香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

3冊の本と1本の映画のこと

2016-05-07 20:12:00 | 本のこと
少しためていました 本のことと映画のこと

今年の本屋大賞を受賞された
宮下奈都さんの『羊と鋼の森』



ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

「才能があるから生きていくんじゃない。
そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。
あるのかないのかわからない、
そんなものにふりまわされるのはごめんだ。
もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、
人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、
祝福に満ちた長編小説。


宮下奈都さんの小説は何冊か読んでいたので
昨年から話題になっている本ですが
(直木賞候補にもなっていましたね)
文庫になってからでもいいかなぁと思っていました
しかしなんとなく本屋で引き寄せられてしまって
読んで良かった
静かにしんとした深い森の中の香りの中の雰囲気で
唐突に涙が出てしまったりする場面もあり
きっと、たくさんの人のそれぞれの心の琴線に触れたんだろうと思いました
いつまでも、どこかでビアノの調律をしている人たちが
コツコツとあきらめないで生きている気配が続いています

新聞書評で読んだ児童書なのですが
ジャッキー・フレンチの『ヒットラーのむすめ』



もし、お父さんやお母さんが戦争をはじめたら、
自分はいやだと言えるだろうか?
戦争体験のない現代の子どもたちが、
過去や遠い地域の出来事ではなく身近な問題として、
戦争を考える物語。


もしもヒットラーにむすめがいたらという物語を
通学バスの中で語られるのですが
ちょっと悲しくてつらいのは
ヒットラーという人が何をした人間なのか
戦争がどういう結果になるのか知っているから
自分がヒットラーのむすめだったらと考え
自分の親のことを考える子供の真っ直ぐさが清く
終わり方にも、ああ、、、とため息
読み応えのある本でした

急逝された山本兼一さんの
『千両花嫁』とびきり屋見立て帖

幕末の志士も、道具も、まとめて“目利き”したろ
駆け落ち夫婦が開いた京の道具屋は新撰組や龍馬がお客。
“見立て”と“度胸”で幕末の世を渡っていく
「はんなり」系痛快時代小説誕生


山本兼一さんの本は『利休にたずねよ』以来です
(その時のブログは こちら
すごく好きで面白く、また読みたいと思っていたのに
なんとなく後回しにしていたら、亡くなってしまった
とびきり屋見立て帖シリーズは4作で終わってしまったらしく
それなら1作目から読んでみようと思いました
幕末の時代の新撰組や土佐藩士、坂本龍馬などを
町人夫婦の目から見、また道具屋での生活や
あの時代の京都の町の様子が生き生きと表現されています
これは、続きも読まなくちゃ

そして映画
新垣結衣さん主演の
くちびるに歌を



産休を取ることになった親友の音楽教師ハルコ(木村文乃)の代理として、
生まれ故郷の五島列島にある中学の臨時教師となった柏木(新垣結衣)
。天賦の才能を持つピアニストとして活躍したうわさのある美女だが、
その性格はがさつで乗り回す車もボロいトラック。
住民たちの注目を浴びる中、
彼女はコンクール出場を目標に日々奮闘している合唱部の顧問に。
そして部員たちに、課題として15年後の自分に宛てた手紙を書かせる。
やがて、部員たちがつづった手紙から、
それぞれが抱える苦悩や秘密が浮き上がってくるが……。


中田永一さんの小説が原作です
『くちびるに歌を』 好きな小説でした
(その時のブログは こちら
ストーリーはわかってはいたのですが
長崎の五島列島の映像がとても綺麗で
新垣結衣さんも、中学生たちも、
自閉症の兄の役をやった渡辺大知さんも
みんなみんな、自然で素敵でした
最後の方は、もう涙が止まらなくなってしまう
ひとりで見ているので遠慮なく涙は出ます

今夜から何を読もうかな
撮り溜めた映画も見たいんだけど
明日は少し早起きして、走りに行きたいし
夜更かししない程度に、
土曜の夜を過ごしましょ