私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

浦沢直樹の20世紀少年

2009年02月23日 13時06分32秒 | マンガ


この前買った20世紀少年の1ー8が届いた。すーーーごくおもしろかった。
特に1巻の問題提示の仕方といいナゾのふくらませ方といい、もー絶対次の巻を買い本屋に走ること必須。

映画などにもなっているのであらすじを知っていると思うけれど、一応のため書くと。時は20世紀末(つい最近といえば最近だけど)。コンビニの店主の健治は姉が置き去りにした子供のかんなを背負ながら店を切盛りしている。そんなある日、馴染の客である大学教授の一家がなぞのマークを残して行方不明となる。その後, 幼なじみの高校教師もナゾのマークを健治宛に残し投身自殺を図る。

このマークは実は健治たちの小学校時代の仲間が秘密基地を使うてめのマークだった。このマークをしっているものだけが秘密基地を使うことができるというものだった。この秘密基地で健治たちは未来の敵を描き自分たちがヒーローとなり席世界を救うという予言書をかく。もちろんおもしろ半分の子供がやることである、空港爆破とか、ろぼっとが東京を襲うとか、なぞの病気がサンフランシスコ、ロンドンをおそうという内容のもの。知っているのはもちろん健治の友達たちのみ。

しかし、こういう出来事が本当に起こってしまった。だんだんとその当時の記憶を思い出す健治、消去法で一体だれが秘密基地のこと予言書のことをしっているのか思い出そうとするのだが、あやふやなまま。でも、予言書を書いたのは健治。それを阻止しようと健治とその友達が立ち上がるが。。。というところで8巻がおわる。

あらすじなので、いろいろはしょったけれど、実際の話はもっと複雑である。私もおもわず、健治の"ともだち"が一体だれなのかコマのすみずみまでヒントがないか探してしまった。

この話、都合上,健治が小学生の1973年ごろに話がもどる。それがとてもなつかしい。原っぱとか、ジジババの駄菓子屋とか、昭和のころのエピソードがいろいろ盛り込まれている。40歳前後の人が読めばいろいろ思い出すこともあると思う。今では見かけないだろう鼻水垂らした子とか、家が傾くほど貧乏な家とか、ちゃんりんこで走り回ったり、スプーン曲げとか、大阪万博とか。

唯一不安なのは、この後作者はどうするのだろうかという事。ナゾがナゾを呼びどんどん話が大きくなるのだけど、最後はちゃんとまとまるのだろうか? 大ぶろしき広げたのはいいけれど、ちゃんとつつめるのだろうか? 8巻目になると最大の疑問はだれが"ともだち"かということ。じつは健治はこの人物と対面するのだけれど、調度読者からは顔がみえないアングルになっているので、一体健治はなぜそんなに驚いているのか分からない。そんな惜しいシーンが幾度もあり結構やきもきさせられる。

私が子供のころに見たTVのなんとか探検隊(川口探検隊?)というのを思い出す。この探検隊、アマゾンの奥地とか秘境とかいろいろ探検に行く。必ずジャジャーンという音楽とともに"そこには驚くべきものが"といってCMに入るのだが、全然たいしたことないものだったりする。この漫画も川口探検隊のようにならないといいけれど。

白洲次郎占領を背負った男

2009年02月19日 16時23分08秒 | 自伝
白洲正子の職業が一体何なのかよく知らないが、彼女の言葉は傾聴されるべきものらしく、古美術にしても料理にしてもマナーにしてもその筋のオーソリテーとしてよく参照されている。

白洲次郎はもちろんこの正子のだんなさん。彼らの雰囲気から戦前は華族だったのだろうという憶測はついていたけれど、実際のことは何も知らなかったので、とりあえず次郎の本(伝記)を借りてみた。

最初に感想を言うなら、この本戦後最大といわれるこの不況の時期に読むべきものではなかった。要するに生まれが違うのだなという事がいやというほど突きつけられた。

次郎は戦後吉田茂のもといろいろ活躍し、戦後日本の復興に貢献したという話なのだが、本を読んで覚えているのは次郎がイギリス留学中しかも世界恐慌さなかベントリーの車を買ったというエピソードだった。
このベントリー日本ではあまりに高く3台しか売れなかったという代物。イギリス滞在中は1度に1万円ほどの送金があったらしい、小学校教員の初任給が45円のときにである。ちなみに、次郎の父親は次郎が中学生の時にペイグレンブルックという米車を買い与えている。その後、次郎の父親の会社は倒産するのだが、次郎の結婚祝にこの父親またまた3000万(現在の貨幣価値で)の車を買い与えている。当時この車は日本に2台しかなかったらしい、昭和4年の出来事である。
この結婚相手というのが白洲正子、私の読みどうり、華族出の伯爵令嬢である。

その後も、納得の人脈というかコネクションの中で着実に出世していくのだが、要点をいえばいくら出来る男でもこのコネクションなしでは私たちのしっている白洲次郎は無かっただろうということ。

正子の実家の樺山家は牧野伸晃(大久保利通の次男で昭和天皇につかえていた)と親しく、その牧野の娘と結婚したのが吉田茂。吉田茂の大磯の別邸の隣に住んでいたのが樺山家。吉田茂の三女和子の結婚相手を紹介したのが次郎。吉田和子の結婚相手は九州の炭鉱王の息子麻生太賀吉、その息子が総理大臣の麻生太郎。戦中でも結構いい暮らしをしていたらしく、コーヒーやパンなどの食事を楽しんでいた。戦中には鶴川に家を買いそこに疎開していたのだが、お隣さんは細川護立候爵の家(後の総理細川護尋の家)、近衛文麿、秩父宮夫妻などとも疎開中に親しくしていたらしい。赤紙は来なかったのだろう。
子供たちにも"PEPPY""TOURA"という愛称をつけ、ことあるごとに"英国じゃあ。。。"といい、ウイスキーを英国から"本場"ものを輸入。

偉い人だったのだろうけど、なんかこういう話を聞くとやはりシラケてしまう。田中角栄一代記とかのほうがよっぽど読み応えがありそうだ。

湊かなえの告白

2009年02月16日 11時45分09秒 | ミステリー
湊かなえの告白

本屋大賞のベスト10いりもした、この新人作家のデビュー作品。ショッキングな帯がついている。"愛美は事故で死んだのではありませんこのクラスの生徒に殺されたのです"とある。
私はこの帯を見て購入を決めた。


第一章目は帯のとうり、中学教師である先生が修業式の日に担任クラスの生徒を前に、自分の4さいになる娘はこのクラスに今座っている生徒によって殺されたのですという告白から始まる。一人称の告白で第一章が終わり、順次語手を変えて、この殺人事件に関係するひとびとの心境をかいている。

第2章ではこの担任が去った後のB組の様子を語る学級委員の女の子、B組に新任としてやってきた自己陶酔する熱血先生をこの学級委員長の冷めた目で書かれている。

第3章は人殺しをしてしまった中学生の母親をその日記をとうしてかかれている。"うらやましい"といわれる家庭を作ることに喜びをかんじているこの母親は、息子の直くんが人殺しに加担しているなど信じられず、最後まで違う息子像を追いかけようとするが、殺人者として開き直る直くんを前にとうとう事実をうけいれ息子を殺す決意をする。

第4章は目立たないやさしいだけが取り柄といわれるのに不満な直くんが殺人を犯すまでの彼なりの心境、理屈、動機などがかかれている。中学生らしい動機なのだが、だれもが1度は中学生だったので、この中学校という不気味な小世界が作り出す異様な心理は理解できると思う。

第5章は主犯の生徒の遺書である。おもしろいことに前章の学級委員の女の子がこの主犯のガールフレンドとなっているのだが、前章の担任を冷めた目で見ている娘とは違い中学生らしい馬鹿らしい夢想(妄想)をする特別になりたい願望がある普通の中学生である。ここにでてきている中学生3人どれもが、普通でいることを厭い周りを見下し優越感に浸っている。

これは思わずブラボーと言いたくなる作品である。 普通であるということがバカであり、自分は違うと思って世間をなめきっているが実はどこにでもいる中学生、だが未成年なだけに法に守られさらに子供だからと見守らなければならないこの身勝手な集団に対して一矢報いた。ストレスが溜まっている中学、高校の教師などには特におすすめな本である。この第1章で告白する女教師がこれまたすごい復讐を考えるのだ。それは読んでのお楽しみ。

山本一力のまとい大名

2009年02月11日 12時26分51秒 | 歴史/時代物

いままでの慣例どうり、深川に住む住人を中心とした話である。
今回の主人公は火消しの頭の半生記。

佐賀町の鳶宿"大川亭"のかしらで銭太郎の父親である徳太郎は銭太郎が5歳のときに火消しの現場でなくなった。その跡をついだのが5歳の銭太郎。その銭太郎が一人前のかしらになるまでをかいた長編小説。

今までの、料亭のおかみとか1膳飯屋のおかみとかの話とは全然違うおもしろさがあった。歴史小説だはよくおかみが主人公になっているので、なんとなく予想どうりの話というの感じが否めなかったけれど、今回の職業は火消し。

とてもおもしろかった。

火消しの生活など暴れん坊将軍にでてくるサブちゃんのめ組のかしらしか知らなかっただけに、とても新鮮だった。実は今回初めて、あの屋根に登ってフサフサしたものを振っている人がなんのためにいるのか知った。TVでみていると、そんなものを振っている間に火を消せ!とつっこみたくなったけれど、今は納得。参考文書などの記載はなかったけれど、作者、結構江戸の火消し、火事について勉強したものと思える。


今までの山本一力の作品の中でもっともよかったものといえる。

大人買いすべきか

2009年02月02日 09時16分36秒 | 日常の話
今どうしても欲しい漫画がある。浦沢直樹の20世紀少年。全24巻の大作である。

年末に見た映画版のCMに引き付けられて検索したところ、この原作めっぽう評判がいい。評書をかいている人の多くが大人買いをしている。しかし、この円高の時に大人買いをすべきか。それに"花盛りの君たちへ"を買った時のように失敗したらいやだし。ちなみに、花盛りの評書もいいものばかりだったけど、実際買ってみたら最悪だったし。

先に10巻だけ買ったみるか。それで、すーごくおもしろかったら次のがくるまで3週間ほど待たなければならないし。英語版がでていないのでお試しに読んでみれないし。でも、夫に誕生日プレゼントとして全巻買ってとたのむこともできる。この年でさすがに誕生日プレゼントがまんがというのもなー(でも本気で考えているけど)。どうしようか悩む。

最近万歩計をつけて歩いている。 車通勤なので、せいぜい2000ー3000歩ぐらいだろうなと思っていたら、なんと7000ー9000歩1日に歩いているのでびっくり。1日1万歩が目安というから、なかなかいいところだと思う。

気付いたら1月に読んだほとんどの本が山本一力のものだった。