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刑事訴訟の改正案可決

2016-05-27 07:45:18 | 世の中のいろいろ
冤罪のリスクを上昇させる刑訴法の改悪をなぜ止められないのか

・・・無料放送中。

刑事訴訟法の改正案が5月20日参議院、24日衆議院通過。

↑youtubeより内容抜粋

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可視化・・・というと聞こえがいいが実際は?

全体の3%、その中でさらに検察に裁量権がある。
都合が悪い部分の録音録画を止めることができる。無条件可視化ではない

盗聴権限が拡大
今までは通信業者が第三者として立ち会っていたが、
今後、段階を経て警察署の密室の中で盗聴できるようになる?

司法取引
(自己負罪型・・・罪の事実関係を認めれば、裁判をせずに判決を出す。罪の軽減がある。)→今回これは入っていない
捜査協力型・・・”告げ口司法取引”「犯罪を犯した仲間」を告白すれば、罪を問わない。→自分が助かりたいがためのウソという可能性→冤罪を生みかねない

証拠開示が争点となった。開示されるのは、証拠のリスト?内容は開示されない?→見出しを都合よく変えられる可能性


* * *


不満ではあるが、それでも一歩前進したという評価について、
指宿信氏:
「可視化」が前面に出されているが目くらましである
・・・とは関係ないものを入れるために可視化を入れ込んだというような法律案になっていることが問題

メディアや市民社会がなぜこれを許してしまったのか
やはり、録音録画するよというのが目くらましになってしまった

宮台氏:
あまたある司法取引の中の告げ口司法取引だけが盛り込まれた、
通信傍受について、かつて懸念されていたことが丸々無反省的に取り込まれている
全証拠開示ならぬ、ただのリスト証拠開示、こんなものは気休めにもならない、とメディアや新聞が報じることもできたはず


* * *


マスメディアは弱い立場?

司法取引の危険性をリアリティをもって受け止められていないのではないか

可視化のない中での司法取引、司法取引のプロセスを可視化できない矛盾

これを、怖いと感じるか、
自分には関係ない他人事だと考えるか


宮台氏:
たとえ3%の事件についてでも、前面可視化にしなければ受け入れられない
部分可視化では、冤罪防止にならない

ただし、法案が通ってしまった
なぜ民進党が賛成に回ったか

告げ口司法取引だけを可能にするなら、そのプロセスついては全面可視化にする、というような、
今後、法律の改正を積み重ねていけば、確かにこれが最初の一歩だったということになるので
そういう風にしていただきたい


神保氏:
捜査機関は圧倒的に情報の被対象性を持っている
報道機関はそこから情報を得ている

”一応”付いた「付帯決議」
刑事訴訟法改正案付帯決議
できるだけ録音録画をしなさい
黙秘や否認が不利にならないようにしなさい
盗聴のチェック(乱用防止)方法を検討しなさい

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社説:刑事司法改革 冤罪防ぐ運用が肝心だ - 毎日新聞(2016年5月26日 東京朝刊)

(追記あり)日本では政治家に放送の政治的公平性を判断させるのか

2016-02-15 13:25:26 | 世の中のいろいろ
いろいろ勉強になる。

「日本では政治家に放送の政治的公平性を判断させるのか」(VIDEO NEWS)より

「日本は他の民主主義の国々と同様に、憲法で表現の自由を保障している。」
「かといって、世論に絶大な影響力を持つ放送事業者に、好き勝手にやらせておくわけにもいかない。」
「真実性や公平性、公共性に対する一定の縛りがあって然るべき」
「他の先進国では、まずは放送事業者に自律的に自らの放送内容の真実性や公平性に責任を持たせた上で、
 それに対して市民が不断の監視を行える仕組みを工夫して作っている。」
「日本はそのような制度を作ることができていない。」
「結果として、放送は政府の監督下に置かれている。」


(160216追記)
「戦前の大本営発表に対する反省から、GHQは電波監理委員会という独立行政組織を設け(略)、
しかし、1952年にサンフランシスコ講和条約が発効し、日本が施政権を回復すると、
吉田茂内閣はただちに電波監理委員会を廃止して、放送免許は戦前と同様に、政府管理の下に置かれた。」


「日本は憲法第21条で表現の自由を保障している。」
「憲法の下に放送法が存在する。」
「安倍政権による一連の放送への介入の背景には、放送法の解釈に対する根本的な誤解があるようだ。」



「論理的には、安倍政権の放送法の解釈が間違っているか、
それが正しければ放送法が憲法違反かの、いずれかの可能性しかありえないのだ。」


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法律の文章は、解釈によって意味が違てくるというけど、
文脈っていうのは無視できないと思うけどなあ。

そして宮台さん曰く

「表現の自由とは統治権力からの言論の自由を意味しているのであり、統治権力を批判することはできる」
「批判される側の統治権力が何らかの理由を持ち出し電波法76条で(電波を)停めることができるなんてことは基本的にありえない」
「そういう枠組み自体他の国にはない」

とのことです。

伊藤真弁護士は怒っている

2015-11-30 17:11:34 | 世の中のいろいろ
【一票の格差訴訟】最高裁が2014年衆院選は「違憲状態」・判決を受け、升永弁護士グループが会見


青字は個人的コメントです。青字以外はほぼ、伊藤弁護士の話された内容です。
動画は長いですが、30分~33分までの3分間だけでも見てみてください!
「この人何言ってるんだろう?」と思っても理由はあとでおしゃるので3分間は見てくださいね。


3回も違憲状態
私たち主権者国民は本当に重く受け止めなければならない

憲法が要求する投票価値の平等に違反する状態で選挙が行われた
それが放置されている

今までの裁判とちがうところ、今回の裁判の意味とは

国民の意思をいかに政治に反映させるか

立憲主義と言う言葉が国民に少しずつ
広がりつつあるこの時代にこの裁判が行われた


この国の在り方を決めるのは誰なのか?
国民なのか、違憲状態で選ばれた国会議員なのか?

民意をいかに反映させるか?
違憲状態で選ばれた無資格者である国会議員が、
勝手に発議などをしてそれに国民が引きずられていくのか?

0増5減やってもだめ、一人別枠方式の構造的問題は解決されていない

判決文から「現在は、適切な民意が反映されていない」と解釈できる
反対意見、補足意見、法廷意見共通の裁判官の認識であると思う

全295小選挙区で原告が立った

過疎地域に住んでいる人も都会に住んでいる人も「このままでは国民が主権者だと言えない」と

国が
「過疎の地域の声を反映させなければいけない」
と言えば
国民は納得させられてしまう
それはまちがい


判決文ではその部分に一切触れられていない
なぜならまちがいだから


* * *


記者の皆さん
腹の底からから
それはおかしいと思えなければ
正しい記事書けないですよ
なぜ間違っているか
みなさんが伝えないと
この国変わらないですよ


なぜ間違っているか理由たくさんあるが例えば

憲法43条一項
「どの選挙区から選ばれようが全国民の代表」

国会議員は選挙区の代表ではない!

少数意見を反映させる→もっともらしいが
少数派=過疎地域の人たちだけではない!

障害のある方や貧困で苦しんでいる方、
性的マイノリティの方など、
少数派だからと言って1人2票、3票与えられているか

2倍未満なら許されるということが
どんなにふざけた話なのか
0.49票はだめだけど0.51票は許されるという理屈です


(一人一票のはずが、一人半票前後ということ)半人前扱いでいいのか!!


「あなたの”清き一票”、実は0.何票?」
「地方を優遇しているとか都会が不利とかそういう話では全くない」

あなたの”清き一票価値”全国MAP(衆参選挙区)&数値一覧表【2015年度版】



記者の方に「一人0.何票だという報道をしてほしい」といくら言っても
記事になると「格差2倍」とかになっている
現場の方ではなく上の方の意思でしょうが

(確かに0.何票のほうが、実感があると思う)


最後に伊藤さん
「皆さんは仲間ですからね、ほんとお願いしますよ
きついこと言ってほんとうに申し訳ないけどうまく伝えてください」
って言ってた・・・



* * *


ただ・・・神保さんも言っていたけど、
伊藤さんが怒っている状態を作ったのは有権者の私たちと言えるわけで、
でも変えようと思ってもその選挙自体が違憲状態で、っていう堂々巡り。

「集団的自衛権容認?」閣議決定の真相

2014-10-29 05:33:40 | 世の中のいろいろ
2014年07月19日にアップされている動画ですが。

木村草太氏:国会質問で見えてきた集団的自衛権論争の核心部分


ジャーナリスト:神保哲生氏、社会学者:宮台真司氏、憲法学者:木村草太氏

とても興味深いです。約1時間くらい。

YOU TUBEの解説より
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”政府が「集団的自衛権」と呼んでいるものは何のことはない、実は個別的自衛権のことだった。”

閣議決定で「集団的自衛権」と呼んでいるものは、実際は個別的自衛権と集団的自衛権が重複する領域にある事象で、
今回政府はそれを必死になって探し出し、それを集めたものを無理矢理「集団的自衛権」と呼んでいるだけであって

実際はこれまでの個別的自衛権の範囲を一切超えるものではないと木村氏は言うのだ。”

”やはり課題となるのは今回の「疑惑の解釈改憲」に基づいて、実際の法律の整備が行われる時だろう。
もし今回の閣議決定が横畠長官が答弁したようなものだとすれば、
新しく整備される法律は個別的自衛権の範疇をはみ出すものは一切できないということになる。
そのような法律家の認識を前提として法案審議が行われるか、
現時点では内閣法制局官僚の手の平の上で踊ったような形になっている政治家が主導権を握り、
自分たちの理解する閣議決定の解釈に則った法律を作ってしまうか。
そして、それをメディアやわれわれ国民が許すのか。今、それが問われている
。”

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↑の青字の部分を図にするとこんな感じ?



公明党と法制局は、協議の末、現在の日本国憲法の解釈で可能な
集団的自衛権の行使は、個別的自衛権で可能な範囲と重なる部分のみ
という結果に至った

↑紫色の部分を除いた水色のみの部分は、今までもこれからも行使できない範囲。
つまり何も変わらない。

要は、斜線の部分を「集団的自衛権可能」と言っていると読める。


ということです。


* * *


最後の方で木村草太さんが話されていること。
自民党との議論で、憲法9条ではなく73条を使った方がいいと言うお話。

「集団的自衛権の行使としての対外軍事活動は憲法73条のどれにあたるのか?
→どれにもあたらない→内閣の権限ではない→どうやって行使するのか、
という議論のほうが9条よりわかりやすいのでは」



そして、木村草太さん曰く「自分たちで作った閣議決定を守ってください」

憲法73条

集団的自衛権 閣議決定 全文(産経ニュース 朝日デジタル 神戸新聞NEXT
国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について(閣議決定)( 首相官邸ホームページ/PDF)

「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<No.201~幕/引用文献>

2013-07-03 15:30:28 | 世の中のいろいろ
非戦を選ぶ演劇人の会/上演台本の公開より

「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<No.101~No.200>よりつづき

非戦を選ぶ演劇人の会 vol.16
いま、憲法のはなし ― 戦争を放棄する意志 ―


台本構成:石原 燃

-------------------------------以下コピー&ペースト-------------------------------

【201】
ブッシュ 世界はアメリカ側につくか、テロ側につくかのいずれかだ。

【202】
豊下 これがイラク戦争の時のブッシュ大統領の演説です。

【203】
ブッシュ われわれは行動を起こす。行動しないリスクの方が大きいからだ。すべての自由な国家に危害を加えるイラクの力は、一年、あるいは五年後に何倍にもなるだろう。この脅威が突然、われわれの空や都市を脅かす前に、われわれは今、脅威が発生する場所で、脅威に立ち向かうことを選択する。

【204】
豊下 そうしますと、フランスが。

【205】
フランス フランスは、いわゆる「ならず者国家」とテロリストたちを先制攻撃することができるように、大々的に核戦略を修正する。

【206】
豊下 ロシアも。

【207】
ロシア 他の国々が先制攻撃戦略を引き続き外交政策の優先順位にあげるなら、ロシアも同じ方式で行動する権利を持っている。

【208】
豊下 北朝鮮。

【209】
北朝鮮 北朝鮮は攻撃を仕掛けてくる国に対してはどこであれ、核先制攻撃の権利を行使する。

【210】
豊下 そして、日本。

【211】
安倍 ミサイル攻撃などを受ける前に相手国の基地を攻撃することは、他に手段がないと認められれば、憲法が認める自衛の範囲内に含まれるのではないか。

【212】
半田 東京新聞の半田です。北朝鮮は三回の核実験を実施し、核兵器の運搬手段である長距離ミサイルの発射にも成功しました。朝鮮半島の緊張はますます高まっています。このタイミングで日本は集団的自衛権の行使容認の検討を始めた。仮に米国が北朝鮮攻撃を検討しているとすれば、背中を押す結果になるのは間違いないでしょう。米国から購入したミサイル防衛システムを自衛隊が保有していることも、北朝鮮からのミサイル攻撃を食い止めることになるので、米国にとって好都合です。

【213】
豊下 そこで犠牲になるのは、間違いなく一般の市民です。

【214】
安倍 ですからね、日本人はよく早とちりをするのですが、「できるようにする」ことと「やる」ことの間には大きな差があるんです。集団的自衛権を行使するかしないかは、主体的に判断すればいい。

【215】
石破 そうですよ。アメリカが言ったから付いていくということじゃないんですよ。

【216】
豊下 「現実」を見てください! 今や米軍再編が行われる中で「国家戦略」レベルまで「日米一体化」が進められようとしているんですよ。国際的にはもちろん、アメリカ国内においてさえイラク戦争は間違いだったと言われているのに、日本は日米同盟に気を遣って「支持」の立場を修正することすらできないじゃないですか。こういう「現実」の中で、アメリカから集団的自衛権の行使を求められて日本が「主体的判断」でもって「ノー」と言えば、どんな事態になると思っているんですか。アメリカからすれば、日本の裏切りですよ。そもそも集団的自衛権の行使にあたって「主体的判断」をするつもりなら、こうした事態を覚悟しておかなくてはならないはずでしょう。

【217】
山田 山田朗です。軍事史を専門にしています。湾岸戦争後、自衛隊は確実に変化しています。例えば、海上自衛隊を例に取りますと、海上自衛隊はこの十数年間で総トン数が一.五倍になりました。船が大きくなっているんですね。この大型化は、現実には、遠征能力です。長期間行動できるためには燃料搭載量が多くなりますから、必然的に艦艇が大型化します。質的な変化もあります。例えば、はるな型という護衛艦が老朽化したということで、ひゅうが型という護衛艦に更新されたんですけれども、大きさも約三倍となり、一万トンを超える大きさになりました。それから、搭載ヘリも三機から一〇機と大きく変化した。そして記号はDDH。このDDというのはデストロイヤー、駆逐艦を意味します。一万トンを超え、ヘリコプターを一〇機積んでいる駆逐艦というのは、これもう空母です。ヘリコプター空母と言っていいものが出来上がっている。しかし、これは古い船の更新であるという名目で造られているわけで、国会で予算を承認する際にも質的な変化というところまでチェックされているとは思えません。

高台、上手からグリナートが登場する。

【218】
グリナート アメリカ海軍グリナート作戦部長です。集団的自衛権が容認されるようになれば、アメリカ海軍と海上自衛隊が合同で空母機動部隊を構成することもできる。

【219】
憲法 私は戦争を放棄させたんだ……。

■日米安保条約と「抑止論」から抜け出す

【220】
石破 ですからね、きちんとした自立した国家になるための強化でしょ。

【221】
安倍 そうです。集団的自衛権の行使とは、米国に従属することではなく、対等となることです。それにより、日米同盟をより強固なものとし、結果として抑止力が強化されて、自衛隊も米軍も一発の弾も撃つ必要がなくなる。これが日本の安全保障です。

高台、下手から橋下登場。

【222】
橋下 維新の橋下です。僕はこの件に関しては安倍さんに大賛成なんです。これね、今アメリカとの関係見た時にですね。たとえばオスプレイの配備の問題。それから沖縄の米軍基地の問題。色んな事でアメリカに色んな事を言おうとしてもですね、何も言えない。これはある意味対等の関係ではないわけです。自衛隊の実質を強化して、ちゃんと自らやるべき事はやるよと、そういう事を示してアメリカとの関係をそう言った関係にしないと、何をやってもアメリカに対して何も言えないですよ。

【223】
豊下 豊下です。たとえイラク戦争におけるイギリスのようになっても、アメリカに対する影響力は変わりませんよ。イギリスの王立国際問題研究所のバルマー・トーマス所長はブレア政権のイラクへの参戦は、軍事、政治、財政的な犠牲にもかかわらず、ブッシュ政権に対していかなる影響力も持てなかったと指摘しています。

【224】
吉岡 ピースボートの吉岡達也です。米軍は共同作戦を行うときに指揮権を決して手放さない。当然、米軍の指揮の下、自衛隊は戦闘に参加することになる。その時、米軍の指揮官は、米兵を危険な戦闘地域に送り、自衛隊員をより安全な戦闘地域に配置してくれるだろうか。どう考えても逆だろう。自衛隊員は米兵の盾にされる。それがリアリティというものだ。

【225】
松竹 日本は結局アジアを支配したいんですよ。

憲法、立ち上がる。

【226】
松竹 ジャーナリストの松竹伸幸です。冷戦時代、アメリカの占領政策が転換するなかで、戦前、大東亜共栄圏を夢見たような人物が、次々と復権してますよね。彼らは軍事力でアジアを威圧し、支配することを考え、実践した人たちです。抑止戦略は、まさに戦前の日本と通じるものだったんです。アメリカについて行ってこそ、アジアを支配するという過去の願望が実現する。だから安保抑止戦略への追従は、何の躊躇もなく進んで行ったんです。

【227】
コン 北朝鮮より日本の方がよっぽど脅威ですよ。

憲法、コンを見る。

【228】
コン コン・ヒョッテです。韓国の大学で教えています。「抑止」という言葉は、危険なものを抑えるようなイメージを持っていますけど、実際には「自衛のための軍事強化」です。北朝鮮がミサイル発射や核開発を軍事的な対抗手段としてとることには、賛成できない。でも、それがアメリカの脅威に対抗するためのものなら、その脅威を取り除くのが一番でしょ。日米同盟がなければ、日本の北朝鮮のミサイルは飛んできませんよ。

【229】
吉岡 「米軍が日本を守ってくれる」という幻想ほど馬鹿げたものはない。

【230】
松竹 憲法九条による軍事戦略を展開したらどうでしょう。

低いエリアに座った人々、驚いて松竹に注目する。

【231】
憲法 憲法九条による軍事戦略。

【232】
松竹 日米安保にもとづく戦略と手を切るんです。まずは専守防衛というものを本来の意味に戻す。海外に軍事力を展開しない。周辺諸国との対立を減らし、平和と友好の関係を促進する。現実を九条に近づけることによって、将来的に軍事力を必要としない世界を目指すんです。もちろん、安保条約を破棄するのは目標です。でもそれだけでは駄目です。同時にアメリカの抑止戦略を変更させなくちゃいけません。日本は九条の軍事戦略を確立するにとどまらず、アメリカにもこの戦略への同調を求めるんです。日本が安保から抜け出ることができたとしても、中国とアメリカの軍事戦略を変えなければ東アジアの情勢は深刻なままです。アメリカと中国の軍事戦略を変える仕事は誰かがやらなくてはならない。それを日本がやるんです。最初の大きな仕事は、九条の軍事戦略でやっていくことをアメリカに説明し、納得させることでしょう。専守防衛という概念は日本独自のものではありません。国連憲章の水準をアメリカに求めることについて、及び腰になる必要はないんです。アメリカは、現在、中国に対する軍事戦略の先行きを見通せないでいます。だからこそ、同盟国であり、友人でもある日本が、九条の軍事戦略の有効性を説得すべきなんです。道理をつくして、繰り返し、アメリカの軍事戦略を転換する必要性を説く。この仕事をやり抜いたら、アジアには永続的な平和の可能性が開けます。日本自身もアメリカ依存から脱して、主権国家にふさわしい国として、その外交を世界に誇れるようになるのではないでしょうか。

【233】
憲法 憲法第九条。第一項。日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。第二項。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

【234】
松竹 大丈夫、できますよ。

■日本にできること

【235】
伊勢崎 伊勢崎賢治です。タリバン政権が崩壊した後、アフガンで武装解除に取り組みました。アフガンでは軍閥の群雄割拠を終わらせることが課題だったんですけど、軍閥の指導者は、大量の戦車やミサイル砲などを持ってました。自衛のために武器は必要だと言う彼らを説得し、武器を回収したんです。アフガニスタン人の日本のイメージは、世界屈指の経済的な超大国で、戦争はやらない唯一の国というものです。もちろん、アフガニスタン人の軍閥が憲法九条のことなんて知るはずもない。でも憲法九条のつくりだした戦後日本の体臭というものがあります。九条の下で暮らしてきた日本人に好戦性がないことを、戦国の世をずっと生き抜いてきた彼らは敏感に感じ取る。そういう臭いが日本人にはあるんです。これは日本が紛争問題に関与し、外交的にそれを解決する上で、他国には持ち得ない財産です。そういう日本の特性のおかげで、僕らは、他国には絶対出来なかったことが出来たんです。

伊勢崎や猪口とは違う場所から、幣原登場。

【236】
幣原 戦後最初の首相を務めた幣原喜重郎です。世界は真剣に戦争をやめることを考えなければならない。そして戦争をやめるには、武器を持たないことが一番の保証になる。軍縮交渉とは形を変えた戦争。平和の名をもってする、別個の戦争であって、円滑な合意に達する可能性など、初めからないもの。原子爆弾が登場した以上、一刻も早く軍拡競争を止めなければならぬとわかっていても、それは不可能。集団自殺の先陣争いと知りつつも、一歩でも前へ出ずにはいられない鼠の大群と似た光景―それが、軍拡競争の果ての姿。軍縮は不可能である。絶望とはこのことであろう。唯、もし軍縮を可能にする方法があるとすれば、一つだけ方法がある。それは、世界が一斉に一切の軍備を廃止することである。一、二、三の掛け声もろとも、すべての国が兵器を海に投ずるならば、忽ち軍縮は完成するだろう。もちろん不可能である。それが不可能なら不可能なのだ。ここまで考えを進めてきたときに、九条というものが思い浮かんだ。要するに世界は今、一人の狂人を必要としているということである。 何人かが自ら買って出て狂人とならない限り、世界は軍拡競争の蟻地獄から抜け出すことができないのである。これは素晴らしい狂人である。世界史の扉を開く狂人である。その歴史的使命を日本が果たすのだ。

憲法、たったまま動かない。

【237】
エマニエル 九条は、アフリカの貧困を救います。

憲法、ゆっくりエマニエルを見る。

【238】
エマニエル エマニエル・ボンバンディといいます。ガーナで紛争予防活動をしています。九条によって軍事費が抑えられ、だからこそさまざまなアフリカへの支援の枠組みをつくることができるんだと思うんです。日本が軍拡路線に入ってしまったら、軍事費に金をつぎ込み、アフリカのことも顧みてくれなくなるのではないかと心配です。

【239】
アリアス コスタリカの大統領、オスカル・アリアス・サンチェスです。中南米を含む発展途上国において、いま日本が果たしている役割を日本人は自覚していない。私たちは、軍事費に歯止めのなくなった国がいかに経済的に疲弊していくかをよく知っているし、いかに対外援助ができなくなっていくのかも見て来た。日本は絶対にその轍を踏むべきではない。

【240】
バン・キムン 国連事務総長のバン・キムンです。すべての国連加盟国が軍事費をたった一%削減すれば、そのカネで全世界の子供たちに初等教育を受けさせることができます。

【241】
マルティ インドネシアの外務大臣、マルティ・ナタレガワです。インドネシアはASEANの代表国をしています。東南アジアはASEANを中心にして戦争を放棄する条約を締結しました。アメリカや中国を含むアジア・太平洋地域の国々も、東南アジアのように戦争放棄条約の締結すべきです。緊張の悪循環を終わらせましょう。

【242】
高遠 高遠菜穂子です。二〇〇三年からイラク支援に携わってきました。四回目のイラク入国のときに自衛隊撤退要求をする武装勢力の人質にとられました。私はこのことを考え続けています。今になって思うのですが、この事件はいうなれば自衛隊を派遣して、九条を突破したことで、私たちは人質にされたといえるのではないかと思っています。そして、なぜ私たちが殺されなかったかといえば、私たち三人がイラクで、戦争放棄、それから丸腰、対話、そしてイラクの人への支援を続けていたことが、武装勢力に認められたからだと思います。私たちは九条の実践を出来ていたんじゃないか、と、そういうふうに思っています。私はこの憲法九条に命を守られたと言えるのではないでしょうか。私はいつも考えてしまいます。私のような体験をする人が、今、この瞬間にも世界のどこかにいるかもしれない。「日本人だろう、お前は」ということで、私よりも危険な目に合う人がもしかしたら出るかも知れない。それはもうごめんです。同じ思いはしてほしくありません。なので、私にとってこの九条というのは重要になりました。とっても重要になりました。

■軍隊は国民を守らない

【243】
ジョイス 息子のジェフはイラク帰還兵でした。帰還したあと、秋になって初めて、ジェフが毎日のように吐いていたことを知ったのです。ジェフはふさぎ込み、お酒を飲むようになりました。精神安定剤と抗うつ剤も。それでもよく眠れず、うなされて、食欲もなく、部屋に引きこもってしまいました。ジェフはこんな話をしていました。精神科医にイラクの道路の障害物のことを話そうと思うと。障害物とは子供たちのことで、海兵隊の車両部隊では、子供がいても止まるな、振り返るなと言われていたのだそうです。ジェフが亡くなったとき、私たちは地下室でメモを見つけました。そこにはこう書いてありました。

【244】
ジェフ こんな人間になってしまって、本当に恥ずかしい。幸せで、自信をもって、人生を楽しんでいた子供の頃の僕のことだけを覚えていてほしい。

【245】
橋下 橋下です。銃弾の雨嵐の如く飛び交う中を、命をかけて走っていく、精神的に高ぶっている集団にどこかで休息じゃないけども、そういうことをさせてあげようと思ったら、慰安婦制度ってのは必要だと誰だってわかる。

【246】
吉元玉 吉元玉(キルウォノク)です。私は十三歳の時に、工場で技術を教えてあげると言われ、だまされて連れて行かれました。ところが、小さな畳部屋に閉じ込められ「騒ぐな! 反抗したら殺すぞ!」と脅されました。怖くて泣いていると「泣いたら殴り殺すぞ!」と殴られ、もっと小さな部屋に閉じ込められました。そして次の日から部屋の前に軍人が並びました。まもなく私は性病にかかってしまいました。軍人の相手ができなくなって、病院で治療を受けました。ところが、その病気だけ治療すればいいものを、卵管を二つとも縛ってしまったんです。そのため子どもも産めず二十代で子宮を摘出するしかなくなってしまいました。

【247】
安倍 政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる「強制連行」、人さらいのように、人の家に入ってさらってきて慰安婦にしてしまった、ということを示すような記述は見当たらなかった。

【248】
チリNGOの女性 チリから来ました。ピノチェト政権の頃、軍に兄を殺されました。

人々、静まりかえる。

【249】
チリNGOの女性 チリでは多くの人が自分の国の軍隊に殺されました。私たちは国家の暴力からいかに人々を守るかを常に考えています。そして、この問題は軍隊という存在をどうするかに行き着くのだと思う。軍隊は外国の敵に銃口を向けていると同時に、常に内側、すなわち私たちにも向けているのです。それは軍隊が本質的にもっている属性なんです。
【250】
司馬 司馬遼太郎です。第二次世界大戦のとき、栃木県佐野の戦車第一連隊に所属していました。そこで大本営からきた少佐参謀に、連隊のある将校が質問しました。

【251】
将校 われわれの連隊は、敵が上陸すると同時に南下して敵を水際で撃滅する任務をもっているが、しかし、敵上陸とともに、東京都の避難民が荷車に家財を積んで北上してくるであろうから、当然、街道の交通混雑が予想される。こういう場合、わが中戦車は戦場到着まで立ち往生してしまう。どうすればよいか。

【252】
司馬 少佐参謀はあたりまえな表情で答えた。

【253】
少佐参謀 ひき殺していく。

高台、上手から栗栖弘臣が登場する。

【254】
栗栖 元自衛隊統合幕僚議長の栗栖弘臣です。今でも自衛隊は国民の生命、財産を守るものだと誤解している人が多い。しかし国民の生命、身体、財産を守るのは、自衛隊の任務ではない。自衛隊は「国の独立と平和を守る」のである。この場合の「国」とは決して個々の国民を意味しない。もし個々の国民を指すとすると自衛官も守られるべき国民であるから、生命を犠牲にすることは大きな矛盾である。

【255】
山崎 自民党の山崎拓です。自衛隊という資源を、人的資源を我々が持っている以上、しかもそれに膨大な予算を費やして維持しているわけだから、それを国際貢献に使わないという手はありません。

【256】
母親 資源というのは消費するものですよね。人間を資源というのはおかしい。自衛官を使い捨てにするような発想が表われていると思います。自衛隊員だった息子は、上官からのいじめにあって自殺しました。

■人権裁判所

【257】
笹本 弁護士の笹本潤です。コスタリカに留学して中南米の憲法問題を調査してきました。中南米諸国でアメリカの支配を脱しようとする大統領が次々と誕生した時、助けになったのがアメリカからアルゼンチンにいたる三五カ国で構成された「人権裁判所」でした。この「人権裁判所」がアジアにはない。一国ではどうすることもできない問題でも、人権裁判所にもっていけば、外国や国連などの水準から解決の道が見つかる。日本も例外じゃない。日本の裁判所ではなかなか救済されない「米軍基地」や「表現の自由」の問題、あと「戦後補償問題」などが救済される可能性がある。国家という枠を超えた人の繋がりは、まさに日本国憲法の精神です。戦争は人権を侵害しないと遂行できない。だからこそ世界中の人が手を繋いで、国家に人権を守らせる必要があるんです。


7.日本国憲法 第十章「最高法規」

【258】
はなし 国民の基本的人権は、人間が長い間力を尽くして得たものであり、これまでいろいろのことに出会って鍛え上げられたものであるから、これからも決して侵すことのできない永久の権利であると記しています。

【259】
憲法 日本国憲法第九十七条、この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

【260】
改正案1 自民党改正案では、この条文を全文削除します。

【261】
憲法 全文削除……

【262】
はなし ひどい。

【263】
憲法 第九十九条、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

【264】
はなし このように大事な憲法は、天皇陛下もこれを守りますし、国務大臣も、国会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務がある。憲法は国家権力を縛るものだという立憲主義を表す条項です。

【265】
改正案2 しかし、自民党改正草案では九十九条を次のように改正します。

【266】
改正案3 全て国民は、この憲法を遵守しなければならない。

【267】
はなし 憲法の役割は国民を守るために、国家権力に歯止めをかけることです。

【268】
伊藤 弁護士の伊藤です。人間の判断は常に正しいわけじゃない。ときに間違いを犯します。国民の多数が熱狂的に戦争を支持した戦前の日本もそうでした。それを避けるために、人間の弱さに着目して、あらかじめ多数の声に歯止めをかけることが必要だと考えられた。その仕組みが憲法なんです。多数の声を反映した国家権力を制限する。これが立憲主義という思想です。九六条を先に改正する狙いは、九条などを改正することにあります。憲法によって縛られる側の国家権力が憲法改正を目指すなんて、政治的なクーデターですよ。

【269】
改正案1 共同通信が行った世論調査によると、現在の安倍政権の支持率は六八%。今年の一月から、ずっと六〇%代をキープしています。

【270】
改正案2 来月の参議院選挙でも自民党の圧勝は間違いなし。昨年の衆議院選に続き、参議院でも単独過半数を取る勢いです。

【271】
改正案3 自民党は参院選でも憲法改正を公約に掲げて戦います。

【272】
安倍(岸) 多くの声なき声は我々を支持している。

群衆からの盛大な拍手。
安倍、改正案1から3、去る。
低いエリアに座っていた男が一人、立ち上がる。
憲法、男を見る。目が合う。男、目を逸らし、黙って去る。
憲法、男を追って一歩前に出て立ち止まり、去って行く男を見送る。
女が立ち上がる。
憲法、女を見る。目が合う。女、おじぎをして、小走りに去る。

【273】
はなし なぜ。

男がまたひとり、今度は憲法を見ずに、こそこそと去る。
憲法、去って行く男を見送る。
女ふたりが目配せして立つ。慌てたひとりが椅子にぶつかる。
憲法、ふたりを見る。

【274】
女1 (憲法に気が付いて)私にやれることがあったら言ってください、(女2に)ね。

【275】
女2 言ってくれれば。なんでも。

【276】
はなし 違う。あなたがどうするかですよ。

憲法の言葉を遮って、男が話し出す。

【277】
男1 憲法も大事ですけどね、平和運動のために会社辞めるわけにいかないし。

憲法、男を見る。
立っていた女ふたり、急いで去る。

【278】
はなし (男1に)そんなおおげさなことじゃなくて。

男2が話し出す。

【279】
男2 景気が良くなってくれないとね、憲法どころじゃないよ。

男2が話している間に、男1去る。
男2、去る。男2に続いて近くにいた二人が去る。
次々と席を立って去っていく。
最後に男が一人残る。
憲法、男を見る。男、憲法を見る。目が合う。
憲法が近づこうとすると、男は逃げていく。

【280】
はなし (去って行く人々に)現実に合わせて憲法を変えたら、現実は変わらない。憲法に合わせて現実を変える。それで未来が変わる。そう信じます。

憲法、取り残された。
振り返ると、はなしが立っている。

【281】
はなし そう信じています。


8.日本国憲法 前文

憲法、語り出す。はなし、脇に立つ。

【282】
憲法 日本国憲法、前文。

姿を現すものはいない。

【283】
憲法 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、

【284】
はなし われらとわれらの子孫のために、
諸国民との協和による成果と、
わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、

【285】
憲法 政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

憲法が前文を読み出すと、出演者たちが出てくる。
出演者たちが前文を読んでいく。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、
その権威は国民に由来し、
その権力は国民の代表者がこれを行使し、
その福利は国民がこれを享受する。
これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

【286】
憲法 日本国民は、恒久の平和を念願し、

人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。

【287】
憲法 われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

われらは、全世界の国民が、
ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、
平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、
自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、
政治道徳の法則は、普遍的なものであり、
この法則に従ふことは、
自国の主権を維持し、
他国と対等関係に立たうとする
各国の責務であると信ずる。

【288】
全員 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

音楽。
溶暗。




【引用文献】

■あたらしい憲法のはなし
 「復刻・あたらしい憲法のはなし」(童話屋)p11、28、32、35、73
■自民党改正案
 「日本国憲法改正草案Q & A」p7、9、10、14
■安倍晋三
 「新しい国へ 美しい国へ完全版」安倍晋三著(文藝春秋)p103、105、107、147、250
 衆議院議員 安倍晋三公式サイト 憲法改正2009年6月12日
 http://www.s-abe.or.jp/policy/consutitution_policy
 2006年10月3日・衆院本会議
 2013年5月10日・フジテレビ「スーパーニュース」
 「SAPIO」2007年6月27日号(インタビューは2006年8月2日)
■ベアテ・シロタ・ゴードン
 「ベアテと語る「女性の幸福」と憲法」晶文社 p38、91
 「映画 日本国憲法 読本」FOIL p130
■ジョン・ダワー
 「映画 日本国憲法 読本」FOIL p72、82
■丸山眞男
 すばる2013年2月号「未発表インタビュー1989年の丸山眞男」(集英社)p132、136、138
■石原慎太郎
 「マッカーサーが数日で作った醜い憲法」(名古屋市内での講演で)朝日新聞デジタル 
 http://www.asahi.com/politics/update/0509/TKY201305090498.html
■伊藤真
 世界2013年6月号「なぜ96条を変えてはいけないのか」p73、74、80
 TBSラジオ「ニュース探求ラジオDig」2013年3月21日
 「伊藤真の憲法入門 講義再現版第4版」伊藤真著(日本評論社)p101、
■内田樹
 東京新聞2013年5月3日「96条の意義は国民守るとりで」
 内田樹の研究室「集団的自衛権と忠義なわんちゃんの下心について」
 http://blog.tatsuru.com/2013/05/04_0814.php
■古屋圭司
 東京新聞2013年5月4日「対論」
■大江健三郎
 「取り返しのつかないものを、取り返すために」岩波ブックレット p45
■石破茂
 【永田町発 憲法の焦点】(3)天皇編 衆院議員・石破茂氏
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120403/plc12040321080025-n1.htm
 2013年5月11 日・TBS時事放談
 2001 2012年12月2日・新報道
■記者1、2
 朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/
■鶴見俊輔
 「戦争が遺したもの」鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二(新曜社)p143
 「鶴見俊輔語録2 この九十年」(皓星社)p218
 「9をまく」(大月書店)p67
■鈴木邦夫
 「愛国者の座標軸」鈴木邦夫著(作品社)
 朝日新聞2012年9月19日「心の痛みがない愛は偽り」
■橋下徹
 赤旗2012年4月7日(土)
 2001 2012年12月2日・新報道
■櫻井よしこ
 2012年04月26日・BLOGOS「憲法改正をみんな一緒に考えましょう」
 http://blogos.com/article/37686/
■辺野古座り込みの女性
 「映画 日本国憲法 読本」FOIL p23
■民主党の小西
 2013年3月29日・参院予算委員会
■デイビッド・ロー
 朝日新聞2012年5月3日「日本国憲法は世界の宝!海外で最高の評価」
■伊佐、弁護士の加藤
 やんばるからのメッセージ(DVD)
 琉球新報2013年4月12日「憲法則し判決を」高江ヘリ妨害禁止訴訟
■雨宮処凛、高遠菜穂子
 「9条世界会議の記録」9条世界会議日本実行委員会編(大月書店)p83、85
■半田滋
 週間金曜日ニュース「ダッカ事件、拉致問題など引き合いに事実を歪曲」
  2013年3月14日
 マガ9対談「検証:9条を骨抜きにするいくつかの方法について」
 「ハンドブック 集団的自衛権」岩波ブックレット p41、45
■たきもとしげこ
 引用:http://skmtsocial.tumblr.com/post/37628588064
■吉岡達也、フィリピンの女性、チリNGOの女性、エマニエル・ボンバンディ、
 アリアス大統領、バン・キムン
 「9条を輸出せよ!」吉岡達也著(大月書店)p123、131、132、144、159、160
■浅田次郎、井上ひさし
 日本ペンクラブ・メールマガジン「P・E・N」第23号2005年1月28日
■澤地久枝、奥平康弘
 「いま、憲法の魂を選びとる」岩波ブックレットp37、45
■日高六郎
 「映画 日本国憲法 読本」FOIL p212
■森達也
 「日本国憲法」森達也著(太田出版)p181
■川口創
 マガ9対談「検証:9条を骨抜きにするいくつかの方法について」
■浦田一郎、佐藤達夫
 「ハンドブック 集団的自衛権」岩波ブックレット p5、16、30
■豊下楢彦、ブッシュ
 「集団的自衛権とは何か」豊下楢彦著(岩波新書)p33、46、110、116
■山田朗
 「自衛隊イラク派兵差止訴訟」控訴審第7回口頭弁論での証人尋問
■グリナート
 NHKニュース「集団的自衛権で日米空母機動部隊も」2013年5月22日
■松竹伸幸
 「憲法九条の軍事戦略」松竹伸幸著(平凡社新書)p80、101、115、177
■笹本潤、コン・ヒョッテ
 「世界の「平和憲法」新たな挑戦」笹本潤著 p119、137
■伊勢崎賢治
 「憲法九条の軍事戦略」松竹伸幸著(平凡社新書)p116、117
■幣原喜重郎
 憲法第九条『戦争放棄』は、世界史の扉を開くすばらしき狂人、幣原首相によって生まれたもの!
 http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/d7687e6f43b62b9370cba44a9b11bcd1
■マルティ外務大臣
 しんぶん赤旗「戦争放棄条約締結をインドネシア外傷が提案」2013年5月18日
■ジョイス、ジェフ
 「冬の兵士 イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実」p204
■吉元玉
 「20年間の水曜日」尹美香著(東方出版)p144
■司馬遼太郎、将校、少佐参謀
 「憲法の力」伊藤真著(集英社新書)p113
■栗栖弘臣
 「憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本」p112

-------------------------コピー&ペースト以上-------------------------------

「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<登場人物~No.100>
「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<No.101~No.200>

「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」 台本<No.101~No.200>

2013-07-03 14:26:33 | 世の中のいろいろ
非戦を選ぶ演劇人の会/上演台本の公開より

「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<登場人物~No.100>よりつづき。


非戦を選ぶ演劇人の会 vol.16
いま、憲法のはなし ― 戦争を放棄する意志 ―


台本構成:石原 燃

-------------------------------以下台本よりコピー&ペースト-------------------------------

【101】
はなし 表現の自由はどうなるんですか?

【102】
憲法 第二十一条、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

【103】
改正案3 もちろん、保障します。

【104】
改正案1 公益や公の秩序を害さない限りね。

【105】
石原燃 この台本を書いた石原燃です。大阪では、去年、震災がれきの焼却に反対していた人たちの不当逮捕が相次ぎました。去年の年末には抗議行動に向かうために大阪駅構内を通り抜けただけの人たちが、JR職員の制止に従わなかったからという理由で令状逮捕されました。罪状は、鉄道営業法違反、威力業務妨害、不退去。駅のなか歩いただけですよ。もしも憲法が改正されたら、あらゆる反対運動が「公の秩序を害する活動」だということにされて、逮捕されても、不当だと抗議することもできなくなるんじゃないでしょうか。

高台、上手から石破登場。

【106】
石破 石破です。国民が何を思い、どんな思想を持とうと自由かもしれないが、それは社会とは離れたところで願いたい。公共の場に個人の思想を持ち出されては困る。

【107】
憲法 私が保障しているのは公共の場に個人の思想を持ち出す自由です。それが国を作る。

【108】
はなし 憲法は、個人の権利を、国家権力から守り、国を作るためにあるんです。

【109】
ロー ワシントン大学のデイビッド・ローです。成文化されたすべての憲法を調査しました。いま世界では、時代とともに新しい人権の概念が次々と生まれ、明文化されていっています。いまやアメリカの憲法はその流れから取り残されています。女性の権利や移動の権利、教育の権利なども明文化されていない。それに比べて日本の憲法は、六五年も前から世界で主流となった人権の上位一九項目を全て満たしています。信教の自由。

【110】
憲法 第二十条、信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。

【111】
ロー 表現の自由。

【112】
憲法 第二十一条、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

【113】
ロー 平等の保障。

【114】
憲法 第十四条、すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

【115】
ロー 不当逮捕、拘束の禁止。

【116】
憲法 第十八条、何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。

【117】
ロー 団結権。

【118】
憲法 第二十八条、勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

【119】
ロー 女性の権利。

【120】
憲法 第二十四条、婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

【121】
ロー 移動の自由。

【122】
憲法 第二十二条、何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

【123】
ロー 教育の権利。

【124】
憲法 第二十六条、すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

【125】
ロー そして、生存権。

【126】
憲法 第二十五条、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

【127】
ロー 日本国憲法は、人権の先取りをした、とてもユニークな憲法です。……ただ、その内容が政治にどれだけ反映されているかは別の問題です。

【128】
伊佐 私は国に訴えられました。伊佐といいます。沖縄本島の北部、東村高江に住んでいます。米軍のヘリパッドが村を囲むように六個も作られることを知って他の住民と一緒に座り込みを始めました。ところが、国は座り込みをしていることが通行妨害だとして私たちを訴えたんです。

【129】
憲法 国が。なぜ。

【130】
加藤 弁護士の加藤です。高江住民側の弁護を担当しました。この裁判は極めて特異な裁判です。住民は説明してくれと言っていただけです。市民活動として当然の権利である表現の自由を、国は、すべて妨害であるとしてきました。本来の裁判というのは、弱者として権利を侵害された者が、裁判所という国の機関の助力を得ることによって、権利を確保するわけです。しかし、今回、国は、カネと権力を使って、行政という権力の上に、司法という権力を用いて、強引なやり方を押し通そうとしている。まったくあべこべだ。

【131】
伊佐 私たちの非暴力の行動は生活に対する不安から始まりました。私たちは憲法に則って行動しているんです。日本には軍を持たないという素晴らしい憲法があり、基地はいらない。司法にも憲法にのっとって考えてもらいたい。

【132】
憲法 国が人々の生活を守らなくなったとき、自由と平等を制限し始めたとき、基本的人権を尊重しなくなったとき、平和は死ぬ。

【133】
雨宮 雨宮処凛です。今の日本には、二五条の生存権が脅かされている人たちが、「希望は戦争」と言い出してしまうような状況があります。

【134】
憲法 第二十五条、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

【135】
雨宮 今のフリーターはフルタイムで働いても月収一二万円くらいです。非正規雇用でいつづける限り収入は変わらないので、未来に希望が持てない。そこに、自衛隊の勧誘の人が近寄ってくる。「二七歳までだったら再チャレンジできる。人生をやり直せる。」「年収がこれこれで、資格も取れる」とか、そういうことを言う。それで実際勧誘された男性が自衛隊に入ったことがありました。日本でもアメリカのように貧困層が増えて、派遣会社からイラクに送られることもありえない話ではないように思います。貧困や格差の問題が戦争の一番の原因です。一定数の若者がもう棄民化というか難民化というか、ほんとうに人間らしい扱いをうけていなくて未来に希望をもてなくなっている。それはすごく危険です。やはり軍事費を削って、生存のほうに回すのは当たり前のことだと思います。日本であまり餓死はないと言われがちですが、多くの人が餓死でなくなっています。少なくとも餓死しないとか、ホームレスにならないとか、そういうことが政治の最低限の役割だと思うのです。命の重さが人によって違うというのは、戦争になるとモロに出る。戦争は常に貧しい人たちを必要とするのです。

【136】
憲法 私はそれを防ぐためにいるのではなかったのか。


5.「緊急事態」

【137】
安倍 皆さん、戦後レジームから脱却しましょう。

憲法、安倍首相を見る。

【138】
安倍 いつも思い起こすのは、バングラディシュにおいて日航機がハイジャックされた、ダッカ事件です。時の政府はハイジャック犯の要求に従い、服役囚の釈放に応じました。今から時の政府を批判することはたやすい。しかし、もし私が総理だったとして外の手段がとれたか……

【139】
憲法 冗談じゃない。あなたが総理だったらとんでもないことになる。

【140】
安倍 日本国憲法の前文にはこうあります。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」実に妙な一文です。国民の安全を守るという国家として最も重要な使命を、何と「平和を愛する」諸外国の国民を信頼するという形で丸投げしてしまっている。こういう憲法でなければ、横田めぐみさんを守れたかも知れない。

【141】
半田 憲法が悪いんですか。各地で失跡事件が起きたとき、警察庁は北朝鮮による拉致と確信していた。でも、政治が動き始めたのは二〇年以上経ってからです。私、東京新聞論説委員の半田滋です。北朝鮮と向き合ってこなかったのは自民党政権の問題じゃないんですか。

【142】
改正案1 改正草案では、憲法の欠点を補うべく「緊急事態」について規定しました。

【143】
改正案2 これは有事や大規模災害などが発生したときに、緊急事態の宣言を行い、内閣総理大臣などに一時的に緊急事態に対処するための権限を与える規定です。

【144】
たきもと 法律学者のたきもとしげこです。これはドイツの全権委任法と同じ効果を持つ、恐るべき条文です。かつてドイツで先進的なワイマール憲法が、突然無効化されました。政権を握ったナチスが全権委任法を制定したからです。これは緊急事態の宣言さえすれば、国会での議論を経ることなく、内閣が単独で自由に立法権を行使できるという法律でした。ドイツ国内では様々な非人道的な所業が合法化され、全世界を巻き込んだ最終戦争へと発展していったんです。

【145】
憲法 そう。あの戦争……


6.日本国憲法 第二章「戦争の放棄」

■九条改憲の内容

【146】
憲法 日本国憲法、第九条。第一項。日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

【147】
改正案1 自民党改正草案。第九条第一項。日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。

【148】
改正案2 第一項の平和主義これは残しておきます。基本的には変更しません。ただし、ちょこっとだけ文章の整理をしました。

【149】
改正案3 「放棄する」は戦争のみに掛け、「武力による威嚇」や「武力の行使」は「国際紛争を解決する手段としては、用いない」としました。

【150】
安倍 憲法九条の規定は独立国としての要件を欠いています。国を守るために戦わない国民のために、替わりに戦ってくれる国は世界中どこにもありません。日本国民の生命と財産および日本の領土は、日本国政府が自らの手で守らなくてはならないのです。

【151】
はなし 日本は、国の力で相手を脅すようなことは、一切しないことに決めたんです。

【152】
改正案1 平和主義は変わりません。

【153】
憲法 第二項。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

【154】
改正案2 そこは変えます。第二項。前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

【155】
はなし 自衛権の発動による武力の行使は可能になるんですか。

【156】
改正案3 なります。「国防軍」の規定を置きました。

【157】
安倍 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

【158】
はなし 兵隊も軍艦も飛行機も、戦争をするためのものは一切持たないんじゃなかったんですか。

高台、上手側から石破が登場。

【159】
石破 石破です。外向きには自衛隊は「軍」です。内向きには「いえいえ軍じゃありません」自衛隊ですっていう、そういう誤魔化しは止めましょうよ。

【160】
安倍 確かに自衛隊は海外からは軍として認められています。だからそこをですね、変えていくのは当然であります。

【161】
フィリピンの女性 フィリピンから来ました。私たちは、自衛隊が世界有数の軍隊であると言うことを理解してます。でも、それに対して反対運動をしていますか。自衛隊廃止要求のデモを聞いたことがありますか。本来なら、自衛隊の存在はおかしいと言ってもいいはずです。でもそんなことは言ってない。それは日本も国を守る最低限の軍事力は必要だろうし、日本の憲法が侵略戦争を固く禁じ、歯止めとなっていると知っているからです。

【162】
浅田 元自衛官の浅田次郎です。何だか知らないけれども、自衛隊の話がどんどん進んでいくほどに、しょうがないじゃないかという空気が漂ってきている。日本人の国民性。既成事実に弱いのです。行っちゃったんだからしょうがないじゃないかとか、今までこうだったんだからしょうがないじゃないかとか、これはいけないことだと思います。

【163】
澤地 作家の澤地久枝です。九条を改正するということは、無人爆撃機をつかって爆弾を落とす、落としてみたらそこで結婚式をしていた、というような仕方で戦争をするアメリカの同盟軍として戦争をしようということでしょ。何が「集団的自衛権」ですか。

【164】
日高 社会学者の日高六郎です。九条は国際的な制約です。あるいは、特にアジアの民衆に対する、日本国民の謝罪を含めての誓い。加害国、侵略国としての日本が、今後の在り方を国際的に、特にアジアの民衆に誓ったということだと思うんです。僕は中国で生まれて中国で育った。日本人にはアジアの民衆の気持ちを知って欲しい。あの一五年戦争のなかで二千万の人間が死んだ。南京虐殺事件が話題になるけれど、もっと小さい町、小さい村でどんなことが行われたか。アジアの人はみんな見ているわけです。憲法九条を〝改正〟すれば、もう絶対にね、アジア全体が硬直化しますよ。

【165】
フィリピンの女性 私たちフィリピン人の身にもなってほしい。自分たちのおじいさんが殺され、おばあさんがレイプされて、何人もの人が焼き殺されて……その記憶がまだあるんです。それなのに九条をなくす、しかもその背後にはすでに巨大な軍隊がいる。恐怖を感じるなというのは不可能です。

【166】
石破 ちょっと、やめやめ。

石破、日高たちを黙らせる。

【167】
石破 集団的自衛権を認める。軍とする。だったら侵略戦争を始めるとか、大陸間弾道弾持つとか、誰がそんな事言いましたか。自衛権行使の三要件はきちんと守るんです。国際的なスタンダードです。

【168】
森 ドキュメンタリー作家の森達也です。言っておくけれど、世界中の軍隊は自衛軍か国防軍だ。侵略のための軍隊などどこも持っていない。イランも中国もイスラエルもシリアも北朝鮮も例外ではない。すべて正式には国防軍。アメリカのペンタゴンの正式名称は国防総省だ。ところがその自衛のための軍隊が、戦争を起こし、自国民と他国民が大勢虐殺される。「平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため」に軍隊を持つことは、戦争の論理から抜け出していない。そう判断したからこそ、敗戦国日本は、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と九条二項で宣言した。絵空事ではない。リアルなんだ。その二項を失ったら、もはやなんの意味もない。

■国家安全保障法

【169】
半田 それだけじゃない。自民党は九条の解釈改憲もやろうとしています。

【170】
憲法 解釈改憲……。

【171】
半田 東京新聞の半田です。自民党は、「国家安全保障基本法案」の概要を党として機関決定しました。これで改憲をしなくても集団的自衛権の行使が可能になります。この法律には集団的自衛権の行使だけでなく、国民の義務や秘密保全法、武器輸出の緩和、海外での武力行使、全部入ってます。

【172】
川口 弁護士の川口創です。名古屋でのイラク派兵差止め訴訟の弁護団事務局長でした。この法案は内閣法制局に出した場合は絶対に通りません。憲法に完全に違反していますし、これまでの政府見解とも異なります。だから議員立法で出そうとしている。

【173】
半田 議員立法だと国会で過半数を占めれば成立します。

【174】
川口 いわば、禁じ手ですよ。

低いエリアに座った人々、非難の声をあげる。

【175】
石破 静かに、静かに! これまでも自衛隊の運用や集団的自衛権については、すべて政治のニーズで解釈をしてきました。状況が変われば政治判断も変わる。判断が変われば解釈も変わる。これは当たり前のことです。

【176】
佐藤 佐藤達夫です。敗戦後すぐに内閣法制局長官をつとめていました。法制局の専門家の公正な判断というものが、内閣から一顧もされないということになったら、法制局制度としてはすでに墓場への道に追いやられたことになるでしょう。そして、それは大げさにいえば、法治主義の墓場への道にも繋がるわけですよ。

【177】
浦田 浦田一郎です。法学者をしています。もしそんな風に解釈を変えたとすれば、九条は何も禁止していないことになります。九条は国際法の原則を確認しただけで、独自に何も言っていないことになります。これは実質的には九条の削除ですよ。

【178】
憲法 九条の削除……

非難の声、一層大きくなる。
憲法、うなだれ、椅子に座る。

■国家安全保障法と改憲の目的、集団的自衛権。

【179】
石破 はいはい、皆さん落ち着いて。集団的自衛権というのは国連憲章によって全ての国に認められた権利です。ちっちゃな国々が共同してお互いに守り合うというね。小さな国々が大国の横暴から身を守るために出来た権利でしょ。

【180】
浦田 違います。集団的自衛権は武力攻撃を受けた気の毒な小国の防衛の権利というイメージがあるかもしれませんが、実際には大国が小国に対する武力行使を正当化するために持ち出される場合が少なくない。アメリカによるベトナム戦争やニカラグア軍事介入、ソ連によるチェコ侵入やアフガニスタン軍事介入、NATO軍による湾岸戦争……。

【181】
内田 内田樹です。集団的自衛権というのは平たく言えば「よその喧嘩を買って出る」権利。よほど戦争をしたい国しか、そんな権利は行使しようと思わない。

【182】
川口 自民党は、集団的自衛権を四つの類型にまとめています。まずひとつめの類型。

【183】
石破 尖閣海域の公海上を米軍の船と海上自衛隊の船が航行しているときに、米国の艦船が攻撃を受けたら自衛隊はこれを救出できるのか。

【184】
半田 現代の水上艦は並走しません。以前、自衛隊の護衛艦に同乗しましたが、どこにアメリカの船がいるかわからないくらい離れていました。仮に、遠く離れているアメリカの艦艇がやられると気がついたとして、自衛隊の護衛艦は、自分に向かっていないレーダー波を探知して横から撃つことはできないんです。

【185】
川口 そして、ふたつめ。

【186】
石破 日本が米国まで飛ぶ弾道ミサイルを迎撃できるのか。

【187】
半田  北朝鮮が「テポドン2」を撃ったと仮定して、あれを迎撃できるミサイルは存在しないんですよ。迎撃ミサイルというと、敵のミサイルを待ち構えていて、撃ち落すと思う。でも実際は追い撃ちなんです。弾道ミサイルを追い越していくだけの速度が迎撃ミサイルにないと、当たらない。で、これを十年以上研究しているけど、まだ完成していないんです。

【188】
川口 大体、北朝鮮が行っているのは瀬戸際外交で、本気でアメリカ本土を攻撃しようとしているわけではありません。

【189】
半田 一発は撃てるかも知れないけど、そんなことをしたら、アメリカと国際社会からコテンパンにやられて国がなくなっちゃいますよ。そんな無謀なことを政治家がやるはずがない。

【190】
川口 この二つの類型は現実的にはありえない。つまり世論を喚起するための設問です。自民党が行使したいと思っているのは三つめと四つめです。まず三つ目。

【191】
石破 国際平和活動をともにする他国部隊への「駆けつけ警護」はできるのか。

【192】
川口 今、自衛隊が海外派遣されても、駆けつけ警護はできない。海外に行くと武器使用が規制される。それを取っ払って安全確保と警護の名の下に、武器の使用も原則OKにする、イラクでアメリカやイギリス、オランダが行ったことを、日本の自衛隊もできるようにする。明確な武力行使です。これを集団的自衛権として行使できるようにしたい。そして四つめ。

【193】
石破 国際平和活動に参加する他国への後方支援はできるのか。

【194】
川口 これは、イラク派兵訴訟で違憲であると判断されたパターンです。五年前に名古屋高裁で出された判決は、「航空自衛隊のイラクにおける空輸活動は、憲法九条一項に違反する」と明確に示されたものでした。後方支援として自衛隊がやったこと、武装した米兵を最前線であるバグダッドに運び込んだことは、武力行使だと判断された。実際、航空自衛隊が輸送活動を開始した直後くらいから、バグダッドを中心に掃討作戦が激化しています。飛躍的にイラクの戦死者も増えました。日本国内には、陸上自衛隊が撤退して、イラク派兵はもう終わったと思わせておいて、その後航空自衛隊が本格的に軍事活動に踏み込んだわけです。自民党は、アメリカの要求に応じて自衛隊を海外に出し、アメリカと一緒に軍事活動をさせたいんです。しかしこの判決によれば、それは「武力行使」として禁止されてしまう。だから、これを集団的自衛権として行使できるようにしたい。

【195】
安倍 外国の軍隊で、認められていることが自衛隊では認められない。外国の軍隊の基準が「これはやってはいけないが、ほかはよい」ということを決めたネガティブリストであるのにたいし、自衛隊の基準は「ほかはだめだが、これだけはしてもよい」というポジティブリストです。これは、憲法の拘束がきついからです。

【196】
半田 安倍政権は、領土問題を解決するためにアメリカに協力して欲しいと思っていて、ギブ・アンド・テイクでアメリカが望むことをこちらも出していく必要があると考えているんでしょうね。

【197】
奥平 でもそこに「憲法九条に違反しない」という理屈付けがいつも、ない。あるのは「いついかなる場合に行使が赦されるか」ばかりです。法学者の奥平康弘です。そもそも「行使する権利がある」というのが改憲を志向する人々の考え方なんですね。どんな時に、どんな軍隊を、どんな武器を、といったことはアメリカが決める。

■アメリカの自衛権とは

【198】
豊下 関西学院大学で外交史を教えております。豊下楢彦と申します。自民党の狙いが自衛隊を海外に出し、アメリカと一緒に軍事活動をさせることだとしたら、アメリカがどんな自衛権の概念を持っているのか知る必要があると思います。

【199】
井上 井上ひさしです。「ブッシュ・ドクトリン」というものがあります。ドクトリンというのは、基本政策。つまり九・一一以降のアメリカの新戦略です。ブッシュさんはいつ大統領になったか分からない選挙で選ばれてきて、大統領になった以上はこういう方針で国を運営していくという基本政策を決めたわけです。これは大きく分けると六つあります。まず一番め、テロリストのみならず、テロ支援国家も軍事攻撃の対象と見なす。ある国がテロリズムを支援しているか否かの判定はアメリカが下す。これが最初の柱です。二番め、善悪二元論的な世界認識に立つ。この世界にはいいものと悪いものがいる。そしてアメリカは常にいいほうである。三番め、伝統的な抑止概念ではテロリストを効果的に攻撃できない。そこで先制攻撃をする。四番め、単独主義でいく。NATOや国連のような国の主権を超えたところにある国際機関をあてにしない。京都議定書はアメリカにとっては都合が悪いので離脱する。国際刑事裁判所への署名は一方的に廃棄する。自分が裁判所になるのだ。五番め、相当意地悪いまとめ方ですが、アメリカの敵に対しては変な気を起こさせない。六番め、これがとても大事です。人道的な利益や国際社会の利益ではなく、アメリカの国益をあくまでも外交の基準とする。これがブッシュ・ドクトリンの骨格です。

【200】
豊下 「ブッシュ・ドクトリン」以来、自衛権の概念は大きく変化しています。ところが、日本で集団的自衛権が論じられるとき、そこで自衛権と呼ばれるものが国連憲章五一条に基づいたものなのか、「ブッシュ・ドクトリン」に基づいたものなのか、この根本的な問題が完全に素通りされてしまってるんです。そして、むしろ検討すべきなのは、「ブッシュ・ドクトリン」が「先制攻撃の拡散」をもたらす危険性です。すでに、フランスやロシア、イギリス、オーストラリアなども事実上「先制攻撃」の権利を主張していますし、皮肉にもイランや北朝鮮までもが同様の権利を主張しています。

-----------------------------コピー&ペースト以上------------------------------

「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<No.201~No.288/引用文献>につづく

「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<登場人物~No.100>

2013-07-03 09:31:06 | 世の中のいろいろ
台本を公開している「非戦を選ぶ演劇人の会」。

何年か前に「9条は守りたいのに口ベタなあなたへ…」をエントリーしましたが、
今回の「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」もおもしろいと思います。

非戦を選ぶ演劇人の会/上演台本の公開より台本をコピペします。

非戦を選ぶ演劇人の会 vol.16
いま、憲法のはなし ― 戦争を放棄する意志 ―


台本構成:石原 燃

-----------------------------以下台本よりコピー&ペースト----------------------------

登場人物(○女性、●男性)

 ○あたらしい憲法のはなし
 ●日本国憲法
 ●安倍晋三
 ○ベアテ・シロタ・ゴードン
 ●ジョン・ダワー
 ●鶴見俊輔
 ●丸山眞男
 ●石原慎太郎
 ○自民党改正案1
 ○自民党改正案2
 ○自民党改正案3
 ●伊藤真
 ●内田樹
 ●古屋圭司
 ●奥平康弘
 ●大江健三郎
 ●石破茂
 ○記者
 ○学者
 ●鈴木邦夫
 ●橋下徹
 ●半田滋
 ○たきもとしげこ
 ○櫻井よしこ
 ○座り込みの女性
 ●民主党の小西
 ●デイビット・ロー
 ●弁護士の加藤
 ●伊佐
 ○石原燃
 ○雨宮処凛
 ○フィリピンの女性
 ●浅田次郎
 ○澤地久枝
 ●日高六郎
 ●森達也
 ●川口創
 ●佐藤達夫
 ●浦田一郎
 ●豊下楢彦
 ●井上ひさし
 ●ブッシュ
 ●フランス
 ●ロシア
 ●北朝鮮
 ●山田朗
 ●グリナート
 ●吉岡達也
 ●松竹伸幸
 ●コン・ヒョッテ
 ●伊勢崎賢治
 ●幣原喜重郎
 ●エマニエル・ボンバンディ
 ●アリアス大統領
 ●バン・キムン
 ●マルティ外相
 ○高遠菜穂子
 ○チリNGO女性
 ●司馬遼太郎
 ●将校
 ●少佐参謀
 ●栗栖弘臣
 ●笹本潤
 ○吉元玉
 ●山崎拓
 ○母親
 ○ジョイス
 ●ジェフ
 ○女1
 ○女2
 ●男1
 ●男2


舞台は二つのエリアに分かれている。
奥が高いエリア(高台)。手前が低いエリア。
高台は五人ほどが横に並べればよく、奥行きは必要ない。
二つのエリアは完全に分断され、行き来することはできない。
低いエリアの前方、中央に椅子がひとつ。
中央の椅子には憲法が座る。
その周囲に椅子が並んでいる。

1.改憲議論

暗闇。
初老の男性が舞台中央に現れる。
彼は「日本国憲法」。

【1】
憲法 私は日本国憲法です。今年で六五歳になります。すみません、座らせていただきます。(座る)年寄りに見えますか。そうでしょうね。でも、イギリスでは八〇〇年前に作られたマグナカルタが前文に残っているし、フランスでも二〇〇年前の人権宣言が憲法の原則として生きている。私などまだまだ若造なんですがね……。

憲法の横に、若い女性が登場する。
彼女は「あたらしい憲法のはなし」。

【2】
はなし お若いですよ、まだまだ。

【3】
憲法 おや、どこかでお会いしたような。

【4】
はなし 「あたらしい憲法のはなし」です。中学一年生の社会科の教科書でした。

【5】
憲法 ああ、私が公布された翌年に作られた。とてもいい教科書だったのに、五年で姿を消してしまった。……今日のために帰って来てくれたんですね。

【6】
はなし 憲法を紹介するのが仕事ですから。

【7】
憲法 (喜んで)でしたね。

【8】
はなし 憲法とは、国でいちばん大事な規則、すなわち「最高法規」です。憲法の中には、だいたい二つのことが記されています。その一つは、国の治めかた、国の仕事のやりかたをきめた規則です。もう一つは、国民の一番大事な権利、すなわち「基本的人権」をきめた規則です。また、この憲法にはこれからは戦争を決してしないという、大切なことが決められています。

【9】
憲法 ありがとう。でも、こうやって紹介していただくのも、これが最後かもしれない。

【10】
はなし そんなこと言わないでください。これからじゃないですか。

安倍総理の声がする。

【11】
安倍の声 戦後レジームからの脱却を成し遂げるためには憲法改正が不可欠です。

憲法とはなし、声のする方を見る。
高台に、安倍総理が登場している。
安倍総理の目には客席に座っている観客が、自分を支持する群衆に見えているようだ。

【12】
安倍 第九十六代内閣総理大臣を拝命いたしました、安倍晋三です。現行の憲法は、日本が占領されている時代に制定され、現実にそぐわないものとなっています。私は、今こそ、私たち自身の手で、二十一世紀にふさわしい日本の未来の姿あるいは理想を憲法として書き上げていくことが必要と考えています。

群衆からの盛大な拍手。
憲法、肩を落とす。はなし、励ますように寄り添う。
客席通路から女性の声。

【13】
ベアテ 憲法は古くなってなんかいませんよ。

【14】
憲法 その声は。

ベアテの姿が客席通路に浮かび上がる。

【15】
ベアテ ベアテ・シロタ・ゴードンです。憲法の草案づくりに携わりました。

【16】
憲法 ベアテ! (と、立ち上がる。)

【17】
ベアテ この憲法が長く続いたのには理由があるのです。それは、日本人にとってプラスだったからです。どこが、どう古くなっているのか説明できますか? 「長く続いた」というだけで、価値がないのでしょうか。

【18】
憲法 (安倍に)そう。私のどこが悪いんですか。

安倍総理、群衆にむけて演説を続ける。
ベアテ、舞台へ向かう。

【19】
安倍 まず成立過程に大きな問題があります。日本が占領下にあった時、GHQ司令部から「憲法草案を作るように」と指示が出て、起草委員会が草案づくりに取り組んでいました。ところがその草案が新聞にスクープされ、その内容を見たマッカーサー司令官が激怒してしまった。それで「日本人には任すことができない」ということで、ホイットニー民政局長にGHQ憲法草案を作るように命令したのです。

客席通路にダワーが登場する。

【20】
ダワー 歴史学者のジョン・ダワーです。実際、起草委員会が作成した草案はうわべだけの改憲案でした。主権は依然として天皇にありました。軍部の力をほんの少し弱めてはありましたが、中央集権的な立憲君主制を否定するものではなかったのです。

ダワー、舞台へ向かう。

【21】
安倍 草案づくりには憲法学者も入っておらず、国際法に通じた専門家も加わっていない。ニューディーラーと呼ばれた進歩的な若手のGHQスタッフによって十日間そこそこという短期間で書き上げられたものなんです。

舞台に到着するダワー、ベアテと共に証言を続ける。

【22】
ベアテ 憲法の草案づくりに携わったとき、私は二二歳でした。民政局の職員たちは、軍服を着た人もいましたが、本職は弁護士、大学教授、ジャーナリスト、医師、実業家などで、幅広い分野の人材が揃っていました。

【23】
ダワー 彼らは、アメリカの憲法だけでなく、世界中の憲法を研究した。そして、規範となる理想的な憲法はどんなものか議論を重ねたんです。

【24】
ベアテ 何かを参考にしなければならないと思い、ジープに乗っていろんな図書館を探しました。ドイツのワイマール憲法とソビエトの憲法とスカンジナビアのいろんな国の憲法。ヨーロッパの憲法には基本的な自由だけじゃなくて女性のために社会福祉の権利も入っていたんです。

客席通路に丸山が登場する。
ベアテとダワー、椅子に座る。

【25】
丸山 丸山眞男です。GHQ草案に基づく憲法草案が発表された時の東大の憲法研究委員会、いまでも覚えてます。横田先生が「大賛成だ、この案は。天皇制はいずれ消滅するものだけども、まあ、急に消滅しなくても、いま大事なのは人民主権の原則を確立しておくことだ。これ、大賛成だ。」といって行っちゃった。あれ、いまでも覚えてるんだ。

【26】
安倍 連合軍の最初の意図は、日本が二度と列強として台頭することのないよう、その手足を縛ることにありました。国の骨格を自らの手でつくりだしてはじめて、真の独立が回復できるのです。

高台に、上手から石原慎太郎が登場する。

【27】
石原 戦勝国が負けた国を統治するために作った法律が、相手の国が成立しても通用する事例っていうのは世界のどこにもない。

【28】
憲法 あなたは。

【29】
石原 日本維新の会、共同代表の石原慎太郎だ。改正? そんなまどろこしいことをやっていたら憲法なんか良くなるわけがない。政治家が「廃棄する」と言ったらそれで終わりなんです。

【30】
はなし 政治家は憲法を守らないといけない。廃棄なんてもってのほかですよ。

石原慎太郎、意に介さず立っている。

【31】
丸山 マッカーサー草案は、支配層にとって想像を絶する困惑なんですよ。まさに彼らにとっては「押しつけ」なんです。押しつけが自然に元に戻る、それが改憲なんです。憲法というのが地に着いて、それを改めていこうというんじゃなくて、そもそも支配層にとっては不自然な憲法が続いているわけです。彼らにとって大日本帝国憲法を手直しするくらいのところが本音なんですね。

客席通路に鶴見が登場する。

【32】
鶴見 鶴見俊輔です。憲法起草委員会では二人のユダヤ人が働いたんです。ケーディスとシロタ。ユダヤ人が国をつぶされて世界へ離散した、その五千年の苦難があの憲法の中に無意識に入っている。日本にも強制労働のために連れてこられた朝鮮人、中国人、琉球人などがいるわけで、そういう人たちが安心して住めるような国という考え方が憲法に入ってるんだよね。人間が作る憲法なんだから、別に日本純粋の起源と考えなくっていいんじゃないですか。

鶴見と丸山、椅子に座る。石原、退場する。
以下、低いエリアに登場する人は、台詞が終わると椅子に座っていく。


2.日本国憲法 第九章「改正」

【33】
安倍 自主憲法制定はわが党の党是であります。

群衆の盛大な拍手が聞こえる。

【34】
安倍 まずは多くの党派が主張している九六条の改正に取り組んでいく所存です。

【35】
はなし 「改正」とは、憲法をかえることです。憲法は国の規則の中でいちばん大事なものですから、これをかえる手続きは、厳重にしておかなければなりません。

【36】
憲法 日本国憲法第九十六条。この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

高台、下手から自民党改正案1~3が登場する。

【37】
改正案1 私たち、自民党憲法改正草案です。

【38】
改正案2 衆議院、参議院共に三分の二以上の賛成を集めないと、改正のための発議もできない。これは厳しすぎますよね。

【39】
改正案3 自民党改正草案では、両院とも、過半数以上の賛成を取れればいいというようにしたいと思います。

【40】
安倍 国民の皆さんがちゃんと自分の意志を示せる機会を国民の手に取り戻すべきではないか、というのが我々の考え方なんですね。

【41】
伊藤 ちょっといいですか、弁護士の伊藤真です。憲法が一度も改正されなかったのは、発議要件が厳しかったからじゃない。国民がそれを望まなかったからです。アメリカの発議要件は日本と同じですが、六回の修正が行われているし、日本より手続きが厳しいスペインでも二回の改正が行われています。

【42】
内田 内田樹です。憲法を改正している国も立国の理念まで変えているわけじゃない。憲法は国のあるべき形を定めたものです。政権が変わる度に変わるようじゃ困る。

高台、上手から古屋圭司が登場する。

【43】
古屋 九六条改正を目指す議員連盟代表の古屋圭司です。憲法を絶対に変えてはいけないという空気が、戦後政治の中で醸成されてしまったんですよ。憲法は時代の流れに応じて適切に変える必要があるんです。

【44】
内田 それは、グローバリスト特有の考え方ですよ。ビジネスだけでなく政治過程も行政組織も、あらゆる社会制度は市場の変動に応じて最適化すべきだと彼らは信じています。グローバリストにとって、最適化を阻む最大の障害は「国民を守る」ために設計された制度ですからね。医療、教育、福祉、司法、そういったものは市場の変化に対応しません。その代表が憲法です。グローバリストはこれまで国家が担ってきた「国民を守る」事業は市場に丸投げしたいと考えている。彼らが目指しているのは「国民国家の解体」なんです。

【45】
憲法 (安倍に)あなたは私をどうしたいんですか。


3.日本国憲法 第一章「天皇」

【46】
安倍 日本の歴史は、天皇を縦糸にして織られてきた長大なタペストリーです。日本の国柄をあらわす根幹が天皇制です。

【47】
大江 大江健三郎です。私が十歳になるまで、日本という国は戦争をしていました。そして、「おまえらが大人になるのは、戦争に行って天皇陛下のために死ぬためだ、」と教えられていました。国民学校で、校長先生が教室をまわってきて、「天皇陛下が死ねと言われたらどうするか、」と問いかけられて、「はい、死にます、腹を切って死にます、」とすぐに答えられないと殴られた。その時私は、「その思想に反対はしませんけど、ただ、天皇陛下は僕のことを知らないだろう、」と言いたい気持ちを自分の中に持っていました。それが、あたらしい憲法で、この国はもう戦争はしない、という。戦争がなければ天皇陛下のために死ぬこともないだろう。私は、そこをいいと思った。

【48】
憲法 第一条、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

【49】
はなし 憲法は、天皇陛下を、「象徴」としてゆくことに決めました。このような地位に天皇陛下を置いたのは、日本国民全体の考えにあるのです。これからさき、国を治めてゆく仕事は、みな国民が自分でやってゆかなければなりません。天皇陛下は決して神様ではありません。国民と同じような人間です。

【50】
改正案1 自民党の改正草案では、天皇を「元首」に変えたいと思います。

【51】
改正案2 元首とは、国の第一人者という意味です。

【52】
改正案3 明治憲法では天皇は元首でしたし、外交儀礼上でも、天皇は元首として扱われています。

高台、上手から石破茂が登場する。

【53】
石破 自民党の石破茂です。「元首」にはどうしても違和感がある。「カダフィ大佐と同列か」と思ってしまう。天皇陛下を外国の元首と同じ扱いにしていいのだろうか。

【54】
改正案1 こういう意見もありましたが、多数決で元首とすることにしました。

【55】
安倍 世界を見渡せば、時代の変化と共に、その存在意義を失っていく王室が多いなか、一つの家系が千年以上の長きにわたって続いてきたのは、奇跡的としかいいようがない。天皇陛下万歳!

安倍、改正案1~3、石破、「万歳! 万歳! 万歳!」と三唱する。

【56】
記者(女性) 記者として「主権回復の日」の式典に参加しました。首相が「天皇陛下万歳」って叫んだのを見ました。まるで戦前に逆戻りしたみたいだった。

【57】
学者(女性) 私もそう思いました。靖国神社に供え品を奉納したことや、迷彩服姿で戦車に乗ったこと、万歳三唱など、安倍首相の最近の振る舞いは、外に向けて自ら保守色を示すことが狙いなんでしょうか。

【58】
丸山 丸山眞男です。敗戦後、日本政府が最後までこだわったのが「国体護持」。彼らにとっては、天皇主権というものが国体なんです。

【59】
鶴見 鶴見俊輔です。昭和天皇が退位によって戦争の責任をとっていれば、天皇制は残してもその後の情勢はかなり違ったんですけどね。当時の感情で言えば、天皇は戦争にあれだけ利用されたんだから、責任をとって退位するのが当然だと思っていました。それは、天皇の側近たちもそう思っていた。だからあのときに天皇が自発的に退位を申し出て、それを支える者がいたら、退位ができたと思いますよ。

【60】
改正案1 さらに自民党改正草案では、新しい条項を追加します。

【61】
改正案2 第三条、「国旗は日章旗とし、国家は君が代とする。」。

【62】
改正案3 国旗と国歌については、既に「国旗及び国歌に関する法律」によって規定されていますが、教育現場で混乱も起きているので、改めて明文化することにしました。

【63】
憲法 混乱が起きているのは、国旗と国歌について国民的な合意が取れていないからじゃないですか。

【64】
改正案1 当然ですけど、国民は国旗と国歌を尊重しなければなりません。

【65】
安倍 「健全なナショナリズム」と「偏狭なナショナリズム」は分けて考えるべきです。自国の旗を振ったり、自国の国歌を歌うことは健全なナショナリズムです。偏狭なナショナリズムとは対立する相手国の国旗を燃やすような行為なんですね。

【66】
鈴木 「一水会」顧問の鈴木邦男です。「これは強制するものではありません」と国旗・国歌が法制化されたとき政府や文部省は言ってた。しかし、法律を作ると、それを拡大解釈する人が出る。「国旗・国歌にふさわしい扱いをしよう」「公立の中学・高校では生徒に歌わせよう」。さらに「歌わない人間は困る」「処分しろ」。あら探しが始まる。

【67】
橋下 ルールは守りましょうよ、ということですよ。

高台、上手から橋下徹が登場する。

【68】
橋下 維新の会の橋下徹です。条例が成立した後、府立高校にカメラが入った。先生たちはみんな手を前に組んで休めの姿勢で歌っていた。なかにはマスクをしたままの人もいました。これは違います。

【69】
鈴木 やだね。法律ができるとこんな人間が出てくる。私はこれまで、何千回と君が代を歌い、日の丸を揚げ、靖国神社にも何百回と参拝してきた。日本で一番の愛国者だ。だが、日本人だけが愛国心を持っているわけじゃない。自分の国がすべて、日本だけがすばらしいと言う考えは、思い上がった自国愛に過ぎない。排外主義だ。愛は欠点も失敗も認めた上でいとしいと思う心だ。日本はアジア諸国に対し、弁解しようのない失敗を犯してきた。そこを認めずに日本は正しかった、悪い事はしていない。失敗を認める事は反日だと言いつのり、良いところばかり愛するのは愛国心じゃない。心の痛みを伴わない愛国心は、フィクションにすぎない。


4.日本国憲法 第三章「国民の権利及び義務」

【70】
安倍 私は人権規定も、我が国の歴史、文化、伝統を踏まえたものであることが必要だと考えます。

高台、上手から櫻井よしこが登場する。

【71】
櫻井 櫻井よしこです。日本国憲法第三章を読んでみるとすごく変な気持ちになります。ここに書かれていることってほんとに日本人なのかなって、そう思わざるを得ません。「あなたにはこういう権利があります、こういう自由があります」ということがたくさん書かれています。でも私たちは大人になれば、権利と自由の裏側には責任と義務が無ければならないと知っています。でも日本国憲法第三章には、責任と義務はほとんど出てきません。権利や自由はもちろん大事ですけれど、そうしたものばかりを主張するのは私たち日本人の価値観ではなかったはずです。

【72】
はなし 人間らしい生活には、必要なものが二つあります。それは「自由」ということと、「平等」ということです。国の規則の上で、自由と平等とがはっきり認められ、これを侵されないとするならば、この自由と平等とは、みなさんの権利です。

【73】
憲法 日本国憲法第三章第十一条、国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

【74】
改正案1 この「現在及び将来の国民に与えられる」というのも、西欧の天賦人権説に基づいた言い回しですね。

【75】
改正案2 「現在及び将来の国民に与えられる」。取っちゃいましょう。

【76】
伊藤 待ってください。弁護士の伊藤です。憲法は国民の責任を規定するものじゃない。憲法は政治家、官僚、裁判官、自治体の知事、公務員の皆さん、そういう人たちが守らなければいけない法なんです。国民は彼らに憲法を守らせる責任があるだけです。

【77】
憲法 第十二条、この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

【78】
座り込みの女性 辺野古で座り込みをしています。憲法の中にある、不断の努力ってことをいま実践しているんだろうと思います。国民の不断の努力によって権利を守っていかなければいけないんだ。

民主党の小西が客席通路に登場。

【79】
小西 総理、総理。

小西、舞台に到着する。
安倍、小西を見る。

【80】
小西 民主党の小西です。総理、憲法の中で一番大切な条文を一つだけ挙げてください。

【81】
安倍 一つだけ挙げることはできません。

【82】
小西 では、総理、憲法において包括的な人権保障、包括的な人権規定と言われる条文は何条ですか。

【83】
安倍 今そういうクイズのような質問をされても、余り生産性はないんじゃないですか。

【84】
小西 総理は、日本国憲法において包括的な人権保障を定めた条文、何条か知らないという理解でよろしいですか。

【85】
安倍 そういう子供っぽいことはやめましょうよ。

【86】
小西 あなたは今、包括的な人権を定めた条文を知りませんでした。では、幸福追求権を定めた条文は憲法第何条ですか。

【87】
安倍 こういうやり取りは、私、何の意味があるか分かりませんよ。

【88】
小西 この条文は、日本国憲法が何のためにあるのか、日本国憲法の下で立法府、行政、司法が何のためにあるのか、全てそこに行き着く究極の条文なんですよ。憲法第十三条ですよ。憲法第十三条を知らない。改憲を声高に唱える総理が、憲法十三条が分からないというのは、これは驚愕の事実ですよ、総理。あきれます。

小西去る。安倍、微動だにしない。

【89】
憲法 第十三条、すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

【90】
改正案2 その「公共の福祉」という言葉ですが、ちょっとわかりにくいので、自民党改正草案では「公益及び公の秩序」に変えようと思います。

【91】
はなし 待って。「公益及び公の秩序」ってどういう意味ですか。

【92】
改正案3 「公益」とは「公の利益」、国民全体の利益のことです。「公の秩序」とは「社会秩序」のこと。つまり、平穏な社会生活のことです。この二つはセットなんですよ。

【93】
はなし 何でそう変えるんですか?

【94】
改正案3 公共の福祉よりわかりやすいでしょ。

【95】
伊藤 それじゃ意味が違う。「公共の福祉」というのは、個人の権利と個人の権利がぶつかり合ったとき、どこまで制限を許すかという調整の原理です。たとえばある芸能人が、写真集を出されてしまった。出版社にしてみれば、出版はまさに表現の自由です。芸能人はプライバシーがあるから出版を差し止めたい。プライバシーの権利です。こういう場合、出版社の表現の自由を制限するのは、公の利益や社会秩序ではなくて、ほかの個人の人権でしかありえない。なぜなら「個人」が一番大切だからです。「個人の人権」を最高と考えるなら、それを制限するのも「個人」以外にありえないはずですよね。

【96】
改正案1 そういう解釈をする方がいるので、基本的人権を制約できるのは、「個人の人権」に限られるものではないっていうことを明確にしたわけです。

【97】
はなし 国家権力が「個人の人権」を制約するんですか。

【98】
改正案2 別に「反国家的な行動を取り締まる」っていう意味じゃありませんよ。

【99】
はなし 十二条と十三条は、すべての人権について書いている。それを書き換えたら、すべての人権を「公益及び公の秩序」で縛ることになります。

【100】
伊藤 文化や芸術、思想や言論というものは、既存の秩序を乗り越えていくものでしょう。すべての人権が「公益及び公の秩序」の下でしか認められないということになれば、文化や思想の発展が失われてしまう。国家的な損失ですよ。

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「いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志-」台本<No.101~No.200>につづく

憲法を変えるってどういうこと?っていうか、憲法って何?

2012-11-25 07:49:09 | 世の中のいろいろ
2006年ごろに改憲のことが世間的に話題になって、
伊藤真氏の「けんぽう手習い塾」を読んでみてここに書きました。

今また、憲法改正の可能性(?)が言われているので、

すっかり忘れかけていたので思い出してまた書いています。

憲法がどういうものかがわからなければ、
憲法を変えるというのがどいうことか、わからないです。

憲法について考える「きっかけ」になればと思います。

「ほぼ日」で2005年に掲載された
憲法にわくわく?」もまた、
今読んでほしいです。(第1回~第5回、ページの一番下にもくじ)

伊藤真オフィシャルサイト
伊藤真の体験講義「憲法を学ぼう」
という動画、わかりやすいと思います。

約45分なので、授業を一時間受けるつもりで見てください。

時間がなければ、講義テキストを読むだけでもいいと思いますが。

その「体験講義」よりポイント。

憲法=法律の親分ではない

法律・・・国が私たちに守らせるもの
憲法・・・私たちが国に守らせるもの

※正反対のもの。

憲法99条【憲法尊重擁護の義務】
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


憲法とは、国家権力(=多数派=強者)を制限 して、
国民の権利(=少数派=弱者)・自由を守る もの

多数意見(=権力)が常に正しいわけではない
(情報操作、雰囲気、目先の利益に惑わされる=人間の弱さ・不完全性)
   ↓
多数意見にも歯止めが必要

多数意見でも奪えない価値がある「平和」「人権」など
   ↓
それを守るのが「憲法」

「民主主義」ばかりが言われているが・・・
”民主主義に基づく政治←→立憲主義に基づく政治”
このバランスをどう取っていくかが政治家の仕事

”立憲主義”とは?
権力行使(多数派)に憲法で”歯止めをかける”という考え方。


伊藤真氏曰く
「若い頃全く憲法について無関心だった。
それは、自分が日本国籍であり、健康であり、金銭面など、
多数派(強い立場)の人生を歩んできたから。
『少数派の人たちは切実な思いで憲法を必要としている』」
ことに気づいた。

憲法を理解する上で重要なこと。
多数派(強者)から少数派(弱者)へ、
入れ替わることへのイマジネーション

→「他者への共感」である


憲法がどんなものか、大まかにわかったと思います。

憲法9条も大事ですが憲法99条も大事。

平和と軍事力

2008-11-28 12:51:46 | 世の中のいろいろ
『9条は守りたいのに口ベタなあなたへ…』を紹介してきて、
自分なりにいろいろ考えています。


そして、ずっと気になっていた映画を一気に見ました。

ブラッド・ダイヤモンド』(公式サイト:音声あり)・・・内戦でカラシニコフを持つ少年たち。非合法のダイヤモンドの行方は?
ロード・オブ・ウォー』・・・合法と違法の狭間で武器を売って裕福に暮らす主人公。「平和は儲からない…?」。
ホテル・ルワンダ』・・・悲しい人種差別。内戦で多くの難民を命がけで自分のホテルにかくまったホテル支配人。


映画の感想はまたあとで・・・


『ブラッド・ダイヤモンド』の舞台になったシエラレオネに、
紛争が起こる前に住んでいたという、伊勢崎賢治氏(→プロフィール)。


ご自身は非武装で紛争地域へ行き武装解除に貢献しながらも、
「軍事」を直視するべき、という伊勢崎賢治氏のお話は、
とても説得力があると思います。


伊勢崎氏は、

”自衛隊を平和利用に限定した形で認める項目を
憲法に加えるべきという立場だった”

が、

”現在の日本国憲法の前文と第9条は、
一句一文たりとも変えてはならない”

という考えに変わったそうです。


それは”日本人は「民度が低い」
(=「軍事というものに対する意識があまりにも低い」)”

と感じるから。



  



あくまでも、

”軍事を直視しない限り、平和は達成できない”

という考えは持っている方です。


それは実際の経験から出る確信なんでしょう。
机上の空論ではなく。


その上で、今の憲法9条を生かした日本の立場で、
できることがあると言っています。


おそらく日本は、今言った
「予防する責任」のほうで力を発揮できる、希な国

「この人に聞きたい@マガジン9条/下のほう」

ピンときますか?


伊勢崎賢治さんに聞いた その2@マガジン9条」より、
長くなりますが、伊勢崎氏の言葉を引用します。


”前回も少し言ったけれども、

「軍事を否定することが平和につながる」
というパラダイムではいけない、
ということです。

平和を築くためにはまず、
軍事というものを直視しなくてはいけない。

それなのに、平和というのを、
あたかも軍事に対して
目をつぶることと取り違えている人が多すぎるんですね。

軍事力で平和は築けません。
軍事そのものを否定することもまた、
“平和をつくること”には現実的につながりません。

「軍事」とか「自衛隊」とかに関することは
何でもだめだと頭から否定するんじゃなくて、

まず軍事というものを直視して、
その意味をきちんと理解した上で、
何が必要なのかを判断する。

そうした姿勢があってこそ初めて、
非武装による平和構築が可能になるんです。

9条という、
このユニークな憲法を持っている
日本がやるべきことは、
まさにそういうことなのではないでしょうか。 ”



理想だけを唱えていても現実的ではないということ・・・

軍事の存在を「見つめ」つつ、
どうしたら戦争をなくせるのか。



  



こちらも興味深いです↓

「紛争請負人が見た!
戦地の現実 戦争を話し合いで解決する方法!」
より
(世界一受けたい授業2008.11.15)

『戦争の予防・・・
戦争というのは、世論の後押しが無いとできません。
過去の戦争では全て、国威を高揚させるために
広告が利用されてきました。

それに対して、逆に戦争を起こさないための
広告というのも考えられています。

戦争という、儲かる業界ができてしまっているので、
反対に平和という産業を作らなければなりません。

普通の商売も平和でなければできないものですから、
平和に投資する文化というものを作っていきたいと思っています。』



私自身、平和と軍事力のこと、まだ全然わかっていません。
もっともっと考えなくちゃ・・・


参考>>
お玉が伊勢崎賢治さんを好きなわけ・・・・ (お玉おばさんでもわかる政治のお話)

永世中立武装中立・・・孤独?
非武装中立・・・現実として可能なのか?コスタリカの実態は?

ブログ子供ニュース「非武装」


『9条は守りたいのに口ベタなあなたへ…』より(11)≪平和への道≫

2008-11-25 16:09:34 | 世の中のいろいろ
非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディングvol.10
「9条は守りたいのに口ベタなあなたへ…」
を紹介します。

台本より抜粋。

台本の会話を、内容が変わらない程度に少し変えています。

青字=9条守りたい派
赤字=9条変えたい派
黒字=個人的な付け足し



≪非武装中立への道≫

「『ジュネーブ諸条約第一追加議定書
っていう、国際条約があるのだけれど、
※1977年採択、1978年発効。
日本:2004年8月31日加入、2005年2月28日発効(Wikipedia


そこで、「無防備地域」というのがあるの。
無防備都市宣言(Wikipedia)

これは、三つの条件がそろえば、
「無防備地域」を宣言できて、

そこを攻撃すると国際犯罪になり、国際法違反になるんですって。

その三つの条件とは、

*その地域に固定した軍事施設がない
*職業的な兵士がいない
*戦争を望んでいない


非武装であることで平和が保たれるのよ。

日本では20箇所くらいの地域がその運動をやっています。
無防備地域宣言運動)(Wikipedia)

第二次世界大戦中のパリやローマ
などの無防備都市、

あれは大変な効果を上げたのです。

文化遺産がたくさんある町なので、
我々は戦争をしません、
ナチスドイツが入ってきても、どうぞ入ってくださいと

宣言しました。

ナチスドイツは、靴音を空しく響かせ、ただ入場してくるだけだった。

その無防備都市の上げた効果と、
なにより日本国憲法の前文および9条、
それらをひっくるめて無防備地域という考え方が生まれた。

つまり、戦争を放棄する、戦争はしないといっている国が、
今、現実に国際社会の中にあるのだから、

そういう国を守ろうではないか、という発想です。

※課題も多いですが、とても期待したいです。


1999年には、ハーグ国際平和市民会議が開かれました。

そこで掲げられた21世紀の行動目標の第一位に、
『世界のあらゆる国家の憲法に
日本国憲法第9条のような
政府が戦争することを禁止する決議を採択すべき』

ということが書かれました。
(※ハーグ平和アピール


世界は暗いことばかりではないのね。

世界には、企業や国に自分たちの運命を
決められては困るという人たちが沢山いて、

そういう人たちの声がゆっくりと集まって、
一つの大きな川になるように広がっている
んです。」



☮ ☮ ☮


※ピースリーディング「9条は守りたいのに口ベタなあなたへ…」の
紹介は終わりです。

最後に、印象的な文章を二つ引用します。

”改憲論者のロジックは、
「どういう場合なら殺人をしても罰せられないかを
あらかじめ規定しておきましょうよ。
だってときには人を殺さなければならない場合だって
あるでしょう。
除外規定を決めておけば、
すっきりした気分で人が殺せるじゃないですか」
と主張しているのである。”

9条どうでしょう』(毎日新聞社)より
内田樹「憲法がこのままで何か問題でも?」



”一国の安全保障が、確保される何よりも重要な基礎は、
その国民の一人一人が、確固とした平和への決意と共に、
国の平和問題を正しく認識、理解し、
国民全体が相協力していくこと以外に
あり得ないことは多言を要しない。”

憲法を変えて戦争へ行こう 
という世の中にしないための18人の発言

(岩波ブックレット)※松本侑子氏の章より
「長沼ナイキ訴訟の札幌地方裁判所の判決文」

おわり


日本国憲法第9条 条文
1.日本国民は、
正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、
永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、
陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない。
国の交戦権は、
これを認めない。
【引用・参考文献】(敬称略)
●『憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本』(日本評論社)より
※山田朗・森永卓郎・木下智史「憲法と現代戦争Q&A」
※「絵で見る 憲法・戦争」
※高橋哲哉「戦争する国と愛国心」
※木下智史「憲法? ソレがどう変わる?」
※斎藤貴男「戦争への3点セット」

●市民意見広告運動・編『">『武力で平和はつくれない』(合同出版)より

●『戦争で得たものは憲法だけだ』(七つ森書館)より
※斎藤貴男「近代立憲主義が壊されないように」
※佐高信「憲法をめぐる特権と人権」
※高橋哲哉「パネルディスカッション」
※辛淑玉「戦争を食い止めることが大切」

●『憲法を変えて戦争へ行こう という世の中にしないための18人の発言』(岩波ブックレット)より
※品川正治  ※→中村哲  ※森永卓郎
※松本侑子  ※森永卓郎  ※井上ひさし

●『憲法九条、未来をひらく』(岩波ブックレット)より
※加藤周一  ※井上ひさし
※大江憲三郎

●憲法再生フォーラム編『改憲は必要か』(岩波新書)より
※坂口正二郎  ※最上敏樹 北沢洋子

●『マガジン9条』「この人に聞きたい」より
※石坂啓 ※古関彰一 ※天野祐吉

●『9条どうでしょう』(毎日新聞社)より
※内田樹「憲法がこのままで何か問題でも?」

●『通販生活2007夏号』(カタログハウス)より
※伊勢 賢治「これからの自衛隊はどうあるべきか、5人の視点」