世界を視野に入れて活動を展開してみたいと考えれば、歌物の歌詞はやっぱり英語でなくてはね。
アメリカのマーケットではいくら内容が良くても、坂本九のスキヤキの様や中南米からの移民が多い地域でのスペイン語の歌など例外はあるが、基本的に英語で歌われなければ見向きもされない場合が多々。
イタリアのプログレ・バンド、 P.F.M.(Premiata Forneria Marconi、プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)がELPのイタリア公演の前座として演奏した時、グレッグ・レイクの目に留まり、彼らのレーベル、マンティコアからデビューすることになった。それが彼らの1972年のセカンド・アルバム、Per Un Amico(友よ)だった。
(1972年のイタリア盤、Per Un Amico)
そしてクリムゾンのピート・シンフィールドの英詞を付けて再録、されに2曲を追加して翌年にPhoto Of Ghost(幻の映像)で世界デビュー。
(1973年の国際デビュー盤、Photo Of Ghost)
彼らの当時の特徴としてはメロトロン、管楽器(フルート)やバイオリンが登場するクラシカルな雰囲気も漂うクリムゾンのリザード辺りの印象で、たまにジャズっぽいフレーズも登場しキャメルのような浮揚感も感じさせ、演奏技術はかなり高い。
本日は、彼らのイタリア盤、Per Un Amico(友よ)と国際デビュー盤、Photo Of Ghost(幻の映像)を聴き比べてみようではないか。とは言え、当方勿論イタリア語はチンプンカンプンで英語も達者ではないので、感覚的にどう違うのかって感じの比較になる。
イタリア盤、Per Un Amico(友よ) 国際盤、Photo Of Ghost(幻の映像)
1.Apnea Un Po’(ほんの少しだけ) River Of Life(人生は川のようなもの)
未収録 Celebration(セレブレーション)
2.Generale(生誕) Mr. 9 ‘Till 5(9時から5時の男)
3.Per Un Amico(友よ) Photo Of Ghost(幻の映像)
未収録 Old Rain(オールド・レイン)
4.Il Banchetto(晩餐会) Il Banchetto(晩餐会の3人の客)
5.Geranio(ゼラニウム) Promenade The Puzzle(プロムナード・ザ・パズル)
ピート・シンフィールドが詩をつけたのは、イタリア盤の1、2、3と5の4曲とイタリア盤に収録されなかったCelebration。
むむ〜、再録されてアレンジが少し違うのとイタリア盤CDが1988年の初期のプレスってことで音圧は低くちょっと平坦に聴こえたのを差し引いても、英語の歌詞が結構ハマっている感じ、さらにバンドが歌物より演奏に注力を注いでいた事から英語の歌詞に関してはそれほど違和感は感じなかったのが正直なところですかね。
PFMは英語で歌うスタジオ・アルバムを3枚とアメリカでのライブ盤(Cook)を出していった後は全編イタリア語で歌うスタイルに回帰。
やっぱり、歌詞どうこうよりアメリカではちょっと繊細すぎてウケなかったかな?
ただ日本のプログレ・ファンの中では結構人気があって何度も来日しているし、また彼らの国際デビュー・アルバムにハマりそれを入り口にイタリアン・プログレの沼にもどっぷり浸かってしまい日本ではほとんど見かけない他のバンドの高額輸入盤に手を出された方も結構いたのではないかと。
いや~、国際展開って本当に難しいものですね。