CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

ディランを聴く、その6

2018年05月20日 | Bob Dylan, Byrds, Band and etc.

サム・ペキンパー監督の名前が出たので、ディランが担当した彼の1973年公開の映画のサントラ、Pat Garrett & Billy The Kidでも。


(映画のいちシーンだと思われる、ジャケ裏の写真)

この監督の芸風はと言うと、アクション・バイオレンスで血飛沫がドバッと出てくるタイプのやつである。

昔はテレビで新作映画のコマーシャルで、彼が監督したダスティン・ホフマン主演のStraw Dog(藁の犬)、マックイーン主演のJunior BonnerとかThe Getawayなんかの予告編がオン・エヤーされていたような記憶がある。

しかし、日本でも公開されたPat Garrett & Billy The Kid となるとあまり記憶にない。

多分、当時は部活で忙しく音楽鑑賞には何とか時間が作れたものの映画鑑賞までに割く時間がなかったのだと思う。だから後にディランが担当したサントラ盤から、Knockin’ On The Heaven’s Doorがヒットした事から、映画もそう言えばあったっけ!だった。

このサントラ盤には10曲収録されていて、ディランがボーカルを務める歌物はBilly 1、Billy 4、Billy 7とシングル・カットされたKnockin’ On The Heaven’s Doorの4曲で、残りはカントリー調のインスト・ナンバーだ。

映画の場面の少し物悲しい雰囲気を醸し出す楽曲からアルバム全体が構成されているので、アルバムだけを通して聴けば少し単調に感じ退屈してしまうかもしれない。

ただ、音量を絞ってバック・グラウンドで流せば、これはこれで癒しの音楽として重宝する。

ところで、Knockin’ On The Heaven’s Doorを聴くたび、いつも思い出すのが、1970年のCSN&Yの2枚目のアルバム、Déjà vuに収録されたニールヤング作のHelplessだ。

本当に、瓜二つに聴こえる。

ニールの曲のコード進行はDAGG、DAGGの繰り返し。一方ディランの曲は GDAm7Am7、GDCCの繰り返し。

ギターで弾いてみると、キーは違うがほんと同じメロディーが思い浮かぶ。

まあどちらの曲も、シンプルなコードの繰り返しで成り立っているので、似てしまうのは仕方がないといえばその通りなのだろう。

片方が無名のアーティストとなると、盗作騒ぎに発展することが往往にしてあるのだが、ディランもニールそれなりの地位をすでに築いていて、お互いがリスペクトし合っていたので問題なしとなったのだろう。

一方私のアイドル、ジョージは貧乏くじを引くことに。

彼のMy Sweet Lordは60年代の黒人女性コーラス・グループ、シフォンズの歌うHe’s So Fineに酷似している事から、楽曲管理者から盗作だと訴えられ、長〜い裁判の末、判決は“潜在意識の中の盗用”とされジョージが多額の賠償金を支払うことになった。

しかし、シフォンズの元歌は 確かに似通った箇所はあるが、全体を通して改めて聴くと双方の曲のアレンジも含めて盗作だとは言い難いと個人的に思うのだが….

なぜこうなったかと言うと、WIKIの情報によれば、あるカントリーの女性歌手がジョージのMy Sweet Lordと同じようなアレンジでHe’s So Fineをカバーした事によって、盗作疑惑を印象付けることになったのだとか。作為あるカバーと感じるのだが...

しかし一般的にブルースにしろ演歌にしろ、コード進行はだいたい同じなので、もしアレンジを同じにすればどれもこれも同じように聴こえるのは間違いない。

まあ、楽曲管理者とHe’s So Fineの作者の遺族がちょっと儲けてやろうかなんて思ったのかね.?

ジョージの場合も相手がディランかニールであれば、盗作疑惑の騒ぎなんて到底起こらなかったのではないかと、Pat Garrett & Billy The Kidを聴いて今更ながらに思った。


ディランを聴く、その5 おまけ

2018年05月20日 | Bob Dylan, Byrds, Band and etc.

Self Portrait Side-4の1曲目、B. Bryant作のTake a message to Mary の一節。

少し物悲しいメロディーに平易な英語。ふと聞き耳をたてる。

Take a message to Mary

(These are the words of a frontier lad
Who lost his love when he turned bad)
女性コーラス:
(これは開拓時代のとある若者の話である。
悪に染まった時、男は愛を失う〜♪)

Take a message to Mary
メリーに伝えてくれ
But don't tell her where I am
だけど俺がどこにいるか言っちゃダメだぜ
Take a message to Mary
メリーに伝えてくれ
But don't say I'm in a jam
俺に行き場のないことを言っちゃダメだぜ
You can tell her that I had to see the world
俺が世の中をちょっと眺めなきゃ ならないって言ってくれ
Tell her that my ship set sail
船出の時だと言ってくれ
You can say she'd better not wait for me
俺をもう待たないほうがいいって言ってくれ
But don't tell her I'm in jail
だけど牢屋にいるなん言っちゃダメだぜ
Oh don't tell her I'm in jail
くれぐれもな

もう会う事はねえ、おいらの事は忘れてくれ〜って言付けを頼むってちょっと未練がましい気もするけどね。

まあ、これをSelf Portraitで歌うって、ディランも荒野を股にかけるアウトローのロンサム(孤独の)・カーボーイに憧れてたのかな。

数年後、サム・ペキンパー監督のビリー・ザ・キッドのサントラを担当し、その映画にも出演したのも新ためて合点がいった。