ringoのつぶやき

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DJ-為替の適正水準めぐる議論続く

2013年02月22日 16時38分29秒 | 為替

 (ダウ・ジョーンズ)ユーロの適正水準とはどの程度だろうか。ドイツ政府が答えるか、あるいはフランス政
府かによって答えは違うだろう。

 ドイツのメルケル首相は20日、足元のユーロ相場は「過去の水準からみて普通」と述べ、ユーロの適正水準を
めぐる議論に参戦した。今月初めにはフランスのモスコビシ財務相がユーロは「強すぎるかもしれない」と別の
見方を示していた。

 メルケル首相は「技術的には」正しいとエコノミストらは言う。各国の経常収支に基づいて為替相場を判断し
ているピーターソン国際経済研究所によれば、ユーロの購買力はほぼ妥当な水準にあるという。ただ、ユーロの
価値は、ほとんどドイツ経済が比較的堅調だという理由だけで押し上げられていると警告する向きもある。つま
り、ドイツよりも経済が弱いスペインやイタリアなどの国が自国通貨を使い続けていれば、それらの通貨価値は
ユーロよりもはるかに低いことになる。

 ユーロ安により苦境に立つ欧州諸国の輸出競争力は高まり、助かる可能性がある。だが、通貨価値が下がりす
ぎるとインフレの急騰を招きかねない。

 3億ドルの資産を運用するトラクシス・パートナーズのマネジングパートナー、アメル・ビサト氏は、「ユー
ロ圏のある地域で適正だと考えられることが、他の地域でもそうだとは限らない。ユーロは北部諸国にとっては
過小評価されているが、南部諸国にとっては割高だと言えよう」と述べた。同氏はコロンビア大学で金融理論を
教えている。

 為替の世界における「適正」とは何を指すのかについては、世界中の議会や中央銀行でも同様の議論が繰り広
げられている。米国の政治家の中には、中国が輸出拡大を狙い人民元を不当に安値に抑えているとの批判もある
。アジアでは各国の指導者が今年、日本が円相場を極端に低く押し下げていると非難し、通貨安政策で対抗する
構えを示している。こうした挑発的な発言が繰り返されることで、各国が自国通貨の切り下げを競う世界通貨戦
争へと加速度的に発展しているとみるアナリストもいる。

 通貨切り下げ競争を複雑にしている一因は、ある通貨の適正水準を測るうえで、世界的に認められた尺度が存
在しないことにある。エコノミストらは、国ごとの同一商品の価格比較や、経済の支出額に対する収入額や投資
額の計測など、さまざまなデータを用いている。それでも、主要通貨が高値ないし安値に操作されているとの見
方は、エコノミストによって全く異なる場合がある。

 大半のモデルは、ユーロの価値はほぼ適正だと認めているが、円相場については解釈が分かれている。物価や
国家財政の状況など8つの経済変数を用いて通貨を評価しているマケナ・キャピタル・マネジメントは、円相場は
日本の金融政策の調整に伴い1ドル=120円00銭まで下がるかもしれないとみている。一方、ピーターソン国際経
済研究所によれば、円相場は1ドル=84円00銭という適正水準を既に12%も下回っているという。22日の日本時間
午後1時20分現在、ユーロは1.3215ドル、ドルは93円30銭程度で取引されている。

 バークレイズの外国為替定量分析チーフストラテジスト、アループ・チャタジー氏は、「結局のところ、個人
の解釈次第といった感がややある」と述べた。同氏は複数のモデルを用い、ある通貨が買われすぎ、ないし売ら
れすぎであると全てのモデルが判断する瞬間に目を光らせている。

 通貨価値を比較する非常に単純な方法の1つは購買力平価(PPP)だ。別々の国で同一品目を買うと、それぞれ
いくらかかるかを比較するというものだ。例えば、米コーヒーチェーン大手スターバックスで「グランデ」サイ
ズのラテを注文したとしよう。ニューヨークでの価格は4.30ドルだが、オスロでは9.83ドル(ノルウェークロー
ネ建ての価格をドル換算)もするが、イスタンブールでは3.92ドル(トルコリラ建ての価格をドル換算)と割安
だ。ただ、PPPには国家財政や貿易収支といった要因が考慮されていないため、万能な指標ではないとエコノミス
トらは述べている。

 国際通貨基金(IMF)の経済モデルは世界中の金融機関や政府が指標としているが、そのIMFでさえも為替相場
の評価方法を見直しつつある。

 IMFは何年間も、ある通貨の主要通貨バスケットに対するおおよそのレンジを求めるため、経済指標を変数と
する3つの異なる計算式を用いてきた。その中には、ある国の貿易赤字ないし黒字を、経済の基本的特性や長期平
均に基づき妥当と考えられる水準と比較する指標も含まれる。

 IMFは試験的にモデルを拡大し、ある国が公開市場で自国通貨を売買することで為替相場にどの程度の影響を
及ぼしているか、という要素も考慮しようとしている。

 IMFのラガルド専務理事は15日、モスクワで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、主要
通貨の最近の相場が「適正水準からかけ離れているということはない」と述べた。

 「ユーロが上昇し、円が下落したのは確かだ。ただそれは、欧州で最近優れた政策が講じられ、日本でもこの
度一段と緩和的な方向へ改められた金融政策が実施されたことが原因だ」と専務理事は指摘した。

 一部の通貨については、各モデルの割高か割安の認識は一致している。

 ピーターソン国際経済研究所によると、「キウイ」の愛称で知られるニュージーランドドルは、経済のファン
ダメンタルズ(基礎的諸条件)に基づき妥当とされる水準を19%程度上回っている。これは投資家がニュージー
ランドの債券に妙味を見いだしていることが原因だ。同国の債券利回りは大半の先進国のそれを上回る。ニュー
ジーランド準備銀行(中央銀行)のウィーラー総裁は20日、ニュージーランドドルは「大幅に過大評価されてい
る」とし、同行として「状況が許せば」介入する方針を明らかにした。

 逆に、スウェーデンクローナは過小評価されているとほとんどのモデルが示している。年初来のドルに対する
上昇率は、クローナが他の主要通貨をしのいでいるというのにだ。

 完璧な為替モデルを構築するのが難しいのと同じくらい、現時点で利用可能な為替モデルの多くは、十分な時
間さえあればうまく機能する場合が多い。

 ドイツ銀行のストラテジスト、アラン・ラスキン氏は「50%程度の過小評価であれば5年以内に解消されるこ
とが多い。長期的に見れば、こうしたモデルには間違いなく価値がある」と述べた。



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