ringoのつぶやき

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業を起こす楽天三木谷浩史(1)本気で「打倒アマゾン」(迫真)

2013年01月07日 22時05分02秒 | 

2013/01/07 日本経済新聞 

12月11日火曜日の朝7時30分。りんかい線(東京臨海高速鉄道)品川シーサイド駅から楽天本社に、平均年齢31歳の若い社員が次々と吸い込まれていく。その数、3600人。


 楽天社長の三木谷浩史(47)がたった2人の創業期から続けている毎週の「朝会」。本社勤務の全員が出席し、国内外の拠点をテレビ会議で結ぶ。冒頭、三木谷が10分程度のスピーチをする。
 「キープ・ユア・アイズ・オープン(目を離すな)」。三木谷はいつものように社内公用語の英語で話し始めた。米国ではグーグルのインターネット通販事業がアマゾン・ドット・コムに押されている。「アマゾンの動きを注視せよ」と呼びかけた。
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 楽天とアマゾン。国内で見れば取扱高約1兆2000億円の楽天は推定7000億円のアマゾンを抑えているが、世界の売上高で見ればアマゾンは楽天のほぼ10倍。その巨人が日本に攻め込んでくる。


 「これは端末ではない。サービスだ。本、映画、音楽からカメラ、衣料品、食品まであらゆるアマゾンの商品を販売するリモート店舗だ」


 2012年9月、タブレット(多機能携帯端末)「キンドル・ファイアHD」の発表会でアマゾン最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス(48)は言った。日本でも12月に発売された。

 日本でキンドル・ファイアが普及すれば、それは間違いなく楽天の屋台骨である仮想商店街「楽天市場」の脅威になる。


 三木谷も黙ってはいない。12年1月、カナダの電子書籍販売会社、コボを約280億円で買収した。コボはカナダやフランスの電子書籍市場で首位に立つ。


 12年1月、三木谷は文京区音羽にある講談社の本社に、社長の野間省伸(43)を訪ねた。同社が版権を持つ電子書籍をコボに提供してもらうためだ。「いいですよ。今度は協力しましょう」。9階の社長室で三木谷を迎えた野間は笑顔で答えた。


 三木谷がここを訪れるのは初めてではない。楽天がTBSの買収交渉を進めていた05~06年、TBSの大株主である講談社に株を売ってもらうため、何度も足を運んだ。野間は最後まで首を縦に振らず、楽天のTBS買収も失敗に終わったが、同世代の2人は妙に気が合い、やがて酒を酌み交わす仲になった。


 7月4日、都内で開かれた国際電子出版EXPOで三木谷と野間は電子書籍の未来を語った。
 「三木谷さんにもらったんですけどね」。講演の途中、野間はおもむろに1枚のTシャツを取り出した。「打倒アマゾン」。迷彩柄のシャツの胸に大きく書かれた文字を見て客席からどよめきが起きた。「楽天がアマゾンにケンカを売った」。野間の写真は海外にも配信され話題になった。


 「いやあ、あのTシャツはシャレですよ。まさか野間さんが見せちゃうとは」。三木谷は笑うが、一方でこうも言う。


 「今まで『世界一のネット企業になる』と言ってきたけど、どうも焦点が定まらない。『打倒アマゾン』は、俺たちは日本にとどまるつもりはない、という社内外へのメッセージ。この5、6年、来るべき世界戦争に備えて手を打ってきた」。「社内公用語の英語化」もそのステップの一つだ。


 もちろん口で言うほどたやすくはない。「海外の電子書籍やネット通販で後発の楽天が勝つのは難しい。収益源の国内ネット通販も、アマゾンが利益を度外視して市場を奪いにくれば、体力を削られる」(ドイツ証券シニアアナリストの風早隆弘、37)。市場は「アマゾン有利」と見ており、楽天の株価はこの1年で1割以上、下がっている。


 「簡単じゃないのは分かっている。米国でもアマゾンに挑む企業はほとんどない。でも、僕らはバカだから『できるんじゃないか』と思っている」(三木谷)


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 30歳で日本興業銀行を辞めた三木谷が、当時、商社やNTTが大苦戦していたネット通販事業に参入したのは1997年。「バカげたことを」と笑われたが、15年後には取扱高で百貨店最大手、三越伊勢丹ホールディングスの売上高と並んだ。次なる相手は米IT(情報技術)業界の新たなカリスマと目されるベゾス。起業家、三木谷の大勝負が始まる。=敬称略


(編集委員 大西康之)
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【図・写真】全社員が参加する楽天の朝会。英語で話す三木谷社長(東京都品川区)



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