私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

森博嗣の笑わない数学者

2008年04月12日 08時56分38秒 | ミステリー
アマゾンのミステリーリストでよくこの作者の本を見かけるんで、試しに借りてみた。リスト入りするのは"すべてがFになる"という本で、これは図書館に無かったため、同作者の"笑わない数学者"を読んでみた。

最初に感想をいうと最高つまらなかった。ちなみにこの私ですら本の半ばほどで主人公の大学教授が解けなかった謎をといてしまった。
最初から悪い予感はしていた。三星館という屋敷の庭にある巨大な像が消え、また現れるというのが謎で。どうやってこの像を消してみたのかが殺人事件を解く鍵にもなっている。

ちなみに、本の中ではこの謎をといたものが三星館を相続できるという話になっている。私がいれば、確実に相続できていたであろう。
このトリックはっきりいって冗談のような現実性のないもので、東野圭吾の"名探偵の掟"(よくある探偵物のパロディー)の中でも使われていたネタである。もちろんおもいっきりバカにされていた。謎を言ってしまうと家が180度動くだけの話。家動かすか? それあり? 一体このせまい日本のどこを探したらそんな家あるの?

さらにいうとミステリーの多詰めでもあるフィナーレが甘い。なぜ息子が殺人犯と分かったので母親がその息子を銃で殺さないといけないのか分からなかった。で、動機は遺産関係。でも息子を殺してしまったら遺産も減るのでは? さっぱり関連性がうかがえない。

この本"理系師弟コンビ"と名うってシリーズ化されているけれど、かなり問題ありなコンビである。女子大生とその教官である助教授が主人公。これは学校側としてはどうなののだろう。道義的に問題はないのだろうか? 日本の大学はどうか知らないが、教師と教え子の恋愛関係はアメリアでは絶対御法度。いくら相思相愛でもセクハラの対象となる。この二人一緒に旅行するどころか、同じ部屋で寝泊まりまでしている。それなのにも関わらず師弟関係と言い張る。疑問を感じたと同時にこの助教授の先行をちょっと心配してしまった。

実はこの作者もある国大の理系助教授なのである。
なので、私的にはもっと数学を使うマニアックなミステリーだとばかり思っていたのでがっかりだった。ということでこの本、図書館でみつけても知らんぷりして通りすごしてよし。

浅田次郎の椿山課長の7日間

2008年04月10日 14時02分25秒 | ファンタジー
浅田次郎の短編集にはがっかりだったけどこの本はとても楽しく読めた。ユーモラスで笑いがあるのに皮肉な日常も書かれていてとても良く書けている。でもなんか最後がしりきれとんぼのようにあっけなく終わり納得いかなかった。憑神を読んだ時にも感じた最後の後味の悪さがちょとだけどある。でも、前半は大変おもしろい。私はこの本を1晩で読み終えた。

内容を簡単にいうと、デパートの婦人服売り場で働いているはげで肥満気味の椿山課長が主人公。その課長がデパートの威信をかけた夏のセールの初日に倒れて死んでしまう。あの世にやって来た椿山課長、残された妻子、家のローン、夏のセールの売上高など心残りがあり成仏したくないとあの世で働いている人(?)に文句をいう。交渉の末7日間だけもとの世界にもどることを許される。あの世も合理化が進みまるで役所のように死んだ人を裁いていくけれど、それに納得できず椿山課長とヤクザと小学生の男の子3人が仮の姿でやり残したことを片付けようとそれぞれ地上におりてくる。しかし、椿山課長を待っていた現実は彼が生前思っていたものと全然ちがっていた。平平凡凡だと思っていた椿山課長の人生は実は本人も知らないドラマが隠されていた。それが死後に分かるのがとても残酷に思えた。あの世で働いている係の人(?)も言っていたが知らないほうがいい事もある。椿山課長の場合は遅すぎたけど知っておいてよかったとおもうけど。 この本は映画化もされたらしいから映画でみてもおもしろいかも。


朱能将之のハサミ男

2008年04月06日 08時10分49秒 | ミステリー
朱能将之のハサミ男

なかなか面白かったこの本。あらすじを述べると以下のようになる。

ハサミをもって少女を殺す猟奇殺人犯は綿密な調査の末3番目のターゲットをきめ、いざその娘を殺そうと試みる。その少女の家の近くの公園で虎視眈々と女の子の帰りを待ち伏せしているが、なかなかその娘は現れない。諦めて帰ろうとしたとき、自分が狙い定めていたその少女の死体を発見してしまう。勿論このハサミ男が殺したわけではなくそのコピーキャッが現れたのだ。殺し型も同じ全く同じ。一体だれがその少女を殺したのかつきとめるべく、この猟奇殺人犯は調査を開始する。

"お前が殺人犯の調査するか?"というようなこの内容にとても引かれてこの本を借りてみた。
ミステリーのトリック的にいうとなんか読者をバカにしたような小手先だましのような気がするが、なんといっても一風変わった犯人調査に免じて甘くみる。というわけで、古本屋さんで300円の価値あり。


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