけでいいよ」 と、マイクは照れていた。 それから、しばらくたって、 「しかし、アメリカが平和を守らなくって、誰が守ることができるのだ!」 とマイクは口調を強めた。
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