ringoのつぶやき

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DJ-【BOEウォッチ】英ポンド安、輸出よりインフレ促す可能性

2013年01月18日 15時27分41秒 | ユーロ危機

 【ロンドン】(ダウ・ジョーンズ)英中銀イングランド銀行は、英ポンド安が輸出の助けとなり、遅々として
進まない英経済のリバランス(再調整)に弾みをつけるよう期待している。だがエコノミストらは、英国製品に
対する海外需要の低迷によってこうした望みはくじかれる恐れがあるとし、英ポンド安によってインフレが加速
する可能性もあると警告している。

 英ポンドは2011年半ばから12年半ばにかけて上昇したが、これは投資家がユーロ圏債務危機の深刻化を嫌気し
、ユーロを手放して安全資産へ逃避したことが背景にある。主要貿易相手国の通貨に対する英ポンドの為替レー
トを数値化した英中銀の指数によると、英ポンドは11年6月30日から12年6月30日までの間に6.8%上昇した。

 イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、12月分のMPC議事録で、「11年半ばから12年半ばの間、ユーロ
圏の見通し悪化を背景に英ポンドが次第に上昇したことは望ましくない」と指摘した。また、英国が恒常的な経
常赤字の削減を狙った輸出と投資のリバランスという野望を実現した場合、英ポンドは過度に上昇する恐れがあ
ると警告した。

 政策当局が警告を発して以来、英ポンドは下落基調にある。英中銀の指数によると、英ポンドは年明け以降、
ドルに対して1.4%下落しており、貿易加重平均ベースでは1.3%安となっている。ユーロに対しては2.5%も下げ
ている。

 さらなる英ポンド安もあり得ると、アナリストらは指摘している。キャピタル・エコノミクスの英国担当エコ
ノミスト、ビッキー・レッドウッド氏は調査リポートで、英ポンドがさらに下落する理由を複数挙げている。英
国では低成長があと1年続くとみられており、経常赤字も拡大が予想されている。英国政府は赤字削減計画を必死
で軌道に乗せようとしているが、信用格付けは引き下げられる恐れがある。イングランド銀行が量的緩和を再開
すれば、英ポンド安につながりかねない。一方、ユーロ圏は過去数年にわたって暗い影を落としてきた債務危機
をついに脱するかもしれず、このことも安全資産としての英ポンドの地位を傷つけるだろう。

 英財務省がまとめた一連の見通しによると、英経済は12年にやや縮小し、13年もわずか1.1%の成長にとどま
るとみられている。レッドウッド氏は一段の英ポンド安について、国内輸出業者の競争力や、国内企業が輸入品
と競う力の向上を促すため、「足元の景気低迷を抜け出す上で数少ない手段の1つ」になるとの見方を示した。

 だがムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、メラニー・ボウラー氏は、英国製品に対する海外需要が
低迷したままであれば、英ポンド安による恩恵は失われるかもしれないと指摘した。

 英ポンドは07年と08年、他の主要通貨に対して大幅に下落し、貿易加重平均ベースで約25%の価値を失った。
だが、待望のリバランスはほとんど進んでいない。英国の貿易赤字は09年7-9月期に40億英ポンド(約5720億円)
弱まで縮小したが、それ以降は再び拡大している。公的統計によれば、12年7-9月期の貿易赤字は83億英ポンドに
達した。

 

 ロイズ・バンク・コマーシャル・バンキングの英国マクロ経済担当ヘッド、アダム・チェスター氏は、「2007
年には英ポンドが急落し、それが純輸出の著しい改善へ道を開くとの期待が大きかった。一時的には改善が見ら
れたが、ここ数年で全てがなくなった。ユーロ圏の危機も助けにはならなかった」と述べた。

 英国の輸出はかなりの部分をユーロ圏向けが占め、ユーロ圏の成長見通しはさえないため、今年の英国経済の
成長に純輸出が寄与することはほとんどないと、チェスター氏はみている。英国の輸出業者は新たな市場を模索
する必要があるという。財およびサービスの輸出全体に占めるブラジルやロシア、インド、中国向けの割合は、
01年のわずか2.5%から11年には6%に拡大している。

 「これが雪だるま式に拡大するよう期待している。これら市場による貢献は、一段と意味深いものになってい
る」と、チェスター氏は語った。

 一部のエコノミストは、英ポンド安が輸出主導の経済成長に資することはほとんどなく、むしろインフレを加
速させ、経済の健全化に向けたイングランド銀行の作業を複雑にすると懸念している。通貨安は輸入品を割高に
するため、英国のような小規模の開放経済にとっては問題になり得る。

 エルメス・ファンド・マネジャーズのチーフエコノミスト、ニール・ウィリアムズ氏は、13年には英ポンド相
場が英国をインフレに「導く力」になり得ると指摘した。同氏は、高い企業コストを相殺するとともに、英国の
輸出競争力を真に高めるためには、英ポンドが急落するべきだと考えている。英国統計局(ONS)が発表した12月
の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比で2.7%となった。同上昇率は13年を通じてイングランド銀行の目
標2%を上回り続け、個人消費を圧迫するとみられている。

 イングランド銀行のキング総裁は昨年11月、記者団に対し、英ポンド相場がさらに下落しないようなら、英国
は「鈍く長々とした景気回復」しか期待できないとの見解を示した。

 英国の通貨当局は、ドイツマルクとの連動に向けた試みが90年代に壊滅的な失敗に終わって以来、外国為替市
場への介入を避けてきた。このため、イングランド銀行が英ポンド安を誘導する意向を明確にした政策を打ち出
すとみる向きはほとんどいない。実際、各国が自国通貨安を誘導することで問題解決を目指すなか、キング総裁
は先ごろ、世界的な通貨戦争の危険性について警告を発している。

 英中銀の金融政策委員会(MPC)は年間を通じて定期的に会合を開き、3750億英ポンド規模の景気刺激策の拡
大について検討しているが、だからといって英ポンドの為替レートがMPCにとって今後重要にならない、というわ
けではない。

 チェスター氏は、MPCが「通貨安を阻止することはないだろう」と語った。
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Copyright (c) 2013 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.


(続く)

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