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伊坂幸太郎の"陽気なギャングが地球を回す"

2007年07月09日 14時12分51秒 | ミステリー
今日は伊坂幸太郎の"陽気なギャングが地球を回す"。
映画化もされたらしいから知っている人も多いと思う。取り敢えずさきに本の感想を言うと、期待以上に面白かった。

魅力のあるキャラクターというのがあるけど、例えば先述の新宿鮫のような。 たとえ保護する上司が退職しても、ライバルが左遷されても、恋人と別れても話の内容、または主人公のキャラクターには全然影響しない、そんな強い個性でグイグイと話を進めていくタイプ。陽気なギャングはこれとは対象的で、"魅力あるチーム"とカテゴリーできると思う。登場人物がそれぞれとても個性的なのだけどチームとして動かないとその本領が発揮されないタイプ。伊坂幸太郎の前の作品"チルドレン"もそんなかんじだった。

思うに、こういうタイプの話は書くのが前述のものよりも難しく複雑だ。1人ではなく複数の登場人物に同じように個性を与えねばならず、その上その複数の人物を絡まらせねばならないから。"陽気なギャング"も一見単純な話のようだが結構複雑で380ページの中で4人の主要人物の性格、特技、出会い、家族、過去をそれとなく紹介しつつ事件を進めていっている。話の要所要所が無駄なく無理なくよくつながっていて読者としてはとても読みやすかった。 裏表紙に"ハイテンポな都会派サスペンス"と名うってあったけど、これは違うのではとおもった。 ハイテンポというほど息つく暇が無い訳では無く、サスペンスというほど謎を主体としたハラハラ感があるわけでも無い。都会派というところが意味するのは多分"おしゃれ"とか"かっこいい"とかを言いたかったのではないだろうか。たしかに、本文中の会話はそういうふうに言えることもできるが、私だったら"こいき"と言いたい。そうー 4人合わせて"こいきな奴ら"という感じ。

この本、映画化になるべくしてできた本といっても過言ではない。ちなみに、漫画化にもなった。要するにビジュアル的に栄える作品。けっこうこれはまれだと思う。おおくの本が映画化に失敗するなか、私はこの話を聞いた時いけると思った。ドラマ化もオススメしたい。

さてさて本当を言うと、伊坂幸太郎の本は避けてきた。"チルドレン"も去年読んだばかりだし、"陽気なギャング"は私にとって伊坂の2作品目。なぜ避けてきたかというとそれは名前のせい。
例えば高校のクラス換えの日まず自分の名前を探し、それからしっている友人がおなじクラスかどうかみつけるだろう。その後担任の名前を見て、それが"三浦しをん"だったらどう思うだろう? 私だったら"うわあー"とおもう。
名は体を表すなどという乱暴なことはいわないが、姿形といっしょで人間の名前は第一印象になんらかの影響をおよばすのではと考えられる。 三浦しをんは直木賞作家だ。 たぶん、彼女の本はいいのだろう、でも手がでない。それは、"しをん"だから。 "しをん"から連想されるのはコバルト文庫の少女小説もしくは別冊フレンドとかの少女漫画。間違っても直木賞ではない。

それなら、伊坂幸太郎という名前はいいのではないか? とおもわれるかもしれない。 そう、伊坂の名前はいいのである、響も字も威厳があってよろしい。 しかし、伊坂の書く本のタイトルがいけない。 "アヒルと鴨のコインロッカー"とか"グラスホッパー"とか"陽気なギャングが地球を回す"とか。よく女子高生にきいた最近(にして唯一)読んだ本のタイトルとかにでてきそうな名前、"東京タワー"何とかとか、"電車"何とかとか"冷静と情熱"の何とかとか"きらきら"なんとかと同列に。
しかもカバーもよくない。本当にギャングが地球を回している表紙なのだ、そのまま。ギャグのつもりなのか? うけるだろうけどさ。 まーこういう 個人的な第一印象の偏見で伊坂の本はよんでこなかった。同時に同じ理由で三浦しをんの本も読んでいない。でもまあ、伊坂の例もあるし機会があったら"しをん"の本もためしてみたい。

最後になるが、伊坂幸太郎ここ数年毎回のように直木賞候補にえらばれているがまだ受賞していない。 それも私が無視できなくなってどれ読んでみるかとおもった理由。

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