ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 197ソ連のような社会 「電力会社に勤めているの?」 「いいや、下請けだよ」 「じゃ、ますます危険がますのね。本当に危険な仕事は電力会社の社員はしないで、下請け会社にさせていると書いてあるわ。まったく、差別社会だね。世の中が学歴社会で、競争するのがわかるよ。それだけの差別があるからね……。大人の世界は“いじめ”以上だね!」 「自分よりも立場の悪い者に対して、虫ケラのように思っている社会だね。だから凶悪な犯罪も生まれるのかもね」 「でも、考えてみれば、教育や親の問題だけでなく、社会の問題だと想うよ。勇気のいうとおりだね」 「産業界、マスコミ、政治家と学者がそんな癒着の構造でいるなんて、それじゃ、ソ連のように、いつ崩壊しても不思議じゃないよ」 イワンが低音でうなるようにしゃべった。 本当に、チェルノブイリの大惨事が日本で起こるような気分がしてくる……。 いや、それ以上の惨事が日本で起こるという可能性を否定できる者がいるだろうか? 安心でききる論理を話してくる人がいるのだろうか? まず、いないだろう。そう説明してほしいのだが……。 自己の財産や仕事を守るためではなく、純粋に、日本の原発推進策は安全といえる人たちはいるのだろうか? きっと、いないと想う。 「原子力の専門家は原発がなくなれば、職を失う。そうすれば、彼らも失業者だよ」 「それはどうかな」 と勉は腕組をした。 「しかし、事故が起これば、彼らは確実といっていいほど死亡するだろう……」 「そんなことはないだろう。日本の学者は危険なことはしない。危ないことは、下請けだからね。現場に近寄らないし、専門家も六ケ所村には誰も住まないそうだ。住民は何度も六ケ所村に住むように願っているが、その危険性を知っている専門家は住まないと指摘している人もいた……。これからどうなるかは、わからないけど……。無理矢理住んでもらっても、安全になったというわけではないよね……」 「どうして、そんなものをつくるのだろうか……」 「金儲けさ。金まみれの人たち……。それは差別まみれでもある……」 「おおー、そろそろ暗くなってきたなー。みんなで花火をしよう」 「花火?」 「手でもってする奴だけどね。鴨川に行って涼もう……。エアコンよりも気分爽快だよ」 勉はみんなを笑顔で歓迎した。
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