○ 第八番札所 長谷寺
○ 鎌倉 vs 奈良
○ 番外札所 法起院
○ 第六番札所 壷坂寺
○ 魅惑の暴悪大笑面
○ 大仏ワンダーランド
-------------------------------------
1日目からの続きです。
旅行2日目は、7時前に京都から奈良に向かって出発しました。
早起きしましたが、移動時間がかかります。
通勤ラッシュにもまれて、この日最初の長谷寺駅に着いた時には、9時近くになっていました。
○ 第八番札所 長谷寺
有名な長谷寺ですが、最寄り駅に降りたのはは私だけでした。
まだ早い時間だからでしょうか。
人の流れができていなかったので、道路標識を頼りに進んでいったら、いつの間にか車道に出て、間違えて違う山に登ってしまいました。
いらん登山しちゃったわー。
歩行者用参道を通っていったら、山を越える必要はなかったんですが。
朝のお寺って静かでいいですね。9時すぎているとはいっても、人も少なくて空気が澄み切っています。
ゆっくりと深呼吸したくなる場所。
鎌倉の長谷寺は、今まで数え切れないくらい参拝していますが、奈良の長谷寺はこれがはじめてです。
仁王門から本堂まで続く、小さな段差の木の登廊を一歩一歩登っていきます。
歴史の重みが感じられる、すばらしいアプローチです。
前に友人の、ここでの見返り写真を見せてもらい、(いい構図)と思ったので、自分も誰かに一枚撮ってもらいたいな~と思いましたが、あいにく前にも後ろにも誰もいません。
わーん、さびしい一人旅。
いいんだもーん、階段参道を独り占めできたから。(まけおしみ)
登廊は、延々と続いています。登ったところに更に階段。
ここのお坊さんは、相当足が鍛えられますね。
両脇には、牡丹が咲き始めていました。
長い登廊を登りきったところに観音堂がありました。
観音堂の前に広がるのは、鎌倉にはない、長谷の舞台。風が吹き抜けるさわやかな空間でした。
観音様は、やはり巨大でした。
鎌倉の長谷観音は、全身が見えますが、奈良の長谷観音は、足元が見えません。
地下に下がって観音様の足に触れることもできるようになっています。
○ 鎌倉 vs 奈良
広い境内には季節の花が咲き乱れ、とてもきれい。
鎌倉と奈良の観音様同士は、とてもよく似ています。
いろいろと似ているお寺なのだから、東西の長谷寺どうし、もっと仲良くすればいいのにと思います。
でも、奈良側は「ご本尊は開基者が奈良の長谷寺の観音像と同じ木で彫ったもの」とする鎌倉側の由来を認めていないんだそう。
う~ん。まあ、私も本当のことはわかりませんが。
帰り道の地名には「初瀬(はせ)」と書かれていました。
長谷と初瀬、どちらがもともとの名前なのかしら。
すがすがしい気持ちになれるお寺でした。
○ 番外札所 法起院
長谷寺の近くにある法起院にも参拝しました。
ここは番外札所。西国33のお寺リストには入っていないものの、重要な場所だということです。
西国33箇所巡礼の開基、徳道上人の霊廟があるお寺。
徳道上人は、閻魔大王から託宣されて西国三十三所の観音霊場を作ったそうです。
えっ、西国霊場は閻魔大王のお告げでできたもの?私たちはえんま様の希望どおりに巡っているの?
びっくりだわ~。でもこれで、舌を抜かれずにすむかも!
小さい境内ながら、参拝客が何人も訪れていました。
長谷寺駅に戻って電車に乗ります。
桜井駅に向かう途中の車窓から、大鳥居が見えました。
去年あの下をくぐって参拝した、大神神社の鳥居です。本当に大きいんだなあと遠くから眺めて実感。
この辺りが卑弥呼のお墓だという説があるんだなあと思いながら、電車にゆられていきました。
○ 第六番札所 壷坂寺
電車を乗り継いで、壷坂山駅で降りました。
そこから壷坂寺行きのバスに乗ります。本数が少ないため、発車時間に気をつけました。
乗客は私を含めて4人。バスの中の会話ですぐに、3人とも西国巡礼者だとわかります。
私もそうですが、一人年代が違ったし、話に加わらずに静かにしていたため、ほかの3人には巡礼中だと思われなかったようです。
年輩の男性は埼玉出身で、女性二名は西京都からやってきた人たち。
西国話で盛り上がっています。
男性は、百観音巡礼中で「もう八割がた周った」そうです。
女性たちは「坂東も秩父も遠くて百観音巡りは大変だから、西国巡りだけにする」と言っていました。
バスは急な山道をどんどん登っていき、終点の壷坂寺に着きました。
巨大仏がどーんと座って、出迎えてくれます。
聞きしに勝る仏像テーマパーク。東武ワールドスクエアを思い出しました。
まずは、立像と坐像。立ってるバージョンと座ってるバージョンが横並びになっている光景なんて、初めて見ます。
○ 魅惑の暴悪大笑面
寄進者からの仏像もいくつかありました。
これは、十一面観音座像の背後の頭部。
十一の面をもつ観音様のことですが、実は私、かねがね一番後ろの顔が気になっていました。
「大笑面」もしくは「暴悪大笑面」といわれています。
悪をあざけって大笑いしている、悪魔的で強烈なお顔なんだとか。
観音様が悪魔的に大笑い?どんな表情なのか気になりますよね。
でも十一面観音像は、立像が多いため、お堂の中にあるものは後ろに回りこめないし、外にある像は背が高くて、頭の後ろの顔の表情まで見えず、ずっと表情をつかめずにいました。
ここで念願の暴悪大笑面を拝顔できました!ありがたや~
なんだか「ペコちゃん焼き」に似ているなあという感想・・・(こらっ)
西国霊場に選ばれた由緒正しい古刹でありながら、境内にトンデモ系(?)が共存している不思議さに圧倒されます。
こちらの、アンコールワットのようなレリーフには「藤原京 聖なるラインの終着地」とかかれていました。
???
あ、五七五踏んでる・・・。(そこ?)
いろいろなパビリオン、じゃなくて仏閣があり、目が泳ぎますが、まずは一番奥にある観音堂の参拝から。
中に入ると、ほかに人はおらず、一人でご本尊の観音様と向き合いました。
(アフリカンなお顔立ち)と思ったほど、浅黒くエキゾチックな風貌でした。
仏像を見てアフリカっぽいと思ったのは、これが初めて。
この観音様は、目の病気と厄除けに効くのだそうです。
○ 大仏ワンダーランド
それからゆっくりと境内散策。
まずは先ほどの坐像大仏の後ろ側に周ります。
大仏を少し上から見下ろせるなんて。姿勢がいいですね。
少し離れた場所には、広々とした敷地にゆったりと鎮座する、涅槃仏と20mの立像がありました。
う~~ん、シュール!
「偉大なるふて寝」といった感じです。(失礼!)
ほかに誰かいたら、「なにこれ~、アハハ」と一緒に笑い飛ばせるんですが、仏像と私しかいない空間なので、なんともいえません。
人のように見えるのも、仏像です。場の雰囲気に飲み込まれそう。
いやー、怪しさムンムンのびっくり仰天な光景でした。
前側に回り込むと、背後にそびえ立つ立像の存在感が一気に増します。
どちらもありがたい仏像には違いないのですが、この位置関係を見て、
「カツオ~!掃除をサボってないでさっさと起きなさーい!」とどやしつけるサザエさんを連想した、庶民な私。
仏教伝来時には、人々はそれまで見たこともない不思議な大きな仏像を見て、びっくりしたことでしょう。
飛鳥時代の人たちも、私のような感覚だったのかもしれません。
涅槃仏と握手をしてみました。こんなに手の大きさが違います。
巨大さがお分かりいただけるでしょうか。
涅槃仏のお顔。とても安らかなお顔をされているので、いい夢を見てスヤスヤ・・・じゃなくて、平安極楽浄土に行かれているんだなとわかります。
この巨大仏群は、お寺のお茶目な思いつきではなく、インドから寄贈された由縁あるものだとのこと。
お寺は、あくまでまじめなスタンスのよう。
奇をてらっているわけではないと、頭ではわかるんですが、目の前のどどーんとした存在感の、たくさんの新しい大仏たちを見ると、トンデモ系マニアにも有名なお寺だというのもうなずけます。
ハッ、もしかすると、行きのバスの同乗者たちに、私はそっちの部類だと思われたのかも!
大仏はまだまだあります。
なんでしょう、この圧迫感は。ギュッと集まってひしめき合ってる感じ。
ブッダの両脇を守っているのは、勢至菩薩と普賢菩薩。
背後の壁は、ジャングルの中のアジャンタ・エローラ寺院のよう。
中国とインドがミックスされた、濃厚な仏教空間です。
あまりに仏像が多いため、境内大石像スタンプラリーも行われていました。
これがそのパンフレット。「ぼさ~っ像」なんて、これはお寺もわかっていますね(笑)!
新旧入り混じったワンダーランドに、驚きながら心が浮き立ちます。
つい大仏にばかり目が吸い寄せられますが、境内のそこかしこに美しい花々が咲き乱れており、どこもきれいできちんと行き届いていました。
渋みばしった古いお寺ばかりを静かに巡るものと思っていましたが、巡礼先がこんなに楽しいお寺だったなんて、うれしい誤算です。
2日目その2に続きます。
○ 鎌倉 vs 奈良
○ 番外札所 法起院
○ 第六番札所 壷坂寺
○ 魅惑の暴悪大笑面
○ 大仏ワンダーランド
-------------------------------------
1日目からの続きです。
旅行2日目は、7時前に京都から奈良に向かって出発しました。
早起きしましたが、移動時間がかかります。
通勤ラッシュにもまれて、この日最初の長谷寺駅に着いた時には、9時近くになっていました。
○ 第八番札所 長谷寺
有名な長谷寺ですが、最寄り駅に降りたのはは私だけでした。
まだ早い時間だからでしょうか。
人の流れができていなかったので、道路標識を頼りに進んでいったら、いつの間にか車道に出て、間違えて違う山に登ってしまいました。
いらん登山しちゃったわー。
歩行者用参道を通っていったら、山を越える必要はなかったんですが。
朝のお寺って静かでいいですね。9時すぎているとはいっても、人も少なくて空気が澄み切っています。
ゆっくりと深呼吸したくなる場所。
鎌倉の長谷寺は、今まで数え切れないくらい参拝していますが、奈良の長谷寺はこれがはじめてです。
仁王門から本堂まで続く、小さな段差の木の登廊を一歩一歩登っていきます。
歴史の重みが感じられる、すばらしいアプローチです。
前に友人の、ここでの見返り写真を見せてもらい、(いい構図)と思ったので、自分も誰かに一枚撮ってもらいたいな~と思いましたが、あいにく前にも後ろにも誰もいません。
わーん、さびしい一人旅。
いいんだもーん、階段参道を独り占めできたから。(まけおしみ)
登廊は、延々と続いています。登ったところに更に階段。
ここのお坊さんは、相当足が鍛えられますね。
両脇には、牡丹が咲き始めていました。
長い登廊を登りきったところに観音堂がありました。
観音堂の前に広がるのは、鎌倉にはない、長谷の舞台。風が吹き抜けるさわやかな空間でした。
観音様は、やはり巨大でした。
鎌倉の長谷観音は、全身が見えますが、奈良の長谷観音は、足元が見えません。
地下に下がって観音様の足に触れることもできるようになっています。
○ 鎌倉 vs 奈良
広い境内には季節の花が咲き乱れ、とてもきれい。
鎌倉と奈良の観音様同士は、とてもよく似ています。
いろいろと似ているお寺なのだから、東西の長谷寺どうし、もっと仲良くすればいいのにと思います。
でも、奈良側は「ご本尊は開基者が奈良の長谷寺の観音像と同じ木で彫ったもの」とする鎌倉側の由来を認めていないんだそう。
う~ん。まあ、私も本当のことはわかりませんが。
帰り道の地名には「初瀬(はせ)」と書かれていました。
長谷と初瀬、どちらがもともとの名前なのかしら。
すがすがしい気持ちになれるお寺でした。
○ 番外札所 法起院
長谷寺の近くにある法起院にも参拝しました。
ここは番外札所。西国33のお寺リストには入っていないものの、重要な場所だということです。
西国33箇所巡礼の開基、徳道上人の霊廟があるお寺。
徳道上人は、閻魔大王から託宣されて西国三十三所の観音霊場を作ったそうです。
えっ、西国霊場は閻魔大王のお告げでできたもの?私たちはえんま様の希望どおりに巡っているの?
びっくりだわ~。でもこれで、舌を抜かれずにすむかも!
小さい境内ながら、参拝客が何人も訪れていました。
長谷寺駅に戻って電車に乗ります。
桜井駅に向かう途中の車窓から、大鳥居が見えました。
去年あの下をくぐって参拝した、大神神社の鳥居です。本当に大きいんだなあと遠くから眺めて実感。
この辺りが卑弥呼のお墓だという説があるんだなあと思いながら、電車にゆられていきました。
○ 第六番札所 壷坂寺
電車を乗り継いで、壷坂山駅で降りました。
そこから壷坂寺行きのバスに乗ります。本数が少ないため、発車時間に気をつけました。
乗客は私を含めて4人。バスの中の会話ですぐに、3人とも西国巡礼者だとわかります。
私もそうですが、一人年代が違ったし、話に加わらずに静かにしていたため、ほかの3人には巡礼中だと思われなかったようです。
年輩の男性は埼玉出身で、女性二名は西京都からやってきた人たち。
西国話で盛り上がっています。
男性は、百観音巡礼中で「もう八割がた周った」そうです。
女性たちは「坂東も秩父も遠くて百観音巡りは大変だから、西国巡りだけにする」と言っていました。
バスは急な山道をどんどん登っていき、終点の壷坂寺に着きました。
巨大仏がどーんと座って、出迎えてくれます。
聞きしに勝る仏像テーマパーク。東武ワールドスクエアを思い出しました。
まずは、立像と坐像。立ってるバージョンと座ってるバージョンが横並びになっている光景なんて、初めて見ます。
○ 魅惑の暴悪大笑面
寄進者からの仏像もいくつかありました。
これは、十一面観音座像の背後の頭部。
十一の面をもつ観音様のことですが、実は私、かねがね一番後ろの顔が気になっていました。
「大笑面」もしくは「暴悪大笑面」といわれています。
悪をあざけって大笑いしている、悪魔的で強烈なお顔なんだとか。
観音様が悪魔的に大笑い?どんな表情なのか気になりますよね。
でも十一面観音像は、立像が多いため、お堂の中にあるものは後ろに回りこめないし、外にある像は背が高くて、頭の後ろの顔の表情まで見えず、ずっと表情をつかめずにいました。
ここで念願の暴悪大笑面を拝顔できました!ありがたや~
なんだか「ペコちゃん焼き」に似ているなあという感想・・・(こらっ)
西国霊場に選ばれた由緒正しい古刹でありながら、境内にトンデモ系(?)が共存している不思議さに圧倒されます。
こちらの、アンコールワットのようなレリーフには「藤原京 聖なるラインの終着地」とかかれていました。
???
あ、五七五踏んでる・・・。(そこ?)
いろいろなパビリオン、じゃなくて仏閣があり、目が泳ぎますが、まずは一番奥にある観音堂の参拝から。
中に入ると、ほかに人はおらず、一人でご本尊の観音様と向き合いました。
(アフリカンなお顔立ち)と思ったほど、浅黒くエキゾチックな風貌でした。
仏像を見てアフリカっぽいと思ったのは、これが初めて。
この観音様は、目の病気と厄除けに効くのだそうです。
○ 大仏ワンダーランド
それからゆっくりと境内散策。
まずは先ほどの坐像大仏の後ろ側に周ります。
大仏を少し上から見下ろせるなんて。姿勢がいいですね。
少し離れた場所には、広々とした敷地にゆったりと鎮座する、涅槃仏と20mの立像がありました。
う~~ん、シュール!
「偉大なるふて寝」といった感じです。(失礼!)
ほかに誰かいたら、「なにこれ~、アハハ」と一緒に笑い飛ばせるんですが、仏像と私しかいない空間なので、なんともいえません。
人のように見えるのも、仏像です。場の雰囲気に飲み込まれそう。
いやー、怪しさムンムンのびっくり仰天な光景でした。
前側に回り込むと、背後にそびえ立つ立像の存在感が一気に増します。
どちらもありがたい仏像には違いないのですが、この位置関係を見て、
「カツオ~!掃除をサボってないでさっさと起きなさーい!」とどやしつけるサザエさんを連想した、庶民な私。
仏教伝来時には、人々はそれまで見たこともない不思議な大きな仏像を見て、びっくりしたことでしょう。
飛鳥時代の人たちも、私のような感覚だったのかもしれません。
涅槃仏と握手をしてみました。こんなに手の大きさが違います。
巨大さがお分かりいただけるでしょうか。
涅槃仏のお顔。とても安らかなお顔をされているので、いい夢を見てスヤスヤ・・・じゃなくて、平安極楽浄土に行かれているんだなとわかります。
この巨大仏群は、お寺のお茶目な思いつきではなく、インドから寄贈された由縁あるものだとのこと。
お寺は、あくまでまじめなスタンスのよう。
奇をてらっているわけではないと、頭ではわかるんですが、目の前のどどーんとした存在感の、たくさんの新しい大仏たちを見ると、トンデモ系マニアにも有名なお寺だというのもうなずけます。
ハッ、もしかすると、行きのバスの同乗者たちに、私はそっちの部類だと思われたのかも!
大仏はまだまだあります。
なんでしょう、この圧迫感は。ギュッと集まってひしめき合ってる感じ。
ブッダの両脇を守っているのは、勢至菩薩と普賢菩薩。
背後の壁は、ジャングルの中のアジャンタ・エローラ寺院のよう。
中国とインドがミックスされた、濃厚な仏教空間です。
あまりに仏像が多いため、境内大石像スタンプラリーも行われていました。
これがそのパンフレット。「ぼさ~っ像」なんて、これはお寺もわかっていますね(笑)!
新旧入り混じったワンダーランドに、驚きながら心が浮き立ちます。
つい大仏にばかり目が吸い寄せられますが、境内のそこかしこに美しい花々が咲き乱れており、どこもきれいできちんと行き届いていました。
渋みばしった古いお寺ばかりを静かに巡るものと思っていましたが、巡礼先がこんなに楽しいお寺だったなんて、うれしい誤算です。
2日目その2に続きます。