風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-10 日光栗山はじめてづくし1-2

2012-10-23 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
1-1からの続きです。
○ 湯西川温泉郷散策(平家の郷)
○ 湯西川温泉旅館「彩り湯かしき 花と華」
○ いろりばたの夕食
○ 夜も更けて


○ 湯西川温泉郷散策



落人伝説を聞いて、すっかり平家びいきになったところで、今度は平家の里へと向かいました。
雨の中を、散策します。



先ほど話にあった、よろいや宝を埋めていたという平家塚がありました。
使い古されたかまども。



鎧や平清盛、敦盛の人形もありました。
敦盛がりりしーい。清盛の眉毛はさらにりりしーい。





平家落人の生活を復元した場ということで、昔の農工具などがメインとなってたくさん飾られており、民家園といった雰囲気。
京の雅な風情はありません。
都から落ちのびて、藁ぶき屋根の農家に細々と暮らすつましさ、大変さが伝わってきました。



園内はきれいに整えられており、雨に濡れる紅葉もまた趣がありました。
運命に翻弄され、過酷な環境での慣れない農民生活を送りながらも、落人たちはこの地の自然の美しさに、心慰められたことでしょう。





平家の里を出たところで、観光協会のサイトウさんに「駐車場の裏に吊り橋がありますよ」と教えてもらいました。
「というわけで、行こう!」とそばにいたガールズと一緒に向かいます。
吊り橋好きだとわかってもらったため、みんなにサクサク付き合ってもらえます。
やっぱりアピールしておいてよかったわ。グッジョブ、私!



吊り橋は天楽堂橋というきれいな名前。全く揺れず、落ち着いて川の景色を楽しみました。
そばには大きな木樽があり、「ゆば」と書かれていました。平家ゆばのお店のようです。



散策地図をもらい、のんびり道を歩いていき、2キロほど向こうの駐車場へ向かいました。
時が止まったような街並みに、自然と呼吸もゆったりしてきます。
茅葺ぶき屋根の平家集落を眺めたり、通りと平行に流れる湯西川渓谷をのぞきこんだり、民芸品店に寄ったりします。
地図を見て、徳島の祖谷のように、かずら橋があるのを知って喜んだ私。
やっぱり、平家の落人といったら、かずら橋を作るものなのかしら?
でもそれは「本家伴久旅館」の宿泊客専用のものと知って、ガッカリ。
マイかずら橋があるなんて、贅沢な旅館ですね。いつか渡りたいわ。
この橋は、平家集落そばの湯前橋です。集落じゃなくて橋を撮る私。すみません、橋好きなもので…。



さらに歩いていくと、旅館「平家の庄」前に、大きな木の根があり、みんなで足を止めて見入りました。
樹齢1200年の、日本一の平家神代杉だそうです。足元にはお賽銭箱までありました。
「すごいねえ」と言いながらも、これ、何かに似てる…
「舞茸みたいじゃない?」と言ったら、みんな「ほんとだー」「マイタケ食べたーい」と笑ってうなずいてくれました。
神代杉もガールズの食欲の前には形無しですね…でもおいしそう(笑)。



集合場所は公民館前。オルガンや手作り竹琴があり、鳴らして楽しみます。
素朴な竹の音色がポンポンと鳴り響きました。
♪ わたしゃ音楽家、山の仔リス~♪ と歌いたくなります。



時間より早めにバスに着いたため、報道で同行している旅行新聞の人や、添乗員さん、ドライバーさんと結構お話しました。
「モニター参加者は、いいことばかり感想に残しがちだけれど、むしろ悪いことを書いてほしい。参考になるから」とドライバーさんにも言われます。
それはそうだと思いながらも、細かい項目ごとにアドバイスを求められるので、これは本当に書き上げるのが大変そう。

○ 湯西川温泉 彩り湯かしき 花と華

みんな集合し、この日の宿へ向かいます。参加者は1班と2班で二つの旅館に分かれました。別の旅館「秘湯とぬくもりの宿 平の高房」が、門構えが古めかしくて、うらましくなったけれど、そこから3キロ離れた私たちの宿「彩り湯かしき 花と華」もすてき。



入口へのアプローチが長く、歩いていくごとに両側の明かりがついていきました。映画のような空気に、息をのみます。
外観はとても静かな建物ながら、中に入るととても広い宿で、従業員もたくさんおり、驚きました。



私は、伊東からきたヒロコさんと東十条のトモコさんと一緒の部屋になりました。
部屋からは湯西川が見え、川越しの紅葉が目に飛び込んできます。



まずはお茶でほっこりしました。
自分がお茶好きなので、せっせと二人にお茶を淹れ続けました。今度はお茶好きアピールタイム(笑)。



それから食事前に、さっそくお湯へ向かいます。
ここの温泉は、ph9.3の高アルカリ泉質。
雨の中を散策して、冷え切った身体がほかほかになりました。
美肌の湯につかって気持ちよくなってから夕食へ。ほかの人たちを待ちながら、添乗員のクマちゃんとお話をします。
栃木の人かと思いきや、土浦出身だとのこと。霞ヶ浦ネタでちょっと盛り上がりました。

○ いろりばたの夕食



7人全員揃い、宿の人にしずしずと案内してもらいます。
下がっていた木の看板を、木づちでカンカンと叩いて合図を送ってから、中に入っていきました。
通されたのは、いろりばた。私だけでなく、ガールズの誰もが慣れない空間だったようで、足が止まりました。
目の前には囲炉裏がありますが、掘りごたつ形式になっているため、足はつらくありません。
囲炉裏には食事は置けないため、料理膳は横にあるというのが不思議。





囲炉裏には、太い串にささった鱒やうるち米で作った万台餅、こんにゃくなどがありました。
TVなどで見たことはありますが、こんな風情たっぷりの本格的囲炉裏体験は、初めてです。
落人の石焼き料理に由来した「平家お狩場焼き」というそうです。
下の画像はミクさんの撮影。奥行きが出て、私とはクオリティーが違うわー。



ほかに、鹿の叩きサラダやとちぎ和牛の鉄板焼き、岩魚の姿造りなどあり、もうどれから食べていいのか分からずにオロオロの私たち。
生湯葉、霧降高原蓋、ベラ味噌、けんちん汁、それに栃木の梅酒。
メニューが多すぎるので、画像に撮りました。





この旅最年少のミクさんが、食前酒の山ぶどう酒がまわってしまったようで、一時退席しました。
「まだお酒に慣れていないのかしら」「気を遣って疲れちゃったかな」とみんなで心配しましたが、5分ほどで復活したので「すぐ元気になるって、若さだね!」とやんやとほめたたえ(?)ました。



舞茸ご飯が出たので、(やった、さっきの舞茸だ~)と思いましたが、もうおなかいっぱいで、ご飯までなかなか辿りつけません。
コースのほかに、サービスで竹酒もつけていただきました。
ヒロコさんが飲み口でしたが、トモコさんと私は飲めない派なので、「どうぞどうぞ」と譲ります。
でも一口いただいたら、竹を通した爽やかな喉ごしでした。



ちなみにミクさん、こんなお茶目な写真も撮っています。
アシモを連れてきたのはナカーイさん。竹の中からコンニチハ。



途中で女将がご挨拶に見え、身に余る歓待ぶりに恐縮した私たちも、平に御挨拶します。
ここは300年以上の建物を改築しているのだとか。それで、天井が高く、梁が太く、丈夫な建てつけなんですね。
古めかしい建物によく似合う、凛とした女将で、お話を聞きながら背筋が伸びました。
いろりばたの一升ベラは、平家伝来の「自家製平家山盛味噌」だと教えてもらい、ありがたくいただきました。平家の落人が食べた味かも。



おなかいっぱいになって、部屋へと戻る途中、宝物殿のようなガラス張りのロビーから外を眺めました。
宿のすぐ横を湯西川が流れており、向こう岸の山の紅葉が手にとるように美しく見られます。





備え付けの双眼鏡をかわるがわるのぞいていたところ、ふと隣のバーラウンジが気になりました。
メニュー表を見ると、お勧めのカクテルは「今夜は離さない」…え~っ(笑)!
カクテル名がツボにはまって、みんなでわあっとテンションが上がりました。



気になりすぎますが、もうお酒は入りませーん!
でもこんなに間近に緑と紅葉を楽しめるバーなら、お酒はいくらでもすすみそうですね。(↓ミクさん撮影)



更に壁に張られたポスターに目を留めた私たち。
「なんだか迫力あるねー」
「日光市女将の会だって」
「あれ、この真ん中にいるの、さっき御挨拶に来てくれた、ここの女将じゃない?」
みんなでのぞきこみます。
「ほんとだー」「センターだよ、すごいね~」
OKM30(オカミ30←数えました)の中心を守る頼もしさ。



「ねえ、私たちも最後にこういう写真を撮ろうよ」
「センターを巡って熾烈な争いが繰り広げられるわけね」
「よーし、負けないわよ~」
笑いながら、それぞれの部屋と戻っていきました。





○ 夜も更けて

ハダカの付き合いも済ませ、乾杯もして、すっかり仲良しになった私たち。
楽しくてたまりません。

女性だけでバスを借り切って旅行することってなかったため、(なんだか修学旅行とか合宿みたいだなあ)と、この日何度も思いました。
添乗員さんもいるものの、今回のツアーは観光協会の人たちがプランニングしてくれたものなので、割と柔軟というか、ゆるい感じ。
そこが手作りっぽくて、温かさを感じます。

ガールズはみんなとても明るく気さくないい人たちで、出発前にいろいろと抱えていた不安や緊張は、きれいになくなりました。
一日中、いい体験ができて、もう大満足。
「ああ、こんな日がずっと続けばいいのに」と、ため息交じりでもらしたら、トモコさんが
「少なくても、あと二日は続くよ」と言いました。
その前向きな発想、大好きだー!

食後は、のんびりしながら、女子会っぽく恋バナなどで盛り上がり、寝る前にまた露天風呂に入りに行きました。
この宿は、いくつもお風呂があるため、入り甲斐があります。
それにしても、今日初めて知り合った人とこんなに仲良くなって、一緒の部屋に枕をならべて寝るなんて、なんだかとっても不思議。
普通の生活では、まず起こり得ないことですね。
明日もきっと楽しい体験がたくさんできるはず。
すてきな縁に感謝しながら、眠りにつきました。

この日のことは、日光市栗山 旅サイト「5秒でくりやま」にも掲載されています。
<Monitor Tour1日目>

2日目に続きます。

2012-10 日光栗山はじめてづくし1-1

2012-10-23 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
○ prologue
○ 鬼怒川温泉駅に集合
○ 道の駅 湯西川でジェラート
○ 湯西川水の郷でランチ
○ 語り部「平家落人伝説」を聞く
○ 大吊り橋


○ prologue

今回、日光市栗山地区が開催したモニターツアーに参加しました。
これまで、日光といったら、決まって東照宮・中禅寺湖ルートばかりだった私。
考えてみると、まだ鬼怒川方面に一度も行ったことがありません。
温泉なら、北日光の方がいいというイメージはあるのですが、ついつい知っている場所ばかりを繰り返し訪れてしまうため、これは初めての日光を知るいいチャンス。
楽しみに当日を待ちました。

2週間前にも中禅寺湖畔に旅行した私。今年の秋は日光づいています。
ラッシュでもみくちゃにされましたが、浅草からは先々週と同じルートで一本。楽々です。



東武に乗りこみ、熟睡から目覚めたときにはもう栃木県内。
車窓のビル群は田園風景に一変し、雨が降っていました。
「当日は寒いので1枚服を多めに着てきて下さい」と、旅行社の担当さんから親切に連絡をいただいたので、前日服に悩み、あれこれ考えて、すっかり寝不足です。

○ 鬼怒川温泉駅・集合

鬼怒川温泉駅に到着。一人参加なので、旅の主催者やほかの参加者たちはどんな人なんだろうと考えると、緊張してきます。
少し前を、いかにも参加者風の女性が、かなり急ぎ足で歩いていくので、私も後を追いかけるように早足で向かいました。(後にミクさんと知る)
(さらに、その私をトモコさんが追っていたことを後で知る)
改札で、旅行社のガイドさんに迎えられ、受付をしてバスに乗りこみます。



駅前には、金棒を持った鬼の像がいました。名前は鬼怒太クン。
その近くには、鬼怒太クンに気にせず足湯につかっている人たちが見えました。
駅前に足湯があるなんて、いいわあ~。

私は参加者最前列でした。バスのドアが閉まり、出発しましたが、隣の人がいません。通路越しの人の隣も空いていたので、ちょっと安心しましたが、その人は参加者ではなく、プレスの人でした。
後ろをちらっと見ると、女性たちが2人ずつ並んで座っています。
2人連れの人が多そうで、なんだかさびしい~。

まず、旅行社の添乗員さんから挨拶を受けました。「クマちゃんと呼んで下さい」と軽快に自己紹介してくれましたが、みんな大人しく押し黙っており、盛り上がりません。
分厚い資料を配られ、何かと思ったら、モニターアンケートでした。
「まとめて書くのは大変なので、その場その場で記入していくのがいいと思いますよ」たしかに、細かい項目がびっしりと載っていました。
主催者の本気を感じます。もちろん協力する気満々です。



途中、素敵な橋があったので、カメラを向けますが、雨が強くてうまく撮影できません。
早く上がらないかしら~。

バスガイドさんがいろいろと土地の説明をしてくれました。
栗山村は、かつて栃木の北海道と言われるほど広い村でしたが、栗山村を含む5つの市町村が合併して日光市になったそうです。
そうしてできた日光市は、今では日本で3番目に大きい市で、栃木県内の4分の1の面積なんだとか。
広いんですね~。日光市の職員は、異動地が遠くて大変そう。(そういう問題?)

バスは五十里(いかり)湖ぞいを通りました。雨で写真は諦めましたが、ここは日本橋からちょうど五十里のところなので、そう名付けられたとか。
五十里さんという知人がおり、まさに「名前の由来は江戸から五十里の場所が出身地」と聞いていたので、(五十里家のルーツはここだったんだー)と思ってきょろきょろしました。

○ 道の駅 湯西川

静かなバスの中で緊張しながら、最初の訪問地「道の駅湯西川」へ向かいました。
ここで、小雨の中、ジェラートを試食します。

地元栗山産のえごま(十根)と夏おとめ(いちご)のフレーバー。
おいしそ~うですが、雨でかなり冷え込んでいたため、すぐに食べようという気にはなりません。
目の前には足湯がありました。はじめは縁に腰かけているだけでしたが、ゆげがほこほこと立って、とても温かそう。
たまらず、裸足になって、脚をつけました。
う~ん、あったかくて、気持ちいーい。温泉につかってジェラートなんて、最高~。
ごまの香ばしさと、いちごの甘酸っぱさがミックスした、さわやかな味でした。



ほかの人たちも、足湯につかり始めます。あたたかさとおいしさに、笑顔になって、近くの人たちで自己紹介し始めました。
今回は、女性限定で年も近い人ばかり。一人参加の人も多いようで、ほっとします。
ようやくゆとりが出てきて、辺りを眺めると、ん?んん?
足湯に浮いているのは、あひる?いえ、カッパ?
あひるカッパ?
見たことがないもので、みんなでしげしげと眺めました。



ジェラートを食べ終わり、建物の中に入ると、巨大なぬいぐるみが立っていました。
「うわ、これは…?」
微妙なかわいさを前に、みんなでとまどっていると、「これはダッパくんっていうキャラクターなんですよ」という声が。
観光協会のツチヤさんでした。



湯西川ダム湖を通る、水陸両用バス(ダックツアー)のキャラクターだそうです。
あひる(ダック)でカッパだから、ダッパくん。
確かにどっちも川に住んでるもの同士だけど、その発想はなかったわ~。
さっそく一匹買った人がいました。(後にテルさんと知る)

ジェラートの隣で売られている「げそかま」なるものが気になって、「あれ、なんでしょうね?」と、近くのガールズ(参加者たち)に聞きました。
でもみんな「さあ?」とわからない様子。
クマちゃんに聞いてみた質問は観光協会のアオヤマさんに伝わり、彼が雨の中を小走りに、売り場まで聞きに行ってくれました。(すみませんー)
「げそのかまぼこだそうです」
なるほどー。「かま」って魚の頭のことかと思って(げその頭?)と怪しんでしまいました。

バスに乗りこんだところで、隣席に、ヒロコさんがやってきました。
少し遅れての参加だった様子。隣に人が来てホッとします。
ちゃんとジェラートも食べられたとのこと。よかったよかった。

○ 湯西川水の郷・ランチ



次は、去年できたばかりの観光センター「湯西川水の郷」へ向かいました。
ここで昼食になります。みんな、名札を首から下げてはいるものの、会ったばかりで顔もほとんど分かっていない同士、向かい合わせで腰掛けました。
それでも、すぐにおしゃべりが始まります。





次々と出てくる料理が素朴ながら見慣れないものばかりで、みんなで興味しんしん。
サラダと手打ち山菜そば、そして栗山の伝統食「ばんだい餅」をさば汁とジュウネだれでいただきます。
レディースランチだそうですが、とってもボリュームたっぷり。みんなで「かなりおなかにたまるね~」と言いながらおいしくいただきました。



「栃木といえばレモン牛乳ね」という話をしていた直後、デザートにレモン牛乳アイスが登場したので、みんなで「おおっ、これが!」とどよめきました。
レモン牛乳、私は飲んだことがありますが、未体験だという人がほとんどでした。
「アイスは好きだけど、さっきジェラートを食べてきたばっかりだから…」と言いながらも、そこは別腹、みんなフタを開けて食べはじめます。
「なんで関東・栃木で、関東ばっかりフォントが大きいんだろうね?」
「栃木レモン10%使用。でも無果汁・・・??」
うーん、ミステリアスです。

○ 語り部「平家落人伝説」

食後は、多目的ホールで日光市総務課長のご挨拶を受けました。
今回の旅の目的は「若い女性に優しい観光地」づくりだというお話をして頂きます。

参加者14名、めいめいの自己紹介タイムになりました。
私の前のヒロコさんが「趣味は映画鑑賞です」と言ったのを受けて、私は「最近吊り橋に目覚めました♡」と話してみました。
ところが誰もリアクションが無く、ひどく真面目な顔で聞いてくれていたので、(あれ、言いすぎちゃった?私、変な人みたい?)と、ちょっと後悔しました。

今回の募集には100名以上の応募があったそうです。3日前に繰り上げ当選の連絡が来たという人もいました。
「温泉が大好きなので」というコメントが目立ち、(みんな意外と渋い趣味ね~)と思いました。(吊り橋好きをタナに上げて…)

それから、湯西川館本館の若女将、伴弘美さんの民話語りを聞きました。
若おかみ6人で語り部の会を結成しているとのこと。
しっとりとした美人女将が、400年前の「平家落人伝説」を方言で語り始め、がらりと雰囲気が変わったバイリンガルぶりにみんなびっくりしながら聞き入ります。



これまで、新潟の秋山郷や、徳島の祖谷など、平家落人の里はいくつか訪れてきましたが、語り部体験は初めて。
源平の戦いに敗れ、命からがら逃げてきて、山奥にひっそりと身を隠した平家の人々の苦労が語られます。
追っ手に見つかるから、鯉のぼりを上げなかったり、時を告げるニワトリも飼わないなどといった風習があるのだそう。
可哀そうで、聞きながら涙がにじみました。

お湯が湧く場所を見つけた彼らは、場所もわかりやすいと、その近くに鎧や宝を埋めたのだとか。
後に、子孫が掘り起こし、財宝を発見したといわれる、その地が湯西川温泉なのだそうです。
語りにぐいぐいと引きこまれました。
何より、土地の方言で語ってくれるのが、昔話の情緒たっぷりで心に響きました。

最近、源氏と平氏が800年ぶりに仲直りの調印をしたそうな。
平和な世の中になりましたね。

その後、湯西川村のDVD鑑賞。
四季を通じて変化に富んだ美しい自然を観賞しました。

○ 大吊り橋

おいしい食事と語り部とDVDに、すっかり満足してホールを出たところ、売店でサンショウウオの干物と熊の手が売られていたので、ビックリ!
え~、これどうするのー?
熊の手って、中華の高級珍味っていうことしかわかりません。
サンショウウオは真っ黒で、魔女がぐつぐつ煮え立った鍋に入れるトカゲのようです。
はじめ、オオサンショウウオだと思ったので、「天然記念物がカラカラになって売られてるー!」と思いましたが、別モノのようです。

みんな見るのが初めてだったので、キャーキャー言いました。
写真を撮っている人もいましたが、私はためらってしまいました。
気になる方は、実際に行ってその目で見てみて下さい。
まあ、この旅の途中で、彼らとはまた再会することになるのですが。(ふっ...)



少し自由時間があったので、迷わず建物の外に出ました。
雨は少し小ぶりになっています。建物には水車がついて、周っていましたが、それを眺めながら、向かったのは吊り橋。
食堂から見えて、ランチを取りながらずっと気になっていたのでした。やっぱり渡らなくちゃね。
さっきはノーリアクションに思えたほかのガールズが「吊り橋、行くんでしょ?」と話しかけてくれたので、(やっぱりアピールしておいてよかった!)と思いました。







吊り橋から見る山の木々は、ほんのりと色づいており、秋の訪れを感じさせる、すがすがしい光景でした。
渡りきって、また戻ってきたら、アオヤマさんが橋のたもとから写真を撮ってくれました。



1-2に続きます。

2012-10 横須賀艦船ウォーキング

2012-10-13 | 神奈川
【ウォークコース:追浜駅-深浦湾-長浦港-海上自衛隊第2術科学校-安針台公園-ヴェルニー公園-海上自衛隊横須賀地方総監部(満艦飾)-汐入駅】

 

先月に次いで参加したよこすか京急沿線ウォーク2012。
第3回目の今回は「観艦式記念 艦船見学ウォーク」です。

観艦式とは、自衛隊の最高指揮官が艦隊を観閲する、3年に一度の大イベントで、この日はその観艦式のために横須賀に集結した艦船を見られるとのこと。

○ 追浜駅

(の)さんと京急線追浜駅で受付をしました。
前回は受付開始直後だったため、押すな押すなの大混雑でしたが、今回は受付終了間近だったため、空いていました。
さらに受付を済ませた、私たちが腹ごしらえをしているうちに、受付時間は終わり、人もいなくなったため、「もしかしてビリじゃない?」と言いながら歩き始めます。

前回は、前の人たちについていけば迷うことはありませんでしたが、今回は道を確認しながら進まないといけません。
でも、人通りが少ない道を歩いていくのは、気持ちがいいものです。
オリエンテーリング感覚にもなれるし、間違いそうな場所には、スタッフが立って教えてくれます。

秋晴れのいい天気。ウォーキング日和ですが、むしろ暑いくらいで、もう10月半ばにもなるというのに、まだTシャツ1枚の男性や、日傘をさした女性をあちこちで見かけます。
トンネルを抜けると、そこは以前、横須賀トンネル探索日に連れて来てもらった場所でした。
深浦隧道。今年のGWに訪れた場所です。懐かしくなって、また写真を取りました。

 

私たちは以前、地元の(ゆ)兄に説明しながら案内してもらったけれど、今回の参加者たちは、気にせずどんどん歩いていくのかしらー、と思いましたが、今回は受付時に「横須賀トンネルマップ」という地図ももらっており、そこに一つ一つのトンネルについて、詳しく記載がされていました。
監修者は平沼義之氏。写真はまさしく、先月(の)さんと参加した「廃道サミット」にDVD登場していたヨッキれんさんでした。
ちなみに(ゆ)兄は以前『神奈川 横須賀隧道めぐり』に参加したそうですが、その時のナビゲーター、トリさんは「廃道サミット」の司会でした。
気付けば知っている名前ばかり~!なんだかんだで、ディープな道に進みつつある私…?

 

○ 深浦湾

少し歩くと、深浦湾に出ました。静かに停泊する漁船とボート群。
学生時代、平潟湾に馴染んでいた身にとって、ノスタルジーを感じる光景です。
水はきれいに透き通っており、底がクリアに見えました。

 

今回の行程は9キロ。前回ほど長くありませんが、アップダウンがあるため、きつく感じます。
じりじりとアスファルトに照りつける日光が反射して、秋なのに暑いー。

梅田隧道のそばには、石碑がありました。
近隣町村の有志たちがお金を出し合って掘った隧道だと書かれていました。
「当時は自分たちが負担したんだねー」と、(の)さんは感慨深げでした。
作られたのは明治20年。まだ政府はそこまで動いてくれなかったんでしょう。

○ 長浦港

再び海に出ました。そこは長浦港でした。
大きなガントリークレーンを見上げながら、先に進みますが、一瞬道がわからなくなり、キョロキョロしました。
そのほんの少しのタイミングを見計らったかのように、「どうしましたか?」と声をかけてくれた、ジャンパー姿の男性がいました。
消防署への道を教えてもらい、又歩き出しました。
「スタッフの人とは服が違ったけれど、きっと関係者よね?」と二人で話しましたが、どうやらその人は観光ガイドだったらしいことに、後になって気が付きました。
お話を聞けばよかったわー。暑さでちょっと余裕がなくなっていたのです。

さらに上り坂になり、ふうふう言いながら歩いていきました。
ウォーキングは好きですが、夏の間は歩くのをやめていたため、明らかに体力が落ちています。

 

道を歩き切ったところには、スタッフの人が数名いました。
「ここが水道トンネルですよ」と教えてもらったところは、やっぱり(ゆ)さんに案内してもらった盛福寺トンネル。
でも(の)さんは、すぐには思い出せなかったようでした。
話しても「別のところでしょう」とすぐに信じてくれません。前は「ここに住みたい!」って感激してたのにー!
前に訪れた時は、反対方向から車で来たので、印象が違ったんでしょうね。

ここにいた人も、ガイドさんでした。説明してくれながら、「ほかに参加者らしき人はいました?」と質問されたので、途中の信号で追い越してきた人たちがいたことを思い出して「あと数名だと思います」と答えました。
もうほとんどビリなのね~。

そこから海の方へと歩いていきます。この道は、5月にも通った道。
「気がつけば、(ゆ)さんを偲ぶ会になってるね」と、なぜかしんみりする私たち。
(ゆ)さんはすこぶる元気なんですが。今、アメリカ出張中なので、声をかけられなかっただけで。

 

○ 海上自衛隊第2術科学校

信号を渡ると、広い敷地の海上自衛隊第2術科学校がありました。今回はここを特別公開しているとのことで、見学してみます。
学校前の水路に水鳥がいましたが、水路はとても浅いようで、水鳥は水の中を泳げず歩いてペタペタ移動しており、その様子を二人で上からのぞいて笑っていたら、正門そばの関係者たちが不思議そうに私たちを見ていました。
不審者じゃありませーん。

 

制服姿の人を見てテンションがあがりましたが、敷地内に入るとびっくりするほどたくさん関係者がいたので、逆にもじもじしてしまいました。
どうも時間的にビリ辺りのため、変に目立ってしまっている感があります。この辺りで少し挽回しないと。

公開されている海軍機関術参考資料室には、勲章や制服、書画など、さまざまなものが陳列されていました。
海軍士官の肩章もあり、見慣れないものなのでしげしげと眺めます。
私は東郷元帥の「忍」の書や、山本元帥の短刀よりも、芥川龍之介の教科書に興味を引かれました。
だって、なぜここで芥川?
彼は、英語教官をしていたそうです。短編『蜜柑』にそれに関するエピソードが織り込まれているとのことなので、今度読んでみようと思いました。

熱心に見学している人たちは大勢いましたが、私たちはビリの汚名から逃れるべく、売店見学もそこそこに(萌えキャラがいました)、また歩きだしました。
田浦駅近くのこの辺りも、(ゆ)さんに案内してもらったところ。地面埋め込みの線路軌道跡を懐かしく眺めます。
以前連れて来てくれた人が一緒にいないと、どうしても感傷的になってしまうものですね。

比与宇隧道を抜けると、そこはベイスターズの練習場。私でも周辺地理を覚えています。
そこを歩き続けて、メガネトンネルを眺めながら線路を越え、心臓破りの坂に着きました。
スタッフの人が「1時になったので、ガイドはいなくなりました」と教えてくれました。
参加者全員を迎えるわけではなく、時間制だったと知り、少し安心しました。

○ 安針台公園

ゼイゼイいいながら坂を上ると、そこは安針台公園でした。
参加者らしき人が大勢、休憩しています。
眼下の港には、大きな戦艦が停まっており、見慣れぬ光景に驚きました。

 

一息ついて、又歩き出します。
ここまでくると、かなりの数の参加者たちと一緒になり、車道沿いを列になって歩いていきました。
そこで、桜の花びらのレリーフがついたトンネルを見かけます。
こんなトンネル、見るのは初めて。かわいらしい、女子好みのデザインですね。
そばまで行って名前を確かめました。新横須賀隧道でした。

 

○ 横須賀駅

ここまで来ると、もうゴールは目の前。JR横須賀駅の前を通り過ぎる時に、(の)さんが「ちょっと見ていきたい」と言いました。
ここの駅は、終点でもないのに線路がここまでになっているとのこと。
「?」とのぞいてみると、確かに線路が途切れていました。
「??」どういうことでしょう。
かつて、米軍横須賀基地への物資輸送に利用された線の名残のようです。

 

またこの駅は、階段がないのも特徴だそうです。
駅舎の外には、横須賀海軍カレーの公式キャラクター「スカレーちゃん」の人形がいました。
カレーの大皿を抱えたかもめの水兵さんです。
スカレーって、酢カレーのような、スカーレットのような、聞き慣れないので変な感じー。
「これ、チキンカレーだったらやだよね」と、暑さに疲れた私たちはブラックなことを言いながら、先へ進みました。

 

○ ヴェルニー公園

ヴェルニー公園は、参加者でいっぱい。並んでゴールのピンバッヂをもらいました。
完歩です。それから、海上自衛隊横須賀地方総監部へと向かいました。

 

○ 海上自衛隊横須賀地方総監部

大勢の人が歩いていき、賑やかなパレードのようです。
入口では、荷物検査がありました。
入ってすぐのところに、パラボラアンテナを発見。
パラボラ好きの私はウキウキします。

 

南極の石と氷も展示されており、神妙な気持ちで撫でてきました。
艦船は何隻も停泊しています。どの艦船も、カラフルな万国旗のような旗で飾られています。
これを満艦飾というのだとか。

 

艦船がいっぱいで、キョロキョロします。
普段なら(横須賀港は軍港で、コンクリ色の戦艦が停泊していて怖い)と思ってしまうのですが、今回は青空に映える満艦飾が華やか。
それに、今では戦艦といわれるものは三笠くらいで、ほかは艦船なんですよね。
この辺り、からきしうといので、ぽーっとしています。
それでも黒い巨大なタイヤの浮きには心惹かれました。私が乗っても沈まなそう。

 

船から降りてくる人がカッコ良くて絵になっていました。
映画『愛と青春の旅立ち』みたーい。

 

 

私たちは、「護衛艦いせ」の中に入りました。
全長197m、全幅33m。とにかく巨大です。
中は想像していたよりも大きくて、ぐるりと見回します。
その広いスペースに掲げられた、大きな旗が目を引きました。
漁船なら大漁旗と言いたいところですが、これは何というのでしょうか。
「百戦錬磨」と書かれた旗に、まさに海を制する心意気を感じました。

 

日本茶が入っているらしいダンボールには、なぜか「整列休め」と書かれていました。
「あれ、なんだろうね」と言いながら眺め、帰宅して調べてみたら、自衛隊限定の緑茶でした。
そんなところにも限定もの?
緑に迷彩柄のペットボトルのようです。凝ってるわ~。

 

 

ブーッ、ブーッというブザー音が聞こえて、明るくなったと思ったら、天井が降りてきて、そこに人々が乗っていました。
なんだろうと集まった私たちは、その流れで乗りこむことになります。
大勢人が集まったところで、再びその床はブザー音を立てて上り始めました。
船の上へと出ました。やっぱり人に囲まれました。

 

船の上では、手旗信号やカンテラ信号(じゃなくて回光通信機)が披露されており、大勢の人たちがカメラを構えていました。
普段見ることのない光景ですが、暑さに弱い私たち二人は、甲板で日光を浴びて、またたくまにへたってしまい、一巡した後に、また下へ戻ることに。
人を乗せて上り下りしている船の天井は、普段は航空機用昇降機として使われているようです。
この日ばかりはフル回転でした。

青空を背景に、風に万国旗がはためくのが爽やかですが、「ちょっとまって、これって万国旗じゃないよね」と気が付きます。
「そもそも、自衛隊に万国旗って、なんか変じゃない?」「じゃあこの旗ってなんだろう?」「単なる模様かな?」
考えても分かりません。
わからないことは聞いてみよう!
でも、どの隊員たちも、なにかしら動いているか、人の質問を受けているかで、忙しそう。

(の)さんは、何かをチェックしているようです。
「ところどころにいる、黒い腕章をつけている人は、警備隊だから目つきも鋭いよ」と言われて見てみると、確かに猛禽類のような鋭い視線をした、強そうな人でした。
じゃあせっかくなのでと、その人に聞いてみることにします。
肝心の(の)さんは怖がってか、少し離れた所へ行ってしまいました。
単身、向かい合うと、さすがに迫力でKO負けしそう。
でも、「この旗は、国旗じゃないですし、一体なんでしょうか」と質問したら、「これは、一つ一つAとかBとか、アルファベットの意味があるものです」と教えてくれました。
「マストに平行に張られているロープにつけて、"WELCOME"とか作るようですよ。私はどれがどれかわかりませんが」
にこやかに、親切に教えてくれました。どうもありがとう!
国際信号機なんですねー。(の)さんも一緒に聞けばよかったのに。

ほかの艦艇も一般公開していましたが、すっかり満足し、歩き疲れておなかも空いた私たちは、再び秋バラの咲くヴェルニー公園を通って、汐入のショッパーズプラザで食事を取り、今回のウォーキングを終了しました。

○ 横浜港海上保安部

といっても、歩くのをやめたわけではありません。
「9キロかあ、もうちょっとだね」と、歩き足りない私たちは、横須賀から横浜に移動して、さらにみなとみらいを散策していました。
もう辺りは暗くなっていましたが、突然パッと船がライトアップしました。
気がつくと、岸には大勢の人がカメラを構えて待ち構えていました。

 

ここは横浜港の海上保安部。海保のイルミネーションです。
そう言えば、と思い出します。
横須賀でも、食事を終えて移動するとき、大勢の人たちがカメラ片手に艦船を見つめて、何かを待っている風でした。
(いったい何があるんだろう?)と二人で首をかしげましたが、きっと今頃、横須賀の海自でも同じようにライトアップされているのでしょう。
たくさんトンネルをくぐり、たくさん歩いて、普段見られない海自イベントをいろいろと見学できた楽しい一日でした。

2012-10 秋さきがけの奥日光 index

2012-10-12 | 北関東(茨城・栃木・群馬)


◇ 1st day 下今市、中禅寺湖
スペーシアで向かい、プリウスに乗り換えます。
滝尾神社を参拝した後、いろは坂を上って戦場ヶ原へ。
秋さきがけの紅葉が鮮やかでした。

◇ 2nd day
ハイブリッドバスに乗って、普通車では行けない浜へ。
林道をハイキングして、ひと気のない西ノ湖にたどり着きました。
のんびり、ゆったりと日光を楽しめた、癒しの旅でした。




2012-10 秋さきがけの奥日光2

2012-10-11 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
1日目からの続きです。
○ 宿の朝
○ 龍頭の滝
○ ハイブリッドバス
○ 中禅寺湖千手ヶ浜
○ 林道ハイキング
○ 西ノ湖
○ いろは坂のカラス天狗
○ 日光杉並木
○ epilogue


○ 宿の朝

 

2日目の朝。秋晴れのいい天気です。
カーテンを開けると窓ガラスが曇っており、外の寒さを感じました。
下界はまだ夏気分なのに、やっぱりここまでくると、すっかり秋ですね。
慣れない寒さのせいか、昨日までのハナ声が、さらにかすれ声になっていました。

 

朝食をいただきます。
料理はもちろんのおいしさですが、さまざまな器が心を浮き立たせます。
自分の家では、なかなかこんなにバラエティに富んだお皿は使いこなせないものですから。

 

朝風呂にも入りました。
ほかのお客さんはおらず、貸し切り状態。
部屋数が少ないこの宿では、食堂以外で宿泊客と会うことはほとんどありませんでした。

○ 龍頭の滝

 

11時にチェックアウトし、まずは龍頭の滝へと向かいます。
紅葉も始まっており、絵のような美しい景観でした。

 

龍頭観音堂の敷地には、私の好きな禅のつくばいがあったので、喜びます。

 

滝にそって、散策コースがありましたが、私たちは赤沼に向かいました。

 

奥日光の赤沼から中禅寺湖の千手ヶ浜までの道路は、一般車両通行禁止になっており、春から秋の半年間は、ハイブリッドバスのみが運行しています。
マイカーが増えたために、自然破壊が深刻になったことからだそう。
「プリウスならいいんじゃない?」「通っちゃう?」などと言いながらも、もちろんエコバスに乗り替えました。

○ ハイブリッドバス

 

登山スタイルの方が大勢乗り込み、バスはほぼ満員で出発しました。
バスはどんどん林の奥へと分け入って行きます。
途中の小田代原で、ほとんどの人が降りて行きました。

 

ここの秋の草紅葉が美しいとのことで、たしかにバスの中からも、赤く染まった湿原を楽しむことができました。
周囲は遊歩道になっているため、みんなそこを時間をかけてゆっくり散策するようです。

○ 中禅寺湖千手ヶ浜

 

途中の高山への登山ルートで降りる人などもおり、終点の千手ヶ浜まで乗っていたのは、ほんの数名でした。
それでも、湖好きの私たちは、いそいそと浜へ向かいます。
湖の西端にあるこの浜からは、賑やかな側の岸は見えず、人のほとんどいない、林の中の湖を散策しました。
途中に小さな吊り橋があって、ご機嫌になります。

 

 

 

倒木は自然のままになっていますが、ここも少し整備され、別荘地の雰囲気。
「東京アングリング・アンド・カントリークラブ」という古い表示を見つけました。
アングリングとは趣味の釣りという意味だそうです(フィッシングは漁業)。
この地に避暑に訪れる欧米諸国の外交官たちを中心に、千手ヶ浜一帯のエリアを借りて、マス釣りやゴルフを楽しんだクラブだそう。

 

大正から昭和初期にかけて、奥日光は「夏場の外務省」と呼ばれて、湖ではヨットレースも行われたそうです。
本当に外交官たちのリゾート地だったんですね。
第2次世界大戦以降、今のような静かな場所に戻ったとのこと。
知りませんでした。

 

 

○ 林道ハイキング

湖畔を散策してから、2km離れた西ノ湖(さいのこ)まで行ってみようということになりました。
ハイブリッドバスしか通らない、空気のきれいな場所。すがすがしい空気の中をお散歩しない手はありません。
木々の中の細道に沿って歩き始めました。

 

果てが見えない林の中。木漏れ日が差し込んで明るく、とてもいい気持ちです。
いつもだったら、たくさん歌を歌いたいところですが、今日は少し喉が痛むため、静かにトローチをなめながら歩いていきました。

 

林の中をまっすぐのびる一本の道。なんて素敵なんでしょう。
誰にもすれ違いません。いい場所です。

 

 

しばらく歩いていくと、吊り橋があったので、小躍りしました。
自然っていいですね。好きなものにどんどん出会えて。

○ 西ノ湖

ほどなくして、西ノ湖に着きました。
ここは中禅寺湖から離れてできた、小さな遺留湖です。
とても小さな、自然の中の湖。
夢見る子供の頃に憧れていたような景色が広がっていました。
静かです。すっかりリラックスできました。

 

湖から散策道に戻るところで、数人の人々の姿を見かけました。クマよけのベルをチリチリと鳴らしてにぎやかでした。
別の道を通ってバス停へと向かい、エコバスに乗って、赤沼へと戻りました。
とても気持ちのいいハイキングルートでした。

○ いろは坂のカラス天狗

プリウスに乗りこみ、帰途につきます。
下りのいろは坂の「し」のカーブのところに、さりげなくカラス天狗の像が座っていることに気が付きました。
交通安全を呼び掛けているこの親切な天狗さんは、日光二荒山神社から去年の秋にやってきたそうです。

 

○ 日光杉並木

坂を降りて神橋を過ぎ、杉並木と並走していきました。
杉並木といったら箱根を連想しますが、ここは長さ35キロ以上あり、世界最長の並木道としてギネス認定されているそうです。
さすがは徳川家東照宮の参道。走り抜けながら撮ったので、ブレブレですが。

 

ガソリンを満タンにしたら、なんとたったの350円。
つまり2日間走っても、ほとんどガソリンを使っていなかったことになります。
私たちもスタンドの人もびっくりでした。プリウスすごーい。
車を返して、再びスペーシアに乗り、東京へと帰りました。

○ epilogue

これまでの私の日光のイメージは「車に酔う」「混雑」というイメージが強かったのですが、今回はどちらにも全く悩まされない快適な旅ができました。
いつもお決まりのように訪れていた東照宮や華厳の滝に寄らず、初めての静かな場所に行けて、世界が広がった感じ。
日光、いい場所ですね。すっかりお気に入りになりました。
これから紅葉が本格的になる季節。日光も大にぎわいすることでしょう。
すいている時に、また百年カレーを食べに行きたいです。