風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

愛媛-大分、海の道 1‐(1)

2015-11-13 | 四国
○ prologue~『アダムの創造』

九州の大分県と四国の愛媛県に挟まれた豊後水道。
太平洋と瀬戸内海がつながる場所です。
そのうち最も狭い部分は、大分県大分市の関崎と愛媛県伊方町の佐田岬の間で、豊予(ほうよ)海峡と呼ばれます。
幅は、約14kmしかないのだそう。

愛媛から大分に向けて、西に細長く伸びている佐田岬。
これがあるので、海峡の幅が狭いんですね。

ここは前から気になる場所でした。
日本地図を見るたびに(『最後の審判』の手だわ!)と思っていたのです。

ミケランジェロがバチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂に描いた『最後の審判』。
この『アダムの創造』の絵をご存知の方も多いと思います。
神がアダムを創った時の様子です。



この絵の、神とアダムの指の部分を、いつも思いだしていました。



ほら、似ていませんか?
私には愛媛と大分に見えてなりません。
だめ?



もうちょっとアダムの手が下から出ていればよかったんですが。
『E.T.』のポスターを反転させる方が近いかなという気もしますが、まあアダムでいいでしょう!

前に、フェリーで伊勢湾を渡って鳥羽に行った時のことがとてもいい思い出となっており、今回は気になる佐田岬を目指すことにしました。
今回は、松山イン、大分アウトの旅程。四国から九州にフェリーで渡ります。
インとアウトの場所が違うと、移動の旅をしている気になって、わくわくします。



1日目=緑、2日目=紫、3日目=オレンジ、4日目=赤で囲んだ範囲を動く予定です。
大分在住のアカネちゃんにも会えることになりました。

この「岬を渡る旅」、我ながらすてきなプランだと思いますが、周りに「何しに行くの?」と聞かれて、「岬からフェリーで海を渡りに」と説明すると、相手はたいていリアクションに困ってしまいます。
それを見て(そんなにマニアックなの?)と不安になり「道後温泉と別府温泉をハシゴする」と言い直すと、「いいね、それ!」と生き生きした返事が返ってくるので、空気を読んで「温泉めぐりの旅」と言い続けていました。
温泉めがけて行ったと思っている友人たち、本当は違ったんですよ。
温泉も楽しみですけど、そんなちゃんとしたことが目的の旅は、一人の時はしません!

○ 雨の日は早目に出発(10月16日)

この日は朝から雨。電車もリムジンバスも、どちらも遅れ、バス乗り場はなかなか来ないバスを待って、大勢の乗客たちが騒然としていました。
予定よりも15分遅れで空港に到着。フライトギリギリの人がいたようで、何人もの人がフルダッシュをしていきました。
私はゆったりカウンターへ。早めに出発していて、よかった~。

初日は完全にフリーの日。
だから(もしフライトに間に合わなくても、迷惑をかける人はいないかな)と思いましたが、(いやいや)と思い直しました。
予約していた宿から、シシ鍋に誘ってもらい、お受けしていたんでした。
なかなか野性味豊かなお申し出です。

飛行機が分厚い雨雲を抜けると、きれいな青空が広がっていました。
朝から肌寒くて冷えて震えていたのが、嘘のようです。まあ、上空なので寒さはありますが。

○ 初めての愛媛

下界は雨でも、雲を抜けると明るい世界。高度16000mの空を渡っていきます。
「ただいま赤石山脈です」とアナウンスが入りました。木曽山脈や御嶽山が下に望めるそうです。
「左側に伊勢湾、志摩半島が見えます。もうすぐ琵琶湖が見えます」
今回の副操縦士は親切で、いろいろ教えてくれます。
でも、通路側だったし眠かったしで、瞼が開かず耳で聞くだけでした。

私にとって、初めて訪れる愛媛なので、ワクワクしています。
数年前に日本で訪れていない場所を調べてみたら、鳥取、愛媛、富山の3県でした。
2年前に鳥取を旅し、今回愛媛に行くので、残るは富山県のみとなります。
私にとって一番縁遠い土地は、富山でした。
我ながら意外ですが、まだ黒部には行けていないのです。

全国制覇はしたいですが、急いでコンプリートしたら、これから先の楽しみがなくなりそうなので、あせらずとっておくことにします。
富山のお話は、またその時に。

○ みかんジュースタワー

松山空港にはポンジュースが出てくる蛇口があると聞いていましたが、今は月に一回しか登場しないそうで残念。
でもみかんジュースタワーが迎えてくれました。



さすがはみかん大国。裏切りませんね。
シャンパンは無理でも、これなら全部飲み干せそう!樽ごと持ってこーい!

シャトルバスに乗って町の中心部へと向かいます。
途中の松山駅前で降りてみました。レトロな雰囲気で『ぼっちゃん』の世界を彷彿とさせます。



ゆるキャラグランプリ王者のバリィさんがいました。
今回、今治に行かないので、会えないかと思っていましたが、JR予讃線は今治まで行くからですね。
今治観光大使兼、伊予観光大使だそうです。



東京は陰気な雨が降っていましたが、こちらは突き抜けるほどのいい天気。暑くて上着を脱ぎます。
そこからお堀に向かって大通りを歩いていきました。



市役所がありました。愛媛マンダリンパイレーツってなんだろう?
なぜ東京ヤクルトスワローズも一緒にお祝いしているんだろう?

○ お城へ登山

お堀の横にある県庁はさらにどっしりとした建物で、風格がありました。歴史を感じます。
県庁の後ろには松山城が見えます。地図を見ると、お城へと続く道は4本ほどあり、県庁の裏からも行けるよう。
県庁裏登城道というルートです。ここから上っていこうかな。



そう思って行くと、すごい急勾配でした。
歩き出す気力が萎えますが、まあ行ってみましょうか。
山道なので緑が多かったのが救いでしたが、それでもきつい坂で、ゆっくり進んでいきました。

途中、立派な石垣がそびえています。
これは「登り石垣」といって、山腹から侵入しようとする敵を阻止するため、ふもとの館と山頂の天守を、山の斜面を登る2本の石垣で連結させたもの。
国内の現存12天守の城郭では、ここと彦根城だけにしかない、貴重なものだそうですが、ハーハー息をあげて登っている私には、見上げてじっくり鑑賞する元気はありませんでした!



全荷物を背中にしょっているので、重いのです。たいしたものは入っていないのに。
よろよろと歩いて行くと、坂の上から子守歌を歌いながら乳母車を引いてくる若いお母さんがいました。
ママさん、降りてきたということはこの急坂を上っていったの?乳母車引いて?うそでしょう?
謎です。あれは白昼の幽霊だったのかしら。

○ よしあきくん

ようやく天守閣まであがると、目下工事中で、幌をかぶっている建物が結構ありました。
お城や武将の写真と「工事中」の表示のアンバランスさがなんだか楽しくなります。



松山城のキャラクター、よしあきくんが出迎えてくれます。
一瞬、プリングルスかと思いました。



クラスメイトにいそうな名前ですが、松山城の初代城主、加藤嘉明(よしあき)にちなんだもの。
彦根城のひこにゃん、熊本城のひごまるに負けずに活躍してねー。

○ お坊さんと外国人

お城を黒い法衣を着たお坊さんが、一人で見学していました。
古城と松とお坊さん。とっても絵になる光景です。
草履ではなくスニーカーを履いていました。ここは山ですからね。





遠くに海が望めます。
ふと視線をずらすと、欧米人のカップルがいました。
同じお城にいても、お坊さんと外国人とでは、雰囲気ががらりと変わるものですね。



○ スズメがともだち

山登りをしたので、休憩しようとベンチに腰かけてクッキーをつまみました。
すると、チュンチュンと鳴き声がして、スズメが近づいてきました。
とってもこちらを見ているので、かけらをあげることにします。
自分の近くに置きましたが、無事取っていきました。
大きなかけらすぎたので、ちょっとずつついばみながら。
動画に撮りました。一人旅では鳥が友達さ~(ひゅるる~)。



○ 温泉なのか火事なのか

見晴らしはとてもよかったです。でも方角がつかめていないため、どっちがどっちか全くわかりません。
ふと目を凝らすと、一カ所からモクモクと白い煙が上がっていました。
あれは、火事?いえ、この辺りだと、温泉の煙でしょうか。



道後温泉かな。いいですね~。
これから向かうのはあの辺りかと思いながら、眺めました。(とかいって、本当に火事だったりして)



松山市は俳句王国なので、市内のあちらこちらに俳句の投句箱が設置されています。
俳句が趣味の伯母が、以前松山旅行の折に投句したものが、その年の最高賞に選ばれて、賞状と記念品が市から送られてきたそう。
伯母にとってなによりの旅の記念になったことでしょう。

○ 石垣ビューティフル

前を歩く人にぼーっとついて行ったら、違う折り口を歩いて行きかけて、あわてて戻りました。
お城の石垣に見とれます。夏に熊本城の武者返しに魅せられてから、すっかり石垣を眺めるのが好きになりました。
人がどんどん通り過ぎていきますが、気にせず立ち止まってじっくり見入ります。



ここの石垣も立派です。うーん、美しい。
こんな小高い山の上まで、大きな石を運んできた人々がいてこその芸術ですね。



リフトを下から眺めます。はじめからリフトに乗って行けばウンウン山登りをすることもなかったんですが、リフト乗り場が遠かったんですよね。
帰りは行きとは違う、東雲口へ向かいました。



○ 東雲神社

下り道の途中にある東雲神社を参拝したかったのです。
「東雲」とはすてきな名前ですね。
天照皇大神などのほかに松山藩の藩祖を祀っている神社。
横広で、靖国神社のような迫力のある場所でした。



長い石段を下りて、下に着きました。
道後温泉に向かおうと思いましたが、市電乗り場がわかりません。
近くにいた人に聞いてみると、そこはお弁当屋さんで、「よくわからないから」と、わざわざ奥で働いていた御主人を呼んでくれました。
「市電ですか、歩きですか?」と聞かれて、
「歩いても行けるんですか?」と聞くと、
「行けますよ。市電の線路をたどっていけば着きます」
確かに、もっともな話です。

○ 走り去る坊ちゃん電車

市電の走る道路に出ると、レトロな電車が目の前を走って行きました。
あっ、坊ちゃん電車!
乗ってみたいと思っていましたが、本数が少ないため、チャンスは限られています。
もうちょっと早ければ、あれに乗れたんですが。でも歩いて行くつもりなんだったわ。



それからは線路をたどっていきます。まるで「オズの魔法使い」で黄色い煉瓦の道をたどるドロシーになった気分。
市電は、オレンジ色の普通の車体のほかに、広告デザインのついたものも走っています。
これにぐっときました。五・七・五じゃないけど…。



てくてく歩いていくと、湯築城(ゆづきじょう)跡につきました。
松山城の近くですが、ここにもかつてお城があったんですね。



○ 終点の道後温泉駅

それからすぐに、終点の道後温泉駅に着きました。
レトロでクラシカルな駅舎。



その横には、先程走っていった坊ちゃん電車の車両があります。
乗り損ねた人も、ここに来れば一緒に撮影ができますね。



結局、JR松山駅からお城に上り、旅の荷物をしょったままで道後まで歩いてきたことになります。
私、修行の旅をしてたんだっけ?
お城で見かけたお坊さんでさえ、荷物はほとんど持っていなかったのに。
松山に着いてから、白装束のお遍路さんを何人も見かけていますが、やっていることだけは近いかもしれません。

○ 猫いっぱい





野良猫がいたのでちょっと遊んで(もらって)。
人懐こいなと思ったら、次々に別の猫に会いました。

道後温泉は、猫が多いですね。あちこちで見かけます。江ノ島みたい。
ゆっくりした観光客が多いので、かわいがってもらえるからでしょうか。



○ 坊ちゃんワールド

駅のすぐそばの宿に荷物を預けて、再び外へと繰り出しました。
駅の向かいは、もう道後温泉への入り口。
写真でよく見る光景です。



お土産通りになっており、ここでさっそく坊ちゃんコーヒーを買い求めました。



『坊ちゃん』の町と呼んでもいいほど、あちこちに坊ちゃんにちなんだものがたくさんあります。
そんな中で、私が気になったのは、この喫茶店。



あえての嫌われキャラ、赤シャツ(笑)!これぞ反骨精神!
店名を紙に書いて貼っているところも、いいですね~。

その2に続きます。



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2 Comments

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Unknown (アネッティワールド)
2015-11-14 18:22:12
はじめまして。
佐田岬をミケランジェロの
(『最後の審判』の手だわ!)に
びっくりポン!

あまりの驚きに
思わず失礼してしまいました。

しかし
似てますね。
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よかったです! (リカ)
2015-11-14 20:16:02
アネッティワールドさん、こんにちは。
似てましたか!よかったです~。
勇気を出して公表してみたものの、誰にもウンと言ってもらえなかったらどうしようと気になっていました。
これで、世界に一人でも賛同していただける方がいるとわかったので、心強いです。
どうもありがとうございます😃
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