私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

宮部みゆきの桜ほうさら

2014年02月03日 19時09分31秒 | 歴史/時代物
なんか微妙な読後感だった。
よかったといいきれないけれど、悪くもなく。
テンポが悪いのか、話がすすむまでかなり時間がかかる。
本筋がなかなかはっきりしないし、キャラクターも話がすすむうちにズレてきてるし、中途半端だし。宮部みゆきの本だから期待しすぎてのがっかりなのか?

初期の作品から模倣犯ぐらいまでは、信用買いができた宮部みゆきの本だが、最近は慎重にならざるをえない。大枚はたいて買ったソロモンも微妙だったし。これは図書館で借りて下さい。


舞台は江戸深川。
主人公は、22歳の古橋笙之介。上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊。
大好きだった父が賄賂を受け取った疑いをかけられて自刃。兄が蟄居の身となったため、江戸へやって来た笙之介は、父の汚名をそそぎたい、という思いを胸に秘め、深川の富勘長屋に住み、写本の仕事で生計をたてながら事件の真相究明にあたる。父の自刃には搗根藩の御家騒動がからんでいた。

赤川次郎の鼠、窮地に立つ

2014年01月27日 14時42分52秒 | 歴史/時代物
赤川次郎唯一の時代ものシリーズ、鼠。もちろん鼠小僧の話。
最初の2冊は図書館でかりたが、ドラマ化記念ということで電子書籍が半額になっていたので、残り全部買ってしまった。
今のところ6冊でていて、鼠、窮地に立つが最新作。
最近は人気の表紙絵画家のものばかりが目につくけれど、この表紙は新鮮でいい。

昼の顔は甘酒屋の次郎吉とその妹お袖と長屋で二人くらし。
3作目からはオランダ医の千草(女医)とそのお手伝いお国も登場します。
短編もので軽快なテンポで話がすすみ、最後の謎解き・解決の見せ場もサラサラと
終わってしまうので、昔ながらの時代もの小説とは全然ちがって読み応えが無いといえば無いかも。 
定額では私も買わなかったと思う。

ちなみにドラマは、どんなもんかなとチェックしたけど5分で見るのを終了。

三谷幸喜の清須会議

2013年11月25日 18時54分28秒 | 歴史/時代物


本能寺の変で信長が死んだあと、織田家の跡取りをだれにするか決めた清洲会議。
この本はその清洲会議だけをそれぞれの視線と思惑を現代日本語で書いたユーモアある本。
登場人物は信長の二男、三男、お市の方、秀吉、丹羽、柴田、池田、など。
こういう人物がそれぞれの思いをざっくばらんに現代語でぶっちゃけているので面白かった。
こういう斬新な時代小説はなかっただろうとおもうので、そこが素晴らしい。
通常の時代小説とはまったく違うので、そのつもりでよんだほうがいいです。

山本謙一の利休にたずねよ

2012年07月22日 16時36分30秒 | 歴史/時代物
さすが直木賞受賞作、たいへんおもしろかった。

時代小説だとたいがい江戸もの、市井ものがポピュラーでけれど、これは戦国時代もの。
でも戦国時代ものにありがちな、戦国武将一代記(織田信長の生まれから本能寺までみたいな)とは全然ちがう本だった。 利休の切腹の朝からはじまり、時をさかのぼって話がすすまれていく。

切腹の15日前を細川忠興、24日前を古田織部、4年前を秀吉というように、それぞれの立場からみた利休像を語りながら、切腹の因果関係をほのめかしていく。

利休といえば侘茶、錆茶などを確立した茶道の大家で秀吉の茶頭でもあった。
この本、利休切腹の事件だけでなく、利休個人の心理的な部分にも踏み込んで、利休の美にたいする執着心、また茶道とはなんなのかということも、利休の関係者による証言でじょじょにわかってくる構成になっている。

堺の商人が名物を売るために、仕上げられた茶道。
茶道という趣味/嗜みをひろめることによりプチバブルをつくり、それに"必要"だとされる付随品を売買するマーケットを確立。 そんな俗世的なものなのに、 利休にかかると、とても真摯なものになる。
そんな不思議な利休の魅力にとらわれ、妬んだ秀吉。
その魅力の底辺にあるものがなんのか、最後になってわかる。

この本、ハードカバーで買う価値ありだけど、単行本で880円ででています。

遠藤寛子の算法少女

2012年07月15日 14時11分57秒 | 歴史/時代物
200年ほど前に実際に出版された算数(和算)の本、"算法少女"をもとにした本。
出版したのは千葉桃三という医者と、その娘のあき。
その本をもとに、時代小説ふうにした本。
たいそう興味深い資料で、べつの時代小説家が書けば、もっとおもしろいフィクションになっていただろうと思う。本屋対象になった、天地明察も江戸時代の数学の質の高さを描いていて、本としてもとてもおもしろかった。 これもそういうものかと思ったので、小説としてイマイチな内容だったので、残念。

宇江佐真理のほら吹き茂平

2012年03月14日 19時46分19秒 | 歴史/時代物
昨日にひき続き、江戸時代もの短編集。
今回は宇江佐真理のほら吹き茂平(短編6篇)。
宮部みゆきとどちらがいいと聞かれたら、迷うけれどこちらに軍配があがるな。

一番おもしろかったのは表題にもなっている、ほら吹き茂平。
息子に仕事をゆずった大工の棟梁茂平は、毎日ひまにしている。
口がわるいし、人のよいほらを吹くことでつらかった大工見習いを乗り越えてきた。
隠居の立場になって、さらに年季のいったほらを吹くようになる。
以外にもこの話、ほら吹きの話ではなく愛妻家の話なのである。
おもわずにっこりしてしまう、いいお話でした。

宮部みゆきのばんば憑き

2012年03月13日 22時21分12秒 | 歴史/時代物

短編6作で、江戸時代の怪談もの。
大人版日本昔ばなしというかんじ。

怪談ものだけれど、ちょっぴり切なく、人情いっぱいで、笑えるお話をそろえた満足のいく短編集。

とくによかったのは野槌の墓。
妻をなくした男やもめの柳井源五郎右衛門はおさない娘を一人でそだてる、貧乏長屋のなんでもや。
ある日、この長屋の野良猫(猫又)が人間の姿になって、なんでもやの源五郎右衛門に化け物退治を依頼してくる。
お足は持合せがないけれど、満足いく御手間賃をおはらいいたしますと約束する猫。
一体化け物の本来の正体とは? そして、猫又のはらう手間賃とは?



葉室麟の銀漢の賦

2012年02月05日 18時57分13秒 | 歴史/時代物
146回の直木賞をとったというのでこの作家の本を3冊ほど読んでみた。
銀漢の賦、秋月記、いのちなりけり、の3作品を読んだけれど、銀漢の賦が一番よかった。ちなみに直木賞をとったのは蜩ノ記という本。

わずか6万石ほどの小藩月ヶ瀬藩の下士としてつとめる50過ぎの源吾。
源吾の幼馴染だが、家老にまで出世した将監。
二人のおさな友達で百姓の子の十蔵。 
十蔵の死をきっかけに仲たがいした二人だが、30数年後再び話をしはじめ、藩の危機を救うため、また友を救うため一揆奮闘する。

老武士ふたり、しかも名前もしらない小藩のささいなお家騒動の話なのに、すごくドラマチック。 
剣闘シーンなどがある古典的な時代小説なのに新鮮さが入った納得の作品。
最初から最後まで読者をひきつけてやまない。 
とくに最後部分の爽快感は読んでいるほうがおもわず、にっこりしてしまう。
家老のように文武両道にすぐれ出世しなかったが、長年の下働きを勤めとうした源吾は今の多くの50代の背中をみているようである。 
 


赤川次郎の鼠、江戸をはしる

2011年11月27日 18時11分42秒 | 歴史/時代物
三毛猫ではなく、鼠。

赤川次郎が時代物を書いていると知って、早速かりてみた。
赤川次郎というと、まんねり、定番、火曜サスペンス劇場、などの言葉がうかぶ。
あまり期待しないで読んだけれど、おもいほかおもしろかった。
タイトルどうり、鼠小僧の話。

鼠の次郎吉とその妹の小袖が活躍する。
6つの短編が入っていて、鼠と小袖が活躍するんだけど、結構あっさりしてる。
あっさりしてるけど、テンポよく書かれている。
よくある時代物につきものな江戸っ子魂とか人情とかもしつこく無く程々におさえてあり、読みやすい本だった。


平岩弓枝の御宿かわせみ第2作目、江戸の子守唄

2011年11月22日 15時01分01秒 | 歴史/時代物
先日話がでたので、御宿かわせみの1作目と2作目をよみかえしてみた。
かなりひさしぶりだったので、もうすっかり話は忘れていたので、新鮮だった一方、こんな話だったかと驚いた。

御宿かわせみの女主人るいとその恋人神林東吾の身分違いの恋(町娘と一応与力の家柄のあととり)がベースになっているが、もちろん事件連発。 
与力なのは東吾の兄である通乃進、本人は一応あととりっぽいけど、冷や飯食いの次男坊というかんじ、もちろん役職などない。ないのに、事件探索、同心と一緒に行動して口はさむ。一応、上司のあととりなので、もちろんみんな”あんたなんでここにいるの?”とは聞けない。
一方、るいの父親は元八丁堀の同心。 今は宿屋の女主人をしているが、れっきとした武家の出。ちなみに、東吾さんより1歳上の25歳。

まず、この二人いろいろと家の事情があり結婚できないらしいが、なぜなのか今ひとつ分からない。
るいは今こそ町方ではたらいているが、元は武家の出。 東吾さんもるいの家に婿にいってもいいとさえ思っていた。たしかにストレートではないけど、いくらでも方法はあるはず、二人がなぜこんなに深刻に悩むのかなぞ。

第2に、東吾さんダメ。
確かに仕事がない、ふらふらしている次男坊だといえ、蕎麦屋の勘定をるいに払わせるのはいかがか?
おひねりだって、るいがいつも払ってる。 

次に、いくら正式な関係でないとはいえ、東吾さんが気の向くままにるいの宿に寄ったり寄らなかったり、これでいいのだろうか? 好きな時に来て、お酒とご飯食べて、仕立てられたばかりの着物に着替えてのんびり。また、気の向くまま、出て行く。 こんな男はいやだな~。それでまた、るいが辛抱強いんだ。
日陰の身で東吾さんが来てくれるだけでうれしいらしい。 

こんなダメダメぶりの二人にイライラするばかりであった。








宇江佐真理の髪結い伊三次捕物余話シリーズ1幻の声

2011年11月20日 18時29分53秒 | 歴史/時代物

時代小説のシリーズにうかうか手をだすとかなり面倒なことになる。
シリーズになると、とにかくずーっと続く。
えんえんとお付き合いしなければいけないというしがらみ。
池波正太郎の剣客商売、鬼平、梅安、平岩弓枝の御宿かわせみなどなど。
時代ものの第一作目を買うということは、この先の長いお付き合いを予感させる。

今回は、そんな時代小説新シリーズ。一体どれだけ続くのか分からないが借りてしまった。
ちょっと、かわせみを思い出させる話だった。
深川芸者の文吉と髪結いの伊三次の恋のはなし、お互い25とかなり年になってきているのだが、伊三次がいまだに床をもたない髪結いなので、文吉を養えないために、紐のような存在となっている。
その上、八丁堀の同心の手先もやっている。お金もあんまりもらえないのに。それも文吉には不満。
文吉も伊三次といっしょになりたいのだが、伊三次の遠慮に困惑する。
伊三次も一生懸命お金をためて、文吉といっしょになろうと思うのだが、そのお金も盗まれてしまう。
伊三次にぜひがんばってもらいたい、このままだと文吉に新しい旦那がついてしまうかも。
こんな二人の周りで、事件がおこるってな感じ。
おもしろいのは、いつもこの二人が主人公の短編ではなく、他の登場人物たちと入れ替わり立ち代りで話がかかれているところ。このスタイルはぜひ貫きとおしてほしい(もうシリーズ完結してるかもしれないが)。



京極夏彦の数えずの井戸

2011年10月30日 16時49分03秒 | 歴史/時代物
怪談の古典である番町皿屋敷の新解釈版。
京極夏彦ならではの本作りといい、 お話といい、構成といい、本全体が大変よくできている。 
いつもながらのサイコロ本(堂々の770ページ)なのだけれど、余白がおおいのでかなりゆとりをもった本となっている。 

番町皿屋敷といえば、お皿を割ってしたったお菊さんが殿さまにお手打ちになり、
うらみながらに毎夜毎夜井戸でお皿の数を一まい、二まい。。。と数えるあのお菊さんのお話。
殿様と恋仲であったとかいろいろなバージョンが出回っているけれど、この京極夏彦バージョンはそれぞれの登場人物のサイコロジーにせまる異質のものとなっている。
そう、昔の人もこういう強迫観念があったのでは?と思わせる新たな切り口。

斬新な古典といえば京極夏彦。今回も期待を裏切らないものだった。 




浅田次郎の珍妃の井戸

2011年10月17日 14時07分48秒 | 歴史/時代物
蒼穹の昴の続編。 
蒼穹の昴で主人公だった、春児、文秀、西太后などは登場せず、脇役だった人物(光緒帝、珍妃、アメリカ人のジャーナリスト、蘭蘭など)がでてきます。 

義和団の乱の最中、井戸になげすてられて殺された珍妃。 
国際問題にも発展しかねないこの事件を調べるべく、イギリス、日本、ロシア、ドイツの外交官が清国関係者をインタビューしていきます。 
一人一人話しをきくうちに、紫禁城の裏側の話がみえてきますが、一体だれの話が本当なのか。 
最後に列強の外交官が話しを聞く相手は幽閉されている光緒帝。 
光緒帝のはなしがとても身にしみます。
真実知りたいと連呼する外交官たち、真実を知ってどうするのでしょう。

構成もよく、大変よくかけていると思った。
蒼穹の昴をよんだら、ぜひこれも。

竹田真砂子の白春

2011年10月08日 22時23分08秒 | 歴史/時代物
予備知識なしに、なにげに図書館で手にとった一冊だったけど、大当たりだった。
この作家のことも本のことも知らず、パラパラとめくってみて忠臣蔵の話なんだと思って借りるのやめようかなあとも考えた。
歴史ジャンルは好きだけど、個人的に忠臣蔵はちょっとなーと敬遠するトピックだったから。
どうしても忠臣蔵にでてくる登場人物に魅力をかんじない。
なんか、クモの巣にかかってしまった虫をおもいだす。

そんなことはどでもいいのだが、この本、私が敬遠する忠臣蔵なのに大変よかった。

生まれつき耳が聞こえないゆえにしゃべることも出来ない"ろく"という女中の一人称をとおして、松の廊下から討入までをおっていく。
不自由な身の上の生まれたにもかかわらず、人に恵まれたゆえに"幸せな星の下にうまれた"と言切るろく。
そんなろくは幼いときに大石内蔵助の母である久満女様に拾われ、その久満女様が亡くなり、赤穂藩京屋敷留守居役であり忠臣蔵46士のひとりである小野寺十内の家に仕える。小野寺十内とその妻であるお丹に可愛がられ、よく仕えるろく。
女中という立場からみた忠臣蔵討入までの日々や、小野寺とその妻とのなれそめや、留守居役の日々の仕事がらなど語っていく。そんな日常の細々とした風景をとおしての討入がとてもよく書けているとおもった。


秋山香乃の歳三往きてまた

2011年08月09日 19時10分57秒 | 歴史/時代物
タイトルのごとく土方歳三が主役の話。
土方がすーごく魅力的にかかれている。
もちろん主役なのだから、かっこよく書かれているのはあたりまえなのだろうけど、
この本はもう土方ファンにはたまらないであろう。
しかも、この本鳥羽伏見の戦いから始まって五稜郭までを書いている。
新撰組の話のなかでも最もせつない時を土方がみなをひっぱていく。
逆境の中、土方がこれまた強いんだ。強いんだけど、やさしくなっていく土方。
こと新撰組に関しては史実など無いにひとしいんだから、この際そのへんは無視して、はじけきって書いてもらいたい。 
その点、この本は新撰組小説としてはとてもよかった。
この本土方がかっこよすぎて、近藤の存在が薄いどころか、いる意味は???という疑問をかんじてしまった。

最近、やっぱり気になってNHKの新撰組を見始めた。
近藤勇 = 香取慎吾
土方歳三 = 山本耕史
芹沢鴨 = 佐藤浩一
山南敬介 = 堺雅人
沖田総司 = 藤原竜也
斉藤一 = オダギリジョー

ってなかんじのキャスト。
作が三谷幸喜なのだからあの妙な若々しさのあるシナリオなのだろう。
オリジナルというかユニークというか、それも他の新撰組バージョンとの違いをだすためにもありだろう。
しかし、今三話目をみてるが、どーしても香取慎吾の近藤勇がうけいれられない。
どーみてもあの、無邪気な子供っぽい口調が沖田のようにしか聞こえない。
香取は沖田役だとおもう。