風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

巡礼してみた一人旅・2-1(奈良)

2014-05-05 | 近畿(奈良・和歌山)
○ 第八番札所 長谷寺
○ 鎌倉 vs 奈良
○ 番外札所 法起院
○ 第六番札所 壷坂寺
○ 魅惑の暴悪大笑面
○ 大仏ワンダーランド

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1日目からの続きです。
旅行2日目は、7時前に京都から奈良に向かって出発しました。
早起きしましたが、移動時間がかかります。
通勤ラッシュにもまれて、この日最初の長谷寺駅に着いた時には、9時近くになっていました。

○ 第八番札所 長谷寺

有名な長谷寺ですが、最寄り駅に降りたのはは私だけでした。
まだ早い時間だからでしょうか。
人の流れができていなかったので、道路標識を頼りに進んでいったら、いつの間にか車道に出て、間違えて違う山に登ってしまいました。
いらん登山しちゃったわー。
歩行者用参道を通っていったら、山を越える必要はなかったんですが。





朝のお寺って静かでいいですね。9時すぎているとはいっても、人も少なくて空気が澄み切っています。
ゆっくりと深呼吸したくなる場所。
鎌倉の長谷寺は、今まで数え切れないくらい参拝していますが、奈良の長谷寺はこれがはじめてです。



仁王門から本堂まで続く、小さな段差の木の登廊を一歩一歩登っていきます。
歴史の重みが感じられる、すばらしいアプローチです。



前に友人の、ここでの見返り写真を見せてもらい、(いい構図)と思ったので、自分も誰かに一枚撮ってもらいたいな~と思いましたが、あいにく前にも後ろにも誰もいません。
わーん、さびしい一人旅。
いいんだもーん、階段参道を独り占めできたから。(まけおしみ)



登廊は、延々と続いています。登ったところに更に階段。
ここのお坊さんは、相当足が鍛えられますね。
両脇には、牡丹が咲き始めていました。





長い登廊を登りきったところに観音堂がありました。
観音堂の前に広がるのは、鎌倉にはない、長谷の舞台。風が吹き抜けるさわやかな空間でした。







観音様は、やはり巨大でした。
鎌倉の長谷観音は、全身が見えますが、奈良の長谷観音は、足元が見えません。
地下に下がって観音様の足に触れることもできるようになっています。

○ 鎌倉 vs 奈良



広い境内には季節の花が咲き乱れ、とてもきれい。
鎌倉と奈良の観音様同士は、とてもよく似ています。



いろいろと似ているお寺なのだから、東西の長谷寺どうし、もっと仲良くすればいいのにと思います。
でも、奈良側は「ご本尊は開基者が奈良の長谷寺の観音像と同じ木で彫ったもの」とする鎌倉側の由来を認めていないんだそう。
う~ん。まあ、私も本当のことはわかりませんが。

帰り道の地名には「初瀬(はせ)」と書かれていました。
長谷と初瀬、どちらがもともとの名前なのかしら。
すがすがしい気持ちになれるお寺でした。

○ 番外札所 法起院

長谷寺の近くにある法起院にも参拝しました。
ここは番外札所。西国33のお寺リストには入っていないものの、重要な場所だということです。



西国33箇所巡礼の開基、徳道上人の霊廟があるお寺。
徳道上人は、閻魔大王から託宣されて西国三十三所の観音霊場を作ったそうです。
えっ、西国霊場は閻魔大王のお告げでできたもの?私たちはえんま様の希望どおりに巡っているの?
びっくりだわ~。でもこれで、舌を抜かれずにすむかも!



小さい境内ながら、参拝客が何人も訪れていました。

長谷寺駅に戻って電車に乗ります。
桜井駅に向かう途中の車窓から、大鳥居が見えました。
去年あの下をくぐって参拝した、大神神社の鳥居です。本当に大きいんだなあと遠くから眺めて実感。
この辺りが卑弥呼のお墓だという説があるんだなあと思いながら、電車にゆられていきました。

○ 第六番札所 壷坂寺

電車を乗り継いで、壷坂山駅で降りました。
そこから壷坂寺行きのバスに乗ります。本数が少ないため、発車時間に気をつけました。
乗客は私を含めて4人。バスの中の会話ですぐに、3人とも西国巡礼者だとわかります。
私もそうですが、一人年代が違ったし、話に加わらずに静かにしていたため、ほかの3人には巡礼中だと思われなかったようです。

年輩の男性は埼玉出身で、女性二名は西京都からやってきた人たち。
西国話で盛り上がっています。
男性は、百観音巡礼中で「もう八割がた周った」そうです。
女性たちは「坂東も秩父も遠くて百観音巡りは大変だから、西国巡りだけにする」と言っていました。

バスは急な山道をどんどん登っていき、終点の壷坂寺に着きました。



巨大仏がどーんと座って、出迎えてくれます。
聞きしに勝る仏像テーマパーク。東武ワールドスクエアを思い出しました。
まずは、立像と坐像。立ってるバージョンと座ってるバージョンが横並びになっている光景なんて、初めて見ます。



○ 魅惑の暴悪大笑面

寄進者からの仏像もいくつかありました。
これは、十一面観音座像の背後の頭部。
十一の面をもつ観音様のことですが、実は私、かねがね一番後ろの顔が気になっていました。
「大笑面」もしくは「暴悪大笑面」といわれています。
悪をあざけって大笑いしている、悪魔的で強烈なお顔なんだとか。
観音様が悪魔的に大笑い?どんな表情なのか気になりますよね。
でも十一面観音像は、立像が多いため、お堂の中にあるものは後ろに回りこめないし、外にある像は背が高くて、頭の後ろの顔の表情まで見えず、ずっと表情をつかめずにいました。
ここで念願の暴悪大笑面を拝顔できました!ありがたや~



なんだか「ペコちゃん焼き」に似ているなあという感想・・・(こらっ)

西国霊場に選ばれた由緒正しい古刹でありながら、境内にトンデモ系(?)が共存している不思議さに圧倒されます。
こちらの、アンコールワットのようなレリーフには「藤原京 聖なるラインの終着地」とかかれていました。
???
あ、五七五踏んでる・・・。(そこ?)



いろいろなパビリオン、じゃなくて仏閣があり、目が泳ぎますが、まずは一番奥にある観音堂の参拝から。
中に入ると、ほかに人はおらず、一人でご本尊の観音様と向き合いました。
(アフリカンなお顔立ち)と思ったほど、浅黒くエキゾチックな風貌でした。
仏像を見てアフリカっぽいと思ったのは、これが初めて。
この観音様は、目の病気と厄除けに効くのだそうです。



○ 大仏ワンダーランド

それからゆっくりと境内散策。
まずは先ほどの坐像大仏の後ろ側に周ります。
大仏を少し上から見下ろせるなんて。姿勢がいいですね。



少し離れた場所には、広々とした敷地にゆったりと鎮座する、涅槃仏と20mの立像がありました。
う~~ん、シュール!
「偉大なるふて寝」といった感じです。(失礼!)



ほかに誰かいたら、「なにこれ~、アハハ」と一緒に笑い飛ばせるんですが、仏像と私しかいない空間なので、なんともいえません。
人のように見えるのも、仏像です。場の雰囲気に飲み込まれそう。
いやー、怪しさムンムンのびっくり仰天な光景でした。

前側に回り込むと、背後にそびえ立つ立像の存在感が一気に増します。
どちらもありがたい仏像には違いないのですが、この位置関係を見て、
「カツオ~!掃除をサボってないでさっさと起きなさーい!」とどやしつけるサザエさんを連想した、庶民な私。



仏教伝来時には、人々はそれまで見たこともない不思議な大きな仏像を見て、びっくりしたことでしょう。
飛鳥時代の人たちも、私のような感覚だったのかもしれません。

涅槃仏と握手をしてみました。こんなに手の大きさが違います。
巨大さがお分かりいただけるでしょうか。



涅槃仏のお顔。とても安らかなお顔をされているので、いい夢を見てスヤスヤ・・・じゃなくて、平安極楽浄土に行かれているんだなとわかります。



この巨大仏群は、お寺のお茶目な思いつきではなく、インドから寄贈された由縁あるものだとのこと。
お寺は、あくまでまじめなスタンスのよう。
奇をてらっているわけではないと、頭ではわかるんですが、目の前のどどーんとした存在感の、たくさんの新しい大仏たちを見ると、トンデモ系マニアにも有名なお寺だというのもうなずけます。
ハッ、もしかすると、行きのバスの同乗者たちに、私はそっちの部類だと思われたのかも!

大仏はまだまだあります。
なんでしょう、この圧迫感は。ギュッと集まってひしめき合ってる感じ。
ブッダの両脇を守っているのは、勢至菩薩と普賢菩薩。
背後の壁は、ジャングルの中のアジャンタ・エローラ寺院のよう。
中国とインドがミックスされた、濃厚な仏教空間です。



あまりに仏像が多いため、境内大石像スタンプラリーも行われていました。
これがそのパンフレット。「ぼさ~っ像」なんて、これはお寺もわかっていますね(笑)!



新旧入り混じったワンダーランドに、驚きながら心が浮き立ちます。
つい大仏にばかり目が吸い寄せられますが、境内のそこかしこに美しい花々が咲き乱れており、どこもきれいできちんと行き届いていました。
渋みばしった古いお寺ばかりを静かに巡るものと思っていましたが、巡礼先がこんなに楽しいお寺だったなんて、うれしい誤算です。



2日目その2に続きます。

巡礼してみた一人旅・1(姫路)

2014-05-04 | 近畿(兵庫・大阪)
○ prologue
○ 梅田→姫路
○ 見えてきた姫路城
○ 第二十六番札所 一乗寺
○ バスはあと2時間こない
○ 北条電鉄の法華口駅
○ 兵庫のチョコちゃん
○ 書写山ロープウェイ
○ 第二十七番札所 圓教寺
○ 姫路から京都へ

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○ prologue

いつも京都には、秋の紅葉を見に行っていますが、今回は初めて新緑の季節に訪れることにしました。
のんびり京都の狛犬でも見て周るつもりでしたが、急きょ巡礼をしようと思い立ちました。

実は去年から、西国三十三所という、関西地域の33箇所の観音めぐりを始めています。
といっても、去年参拝したのはたった一つのお寺だけで、(西国は遠いから、なかなか行けないな)と思っていました。
でも今回は気ままな一人旅。
気候もいいし、訪れてみるのもよさそうです。

どのお寺も歴史ある古刹なだけに、不便な山の中にあるのがほとんど。
京都には何度も繰り返し行っていますが、その他の関西は、奈良くらいしか知らないため、少し緊張しながら準備をしました。

○ 梅田→姫路

前日に大阪入りし、梅田駅に7時前に着きました。
駅前に赤い観覧車があるんですね~。

1日目は、姫路に向かいます。
阪神に乗って一本で行くつもりでしたが、阪神梅田駅と阪急梅田駅との間は歩いて10分くらいあるとのこと。
私が着いたのは阪急の駅。えー、遠い!
そんなに離れているなら、別の駅名にするほうがいいんじゃない?
駅員さんに「新開地経由で行ける」と教えてもらい、あっさり予定を変えて阪急の特急に乗りました。
久しぶりの阪急マルーン。東急東横線を愛してやまない私ですが、阪急のこのつやつや感を見るとハッピーになります。

新開地駅に着くと、ホームの向かいに特急姫路行きが来たので、そのまま乗り込みます。
乗り換え下手なので、探す必要がなくて助かりました。

○ 見えてきた姫路城

姫路駅に着きました。姫路といったらやっぱりお城!
駅前のメインストリートのまっすぐ突き当りが姫路城。
東京駅と皇居のような位置関係ですね。
まずはお城まで歩いていきました。





皇居に入るような気分になります。
お堀の内側に入ると、白いお城が見えました。
目下工事中ですが、天守閣が見えており、白鷺城と歌われる美しい姿を見せていました。
朝なのに、いくつものクレーンが動き、工事が始まっていました。





近くには、「ひめじの黒田官兵衛 大河ドラマ館」がありました。
ここは黒田官兵衛のゆかりの地なんですね。かなり盛り上がりを見せています。



忍者ソフトクリームを発見!あれ、姫路は忍者関係あったっけ・・・?
手裏剣がソフトにささっています。その衝撃で、ソフトが少しゆがんでいる感じがいいわ!
後ろで淡々と片手を挙げる招き猫との組み合わせが不思議で、足を止めました。



町の中では、官兵衛のラッピングバスも走っています。



駅に戻って、神姫バスに乗りました。
神戸・姫路バスなんでしょうけれど、神姫なんてめでたい名前ですね。
姫路の中心を抜けて延々と走ること40分。
かなりの距離を走って、バスは山の中にあるお寺の前に着きました。



○ 第二十六番札所 一乗寺

ここは第二十六番札所の法華山 一乗寺。
入り口にある木の杖を借りて、つきながら石段を登っていきます。
私が借りた杖には、四国八十八箇所のお寺の名前が刺繍された布カバーがついていました。
お遍路さんが寄付したんでしょう。



長い石段を登り終えると、さらに続く石段があり、そのまた上にも石段は続いていきます。
音を上げそうになりました。実際にみんな、延々と続く段を見上げて「ヒ~!」とか「ワ~!」とか小さな悲鳴を上げていました。
こんな石段を登っていくお年の人はすごいわ。



登りきったところには立派な古い拝殿がありました。



本堂からは境内の三重塔も見下ろせました。



せっかくここまできたのだからと、更に奥の院に行こうとしましたが、土砂崩れで不通になっていたので、戻りました。
土砂崩れよりも、石段の真ん中から生えている木が気になる・・・



本堂から聞こえてくる小やみない木魚とお経が、古刹の風情を一層かもし出しています。
風が強い日で、境内で休んでいると、葉が落ちて降りかかってきました。

○ バスはあと2時間こない

朝早く出たのに、移動に時間がかかり、次のバスが来るのは2時間後。
ここはバスか自家用車しか、アクセスのすべはありません。
呼ばない限りはタクシーもきません。
よっぽど健脚なら歩きもアリでしょうけれど、まだ次のお寺にも行きたいので、体力は温存しておかなくてはなりません。

2時間もの間、どう過ごそうかしら~。
お茶屋のおばさんに「ここからは動けないものね」と同情してもらい、「反対側行きのバスに乗ってみたら?」と言ってもらったので、やってきた反対方向のバスに乗り込みました。
運転手さんに、電車の駅に接続しているバス停を聞き、北条電鉄の法華口駅そばで降ろしてもらいます。

○ 北条電鉄の法華口駅

この駅が、一乗寺の最寄り駅ですが、お寺までは5キロ。
山の上なので、普通の人は歩けません。
レトロな木造駅舎の隣にある真新しいミニチュア三重塔は、今見てきた一乗寺のものでしょうか。
小さな駅には引き戸がついていました。



普通、駅に引き戸はついていないなあと不思議な気持ちで開けてみると、右側の待合室らしいところでは、男性が座ってお弁当を食べていました。
らしいところ、といったのは、大きなテーブルの上にプラレールがある、なんというか、リラックス空間になっていたからです。
左側は駅員室のようですが、そこにいたのは駅員さんというよりも、喫茶店にいる女性のような感じで、私に気がつかずになにか料理を作っていました。
えっ、奥には厨房があるの?
駅の中にいるから、料理人というよりは駅員さんなんでしょうけれど。
切符売りの窓口には、ずらりとパンが並べられて、売られているようです。
中はカフェみたい。駅全体はペンションみたい。
う~ん、なんとも不思議な駅です。



食事中の男性と目が合ったので挨拶をしたら、彼は口をもぐもぐさせながら、目の前にあったプラレールのスイッチを入れて、動かしました。
歓迎のしるし?

予想外のシチュエーションにぽかんとしましたが、ここに来た目的を思い出して、時刻表を確認しました。
うまく電車が来たら、乗り継いで姫路駅まで行こうと思ったのですが、電車は1時間に1本。
乗った後の姫路までのルートを考えると大変そうなので、あきらめて次のバスを待つことにしました。
駅の機能を果たしていなさそうな気もしますが、それでもちらほら、利用客(というより買い物客)らしき女性が訪れていました。

うまくここから抜け出せなかったのが残念。でも地方にきたら、あせっても何にもなりません。
ローカルタイムにあわせなくては。
それに、法華口駅を訪ねられたのは、おもしろい体験でした。
北条電鉄はちょっと利用しづらいラインですが、ここの「粟生駅」が気になっています。
ひらがなで「あお」!英語で「AO」!だから。(それだけ?笑)

あとで調べてみたら、ここにいたのは女性ボランティア駅長さんでした。
「駅舎工房モン・ファボリ」の工房係として米粉パンを焼きながら、一時間一往復の一両列車を見送る業務にあたっているとのこと。
駅でありながらパン屋さん。そういうことだったんですね。

駅を出て、バス停に戻ります。
何もせずにバスを待っているのはつらかったので、少しずつ歩いて、来た道を戻っていきました。
どんどん日が高くなり、暑い日差しが身体を射します。
強風に帽子がとばされて、土手の下の田んぼまで落ちてしまって、さらにブルーになりながら、あぜ道を伝って田んぼの奥まで取りに行きました。



橋を渡ろうとしたら、「じゅんれいはし」と書かれていました。
かつてここを渡って一乗寺参りをした人たちが多かったのでしょう。
そう、今回は巡礼の旅。すべてが修行なのです・・・!

○ 兵庫のチョコちゃん

バス停を3、4つ歩き、一乗寺のある山の麓までやってきました。暑くて上る体力がなく、ここでバスで待つことにします。
車しか通らない、ひとけのないところに、さっきのバスで私よりも先に降りた女性二人連れと再会しました。
「バスがなかなか来ない」ことで意気投合して、おしゃべりしながらようやくやってきたバスに乗りこみます。
二人は地元の人で、姫路城の裏の方に住んでいるとのこと。
「横浜からこんな山に?私たちだって行ったことないのに。」と驚かれ、「若いのに熱心ねえ」と感心されました。
そんなことはないんですよ~。
関西のマストアイテム、飴ちゃんならぬチョコちゃんをもらいました。

ようやくのことで姫路駅に戻ってきました。
バスを降りて、二人に別れを告げ、バスターミナルから今度は書写山行きのバスに乗り込みます。
こちらの方がメジャーなお寺なのか、バスの本数もずいぶんあり、安心できます。
カーブの多いルートで、終点の書写駅で降りました。

○ 書写山ロープウェイ

書写駅と言っても電車ではなく、ロープウェイの駅。
ロープウェイに一人で乗るのは、これが初めてです。
なんか寂しーい。でも巡礼だからしかたなーい。
お一人様の乗客はほかにもいました。

ロープウェイは4分間で450円と、なかなかのお値段ですが、同乗ガイドがつき、ホームのスタッフは見えなくなるまでちゃんと見送ってくれます。
風が強いので減速して進んでいきました。



上に着いてからは、すぐにお寺の入り口。かつては、麓を流れる川のところまでお寺の敷地だったそう。
入り口からお寺に至るまでがちょっとした登山。かなりの距離がありました。
山道を登りながら振り返ると、眼下に広がる景色に目を奪われます。



○ 第二十七番札所 圓教寺



初めてのお寺でしたが(姫路自体初めてだったし)、広々とした敷地の中にすばらしい名刹がありました。





迫力があり、凛とした空気が張り詰め、時が止まったような静けさに満ちていました。



ここで『ラストサムライ』や『軍師官兵衛』のロケが行われたとのこと。







「ここの廊下を官兵衛と半兵衛が歩いてたよ!」と他の人が話していました。



廊下の木は隙間が開いていて、下が見えます。高所恐怖症の人には無理そうです。



静けさが、とても絵になるお寺です。



宝物殿には、木造狛犬が3体いました。
お触書のような味のある禁止事項。棒のところには「火の用心」とも書かれています。



奥の院にも行ってみました。屋根の下には小さな力士像が見えますが、四方のうち一人は、重さに耐えかねて逃げ出してしまったとのこと。
裏側には回りこめず、2体しか見られませんでした。





大仏もいました。樽風呂に入って「いい湯だな~」とほっこりしている大仏に見えます。



敷地内をゆっくり歩いて2時間くらい満喫。
見どころ充分のお寺。
これで一乗寺と同じ拝観料(500円)というのが解せません。差がないとおかしいくらい。

○ 姫路から京都へ



4時半のロープウェイで降り、バスに乗り換えて姫路を5時半に離れました。
その頃はまだ明るかったけれど、この日の宿の京都までは、予想外に時間がかかりました。
神戸だったらすぐなんですが、翌日は別の場所を訪れるし、関西の中ではやっぱり慣れている町を選んでしまいます。
新幹線なら1時間もかからない距離ですが、2時間半かかって着いた京都は、とっぷり闇の中。
8時過ぎにホテルにチェックインし、姫路の二つの山寺で過ごした一日が終わりました。
今日知り合ったのはミユキちゃんとメグミちゃん。
二人とも関東出身で京都で働く、夢いっぱいに輝く女性でした。

2日目に続きます。

ちょっと都心の古墳まで index

2014-05-03 | 東京
◆ その1 ←日記へ
  前々から気になっていた、多摩川台の古墳へと出かけてみました。
  田園調布高級住宅街を抜けて、たどり着いた公園には、古墳がたくさん。
  古代人気分で、レプリカの古墳に入ってみました。
    ○ 田園調布のサイドカー ○ 宝来公園 ○ 多摩川台公園
    ○ 公園内の古墳チェック ○ 実物大古墳レプリカの中へ ○ 古墳展示室でお勉強



◆ その2
  古墳の分布地域に沿って、川沿いに散策してみました。
  等々力渓谷で涼をとって、九品仏で青い髪の仏像を拝観。
  近場でしたが、緑の中をよく歩いた日でした。
    ○ 田園調布倶楽部 ○ 丸子川沿いに散策 ○ 等々力渓谷にも古墳あり
    ○ 九品仏の青髪阿弥陀 ○ Robeks Juice ○ お菓子の家






ちょっと都心の古墳まで-2

2014-05-03 | 東京
その1からの続きです。

○ 田園調布倶楽部 

古墳めぐりをして、当時の人々の暮らしについて学んだら、そろそろお昼時になっておなかが空いてきました。
近くの田園調布倶楽部でランチにします。



ここは、ウエディングパーティもおこなわれるという場所。
雰囲気抜群でした。
頼んだのは、ふわふわオムライス。





ケーキも美味しそうだったので、デザートにいただきます。
るなちゃんは、子供の日風のクマのケーキ、私は母の日風の、バラのケーキ。


バラだから、母の日は関係ないのかも。


ここで彼女に、バレンタインデーのチョコレートのお返しをしました。
ホワイトデー期間に会えなかったため、かなり遅いプレゼントになってしまいました。
のんびりできる、夜も来てみたいお店でした。

○ 丸子川沿いに散策

食後、おなかがいっぱいになったので、また散策を始めました。



先ほどの公園内の赤い虹橋の下を通って、多摩川沿いに出ました。
車道を避けて、多摩川の隣を流れる細い丸子川沿いに散策することにします。
長い石段を登って、田園調布八幡神社をお参りしました。
ここの手水舎は、赤外線サーチで、近づくと龍の口から水が流れます。



この前自転車で通った道をトレースしているので、不安はありません。
程よいところで曲がって、等々力不動に向かいました。
入り口の門には「山笑う」と書かれています。





東京23区内で唯一の渓谷は、もうすっかり新緑の中。大勢の人が散策していました。

○ 等々力渓谷にも古墳あり

暑い日ですが、石段を降りて水際まで行くと、涼しさを感じます。



鬱蒼と生い茂った緑が日光をさえぎっている渓谷では、空気がひんやりしているのです。
みんなが集まるわけですね。
ところどころから湧水が出ているので、遊歩道もしっとりした感じ。
あまり手が入っていない自然に出会えます。



この渓谷にも、都指定史跡の横穴古墳があります。
本当に、このあたりは古墳がたくさん。
ガラス越しに見学できますが、今回は古墳のある逆側に小川を渡ってしまったので、(まあいっか)とパスしました。



玉沢橋のところで環八通りに上がり、今度はUターンをして自由が方面へと戻ります。
帰りは電車にしようかなと思いましたが、二人ともまだ歩けそう。
「この道は、いつも車で通るからわかるわ」とルナちゃん。

○ 九品仏の青髪阿弥陀

環八通りから左に道をそれ、九品仏へと行きました。
ここも緑が深くてきれい。



「五重相伝会開筵」となっています。
なんのことでしょうか?
浄土宗の信徒向けに、念仏の教えを五つの順序にしたがって伝える法会のことだそうです。



3つある阿弥陀堂の1つが開いており、青い髪の鮮やかな阿弥陀如来像を拝見することができました。
ただ、境内は大掛かりな工事中で、あまり写真は撮れませんでした。



ここのお寺では、3年に一度、「お面かぶり」という行事が行われます。
本堂と阿弥陀堂の1つ、上品堂の間に渡された橋を、菩薩の面をかぶった僧侶たちが渡るのです。
ちょうど今年がその3年目。8月に行われるとのこと。
過去2回、暑さに負けて行けずじまいでしたが、一度は見学したいものです。

○ Robeks Juice

九品仏から自由が丘まではすぐ。東横線沿いに戻ってきました。
暑い中、等々力まで行って戻ってきたので、さすがに足もちょっと疲れてきています。
でも、連休の午後のカフェはどこも人でいっぱい。



彼女に連れられて、ロベックスジュースに行ってみました。
このお店に入るのは初めて。
「ここ、前は何のお店だったっけ?」
移り変わりの早い自由が丘、二人で考えても思い出せません。



ここも店内は混んでいましたが、ちょうど席があいたので、ラッキーとばかりに座ります。
アサイーパワーのスムージーを飲みました。
ふう、よく歩いたわー。

○ お菓子の家

自由が丘駅前には、お菓子の家が準備されていました。
本当にお菓子で出来た家です。
スイーツフォレストがあるので、翌日展示されるんでしょう。



「私もお菓子の家、買ったの」とルナちゃん。
へえ~。今では市販で売っているんですね~。
「今度一緒に作ってみる?」
でも私の場合、作りながらつまみ食いをして、材料が足りなくなって完成できなさそうだわ。

たくさん歩いてカフェにも入り、おしゃべりをしたささやかながら満足の一日。
古墳がこんなに身近だったなんて、知りませんでした。
楽しかった一日も、もうすぐ終わり。



帰りの電車が多摩川に差し掛かって視界が開けたときに、大きな夕日が西の空に沈んでいくのが見えました。
古墳時代の人も、同じような夕日を眺めていたんだろうなあと、大昔に思いを馳せました。

ちょっと都心の古墳まで-1

2014-05-03 | 東京
GWの休日に、友人ルナちゃんと会いました。
春は忙しくてなかなか予定を合わせられず、大型連休を待っての、久しぶりの再会です。



田園調布で待ち合わせました。ここの復元駅舎は、いつ見てもサマになります。
駅から西側に伸びる、放射線状の道路といちょう並木。
ここと、東急日吉駅前の道は扇形に広がっていて、すごいなあと思います。
アムステルダムもこんな感じなんですよね、たしか。



○ 田園調布のサイドカー

おしゃべりしながら、閑静な高級住宅地を南西方面へと歩き始めます。
すると、道の向こうから、サイドカーが走ってきました。
「サイドカー貯金をするの」と言っているくらい、無類のサイドカー好きのルナちゃん。
でも、普段なかなか見る機会はありません。
それが急に現れたので、二人とも思わず話を止めて、見守りました。
はっと気がついて、急いでシャッターを切り、目の前を曲がる時に一枚だけ撮れました。



田園調布のサイドカーなんて絵になりすぎですね~。
「近くで見れたね!私も早くマイサイドカーがほしいわ」とルナちゃん。
「サイドカーには誰も乗っていなかったわね」
空席がもったいなーい。ルナちゃんなら大喜びで乗るのに。
そうしたら私は、マッハのスピードでバイクと併走します!

街路樹のステキな散策路。
でも、日差しが強くて、暑いです。『北風と太陽』のようにスプリングコートを脱ぎ、日傘を広げました。
春から初夏へと移り変わっていく季節です。

○ 宝来公園

歩いていくと、大田区で最も古い宝来公園にさしかかりました。
武蔵野の森といった風情の雑木林を抜け、起伏のある広い公園内を通って、更に歩いていきます。



高台にある教会の前を通りました。
これは、東横線の中から見える、カソリック田園調布教会。
見学もできるそうですが、実際に間近で見て、その大きさに圧倒されたので、そのまま通り過ぎました。



会ってからずっと、途切れなく話が続いています。
数ヶ月会わない間に、伝えたいことがたくさんたまっています。

○ 多摩川台公園

それから、多摩川台公園に着きました。
いつも、電車の窓から見ていますが、実際に訪れたのはこれが初めて。
もう桜は終わっていますが、新緑が目に鮮やかです。



公園内には大勢の人々がめいめいに楽しんでいます。
でも、広い敷地でアップダウンもあるため、混んでいるというイメージはありません。

今回は、ここの古墳目指してやってきました。
特に古墳大好き!!というわけではないのですが、おハイソな田園調布に古墳があるという意外さが前から気になっていたんです。
ただ、いつでも行けると安心して、一度も足を運んだことはありませんでした。



公園内の地図を見ても、話をしながらなのでいまいち位置関係が頭に入ってきません。
まあ、散策しているうちに古墳も見つかるでしょう、と思っていたら、さっそく発見しました。

○ 公園内の古墳チェック



最初から、第1号墳!
うわ~、こふんよこふんー。
でも、<古墳=前方後円墳>のイメージを持っている私たちには、いまいちピンとこなくて、しばし無言になります。
「この、ちょっと盛り上がってる感じの、これが古墳なのかな?」
標識がないと、さっぱりわかりません。
まだまだ古墳リサーチは始まったばかり。気を取り直して、先に進みます。



ほどなくして、第2号墳もありました。ナンバリングされています。
うーん、さっきよりもわかりづらくなっています。
斜面に立った標識。これしか手がかりはなく、だまって見つめる私たち。



細い散策路を歩いていくと、次々に古墳が出てきました。
白い標識を探して周る、まるでオリエンテーリング。



古墳といったら、前方後円墳のほかに、<古墳=奈良の石舞台古墳>のイメージも強いもの。
あそこは広場の中に、巨大な石が組まれていますが、ここは日光を浴びた緑に覆われて、生き生きとしているよう。
薄暗さがなくて、お墓というよりは生命力を感じます。





埋葬された人も、日当たりのいい場所で気持ちよさそう。
ここに寝転がってお昼寝したい気分になります。



思ったよりもたくさん古墳があるので、「いったいいくつあるんだろうね」と言いながら、赤い欄干の虹橋を渡りました。
下は車道ですが、小高い高台にあるこの公園は、自然がいっぱいです。



橋の向こうに、第8号墳がありました。



ここで、散策路は大きくカーブを描き、元来た方面へと道は続いていきます。



反対側の斜面に回りこむと、こちらにも第8号墳の標識を発見。
ロープなどで囲われていないので、古墳がどのくらい大きいものなのか、わかりません。
標識周辺のちんまりしたスペースだと思っていましたが、思ったよりも大きそうです。
ということは、この公園は、古墳でできているようなものでしょうか?



○ 実物大古墳レプリカの中へ

戻って戻って、公園内に入った口よりも更に奥へと行きました。
すると、大田区多摩川台公園古墳展示室がありました。
古墳資料館!もちろん行ってみるでしょう。



建物内には、巨大な古墳の実物大のレプリカが再現されており、古墳にお邪魔した気分で中に入ります。
古墳展示室って珍しいですね~。
前方後円墳の後円部の横穴式石室になったところ。

埴輪と、そのモデルだっただろう当時の人の格好をした人形がありました。
また、土器や装飾品といった出土品も展示されており、プチタイムスリップ気分を味わえました。



○ 古墳展示室でお勉強

先ほど見たのは、8基の古墳群でしたが、公園の端と端には亀甲山(かめのこやま)古墳と宝莱山古墳の古墳があるようです。
この2つはどちらも大型前方後円墳。どちらも豪族の墓といわれています。
宝莱山古墳は4世紀前半のもの。関東地方でも最古の前方後円墳です。

亀甲山古墳はこの辺りの古墳群では最大の大きさで、全長107mもあるとのこと。
名前の由来は亀のような形をしているからですが、大きすぎて古墳とはわからないでしょうね。
芝公園の丸山古墳と並んで、東京都を代表する古墳だそうですが、発掘調査は行われていないそうです。
全部で10個も古墳があるなんて、すごい公園です。



この地域には、多摩川沿いに田園調布を中心とする「田園調布古墳群」と尾山台から野毛にかけて「野毛古墳群」の二つがあると知りました。
数にして50基ほど。古墳が多い地域なんですね。

古墳群は、4世紀前半頃から7世紀前半頃にかけて作られたものだそうです。
ボタンを押した古墳のランプが光るジオラマがありました。
本当に古墳だらけで、ビックリ。
1500年前から人々はこの辺りで生活をしていたということなんですね~。

古墳が作られた3世紀後半から7世紀末は、日本が国家として作られていった時期にあたります。
ただ当時を記した書物などは残されていません。
中国の『魏志倭人伝』(3世紀)くらいでしょうか。
古墳からの出土品が、当時をさぐる貴重な手がかりです。
それもまたロマンですね。

大田区では『古墳ガイドブック』という本も出しているそうです。
ファンにはたまらないでしょうね。

その2へ続きます。