ringoのつぶやき

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不気味なFX円高地雷 爆発する相場水準は  編集委員 清水功哉

2017年03月29日 12時37分06秒 | 為替

 

今週は米トランプ政権の政策の実現性を材料に株式相場がネガティブに反応する程度に応じて、ドルの対円相場も1ドル=108円程度まで下がるリスクを注視している――。ドル相場の先行きを強気に見てきたドイツ証券の田中泰輔氏が27日、こんな見方をリポートで示した。同氏は中期的なドル高予想は変えていない。ただ、3月後半に入って急速に進んだドル安を受けて、ドル強気派も短期的には108円程度までドルが下落する可能性を意識し始めたようだ。

 

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 となると気になる点がある。外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける個人投資家(通称、ミセス・ワタナベ)のドル買越残高(対円)が高水準になっていることだ。108円程度までドルが下落すれば、損失確定のドル売りが一気に膨らみかねない。これはさらなる円高圧力をかけそうだ。「円高地雷」爆発への警戒が必要になってきているのだ。

 具体的な数字を基に説明していこう。筆者が週次ベースで集計している有力FX業者4社(GMOクリック証券、外為どっとコム、セントラル短資FX、マネーパートナーズ)のデータを見ると、3月15日~22日の1週間にドルの買越残高が急拡大し、約32億ドルとほぼ1年ぶりのレベルになった。一部業者の日次データから推定すると、この残高はその後も大きくは減っていないようだ。

■買越残高、逆張りで膨らむ

 なぜドル買いが拡大したのか。3月後半に入りドルが軟調になったことを受けて、ミセス・ワタナベが得意の逆張りの買いを積極化させたからだ(詳細は3月23日公開の日経電子版の拙稿「ミセス・ワタナベ、トランプ相場最大のドル買い」を参照)。3月半ばに一時115円台を付けていたドルは、27日の米市場では一時110円11銭に下落した。ほぼ4カ月半ぶりの安値だ。

 ドルが軟調地合いになったきっかけは、3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)。年内の米利上げ回数が「4回」でなく「3回」にとどまるとの金利予測がドル売りを促した。18日閉幕の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米国の要求により共同声明から「保護主義に対抗」という文言が落ちた。米政権の保護主義的な姿勢が改めて印象付けられ、円買い圧力が強まった。さらに足元では、米政権が大規模な減税など景気刺激策を本当に実施できるかも不透明になってきた。議会との調整の失敗により、重要な政策と位置付けてきた医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案の撤回を余儀なくされたからだ。

 もちろん、今後ドルが軟調に推移し続けても、ミセス・ワタナベが損失確定せずに我慢する可能性はある。ただ、いつまでもドルを持ち続けるのは難しい。FXには、投資家の評価損が証拠金の一定割合に達すると強制的な反対売買で損失を確定する機能(ロスカット)があるからだ。

■倍率10倍なら108円でロスカット

 ドルがどこまで下がればロスカット発動が増えそうなのか。推計してみよう。

 まず、前出の有力業者4社のデータを集計した3月22日までの1週間に、ドルは主に111~114円程度で推移した。ミセス・ワタナベはこのレベルで巨額のドルを買ったとみられる。

 では、FX投資家が利用している証拠金倍率(証拠金の何倍の取引をしているかを示す数値で上限は25倍)は、どの程度なのか。外為どっとコム総合研究所の「外為白書」によると、FX利用者のおよそ半分は10~25倍で取引しているという。ただこれはあくまで人数ベースの比率。倍率の分、金額ベースでは5割をかなり上回るだろう。

 

4月に予定される日米経済対話開始に向けて円高の可能性が意識されやすくなる点も要注意だ
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4月に予定される日米経済対話開始に向けて円高の可能性が意識されやすくなる点も要注意だ

 以上のことを踏まえつつ、強制的にドル売りをさせられる相場水準を推計すると以下のようになる。

 まず証拠金の半分(50%)の損失でロスカットになると想定する。そうすると25倍で取引している人は2%のドル下落で売りを強いられる(2%の25倍が50%)。10倍なら5%の下落でロスカットだ。上述した通り、ミセス・ワタナベがドルを買った水準は主に111~114円程度。ここから2%のドル安とは109~112円程度。5%の下落なら105~108円程度である。このあたりが「円高地雷」が爆発しそうな水準のメドということになる。既にロスカットされている人もいるかもしれないが、本格化するのはこれからだろう。

 25倍で取引している人は、ドルが109円まで下がる過程で強制的なドル売りを迫られそうだ。その後108円に下がると10倍で取引していた投資家に対してもロスカットが始まる。大ざっぱにいえば、そんなイメージである。

 果たして「地雷」の爆発が円高に拍車をかける展開になるのか。4月に予定される日米経済対話開始に向けて、円高の可能性が一段と意識されやすくなりそうなだけに、要注意だろう。



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