ringoのつぶやき

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DJ-世界経済の混乱、米国を悩ませるか

2014年10月23日 10時46分43秒 | 社会経済

 世界が信頼できる成長エンジンを必要としている今、欧州のデフレ不安と中国やその他の新興国の景気減速が
、米国経済の足を引っ張ろうとしている。

 海外で起きた嵐は過去4年続けて米国の景気拡大を転覆させそうになった。米国経済はユーロ圏の債務危機、
日本の原発事故などの難局をその都度乗り越え、ゆっくりと着実に成長軌道を歩み続けてきた。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が回復を支えるために採用してきた金融緩和策の巻き戻しを始めた今、海外発
のショックが一挙に押し寄せようとしている。この数カ月の統計を見ると、全般的な雇用の伸びは堅調、住宅市
場はまちまちで、消費者関連指標からは慎重姿勢がうかがえる。

 「米国は今のところ自力で成長しているが、中長期でそれを持続することはできない」とウェルズ・ファーゴ
の上席エコノミスト、ユージニオ・アレマン氏は主張する。「世界の協力が必要になるだろう」。

 中国と欧州が及ぼす外的脅威に加えて、米国はその他多くの脅威――新たに発生した株式市場の乱高下、商品
(コモディティー)価格の急落、ブラジルのような巨大新興国の生産・需要の縮小――とも格闘している。さら
にはロシアとウクライナの政治的緊張、エボラ出血熱をめぐる不安もある。

 シカゴに拠点を置くメシロウ・ファイナンシャルのチーフ国際エコノミスト、アドルフォ・ローレンティ氏は
「善かれあしかれ、米国は現在、世界経済の成長エンジンになっている」と話す。「しかし、他の多くの地域で
景気動向が芳しくなく、米国が生み出せる勢いには限界があるかもしれない」。

 海外の脆弱(ぜいじゃく)性が高まって成長鈍化の悪循環が形成されれば、米国がすべての悪影響を免れるこ
とはない、とエコノミストたちはみている。この10年間のほとんどで世界の成長をけん引してきたのは、米国で
はなく新興国だ。今やそうした国々の多く――例えばブラジル、ロシア、南アフリカなど――は不振にあえいで
おり、成長を米国に依存している。これは総じてフル回転していない世界経済の象徴だ。

 最近の世界成長の鈍化についてあまり心配していない向きがあるのも確かだ。世界の主要国のなかでも米国は
輸出需要にさほど依存していない。世界銀行によると、米国内総生産(GDP)に占める輸出の割合は約14%と先
進国のなかでは最低で、ドイツの51%、中国の26%などを大幅に下回っている。

 さらに言えば、米国の対外貿易に占める欧州の割合は15%にとどまり、米輸出企業の欧州への依存度も高くは
ない。ルネサンス・マクロ・リサーチの経済分析責任者、ニール・ダッタ氏は「欧州向け輸出が壊滅的な打撃を
受けたとしても、成長への影響は小さいだろう」と指摘する。

 米複合企業ゼネラル・エレクリック(GE)は先週、第3四半期の国内受注が25%増加したと発表した。ジェフ
・イメルト最高経営責任者(CEO)は投資家向けの電話会議で「米国は金融危機以来でおそらく最も良い状態に
ある」と述べた。「確かに欧州の景気は減速している。しかし、工業系企業のほとんどは欧州や日本の大幅な成
長加速をあてにしていないと思う」。

 それに加えて、エコノミストや企業トップは多くの理由を挙げ、今日の米国はユーロ圏やその他の地域が危機
にひんしていた近年よりも安定した基盤の上にあると主張している。

 大方の予想では、米国経済は第3四半期に年率3%のペースで成長したとみられる。月ごとの就業者数は2006年
以来のペースで増加しており、求人数も13年ぶりの高水準となっている。ワシントンでの予算をめぐる争いが鎮
静化し、地方自治体や州政府は再び雇用を増やしている。

 とはいえ、幅広い分野で減速の前兆も増え始めている。

 最も差し迫っているのが、金融市場の最近の乱高下が株式相場のさらなる下落につながり、資金調達市場の利
用がより難しくなり、消費者信頼感や企業景況感が冷え込み、投資や雇用の判断が遅れることへの懸念だ。

 野村ホールディングスの米国担当チーフエコノミスト、ルイス・アレキサンダー氏は「逼迫(ひっぱく)した
金融環境が米国経済の見通しに何らかの影響を与える」と話す。

 ゴールドマン・サックスのエコノミストによると、逼迫した金融環境は2015年末までと2016年の大半の米経済
成長率を0.3ポイント低下させ得る。しかし、株式や債券の低迷が長引かなければ、成長率の低下はその半分に
抑えられるという。

 米国株は9月半ばから約4%下落している。投資家が安全な避難先を求めたこともあり、米10年債の利回りは先
週、1年4カ月ぶりの低水準となった。世界経済の成長が不安視された2010年と2011年には米国株がそれぞれの年
に16%と19%の下落を示し、景気の「二番底入り」を口にするエコノミストもいた。しかしその後、米国の成長
が継続するという兆候が浮上し、株式は回復して最高値を更新した。

 海外の低調な成長見通しがあだとなり、多国籍企業は米国の個人消費が低迷した場合の衝撃を吸収するのが難
しくなっている。

 米ファストフード大手マクドナルドは21日、7-9月期(第3四半期)純利益が前年同期比で30%減少したと発表
した。顧客の信頼を揺るがす食肉納入業者の衛生問題が起きた中国で売上高が減少したほか、欧州ではロシアと
ウクライナを中心に不振となり、米国でも健康志向の強い若年層の取り込みで苦戦が続いている。

 ドン・トンプソンCEOは「内部要因と外的な逆風は予想していた以上に厳しく、それは第4四半期に入っても継
続するだろう」と述べた。

 世界貿易機関(WTO)は20日発表の年次貿易報告書で欧州の高い失業率に言及し、失業率は徐々にしか下がら
ない傾向があるため、これが「当面、世界の輸入にブレーキをかける恐れがある」と警告した。

 ゴールドマン・サックスの推定によると、海外需要の低迷とドル高によって2015年半ばまでの米国の経済成長
率は0.17ポイント押し下げられる可能性があり、2015年末までだと低下幅はその倍近くになるという。

 おそらく最大の不確定要素は、原油安の影響だろう。原油価格は6月から20%近く下げている。新たな掘削技
術、特に水圧破砕法によってノースダコタ州からテキサス州に至るまでの地域のエネルギー投資が劇的に加速し
ており、原油安はこれまで以上に米国経済を苦しめる可能性がある。

 米鉄道大手CSXの営業・マーケティング部門担当上級副社長、クラレンス・グッデン氏は先週の業績発表で、
米国の石油会社が油田の閉鎖を余儀なくされる「価格が存在するのは明らかだが(中略)私が知る限り、現在の
価格はまだその価格からほど遠い」と述べた。

 今のところ、エネルギー価格の低下と金融市場の混乱は、消費者にとっての低価格と低金利という2つの明る
い兆しをもたらし得る。

 ドイツ銀行のエコノミストによると、石油・天然ガスへの投資は設備投資全体の約10%を占めており、エネル
ギーコストの低下で他方面の事業支出や個人消費が増加する可能性がある。そして、投資家が安全資産の国債に
殺到した結果もたらされた低金利は、住宅ローン費用を低く抑えて借り換えを促し、消費者により多くの可処分
所得を与えることで、住宅部門の回復にも一役買うかもしれない。

 メシロウ・ファイナンシャルのローレンティ氏は「この2、3年、われわれは数週間の混乱期があったかと思う
とまた安定するというパターンを目の当たりにしてきた」とし、米国経済の底堅さが近く発表されるGDPと雇用
統計で確認される可能性があると指摘する。「今は誰もが息を飲んでその発表を待っている」。
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