ringoのつぶやき

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DJ-ユーロ圏危機の見通しに対する2つの見方(1)

2012年01月20日 16時56分26秒 | ユーロ危機

ロンドン(ダウ・ジョーンズ)ユーロ圏危機の見通しに関する金融市場の見方は、二極化している。一部の市場
参加者は、欧州中央銀行(ECB)が銀行システムに対して実施した流動性供給策を好感してきた。ECBの行動は、
緊縮財政策と改革戦略を実施するとともにユーロ圏の統治強化に必要な時間を政治家に与えたと、こうした向き
はみている。彼らは、危機の終息が近づきつつあるとみている。

一方で、ユーロ圏銀行システムの問題は先月まで広く予想されていたよりもはるかに深刻だと考えている人や、
欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)によって課された財政政策は、導入を余儀なくされた国に出口のない経済
的悪循環を引き起こすとみている人々もいる。こうした人たちは惨事を予見している。残念ながら、これらの見
方のうちどれが基本的な現実を最も正確に表しているのかについて、一連の出来事や日々の市場動向が確かな指
針を与えてはくれるとは限らない。(指針を得るうえで)目の前の出来事に頼ることはできない。なぜならば、
そうした出来事自体もまた、ある意味では、「スピン(回転)」を構成する要素だからだ。

また、市場動向も信用できる指標としての機能を果たさない。市場での取引は、完全な情報を欠いた状態で行わ
ざるを得ないからだ。市場の動きは無関係の要因を反映したり、心理に左右されたりもする。そのため、危機が
緩和に向かっているのか、それとも深刻化しているのかを決める客観的尺度を打ち立てることは難しい。

2008年に起きたリーマン・ブラザーズ破綻までの経緯は、金融市場の緊張がもたらす結果を判断することがいか
に難しいものになり得るか、という好例だ。今振り返ってみても謎なのは、リーマンの破綻がなぜ08年9月より前
には起きなかったのか、ということだ。同年の7月にはすでに、リーマンの財務状況についての懸念が広くささや
かれていたのに、である。同年はじめに65ドルだったリーマンの株価は、6月の時点でまだ30ドルを上回っていた
が、7月15日までに12ドルへ落ち込んだ。では、最終的にリーマンの破綻が08年7月に起きなかったのはなぜなの
か。破綻がそれよりも2カ月先にずれ込んだ理由はいったい何だったのだろうか。こうした場合によくあることだ
が、当時、リーマンについて心配する必要などほとんどないという理由を説明する記事が数多く掲載された。リ
ーマンはベア・スターンズとは違う、というわけだ。だがそれ以上に重要なのは、当時の市場の焦点がずれてい
たことである。

当時、原油価格は急落し始めていた。08年前半の先進国の需要減退については、原油高が実質所得を圧迫してい
るためだというもっともらしい説明がされていたが、原油急落によってそうした心配はもういらなくなった。そ
して、原油安に伴い、国内総生産(GDP)成長率が持ち直すとの期待が膨らんだ。要するに、市場は間違った方向
に目を向け始めたのだ。市場心理が「強気」だったことは、ダウ工業株30種平均が7月14日~8月29日に6.9%上昇
したことでも明らかだ。しかし、実際、原油価格とGDP見通しは、金融システム内に高まっていた圧力に影響する
決定的要因とは全く関係がなかった。資本市場や世界経済の行方にとって圧倒的に重要なのは、金融システムの
状況だったのだ。

市場の注意をシステミック(全体に波及するような)リスクへと、そして最終的にはリーマン・ブラザーズへと
引き戻したのは、米財務省が2008年9月7日、連邦抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅金融抵当金庫(フレディ
マック)を「政府管理下」に置くと決定したことだった。世界の経済成長に対する市場の楽観は、一夜のうちに
消え去ったのだ。

この短い期間の経緯から得られる教訓は、危機がどのような展開を見せるかに関して、市場に最も明確な考えが
あるとは限らないということだ。これは現在のユーロ危機に照らしても示唆に富む。例えば、国債入札の結果を
過剰に解釈したりしないよう、くぎを刺すべきなのだ。2010年のギリシャ国債入札が「成功」を収めていたこと
など、今やほとんど忘れ去られているが、当時はギリシャ財政の著しい改善を示唆するものとして市場の一部で
は評価されていたのである。仮にこの時点で改善があったとしても、それは一時的なものに過ぎなかったのだ。
市場の間違いは、政府の借り入れコストの高さこそギリシャ問題の核心だと想定していたことだった。
(続く)

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