● prologue
秋になると家族で紅葉を追う旅に出かけていましたが、今回は間が空いて3年ぶり。
母子二人での京都旅行は初めてです。
いつも行く京都のほか、隣の滋賀県にも行くことにしました。
百観音のお寺にも行きたいし、と予定に入れると、岐阜も入ります。
じゃあそのまま戻らずに名古屋から帰ろう、近畿・中部4県を4日間で周るプランを組みました。
母と一緒なので、あまり体力を使わない行程にしようと思っていたのに、ハードな旅の予感。
大丈夫かなあ?
まあ、2人だけの旅なので、無理ならすぐに予定変更すればいいやと思って、当日を待ちます。
● 大雨の出発
ところが当日の朝には、結構な雨が降っていました。
残念すぎる出発だわ~。
道路が混みそうなので、バスもタクシーもやめて、電車で行くことに。
遅れないよう早めに出かけました。
大雨の中、電車を乗り継いで新横浜に着くと、新幹線待合室はトランクを持った人たちで大混雑。
雨でも秋の行楽シーズンだから、旅行に出る人達がたくさんいました。
どうも新幹線から富士山をなかなか見られない私。
今回も雨で景色が曇って、やっぱり見られません。もうフテ寝しようっと。
久しぶりののぞみに乗って、ウキウキの母。時々目を開けるといつも、母はずっと窓の外を眺めていました。
喜んでくれて、なによりだわ。
● 虹が出た
目覚めたら名古屋駅の近く。もうすっかり雨は上がっていました。
天気が悪かったのは、新横浜までだけだったんじゃないー。
富士山を私に見せまいとするなんらかの力が働いたのかしらー。
ブーブー言いましたが、雨上がりの虹が見えたので、あっさり機嫌を直しました。
ビューリホー。
サムデーイ、オーバー・ザ・レインボー♪
● 京都の地下鉄
新幹線はスムーズでしたが、京都駅に着くと予想通りの大混雑で、なかなか前にも進めません。
まずは地下鉄に乗り、宿に向かいます。
地下鉄の車両内で、ドア近くに立っている人が吊り革を握ると、ぐいっと下に降りてきました。(画像右)
手を離すと、吊り革は上に上がりました。(画像左)
へえ、そんな仕組みになっているのね。使わない時には上に上がるので、頭にぶつかって痛い思いをすることがなく、便利です。
東西線の蹴上駅で降りました。南禅寺への小道も行き交う人で大賑わい。
チェックイン後、京阪に乗り換えます。
中書島駅をすぎると喧騒は消え、一気に広々とした光景になります。
● 鯖の棒寿司
八幡市駅で降りました。
私は3回目、母ははじめての駅です。
お昼時なので、駅前の朝日屋に入りました。
古めかしい静かな店構えで、中に入るのにちょっと勇気が要りましたが、店内は大勢の人でにぎわっていました。
100年以上の歴史あるレトロな店内には、若者の姿も割と多く見られます。
鯖の棒寿司が有名なお店なので、棒寿司セットを注文。
うどんがついてきました。
湯気でちょっとかすんでいます。
やれ「花折」だ「いずう」だと、京の名店のものを食べ比べている、棒寿司が好きな母。
このお店も喜んでくれました。
● エジソンの像
駅前にはエジソンの像があります。
なぜにこんな場所に、エジソン?
そのわけは、石碑に書かれていました。
A long time ago in a galaxy far, far away . . . .
「スター・ウォーズ」のオープニングに流れる説明文みたいですね。
エジソンは、木綿の代わりに竹のフィラメントを使おうと考え、世界中の竹で実験を行った末に、京都にある八幡男山の岩清水八幡宮の境内に生えていた真竹にたどり着きました。
ここの竹を用いた白熱電球は、1200時間輝き続けたそうです。
ここの竹に出会わなければ、エジソンの成功はなかったのかもしれませんね。
ちなみに嵐山の法輪寺にも、エジソンの記念碑があります。
こちらは電電塔として、電気研究者のエジソン、電波研究者のヘルツの銅製肖像が掲げられています。
京都とエジソンには、そんな関係があったんですね。
● 男山ロープウェー
食後、ロープウェー乗り場へと向かいました。
乗り場の前にある、すき間なくつながった家。ここに来るたびに気になっています。
「男山っていう名前がすごいわね」と笑う母。
もう慣れましたが、私も初めのうちは気になっていました。
この山の名前ですからね~。
関西の人は聞き慣れてしまって、なんとも思わないかもしれませんが、逆に日光の男体山には驚くかもしれません。
前に乗ったときは、2人で貸し切りでした。
運転士がついてくれて、なんだか申し訳ない気持ちになったものです。
その時、確かアナウンスで「お正月期間に年間乗車数の9割の乗客を乗せます」と言っていた気がしました。
(つまり、ほかの11ヶ月間には、残りの1割しかこないのね~)と思っていたので、今回も乗客は母と2人きりかなと思って向かいます。
ところが、実際には満員で座れませんでした。
耳をそばだてていましたが、そんな悲しいアナウンスもありませんでした。
え~、夢を見ていたのかしら?
乗客いっぱい、大人気!
秋は紅葉シーズンなので、参拝客だけでなく、行楽客にも人気があるようです。
上から降りてくる車両が見えます。
単線なので、同時に発車し、真ん中ですれ違いました。ワクワクの瞬間!
上に登るにつれて、見晴らしが開けてきました。
男山の麓は木津川、桂川、淀川が交差する場所になっています。
水がいいため、サントリー山崎の工場もあります。川の合流地点に住みたいな~。
● 七五三日和
訪れたのは、石清水八幡宮。
大分の宇佐神宮・福岡の筥崎宮(または神奈川の鶴岡八幡宮)とともに、日本三大八幡宮の一社です。
おめかしして七五三参りにやってきた、かわいらしい子供たちにたくさん出会いました。
ぽかぽかの、参拝日和でしたからね。
参道には、奉納された酒樽がずらり。
「男山」のお酒も、きちんと奉納されていました。
北海道の日本酒ですが、名前の由来はここの男山から来ているそうです。
それじゃあ、ここに奉納しないわけがありませんね。
右側の丸い樽は、文字が見えませんが、ニッカウヰスキーの樽でした。
たぶん、近くの山崎蒸溜所の奉納品でしょう。
● 国宝・石清水八幡宮
石清水八幡宮は、2016年に社殿10棟が国宝に指定されました。
ここを訪れるのは3度目ですが、国宝建築として参拝するのは初めてです。
最初は茶色い古い本殿、次は修復中の幌をかぶった状態、そして今回、きれいになった姿を見られました。
一番絵になる姿です。
天気がいいので、華やかな朱殿が空に美しく映えています。
エジソンの絵馬がありました。
裏を返すと「天才とは1%のひらめきと99%の汗」と書かれていました。
おお、これは合格祈願に効きそう。
境内に下がる絵馬には、資格試験や学校の合格祈願が書きこまれていました。
親は、鎌倉の鶴岡八幡宮で、私のお宮参りをしました。
鎌倉幕府を開くにあたり、頼朝がここ石清水から八幡神を勧請したのが鶴岡八幡宮。
つまり石清水さんには、間接的ながら生まれた時からお世話になっているというわけです。
境内の建物前に、いい言葉が掲げられていました。
この成瀬仁蔵という人はどなたかしら~?と調べてみたら、キリスト教の牧師さんだそうです。
異教徒でも受け入れるのは、日本の宗教ならでは!
● エジソンはどこ?
山上に着き、ロープウェーを降りました。
参拝前に、エジソン記念碑を探します。
地図に書かれた場所まで来ましたが、2人とも探せません。
駐車場の車の誘導をしている人に聞くと、「ここですよ」とすぐ目の前を指さしてくれました。
かなり横に広がった大きなものでした。
どうして気づかなかったのかしら~。黒いから?
石碑の後ろに、八幡竹が茂っていました。
● 下りもロープウェー
下りも男山ロープウェーに乗りました。
またもやそこそこ満員で、うれしくなりました。
かつては、あちこちに山の上にある寺社へのロープウェーがありましたが、車の普及につれてなくなってしまったところが日本中にあります。
京都の愛宕神社や埼玉の三峯神社など。石川の白山比咩神社には電車が通っていましたが、それも今は廃線となりました。
車のない身としては、アクセス困難な遠い寺社へのツールがなくなると、非常に困るのです。
男山に、歩いて上り下りしたこともありますが、時間がかかるしやっぱり大変。
ここのロープウェーは、なくならずにいてほしいです。
京阪のポスターが貼られていました。
舞妓さんが大集合。京都ならではですね。
再び麓に着き、辺りを散策します。
放生川にかかる橋は、今が平成の世だと忘れそうな時代がかった雰囲気。
● フシギな飛行神社
橋を渡って、飛行神社へ行きました。
手水社にも、昔の飛行機の絵が描かれています。
ここは饒速日命(ニギハヤヒノミコト)という古代の飛行神を祀っています。
その肩書だけでも、興味津々。
『日本書紀』に登場する神様で、アマテラスから十種の神宝を授かり、天磐船に乗って地上に天降ったため、空の神とされているそうです。
空関係では、台東区にある「飛不動尊」を参拝したことがあります。
そこは、飛んできたお不動さまをお祀りしていました。
こちらは神社だから、ちょっと違いますね。
もともとこの神社は、私的に作られたものでした。
日本で初めて飛行原理を発見した二宮忠八が、大正期に私財で自邸内に創建したものなのです。
うーん、すごい。
古い歴史を持つ石清水とはかなり性質が違いますが、こちらもきちんとした神社です。
お守りにも絵馬にも御朱印帳にも、とにかく全ての授与品に飛行機が描かれていました。
境内には、ジェット機のエンジンや、岸和田沖で漁師の網にかかって引き上げられた、零式艦上戦闘機の先端部分などが置かれていました。
どちらも本物で、リアル。
こういうメカに強い人が見たら、すごく夢中になるんだろうな~と思いますが、わからない人間にも、その迫力は伝わってきて、胸が痛みます。
二宮忠八の約50年後に生まれた堀越二郎のことを、思い出しました。
(ジブリ映画『風立ちぬ』の彼です)
拝殿は、なんと驚きのギリシア風神殿。
明かりとりの窓はステンドガラスがはめ込まれています。
それでも、拝殿奥の祭殿は、和風建築になっており、何とも不思議なコンビネーションです。
母も私も、今は旅人。今回は飛行機には乗りませんが、しっかりお祈りしておきましょう。
お賽銭箱の横には、願いが書かれたゴルフボールが奉納されていました。
「なぜだろう?」と考えて、はたと気づきます。
(そうか、飛行神社だからね、ボールがよく飛ぶように!)
マニアックですが、参拝客の姿も多く、結構人気がありました。
石清水八幡宮を参拝したら、ぜひここも訪れてみてください。
創建した二宮翁の情熱に満ちていて、なんだかとっても刺激的でした。
その2に続きます。
秋になると家族で紅葉を追う旅に出かけていましたが、今回は間が空いて3年ぶり。
母子二人での京都旅行は初めてです。
いつも行く京都のほか、隣の滋賀県にも行くことにしました。
百観音のお寺にも行きたいし、と予定に入れると、岐阜も入ります。
じゃあそのまま戻らずに名古屋から帰ろう、近畿・中部4県を4日間で周るプランを組みました。
母と一緒なので、あまり体力を使わない行程にしようと思っていたのに、ハードな旅の予感。
大丈夫かなあ?
まあ、2人だけの旅なので、無理ならすぐに予定変更すればいいやと思って、当日を待ちます。
● 大雨の出発
ところが当日の朝には、結構な雨が降っていました。
残念すぎる出発だわ~。
道路が混みそうなので、バスもタクシーもやめて、電車で行くことに。
遅れないよう早めに出かけました。
大雨の中、電車を乗り継いで新横浜に着くと、新幹線待合室はトランクを持った人たちで大混雑。
雨でも秋の行楽シーズンだから、旅行に出る人達がたくさんいました。
どうも新幹線から富士山をなかなか見られない私。
今回も雨で景色が曇って、やっぱり見られません。もうフテ寝しようっと。
久しぶりののぞみに乗って、ウキウキの母。時々目を開けるといつも、母はずっと窓の外を眺めていました。
喜んでくれて、なによりだわ。
● 虹が出た
目覚めたら名古屋駅の近く。もうすっかり雨は上がっていました。
天気が悪かったのは、新横浜までだけだったんじゃないー。
富士山を私に見せまいとするなんらかの力が働いたのかしらー。
ブーブー言いましたが、雨上がりの虹が見えたので、あっさり機嫌を直しました。
ビューリホー。
サムデーイ、オーバー・ザ・レインボー♪
● 京都の地下鉄
新幹線はスムーズでしたが、京都駅に着くと予想通りの大混雑で、なかなか前にも進めません。
まずは地下鉄に乗り、宿に向かいます。
地下鉄の車両内で、ドア近くに立っている人が吊り革を握ると、ぐいっと下に降りてきました。(画像右)
手を離すと、吊り革は上に上がりました。(画像左)
へえ、そんな仕組みになっているのね。使わない時には上に上がるので、頭にぶつかって痛い思いをすることがなく、便利です。
東西線の蹴上駅で降りました。南禅寺への小道も行き交う人で大賑わい。
チェックイン後、京阪に乗り換えます。
中書島駅をすぎると喧騒は消え、一気に広々とした光景になります。
● 鯖の棒寿司
八幡市駅で降りました。
私は3回目、母ははじめての駅です。
お昼時なので、駅前の朝日屋に入りました。
古めかしい静かな店構えで、中に入るのにちょっと勇気が要りましたが、店内は大勢の人でにぎわっていました。
100年以上の歴史あるレトロな店内には、若者の姿も割と多く見られます。
鯖の棒寿司が有名なお店なので、棒寿司セットを注文。
うどんがついてきました。
湯気でちょっとかすんでいます。
やれ「花折」だ「いずう」だと、京の名店のものを食べ比べている、棒寿司が好きな母。
このお店も喜んでくれました。
● エジソンの像
駅前にはエジソンの像があります。
なぜにこんな場所に、エジソン?
そのわけは、石碑に書かれていました。
A long time ago in a galaxy far, far away . . . .
「スター・ウォーズ」のオープニングに流れる説明文みたいですね。
エジソンは、木綿の代わりに竹のフィラメントを使おうと考え、世界中の竹で実験を行った末に、京都にある八幡男山の岩清水八幡宮の境内に生えていた真竹にたどり着きました。
ここの竹を用いた白熱電球は、1200時間輝き続けたそうです。
ここの竹に出会わなければ、エジソンの成功はなかったのかもしれませんね。
ちなみに嵐山の法輪寺にも、エジソンの記念碑があります。
こちらは電電塔として、電気研究者のエジソン、電波研究者のヘルツの銅製肖像が掲げられています。
京都とエジソンには、そんな関係があったんですね。
● 男山ロープウェー
食後、ロープウェー乗り場へと向かいました。
乗り場の前にある、すき間なくつながった家。ここに来るたびに気になっています。
「男山っていう名前がすごいわね」と笑う母。
もう慣れましたが、私も初めのうちは気になっていました。
この山の名前ですからね~。
関西の人は聞き慣れてしまって、なんとも思わないかもしれませんが、逆に日光の男体山には驚くかもしれません。
前に乗ったときは、2人で貸し切りでした。
運転士がついてくれて、なんだか申し訳ない気持ちになったものです。
その時、確かアナウンスで「お正月期間に年間乗車数の9割の乗客を乗せます」と言っていた気がしました。
(つまり、ほかの11ヶ月間には、残りの1割しかこないのね~)と思っていたので、今回も乗客は母と2人きりかなと思って向かいます。
ところが、実際には満員で座れませんでした。
耳をそばだてていましたが、そんな悲しいアナウンスもありませんでした。
え~、夢を見ていたのかしら?
乗客いっぱい、大人気!
秋は紅葉シーズンなので、参拝客だけでなく、行楽客にも人気があるようです。
上から降りてくる車両が見えます。
単線なので、同時に発車し、真ん中ですれ違いました。ワクワクの瞬間!
上に登るにつれて、見晴らしが開けてきました。
男山の麓は木津川、桂川、淀川が交差する場所になっています。
水がいいため、サントリー山崎の工場もあります。川の合流地点に住みたいな~。
● 七五三日和
訪れたのは、石清水八幡宮。
大分の宇佐神宮・福岡の筥崎宮(または神奈川の鶴岡八幡宮)とともに、日本三大八幡宮の一社です。
おめかしして七五三参りにやってきた、かわいらしい子供たちにたくさん出会いました。
ぽかぽかの、参拝日和でしたからね。
参道には、奉納された酒樽がずらり。
「男山」のお酒も、きちんと奉納されていました。
北海道の日本酒ですが、名前の由来はここの男山から来ているそうです。
それじゃあ、ここに奉納しないわけがありませんね。
右側の丸い樽は、文字が見えませんが、ニッカウヰスキーの樽でした。
たぶん、近くの山崎蒸溜所の奉納品でしょう。
● 国宝・石清水八幡宮
石清水八幡宮は、2016年に社殿10棟が国宝に指定されました。
ここを訪れるのは3度目ですが、国宝建築として参拝するのは初めてです。
最初は茶色い古い本殿、次は修復中の幌をかぶった状態、そして今回、きれいになった姿を見られました。
一番絵になる姿です。
天気がいいので、華やかな朱殿が空に美しく映えています。
エジソンの絵馬がありました。
裏を返すと「天才とは1%のひらめきと99%の汗」と書かれていました。
おお、これは合格祈願に効きそう。
境内に下がる絵馬には、資格試験や学校の合格祈願が書きこまれていました。
親は、鎌倉の鶴岡八幡宮で、私のお宮参りをしました。
鎌倉幕府を開くにあたり、頼朝がここ石清水から八幡神を勧請したのが鶴岡八幡宮。
つまり石清水さんには、間接的ながら生まれた時からお世話になっているというわけです。
境内の建物前に、いい言葉が掲げられていました。
この成瀬仁蔵という人はどなたかしら~?と調べてみたら、キリスト教の牧師さんだそうです。
異教徒でも受け入れるのは、日本の宗教ならでは!
● エジソンはどこ?
山上に着き、ロープウェーを降りました。
参拝前に、エジソン記念碑を探します。
地図に書かれた場所まで来ましたが、2人とも探せません。
駐車場の車の誘導をしている人に聞くと、「ここですよ」とすぐ目の前を指さしてくれました。
かなり横に広がった大きなものでした。
どうして気づかなかったのかしら~。黒いから?
石碑の後ろに、八幡竹が茂っていました。
● 下りもロープウェー
下りも男山ロープウェーに乗りました。
またもやそこそこ満員で、うれしくなりました。
かつては、あちこちに山の上にある寺社へのロープウェーがありましたが、車の普及につれてなくなってしまったところが日本中にあります。
京都の愛宕神社や埼玉の三峯神社など。石川の白山比咩神社には電車が通っていましたが、それも今は廃線となりました。
車のない身としては、アクセス困難な遠い寺社へのツールがなくなると、非常に困るのです。
男山に、歩いて上り下りしたこともありますが、時間がかかるしやっぱり大変。
ここのロープウェーは、なくならずにいてほしいです。
京阪のポスターが貼られていました。
舞妓さんが大集合。京都ならではですね。
再び麓に着き、辺りを散策します。
放生川にかかる橋は、今が平成の世だと忘れそうな時代がかった雰囲気。
● フシギな飛行神社
橋を渡って、飛行神社へ行きました。
手水社にも、昔の飛行機の絵が描かれています。
ここは饒速日命(ニギハヤヒノミコト)という古代の飛行神を祀っています。
その肩書だけでも、興味津々。
『日本書紀』に登場する神様で、アマテラスから十種の神宝を授かり、天磐船に乗って地上に天降ったため、空の神とされているそうです。
空関係では、台東区にある「飛不動尊」を参拝したことがあります。
そこは、飛んできたお不動さまをお祀りしていました。
こちらは神社だから、ちょっと違いますね。
もともとこの神社は、私的に作られたものでした。
日本で初めて飛行原理を発見した二宮忠八が、大正期に私財で自邸内に創建したものなのです。
うーん、すごい。
古い歴史を持つ石清水とはかなり性質が違いますが、こちらもきちんとした神社です。
お守りにも絵馬にも御朱印帳にも、とにかく全ての授与品に飛行機が描かれていました。
境内には、ジェット機のエンジンや、岸和田沖で漁師の網にかかって引き上げられた、零式艦上戦闘機の先端部分などが置かれていました。
どちらも本物で、リアル。
こういうメカに強い人が見たら、すごく夢中になるんだろうな~と思いますが、わからない人間にも、その迫力は伝わってきて、胸が痛みます。
二宮忠八の約50年後に生まれた堀越二郎のことを、思い出しました。
(ジブリ映画『風立ちぬ』の彼です)
拝殿は、なんと驚きのギリシア風神殿。
明かりとりの窓はステンドガラスがはめ込まれています。
それでも、拝殿奥の祭殿は、和風建築になっており、何とも不思議なコンビネーションです。
母も私も、今は旅人。今回は飛行機には乗りませんが、しっかりお祈りしておきましょう。
お賽銭箱の横には、願いが書かれたゴルフボールが奉納されていました。
「なぜだろう?」と考えて、はたと気づきます。
(そうか、飛行神社だからね、ボールがよく飛ぶように!)
マニアックですが、参拝客の姿も多く、結構人気がありました。
石清水八幡宮を参拝したら、ぜひここも訪れてみてください。
創建した二宮翁の情熱に満ちていて、なんだかとっても刺激的でした。
その2に続きます。