香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

第144回芥川賞作品

2011-02-17 21:44:10 | 本のこと
文芸春秋3月号に掲載された第144回芥川賞作品
 朝吹真理子さんの『きことわ』
 西村健太さんの『苦役列車』
芥川賞は、わたしには難解で読めないものも多いのだけど
今回は2作品ともすらすらと読めた
感想は、難しい・・・
山田詠美さんの選評にとても納得
 「きことわ」。小説を書くということは、茫漠としたかた
 まりに、それしかない言葉を与え続けて埋め尽くすことな
 んだなー、と久々に思い出したような気がする。ここには
 作者の選び抜いた言葉だけが揚げられていて、読み手の無
 責任な口出しを許さない。だからこそ、無抵抗のまま作品
 の世界に引っ張り込まれる心地好さに身をまかせられる。ー

そして、高樹のぶ子さんの選評にも
 「苦役列車」は人間の卑しさ浅ましさをとことん自虐的
 に、私小説風に描き、読者を辟易させることに成功してい
 る。これほどまでに呪咀的な愚行のエネルギーをためた人
 間であれば、自傷か他傷か、神か悪行の発見か、何か起き
 そうなものだと期待したけれど、卑しさと浅ましさがひた
 すら連続するだけー

読書する小説は完全に好みなので
朝吹真理子さんの次回作は楽しみだなと思った
・・・けど買うなら文庫かな

今回の文芸春秋で
「秘めたる恋35」という特集が載っていて
向田邦子さんの恋文が載っていた
向田邦子さん本人が書いたエッセーも小説も
弟さんや久世光彦さんが邦子さんのことを書いた本も
とっても好きで、何度も繰り返し読んでいるのだけど
向田邦子の恋文」だけはどうしても好きになれない
なんだか、邦子さんの触れちゃいけない部分に
踏み込んでしまう気がして、駄目なんだよね・・・

いま読んでいるのは、今回の直木賞を受賞した道尾秀介さんの過去の小説
テレビ「情熱大陸」を見て、
ああ、こういう人の書いた小説読んでみたいなと思って
まだ序盤だけど、面白い 一気に読んでしまいそう