ringoのつぶやき

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資源争奪(3)悩める分散調達(迫真)

2013年01月18日 17時41分01秒 | 社会経済

2013/01/18 日本経済新聞

年の瀬が押し迫った2012年12月12日。レアアース(希土類)を使う日本企業に衝撃が走った。北米産レアアースを日本に供給する計画の米資源会社モリコープが最高経営責任者(CEO)マーク・スミスの辞任を米国時間の前日に突然発表したのだ。スミスは2カ月前に東京に姿を見せたばかりだった。


 身長2メートル近いスミスは右肩上がりの生産計画のグラフを見せてこう語っていた。「日本の顧客を重視して米国鉱山からレアアースを安定供給します」


 12年11月には米証券取引委員会(SEC)がモリコープの「情報開示の正確性」を巡って調査に乗り出したのが判明。同社はスミス辞任とSECの調査は「一切関係ない。計画に変更はない」と強調する。
 モリコープは1月上旬にレアアース生産の新設備の稼働を始めたと発表した。だが、スミスの辞任やSECの調査で日本企業の担当者は「当初の計画より遅れており、一向に北米産レアアースは届かない。本当に米国が中国に対抗して同じ価格で供給できるのか」と漏らす。


 レアアースはハイブリッド車や電気自動車、ハイテク機器に必要な永久磁石の原料だ。世界供給の約9割を中国が独占する。中国依存は大きなリスクだ。


 レアアース専門商社、アドバンストマテリアルジャパン(東京・千代田)社長の中村繁夫(65)には沖縄県・尖閣諸島の漁船衝突事件で10年秋に中国産の対日輸出が滞った悪夢が脳裏から離れない。中村は当時、上海の税関に駆け込み「早く輸出を再開してくれ」と迫った。「抜き取り検査をしているだけだ」。中国人係官は一切取り合わなかった。「過度な中国依存は危険だ」。中村は訴える。
 レアアースをどう確保するのか。日本は必死に模索する。12年11月2日、カザフスタン北部のステプノゴルスク。ウラン精製工場の敷地内に住友商事と現地の原子力公社が合弁で建設したウラン残さからレアアースを回収する製錬工場が完成した。
 「カザフなら中国一極依存を突破できるかもしれない」。式典には、住商が鉱山開発の資金支援を依頼した政府系の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)審議役で投資責任者となった西川信康(54)の姿もあった。宴席で並んだグルジア産ワインを味わう余裕は西川にはなかった。ウランの残さは5年分しかないのだ。「レアアースが採れる鉱山を開発しなければ先はない」。調達の悩みはぬぐえない。(敬称略)


【図・写真】カザフのレアアース回収工場の開所式には、現地メディアも駆けつけた(同国北部のステプノゴルスク)



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