「スペクターX」
原題:最佳拍档之千里救差婆/ACES GO PLACES IV
1986年 香港 88分
■監督:
林嶺東(リンゴ・ラム)
■出演:
許冠傑(サミュエル・ホイ)
麥嘉(カール・マッカ)
張艾嘉(シルヴィア・チャン)
葉倩文(サリー・イップ)
石堅(シー・キエン)
關德興(クワン・タッヒン)
曹達華(チョウ・ダッワー)
喬宏(ロイ・チャオ)
●あらすじ
超能力開発装置の鍵となる”プリズム”を香港に持ち帰ったキングコング(サミュエル・ホイ)は
テロリストに追われる羽目となり、ホー(シルビア・チャン)は人質となってしまう。
キングコングは彼女を助けるべくコージャック(カール・マッカ)らと共にニュージーランドへ向かうのだが…。
(KunGFuTuBEより)
★感想など
完全に邦題から「悪漢探偵」が消え、むしろジャッキー・チェンの「スパルタンX」とか「プロジェクトA」などの
系列と思わせようとしたのではないかと疑ってしまうようなタイトルにされてしまった。
この第4作は年間興行収入が初めてシリーズ作の中で1位を取れず、3位になってしまうが
それでも年間第3位なので大ヒットはしている。
ちなみにこの年の1位は、あの「男たちの挽歌」
こちらも本作と同じ新藝城(シネマシティ)なので、まさに当時の香港映画界の中心に居たのは間違いない。
本作の監督も当時注目を集め始めていた林嶺東(リンゴ・ラム)なので、本作に対する期待値は高かったが、ちょっと違ったかな。
まず内容がやたらハードで、マシンガンを連射して敵を射殺しまくるシーンに、凄い違和感を覚える。
このシリーズって敵をそんなに殺すシーンあったっけ?
他にもこのシリーズ特有のコメディ要素が少し弱かったかな。
ただその分アクション面が尋常じゃない事になっていて、
普段アクションを売りにしている訳ではないサミュエル・ホイも、結構なアクションをこなしてくれる。
シネマシティの映画ではあえてやらない功夫っぽいアクションも入れてきたりとか、ジャッキー映画みたいなカースタントとか。
しかし何気ない動きなのにちょっと驚いたのが、サミュエルが敵から逃げるシーンで柵にぴょんと飛び乗ったシーン。
その柵も自分の腰くらいの高さはあるので、身軽だなあと思った。
この辺は流石香港映画の俳優と言ったところで、当時の香港映画の俳優のインタビューを読むと
階段や二階くらいの高さから落ちる程度の事であれば、スタントマンを使わないで自分でやるのが当たり前。
と男優も女優もみな同じように考えている世界に驚いたのと同時に、だからあれだけの映画が出来るのかとも感じた。
さらにこの頃の香港映画。具体的に言うと1980年代後半のアクション・スタントは尋常じゃないレベルに進んでいく。
「群狼大戦」に代表されるように、ほぼ命がけのスタントを連発していくが、本作でも似たような事になっており
主役の一人である麥嘉(カール・マッカ)の下半身を火だるまにするシーンもかなりヤバく
どう考えてもガソリン掛け過ぎだろな炎の量に驚くが、下半身をそこまで燃やすのに対し、上半身がノースリーブの服一枚なんだが!
耐火スーツ? そんなもん燃やす下半身だけでいいだろ。
的なアバウト発想が恐ろし過ぎる。
さらに恐ろしいのが、5歳の子役をビルから宙づりにすること。
ただそのビルって、恐らく20階より高そうに見えるが、その高さを屋上から片足だけロープで縛って逆さに落としていくと言う
命軽視な超恐怖なスタントまで行う。
なんだか何の映画を紹介しているのだか分からなくなってきたが、とりあえずあの頃のヤバい香港映画に
触れる事ができる作品だよって事で。
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