風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

鎌倉・元のお宮さがし-1

2014-05-17 | 神奈川
○ prologue

友人サユと、鎌倉に出かけました。
横浜から手軽に行けて、旅気分を味わえる場所、それが鎌倉です。

サユは大の鎌倉好き。本気で住もうと物件を探したこともあるとか。
この日は、鎌倉のエッセイを持っていました。
「この本に、鶴ヶ岡八幡宮ができる前にあった、若宮八幡のことが紹介されているんだけど、知ってる?」
「うーん、若宮通りしか知らないわ」
私も、それなりに鎌倉は訪れていますが、聞いたこともありません。
「気になるから、探しに行ってみよう」
そんなきっかけでした。

○ スタバ鎌倉御成町店

のんびり待ち合わせをしたため、鎌倉に着くと、もう昼になっていました。
まずはランチをとろうということに。
サユに連れて行ってもらったガーデンハウスは、残念ながら貸し切り。



「隣のスタバも素敵だよ。縁側に座れるようになってて」
さすが鎌倉通、おしゃれなところを知っています。



次に、小町通りの方へ向かいましたが、混雑を避けたいサユは、地元の人しか知らないようなくねくねとした細道を通って行きます。
たしかに誰も歩いていないけど、この道どこにつづいて行くの?

出たのは、ホテルニューカマクラの前でした。

○ ホテルニューカマクラ



このホテル、ホームの目の前にあるので、いつも眺めています。
おしゃれな外観で気になっていました。
名前が何かに似ているといつも思っていたら、鎌倉ニュージャーマン!
あの鎌倉カスター、おいしいのよね~。
おなかが空いてきました。

駅前なのに、静けさの漂うホテル。
窓があいているのを一度も見たことがありません。
「ここ、今でも営業中なのかしら?」
「看板を掲げているってことは、そうなんじゃないかな?」
ホテルの前には「モータープール」と書かれた看板がありました。
普通のプールじゃありません。これは駐車場でしょう。
たくさんの車が停まっていました。



モータープールなんて言葉を使っているのも、おしゃれだわ。
「ここのホテル、前にV6の岡田君主演の映画に出てきたよ。彼がカメラマン役で」
『おと・な・り』という映画のようです。

「いっぺん泊まってみたいなあ」と言いながら、前を歩いて行きました。

○ 流鏑馬当たり的

若宮大路沿いの蕎麦屋「さくらや」に入り、サユはざる蕎麦、私は天丼を注文しました。
大きめの海老天2尾に茄子天 、南瓜天 、インゲン天と色とりどり。



お会計時、レジの後ろに「的中」と書かれた細い板に目が留まりました。
何枚も飾られています。
「あれ、なんだろうね?」とサユとひそひそ話しましたが、わからなかったので、おかみさんに聞いてみました。



すると「これは、八幡宮の流鏑馬で射られた当たり的の板なんですよ」と教えてもらいました。
「初めて見ました」と言うと、
「数が少なく貴重なものなので」とのこと。
「うちはスポンサーをしているので、関係者として分けていただいているんです」
おめでたい的中板を見ることができました。ありがたや~。



○ おんめさま

若宮大路を海の方に下っていき、二の鳥居を出ます。
すると、10名ほどの団体が、生涯学習センターの横の細道に入って行くのが見えました。お寺の赤い門が見え、「安産子育 産女霊神」という石碑が立っていました。
ママさんの味方のお寺?
私たちも、後に続いてみます。
そこは、「おんめさま」と呼ばれる安産祈願の大巧寺の境内でした。



季節の花が美しい庭を見ながら参拝すると、お堂の反対側に出る道があったので、そちらから出ます。
立ち止まってガイドの解説を聞いている団体さんを越して、歩いて行きました。

○ 足元の力士

本覚寺の門前に着いたので、参拝しました。
鎌倉七福神の恵比寿様が祀られているこのお寺には、何度も訪れています。
今回は、二頭の龍が絡み合った手水舎をチェックしました。
四隅を力士像が支えていました。
私、こういうスタイルのものが好きなので、喜んでしゃがみこんで撮影します。
何度も訪れても、初めての発見ってあるものですね。



このお寺も、違う道から出て、再び若宮大路に戻りました。

○ 元宮さがし

「そろそろ曲がる辺りなんだよね」と、下馬交差点の辺りでサユが言いました。
「この辺かな」とその次の、鎌倉女学院の角を左折します。
「えー、これからどう行くんだろう」



由比若宮、由比郷若宮、元八幡、元鶴岡八幡宮、などと名前がいろいろあるせいか、うまくネット検索できません。
サユがスマホをにらんでいる間、私は通りがかりのおばあさんに、道を尋ねました。
すると「もうちょっと行ったところを入るのよ」と教えてくれました。

検索中のサユに合わせてゆっくり歩を進めていったため、おばあさんとの距離は少しずつ離れていきました。
表示がないかときょろきょろしていたら、サユが「あ、今おばあさん、こっちを向いて指差した」と言いました。
「ここだよ、って教えてくれたんじゃないかな」



そこまで行ってみると、確かに「元八幡宮」と書かれた石碑が立っていました。
おばあさん、どうもありがとう!
その後姿は、もう小さくなっていました。

これはわかりにくい場所にあります。土地の人に聞いて、正解でした。
細道を入っていくと、ほどなくして鳥居を見つけました。

○ 鎌倉初の八幡宮

鶴岡八幡宮よりもずっとずっと小さなお社で、知る人ぞ知るといった感じ
住宅街の中にある社務所はシーンとしており、常駐の神官はいないようです。
境内は、それ程広くありません。おそらく、八幡宮がここも管理しているんでしょう。



でも、とても気持ちの良い場所でした。
念入りにお参りしました。

鶴岡八幡宮は、頼朝が石清水八幡宮から勧請した神社ですが、それより先に、彼の祖先が鎌倉に石清水八幡宮を勧請していました。
源頼義が建てたものが、由比若宮だそうです。
八幡神を呼んだのは、頼朝が初めてではなかったんですね。
むしろ、自分の先祖に乗る形で、もうちょっと大きな神社に建て替えたわけなんですね。知りませんでした。鎌倉好きといっても、まだまだ知らないことは多いです。

横須賀の海軍機関学校で英語教官をしていた頃の芥川龍之介が、隣に住んでいたという表示がありました。



ちなみに、若宮大路の「若宮」とは、この由比若宮ではなく、鶴岡八幡宮のことを指します。

石清水八幡宮から勧請した、まだ新しい神社という意味なので、鶴岡八幡宮、元八幡宮、どちらのことも「若宮」というそうな。
ちょっとややこしいですね。

その2に続きます。


巡礼してみた一人旅(関西) index

2014-05-07 | 近畿(京都・滋賀)


◆ 1日目 ←日記へ
いつも気ままな京都旅行をしていますが、今回は関西巡礼の旅に出ました。
山奥にあるお寺をめぐります。
一日目は姫路。官兵衛で盛り上がっている町を抜けて、人里離れた山に入っていきました。
  ○ プロローグ ○ 梅田→姫路 ○ 見えてきた姫路城
  ○ 第二十六番札所 一乗寺 ○ バスはあと2時間こない ○ 北条電鉄の法華口駅
  ○ 兵庫のチョコちゃん ○ 書写山ロープウェイ ○ 第二十七番札所 圓教寺 ○ 姫路から京都へ



◆ 2日目-1
2日目は奈良を訪れました。
まずは王道の長谷寺。神奈川民としては、つい鎌倉の長谷寺と比べてしまいます。
それから壷坂寺へ。予想外のファンキーさに目からウロコが落ちました。
何が待っているかわからない、それが旅ね~。
  ○ 第八番札所 長谷寺 ○ 鎌倉 vs 奈良 ○ 番外札所 法起寺
  ○ 第六番札所 壷坂寺 ○ 魅惑の暴悪大笑面 ○ 大仏ワンダーランド



◆ 2日目-2
明日香村を歩いて、広さを満喫。大阪に少し寄って、再び奈良へ戻ります。
時代劇によく登場する木の流れ橋を渡りました。
日が暮れる前にと急ぎに急いで、走れメロス気分を味わいました。
  ○ 飛鳥駅から明日香村へ ○ 第七番札所 岡寺 ○ 飛鳥ウォーキング
  ○ 尺土の火事 ○ 第五番札所 葛井寺 ○ 第九番札所 興福寺南円堂
  ○ 気分はメロス ○ 流れてない流れ橋 ○ ニナとジュリ



◆ 3日目-1
3日目はまず延暦寺へ。比叡山の青もみじとケーブルカーから見える琵琶湖が輝いていました。
日本三大霊場をコンプリートできたので、もうこわいものはありません(??)
京都へと流れる琵琶湖疏水沿いの道を歩きました。
  ○ あのおとめのう ○ ロープウェイとケーブルカー ○ 日本三大霊場コンプリート
  ○ 高野山の御朱印帳・比叡山の御朱印 ○ ケーブルカーの琵琶湖 ○ 日吉大社前
  ○ 京都へ流れる琵琶湖疎水 ○ 兎の宮 三尾神社 ○ 第十四番札所 三井寺
  ○ 長等神社 ○ 萌えキャラ車両 



◆ 3日目-2
滋賀から一気に神戸へ。
町の中のお寺と山の中のお寺、対照的な二つの寺院をめぐります。
夜には、ようやく嵐山で京都プチ観光をしました。
楽しい5月の関西旅行でした。
  ○ 滋賀から神戸へ ○ 第二十四番札所 中山観音 ○ ベビーカーでお寺?
  ○ 大阪ニュータウン ○ 第二十三番札所 勝尾寺 ○ コーラン祈祷
  ○ 謎のあぶちゃん ○ 勝ちダルマたくさん ○ すべりこみで嵐山
  ○ キモノ・フォレスト ○ epilogue




巡礼してみた一人旅・3-2(京都)

2014-05-06 | 近畿(京都・滋賀)
○ 滋賀から神戸へ
○ 第二十四番札所 中山観音
○ ベビーカーでお寺?
○ 大阪ニュータウン
○ 第二十三番札所 勝尾寺
○ コーラン祈祷
○ 謎のあぶちゃん
○ 勝ちダルマたくさん
○ すべりこみで嵐山
○ キモノ・フォレスト
○ epilogue
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3日目その1からの続きです。

○ 滋賀から神戸へ

滋賀の次に向かったのは神戸。いったん京都に戻り、京阪の祇園四条駅からへ。
阪急京都線の河原町への乗り換えのときに、鴨川を渡ります。
気持ちよさそう~。川原を散歩したーい。でも今回はスルーします。
もう夏の風物詩、川床ができていました。



十三で宝塚線に乗り換えて中山観音へ向かいます。
宝塚線に下がっている官兵衛イベントの中吊りを見て、また兵庫に入ったんだと実感。
宝塚歌劇のポスターもあります。今の演目は「ベルばら」とか「前田慶次郎」とか。振り幅広いわ。

最近、中山駅が中山観音駅に、三宮駅が神戸三宮駅に駅名変更したとのこと。
そういえば、京都も四条、五条から祇園四条、清水五条に変わっていました。
長くなりましたが、確かにこの方がわかりやすいです。
中山駅は、隣が山本駅と、ごっちゃになっていたものです。
どっちも人の名前だし、山がつくから。

○ 第二十四番札所 中山寺

そうしてやってきたのは、中山寺。
西国巡礼の札所ですが、電車から降りるとにぎやかで明るい雰囲気が漂っていました。
西国のほかのお寺とはかなりムードが違います。
駅からすぐの仁王門を写真に収めようとしたら、ベビーカーを押した夫婦が何組も通っていくので驚きました。


(その割にベビーカーの写真が一枚もありませんでしたが・・・)
これは仁王門の裏側。中に狛犬がいました。

ベビーカーが仁王門をくぐるなんて、初めて見る光景。
大きな敷居があって、足でまたぐ以外には通れないようになっている門が多いからです。
境内に入ると、そこかしこにベビーカーがいっぱい。
(そうか、ここは安産守りのお寺だから!)と気がつきました。
それで、幸せそうな空気が漂っているんですね。

○ ベビーカーでお寺?

夫婦連れが多いのもそのせいでしょう。安産さらしも売っています。
たくさんの白いおべべが奉納されたおびんづるさまが見られるのも、きっとここだけ。
おびんづるさま、一気にかわいくなっちゃって・・・。
(幼児返り・・・いえなんでもありません)



境内にエスカレーターがあったので、びっくり。
境内エスカレーターは赤坂日枝神社で見たことがありますが、さらにこちらは屋根付きです。
町ナカのお寺だけに、お年寄りに優しいつくりになっているんですね。


人が多いと書いている割には、写真にあまり人が写りこんでいません。
つい無人のタイミングで撮ってしまうからです~。実際には混み混みでした!

あまりの安産祈願者の多さに(今日は戌の日?)と思いました。
それともいつもこうなんでしょうか?
日本橋の水天宮もこんな感じなんでしょうか?
ここのところずっと、ハードボイルドなお寺巡りをしていたので、普通の人たちに混ざって参拝することで、自分も普通の人間に戻ったようで(?)ほっとしました。



観音巡礼の古刹には、僧侶が守ってきた寺院と庶民が支えてきた寺院の両方のタイプがあります。
前者は人里はなれた山奥にあり、後者は町の真ん中にあります。
正反対の歴史と雰囲気を持っていますが、長い歴史を経て人の手で存続してきたというところは一緒。
興味深いものです。

○ 大阪ニュータウン

蛍池というきれいな名前の駅で阪急を降り、初めて大阪モノレールに乗りました。
モノレールの周りに広がる景色は、いかにも計画されたニュータウン。
降りた千里中央駅もま新しい町でした。

ここから勝尾寺行きのバスに乗ります。
山行きのバスはえてして不便なものですが、ここも1時間に1本だけ。
14時45分の終バス(2時台が最終って!)を逃がさないようにと、急いでバス停を探しました。
ようやく見つけてほっとしていたら、女性二人連れが「ここよ、ここ」「よかった、見つかって」とバタバタとバス停にやってきました。
聞こえてくる会話で、西国巡礼者だとわかりました。
バスに乗って40分。急勾配を登ったところにある山奥の勝尾寺に到着です。

○ 第二十三番札所 勝尾寺



巡礼の白装束の人が大勢いる大霊場で、さっきまでの新興住宅地からの突然の変貌に頭がついていけません。
歴史の古さは感じられますが、派手さもかなり感じます。そういえばここは大阪・・・。

山の中にある寺院は概してどこも広大で、さらっとは巡れません。
どのみち、帰りのバスも1時間半後にならないと来ないので、ゆっくり拝観することにします。



入り口の仁王門を抜けたところの弁天池の噴水が、風に飛んで飛沫が温泉の湯気のようで、別世界に向かうようなシチュエーション。



気がつくと、境内のあらゆる場所には厄除けだるまが無数に置かれていました。



いるわいるわ、ザクザクいます。



隙間なく並べられたその数の多さに圧倒されますが、見慣れてくるとかわいらしいオブジェ。
ちいさなこびとさんみたいで、シュールさももはやアート。
「いいちこ」のポスターを思い出します。



○ 勝ちダルマたくさん

大きなだるまさんもいます。「勝ちダルマ奉納棚」いっぱいのダルマにも圧倒されました。
すべて両目が入れられています。
無事、勝ちを授けたダルマさんたち。
ダルマの数だけ、勝利した人たちがいるんですね~。



それにしても、なぜ右側は整然と、左側はぎゅうぎゅうに入っているんでしょう?
勝者のタイプ?豪快派が左、緻密派が右とか。
単に、棚のあるなしだけかな?

○ コーラン祈祷

と、突然太鼓と木魚の音が境内に鳴り響き、驚きました。
厄払いの祈祷が始まるようです。
(いったいどこから?)とキョロキョロしたら、境内のあちこちにあるマイクとスピーカーから、すごい音量で流れていました。
祈祷を受ける人が何歳でなんのご祈祷なのか、みんなにわかってしまいます。



ドンドン太鼓を打ちながら雄雄しく勇ましく読経がはじまり、お経というより「火の用心」とか「石焼いも~」みたいな掛け声のように聞こえます。
呼び声のようにも、コーランのようにも聞こえる不思議な抑揚。
本堂は、祈祷中のためか中に入れず、様子が分かりません。
のぞき窓からご本尊の顔がかろうじてちょっと見える程度でした。

○ 謎のあぶちゃん

四国八十八箇所のお砂踏みをしたり、境内の花々を眺めたりして、ゆっくり過ごします。
お砂踏みのところに、こんな張り紙がありました。
ありがた~い、神さまからのメッセージですよ!!
(お寺なのに・・・いえなんでもありません)



・・・この「あぶちゃん」って、なに?
「こっくりさん」のようなものでしょうか。
それとも「千社札を貼るな」と言う意味でしょうか?(その割に張られてるけど)

いくら眺めても、あぶちゃんのヒントに貼るものはなかったため、後で調べてみました。
そうしたら、「よだれかけ」のことをいうんだそうです。
へ~!聞いたことありませんでした!

祈祷は延々続き、さまざまなお経が読まれていました。
呼び込みのような祈祷放送は、大阪の市場っぽく思えますが、花がきれいに咲き乱れて境内の管理はしっかりしています。
そのコントラストがいい感じ~。



バス停に行くと、行きで一緒だった女性二人がおり、年配の男性と西国巡礼の話をしていました。
やっぱりここにも巡礼者の姿・・・

再びバスに揺られて山を降り、千里中央駅に着いたときには5時半になっていました。
帰りもモノレールに乗り、万博記念公園前を通ると、太陽の塔が間近に見えました。
初めて見ましたが、思ったよりかなり大きいんですね。
エキスポランド跡のさら地もありました。

○ すべりこみで嵐山

さて、もうお寺は閉まったため、今日の巡拝もこれで終了。
今回の旅では、せっかく京都に宿をとったのに、まったく京都巡りをしていません。
さっき、移動中に鴨川を渡りましたが、それだけでは物足りなーい。
帰る前に、嵐山に行こうと思いました。
前の台風で冠水した橋の被害がどうなったのか、気になったし。

阪急に乗り換え、四条大宮から嵐電に乗って、嵐山へ向かいます。
江ノ電と兄弟関係にある嵐電。レトロな車両にゴトゴト揺られていきました。



いつも日中に訪れる嵐山は、夕方になると町の様子ががらりと変わることに驚きました。
お店はどこも閉まっていて、にぎやかなメインストリートもシャッター通りになっています。
威勢のいい人力車のお兄さんたちも、一人もいません。
観光客の数もまばらで、閑散としています。
かなりさびしい町になるんだわ。



○ キモノ・フォレスト

どんどん暗くなってくるため、嵐山でまさかの遭難をしないよう、渡月橋を往復するだけにしておきました。
行きに撮った写真はこうでしたが、



戻ってきたときにはこうなっていました。



その間、5分もありません。日が落ちるのは、なんて早いんでしょうね。



駅では京友禅のデザインのライトアップをしています。
イルミネーションに吸い込まれそう。



夜の闇が濃くなっていくにつれて、光の輝きが増していく幻想的な光景に見入り、しばらくの間そこから離れられませんでした。



こうして3日間の関西旅行を終えて、京都駅から帰途へつきました。

この日知り合ったのは、ユータロ君。
東京から京都の病院に実習に来ているとのこと。
「京都のお勧めをどこか一つ!」と言われたので、伏見稲荷を挙げました。
昨日のニナとジュリとの会話に影響されています。
まあ、外国人が選ぶ場所なんだから、間違いないでしょう(そうかな?)
彼はさっそく翌日行ったようで、SNSのトップ画像は千本鳥居に変わっていました。

○ epilogue

「ファイト~!いっぱ~つ!」な巡礼の旅を終えて、ほっと一息。
充分観光しているので、これでも楽しいレジャーですが、普通の旅よりもウフウフキャッキャッが少なく、根性と体力が必要なのがこのスタイル。
それでも、山寺巡りなんていう渋い目的で動いているのは、ほとんどがご年配の方々。
ちょっとカラーが違う私は単なる物好きな(?)観光客と思われたのか、ほかの巡礼者の方々から話題を振られることはありませんでした。
今のご高齢の方々は、概して足腰が丈夫。
車社会が進んだことで、昔の人に比べてどんどん若者の脚の筋肉が退化している気がするので、歴史ある巡礼の旅はそのうちすたれるんじゃないかと心配になります。
まあ、そうなったら車でサクッと巡るようになるのかもしれませんが。

百観音は、御朱印代だけだと予算3万円ですが、交通費、宿泊費、その他諸々をあわせると、総額はかなりのものになります。
体力資本だし、考えると大変なことです。
全て徒歩で巡っていた昔の人は、なにを願ってこんな難儀な巡礼をしていたのでしょう。
病気平癒とか?
知りたいものです。

今回の3日間の旅は、どのお寺も5月の新緑がきれいでした。
巡った札所は全部で10+番外1。まだ10分の1です。
巡り終えるまでにはまだ長い時間がかかりそうですが、まだまだ訪れるべきお寺は残っていると考えるのもまた、楽しいものです。

ちなみにこの旅から帰宅してすぐ翌日には、また早起きして秩父の観音巡りに行きました。
こちらは同行者と一緒。
特に仏教に帰依しているわけではありませんが、始めた以上は続けたいもの。
今年はどうやら、巡礼の年になりそうです。ストイックにいこう!(ムリだけどね!)

巡礼してみた一人旅・3-1(滋賀)

2014-05-06 | 近畿(京都・滋賀)
○ あのおとめのう
○ 長いケーブルカー
○ 日本三大霊場
○ 高野山の御朱印帳・比叡山の御朱印
○ ケーブルカーの琵琶湖
○ 日吉大社前
○ 京都へ流れる琵琶湖疎水
○ 兎の宮 三尾神社
○ 第十四番札所 三井寺
○ 長等神社
○ 萌えキャラ車両
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2日目からの続きです。

○ あのおとめのう

今日も7時前に出発。比叡山に向かいました。
西国観音霊場には入っていませんが、いい季節に訪れたかったのです。
高野山には何度か行っていますが、比叡山はこれが始めて。
京都側からも行けますが、今回は滋賀側から行ってみることにしました。

初めての京阪石山坂本線に乗り、浜大津で乗り換えました。
「あのお(穴太)」駅はめずらしくておもしろい響き。Ah,no!
「めのう(瑪瑙)」みたい。Mais non!
英語とフランス語ですね。昨晩話したニナとジュリの会話みたい。

石山線では、丸刈りの体格のよい男子生徒たちと隣り合わせになりました。
比叡山柔道部と刺繍されたシャツを着ている彼らは、それぞれLINEやゲームに夢中。
ちょっとうたた寝していたら、生徒の数は増えており、車両中が男子生徒でした!
(彼らに囲まれたまま比叡山の上まで行くんだったりして)と思ったら、みんな途中の駅で降り、車両は急に広くなりました。
学校は山の麓にあるようです。

○ 長いケーブルカー

坂本駅に着いたものの、そこから先の表示がないので(どこ?どっち?)とうろたえます。
駅に戻って「ロープウェイはどこですか?」と聞くと、駅員さんは「京都の方?」と言いました。
「比叡山に行きたいんです」と言うと、「ああ、ケーブルね」
どっちだっていいやーん!
ロープウェイとケーブルカーは別ものだって、頭ではわかっているけれど、言葉にすると結構ごっちゃになっちゃいます。



このケーブルカーは、2キロ以上あり、日本一の長さだそうです。
乗車時間は11分。4分の書写山ロープウェイとは、3倍ほども違います。

○ 日本三大霊場

そうして着いた比叡山。
いろいろなお寺の山に登ってきましたが、やっぱり違う、別格の聖地。
山全体が冷気に覆われています。





ここに来れたことで私、日本三大霊場(比叡山・高野山・恐山)をすべて訪れたことになりました!
ヒュ~、ドロドロ。(間違ったイメージ)



根本中堂の前には、小さな女の子と両親がおり、女の子はお賽銭を入れて手を合わせてから、かわいい声で
「お肉やさんになれますように」と言いました。
聞き間違えじゃないかと思ったら、
「あと、ステーキやさんになれますように」と言いそえていました。
う~ん、未来の肉食女子。
肉食禁止の比叡山の中心、根本中堂でそんな願いを口にするなんて、将来大物になれそうです。



大講堂では僧侶がお経を読んでいました。
「ウ~ア~~」と早口で抑揚ばかりで、何を言っているのか一言も聞き取れません。
ほかのお坊さんはわかるのかしら?



古めかしい戒壇院がありました。
東大寺とは違って、中には入れません。
ここで法念が戒壇を行ったのかしら、と思いながら見上げました。



日蓮とか親鸞とか、比叡山で過ごしたさまざまな出身僧の紹介パネルが飾られていました。
天海和尚は日光のイメージが強いけれど、もともとは比叡山の僧侶だったんですね。
ここと袂を分かって出て行った僧侶も多いのに、フトコロが広いです。



石段の脇に、牛の像がありました。奉納物のようです。
これを見たとき(上がったところには天満宮があるのかな)と思いましたが、神社ではなくお堂でした。
しかもこの牛、参拝者側におしりを向けて、石段の上、つまりお堂側の方を向いています。
めずらしい配置でした。像の周りには小銭やお菓子がたくさん置かれていました。



○ 高野山の御朱印帳・比叡山の御朱印

ここの御朱印をいただこうと思いましたが、持参した御朱印帳は高野山のものなので迷いました。
比叡山と高野山は永遠のライバルですからね。
どこの御朱印帳か、お坊さんに気づかれないようにしたいなあと思いましたが、「御朱印帳をお預かりします」と番号札を差し出されたので、

観念して委ねました。
これも修羅の道よ・・・。
参拝が済んで納経所に行くと、何冊か並べられた御朱印帳の中に「高野山金剛峰寺」と思いっきり書かれた私のものが置いてありました。
もちろん、睨まれることもなく引き換えてもらいましたが。
仏の世界はみな兄弟、ということですね!



「比叡山延暦寺」のロゴ入り消防車を発見。
広大な比叡山の一帯が延暦寺の敷地なので、自前の消防車を準備しているんですね~。
お坊さんが消火にあたるんでしょうね。

比叡山の境内はとても広く、敷地内の横川地域に行くには徒歩2.5時間かかるとのこと。バスに乗らないと、とても無理です。
また機会があったらにしようと思いました。
(後日、母が徒歩で行ったと聞いてびっくり)



旅行後、JR西日本の「そうだ 京都、行こう。」ポスターが駅に貼られてました。
2014年初夏版は、訪れたばかりの延暦寺。青もみじの名所として紹介されています。
旬な場所に、旬の前に行けてラッキーでした。

○ ケーブルカーからの琵琶湖

ケーブルの延暦寺駅に戻ってきました。
1927年に開業してからずっと現役で国の登録有形文化財に登録されている駅舎。渋さが漂っていました。





まだ朝早いため、休日だというのに帰りのケーブルカーの乗客は親子連れと私の3人だけ。
3人とも、最前列に陣取ります。
後ろを振り返ると誰もいません。広々ぜいたく~。



小学生の男の子は「ここが一番長いなら、一番高いケーブルはどこ?」と聞いていました。
お父さんはわかりません。私もわかりません。
高低差が一番あるのは、京都側の比叡山ケーブルカー、一番勾配が急なのは高尾山のケーブルカーだそうです。



降りていくときに、琵琶湖がよく見えました。
このパノラミック・ビューを楽しみたくて、滋賀側ルートから比叡山に行ったようなものです。
湖面は日光を受けてきらきら光っており、きれいでした。



○ 日吉大社前

ケーブルカー駅から坂本駅まではバスがあり、先ほどの父子は乗っていきましたが、私は歩いていきました。
途中の日吉大社前を通りたかったからです。
子供の頃から縁のある、横浜の日吉の大本山。
中には入らず、大鳥居のところでお辞儀をしました。



近くの西教寺には明智光秀のお墓があるそうな。京都じゃなくて滋賀に?
彼のお墓は高野山にもあります。いくら修繕してもひびが入ってしまうという、謎めいた墓石です。

○ 京都へ流れる琵琶湖疎水

石山坂本線を三井寺駅で降ります。
降りたのは私一人。
駅名になっているので、藤井寺のように駅のすぐそばにあるものと思いましたが、周りを見回すとそういうわけでもなさそう。
ここも表示がなくて、行き方がわかりません。
駅員さんに道を聞き「神社を抜けて左」と教えてもらいました。



川沿いに10分ほど歩きました。どうやらこれは、琵琶湖疎水。
これが蹴上のインクラインにつながって、京都をうるおす水源になるのね。

○ 兎の宮 三尾神社

疎水に沿って、三尾神社に着きました。
ウサギのモチーフがあちらこちらに見られます。
この神社の神使なんですね。かわいいです。

その奥にはお寺の入り口が何箇所ももあり、どうやらとても大きそうだととわかります。
神社の奥にずっと広がっているらしく、どこから入ればいいのかわからないまま大回りしていたら、仁王門を発見しました。

○ 第十四番札所 三井寺



境内はとても静か。もみじがたくさんあり、紅葉の季節にはさぞやきれいだろうと思われます。
近江八景の「三井の晩鐘」がありました。現存しているとは。



金沢八景にも似たようなのがあります。称名寺から聞こえる「称名の晩鐘」です。
鐘をひとつきするのに300円。鐘はつくためのものですから、どこでも自由につけれればいいのにと思っていますが、縄などが磨耗するからでしょうか?
それとも、タダにするとみんなが鳴らし続けてうるさいから?



比叡山でさっき知ったばかりの「弁慶の落とし鐘」もありました。
伝説かと思っていましたが、きちんと鐘が残されているとは。
彫刻が磨耗しており、見るからに古めかしいものでした。



左甚五郎作の龍の彫刻もありました。
ここのお寺にあるものはなんだかいわれのビッグなものばかりあります。



境内は管理がきちんといきとどいていて、シンプルな美しさに満ちています。
でも観音堂だけは、ほかの伽藍とは趣が違いました。
絵馬や奉納額がびっしりとかけられており、民衆の息吹を感じます。
僧侶たちではなく巡礼者によって刻まれた時代の重みがありました。
私の前に納経所にいたご夫婦は、おいづるに御朱印を書いてもらっていました。



高台にある境内からは琵琶湖がよく見えました。

○ 長等神社

長い石段を下に降りると、神社がありましたが、ウサギはおらず、さっきのとは違う雰囲気。
入り口と降り口が違ったから、別の神社に出たようです。
三井寺の守り神が祀られる長等神社でした。
お寺にも守り神がいるんですねえ。
いい狛犬がいて、喜んで撮影しました。龍の手水舎もカッコよかったです。

○ 萌えキャラ車両



新大津駅に戻ると、京阪電車のラッピングカーが止まっていました。
萌えキャラ車両に、なんだか一気に現実(というか二次元世界)に戻された気分。
「全国"鉄道むすめ"巡り」と「中二病でも恋がしたい!」でした。
ホームで撮影している人はいましたが、乗客は慣れた雰囲気。
こういう誘致をしなくても、この辺りなら充分観光客は来ると思うんですが~。



3日目その2に続きます。

巡礼してみた一人旅・2-2(奈良)

2014-05-05 | 近畿(奈良・和歌山)
○ 飛鳥駅から明日香村へ
○ 第七番札所 岡寺
○ 明日香ウォーキング
○ 尺土の火事
○ 第五番札所 葛井寺
○ 第九番札所 興福寺 南円堂
○ 気分はメロス
○ 流れてない流れ橋
○ ニナとジュリ

2日目その1からの続きです。

○ 飛鳥駅から明日香村へ

帰りのバスがやってきたので乗り込むと、運転手は行きと同じ人でした。
さきほど行きのバスで一緒だった三名の姿はありません。「時間が合わなかったらタクシーを使おう」と言っていたので、車で次のお寺に向かったのかもしれません。
今度は一組のご夫婦がいました。
「間に合うかな」としきりに電車とバスへの乗り継ぎを気にしています。
壷坂山駅からとなりの飛鳥駅に行き、そこからバスで岡寺へ。
それって私と一緒のルートだわ。ということでこのお二人も巡礼者だと判明。
奈良は、お寺が固まっているため、ルートがだいたい重なるようです。

予定通り飛鳥駅に到着し、やってきたバスに乗り込みました。
本当はかめバスに乗りたかったのですが、やってきたのは奈良交通。
ルートに違いはありませんが、かめバスという名前に引かれました。
亀石からとったのでしょうけれど、速いイメージがない名前をあえてつけるってー。

明日香村をうねうねと通っていくバス。石舞台には、遠足中の小学生たちがたくさんいました。
岡寺のバス停は道が工事中だそうで、治田神社前で降りるようアナウンスがあったので、そこで降ります。
でも、先ほどのご夫婦は降りませんでした。あれ?いいのかな?
バスを降りてからお寺までは、急な坂を登ります。
ヒーヒーでしたが、私のほかに降りたご年配の母子もかなり坂に難儀をしており、どんどん距離が離れていきました。

○ 第七番札所 岡寺

普段、ご朱印を頂くときには、なるべくつり銭がでないように気を配っています。
コインが足りないときには、拝観入口でお札を出して調整していますが、岡寺の入口でお坊さんに「ぴったりの拝観料を出してください」と言われました。
ちょっと緊張してお財布をさぐり、(なんとかちょうどありそう)とほっとしながら五円玉を2枚出すと「あ、それならお釣りを出すから」と言われました。
「このお金は回していくもんやからね。五円玉を嫌う人もいるからね」
巡礼中は修行の身。これまでもいろいろなお寺ルールの洗礼を浴びています。



飛鳥地方を訪れるのは3度目くらいですが、岡寺は初めて。
ほのぼのとした飛鳥寺とはまた違う、静かな威容に満ちた伽藍です。
鐘は自由につけたので、ありがたく突かせてもらいました。



西国霊場のお寺独特の、古いすり減ってほこりをかぶったお堂の雰囲気が好き。
人の手でつるつるに磨き上げられた柱や手すりが歴史を物語っています。
ここのご本尊は、如意輪観音だそうですが、上半身しか見えないため、それとはわかりませんでした。
でも近くからよく拝観できました。



せっかく観音めぐりをしているわけなので、やっぱり御顔を拝見できるのがいいですね。
ここの聖獣は龍。しゃくなげのきれいなお寺でした。
また訪れたいお寺です。今度はぴったりの拝観料を準備して!



○ 明日香ウォーキング

さて、ここからが問題です。昨日同様、バスは2時間来ません。
でも昨日よりは駅までの距離が短いため、歩くことにしました。
バスがないのはわかっていたため、レンタサイクルにしようかとも直前まで悩みましたが、強風でなかなか進まない様子を見て、やめておいてよかったと思いました。
暑い日で、じりじりとアスファルトが照り返します。
風が強すぎて、帽子も日傘も使えません。
黄色や白い帽子の小学生の遠足をあちこちで見かけましたが、日陰がないため、炎天下の下、車道わきで休憩を取っているグループがたくさんいました。

橘寺の横を通っていきます。聖徳太子が生まれた場所です。



明日香のセブンイレブンは、こんなに景観に配慮しています。一見わかりませんでした。



方角に迷いながら45分歩き、ようやく駅舎が見えてきました。
各駅のみなので、何本か電車が通り過ぎます。
やってきた電車も小学生の遠足の子たちでいっぱいでした。5月は遠足シーズン?
ここから大阪方面へ向かいます。

○ 尺土の火事

尺土駅(尺取虫みたい)に着いて電車のドアが開くと、ホームはもくもく煙で充満していました。
野焼きかな?それにしても煙いわ~と思いましたが、周りの子供たちは「火事だ、火事だ!」と騒いでいます。
(まさかぁ~)と思いましたが、電車が動き始めたら、ホームすぐそばの建物から黒い煙が出ていました。
赤い炎は出ていませんでしたが、本当に火事だったようで、Twitter上でも騒然としていました。
消防車は向かっているのかな?と心配しているうちに電車は進み、煙はだんだん遠くなります。

藤井寺駅に着きました。
かつて近鉄の球場があった場所ですね。
駅前のアーケード商店街の中をバイクが駆け抜けていくのを見て驚きました。
駐車禁止の看板の横には、堂々と自転車が止まっています。
そこで「そうか、もうここは大阪なんだった!」と実感。浪速は、ほかとは違うスタミナパワーを感じます。

○ 第五番札所 葛井寺



駅名になっている葛井寺に着きました。
これで(ふじいでら)と読むんですね。(くずいでら)かと思っていました。



昨日からずっと、簡単にはたどり着けないお寺ばかり訪れているので、駅からの近さがありがたいです。
駅側からの入り口から入りましたが、正式な正面の仁王門から出ました。



緑に囲まれた近くの辛国神社にも参拝しました。狛犬が二対いました。



ここまでの道は、飛鳥の徒歩45分をのぞけば順調でしたが、ここからが大変でした。
橿原神宮前駅に戻って近鉄奈良に向かいますが、接続が悪くて普通電車しか来なくなり、西大寺駅までずっと各駅停車に乗っていくことに。
途中、再び尺度駅を通ったので、火事がどうなったのか気にして外を見ましたが、1時間ほどの間に煙はすっかり収まっていました。
藤井寺駅を出たのは3時45分だったのに、西大寺に着いたときはもう5時近く。
いつもは速い電車でサーッと通り過ぎていますが、ゆっくり動くと、奈良の中心・西の京・飛鳥はやっぱり距離があるものだなあと感じまます。
時間的に、そろそろこの日の巡礼も終わりに近づいています。

○ 第九番札所 興福寺 南円堂

近鉄奈良に着き、最後に興福寺の南円堂を参拝しました。ここを訪れるのは、数年前に両親と来て以来です。
あの時、ご朱印をドライヤーで豪快に乾かす人を見て、家族みんなで目を見張りましたが、今では私にとって見慣れた光景。
ご朱印帳ではなく、掛け軸やおいずるの布に書かれたご朱印を乾かしているのです。



去年訪れた成相寺で散華をいただきましたが、今回はどのお寺でももらえません。
(あれ?)と思っていたら、その散華はお寺ではなくJRの企画だったらしく、3月で終わったようです。
でも、南円堂の方に「散華をあげましょう」と、大きなサイズのものを頂きました。わーい。


 
興福寺には小学生ではなく、修学旅行生グループがたくさんいました。
飛鳥地方とは、対象年齢が違うようです。奈良は幅広い年代向けなんですね。



もう阿修羅のいる宝物殿はしまっていましたが、すぐには立ち去らずに、境内を散策しました。
ここの建物のゆるぎない安定感は、いつ見ても安心します。
法隆寺で感じる感覚と一緒で好きなのです。



五重塔だけでなく、目立たないところにひっそりと立っている三重塔(でも国宝)。
南円堂の向かいにひっそりと立っている、改修中の北円堂。



この日の巡礼はこれで終了。
でもまだやりたいことが残っています。
「流れ橋」に行きたいのです。

○ 気分はメロス

橋好き橋子の私は、もう何年も前から京都の上津屋橋(流れ橋)のことをチェックしていました。
(渡ってみたい)とかねがね思っていましたが、私が京都に行くたびにこの橋は流されてしまって、通れなかったのです。
いつも秋に行くので、台風で流された後なんですが、流れ橋といっても、流れすぎじゃないー!?

でも今はまだ(?)流されていないとわかりました。
いったん流れてしまうと、復旧までに半年くらいかかるこの橋。
再び渡れなくなる前に行っておきたいわ!

京都方面への普通電車に乗り、久津川駅で降りました。
観光客は降りない、住宅街が広がる中を、駅前の地図で方角確認をしてから、川の方へとひたすら歩いていきます。
思ったよりも距離があるようで、途中で道を聞くと「流れ橋?ここからずいぶんあるわよ!」と驚かれました。
アクセス不便な場所にあるのです。
それでも行かねばなりません。しかも暗くなる前に!
気分は『走れメロス』。沈む太陽よりも十倍速く走っています。気分はね!

○ 流れてない流れ橋

「大通り沿いは危険だから」と、土地の人ならではの農道ルートを教えてもらって土手へと向かいました。
電車の中にいたときには真っ赤に見えていた夕日が、もう沈んでいます。
辺りに残っているのは、その残照。
この明るさが消えたら夜になり、見えなくなるので、心ははやります。
だって流れ橋には手すりも欄干もありません。暗くなったら落ちてしまいそう。



せっせと歩いて堤防に出て、橋のたもとに出たときには7時になっていました。
わあ、とうとう念願の流れ橋に来れたわ。メロス感激!



薄暗くなりつつあるので、急いで渡りました。
かなり長い橋で、岸から岸まで渡りきるのに5分かかりました。



Uターンして戻る時には、もう暗くなりかかっています。
写真を撮っても、すべてが影になりつつあり、かなり気をつけて渡りました。



私が往復する間にすれ違ったバイクと自転車は、どちらも降りて引いていました。
模範的!というより、本気で危ないからでしょう。
ああ、数年越しの念願が叶ってよかったわ~。



満足して、見えづらくなってきた堤防と農道を駅まで戻ります。
広々とした田んぼの真ん中なので、物騒ではありませんが、ひとけがなくて寂しいので、音楽を聴きながら。
この日のプランはもう終わりなので、急がなくていいんですが、テンポのいい音楽が流れると、つい早歩きになるものです。

○ ニナとジュリ



京都の町屋が好きなので、築100年の町屋を改装した宿に泊まっています。
夜は、宿で知り合ったオランダのニナとフランスのジュリと話をして過ごしました。
ジュリは「枝豆がおいしい!毎日食べたい!」と言っていました。
ニナは「日本のミルクティーの缶がおいしい」とお気に入り。
「日本のペットボトルや缶は、種類がすごく多くて選べない」と言われます。
GREEN SHOWER(グリーンシャワー)という、発売されたての発泡炭酸水のペットボトルを買ったジュリ、「これはなんの味?」と首をひねっていました。
飲ませてもらった私たちも、「マスカット?青リンゴ?」と悩みます。
日本語表記でも「リフレッシュできるさわやかな味」としか書かれていないので、訳してあげることもできず、「・・・ミステリアスな味だね。以上!」で終わりました。



「明日はニジョジョ(二条城)に行こうと思うんだけど、どう思う?」と聞くジュリ。
「まあまあかな。それよりイナリにしたら?あそこはいいよ!」と勧めるニナ。
今日行ってきたんだそう。伏見稲荷神社のことでした。
私も「ニジョジョよりヒメジキャッソーの方がいいよ」と話をかく乱させます。
「でも今工事中でしょ?」
来日外国人は、日本の観光に詳しーい。
結局ジュリはイナリに行くことにしたようです。
こうして2日目の夜はゆっくりと更けていきました。

3日目に続きます。