私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

梯久美子の"昭和20年の夏、女たちの戦争"と"昭和20年の夏、僕は兵士だった"

2011年04月24日 14時38分51秒 | ノンフィクション


2冊まとめて読んでみた。
それぞれ、著名人の戦時中の体験をインタビューし本にまとめたもの。
女たちの戦争には近藤富江、吉沢久子、赤城春惠、緒方貞子、吉武輝子、僕は兵士だったには、金子兜太、大塚初重、 三国連太郎、水木しげる、池田武邦の体験談がのっている。
本1冊ではおさまるようなインタビューではないだろうが、核心をついていて実によくまとまっているとおもった。

三国連太郎が徴兵をのがれ大陸に渡る途中に特高に捕まった話、水木しげるのラバウルでの体験。 池田武邦の洋艦矢萩の沈没の瞬間など貴重な話がのっている。
三国連太郎が徴兵のがれだったというのは初耳だった。水木しげるが戦争で片腕をなくし、その経験をもとにまんが"総員玉砕せよ"をかいたのは知っていたが、さらに詳しくのっている。

赤城春惠(渡る世間は鬼ばかりの女優)は戦時中には中国にいて、大変な苦労をして2年かけて日本に引き揚げてきたらしい。
そころもう女優として慰問団に加わり中国にいて、その後も芝居でくいつなげながら日本に帰ってきたらしい。
それとは対象的な緒方貞子の話も耳をひかれた。緒方貞子はなるべきしてなった偉い人らしい。言わずとしれた、犬飼首総の孫娘にあたり、父親はいくつもの国で総領事をつとめた外交官。戦時中は軽井沢に疎開しており、トーストと紅茶で朝ごはん、その後、自転車にのり、三笠ホテルの仮外務省で事務員として雇われていたらしい。
この二人のインタビューはじつに対局的だった。

中学生、高校生にも推薦できる図書だと思う。

東京サザエさん学会編"礒野家の謎"

2007年07月29日 10時03分42秒 | ノンフィクション
随分前にはやったこの本、改めて読み直してみたけれど面白い。正確にいうと15年まえに出版されたもの。そのころいろいろな謎本(ドラえもんの謎とか)がでたのでおぼえている人もいるとおもう。結構ブラックな内容のシリーズ。偶然、図書館で見つけててにとってみた。

この学会ちゃんとした研究者が集まっていて、おもしろいながらもちゃんとした意義ある論文になっている。サザエさん一家をとおして戦後の日本の発展や移り変わりがよく観察、考察されている。

昭和21年から始まったこの漫画、当時の人々の生活が等身代でかかれているため史的資料としても十分価値があり、そこに目をつけたこの学会は斬新。例えば戦後、おはぎとスイカがいかに魅惑的な食べ物かその出典の回数の多さでもうかがえる。しかも、サザエさん一家この2つの食べ物には異様なほど執着心をみせる。
万博を期に家が洋風になったり、家電製品が豊富になったりと全68巻をとおしてかなりかわっているらしい。32巻で電気ストーブ、33巻で電気釜、35巻で1ドアタイプの冷蔵庫、36巻で白黒テレビ、37巻で掃除機、39巻で手動洗濯機を購入している。連載当初サザエさんとふねは洗濯いたで洗濯をしほうきで掃除をしていた。とくにふねは1日中家事をしていたらしい。それが、昭和34年から40年代にかけてこの変化。ふねはテレビで英会話を習い始めるまでにいたる。この家電の急速な普及により都市では昭和30年前半にけっこう停電がおこったらしい。この影響でサザエさんでも停電ネタがこの当時よく登場したらしい。今テレビではどうなのか知らないがそろそろパソコンを礒野家でも買っていいのではないだろうか? 今の子供にしてみれば礒野家はかなり簡素なはず。簡素などころかピンとかないかもしれない。
ちなみにマスオさんの給料昭和40年当時で手取り3万4千円。マスオさん早稲田卒らしいが、給料は当時の平均並。銀行振り込みではなく、現金手渡し。いま考えるとすごいな。テストが返ってくる時先生のところにとりにいく心境だろう。

この本は漫画がもとになっているので、テレビでみるサザエさんと少しちがうらしい。例えばサザエさんとタイ子さん全然仲良くないとか、タイ子さん姑との仲が悪いとか。まあいろいろ読みどころがあるのだが、私としては礒野家の年中行事の話が一番おもしろかった。節分、七夕、エイプリルフール、月見とかなりマイナーなものから年末年始とメジャーなものまで礒野家では暦そのままに生活している。特に秋は忙しい。"芸術の秋""食欲の秋""スポーツの秋""読書の秋"といろいろとやらなければいけないことがあるから。あと、松茸もかわないと。

杉浦日向子の"1日江戸人"

2007年07月07日 02時06分08秒 | ノンフィクション
昨日やっと前前からオーダーしていた本が届きました。前にも話したけど私はbk1をつかっている。 いつも、SAL便で届く、このほうが安いから。でも、3ー4週間わかかる。いったいなにをかったのかも忘れていることが多い。昨日はお寿司をたべに行って、おなかいっぱいになったので、早々に寝た(9時ごろ)。
なので、本の荷はまだ開けておらず、新しい書評は月曜日にかく予定。

ということで、ちょっと古いけど今日は2ー3年前にかった杉浦日向子の"1日江戸人"を紹介。
この作家おしくも若くして癌でなくなった。いろいろ江戸のことを研究し一般の人が気楽にたのしめる江戸文化の本を書いている。確か、NHKのテレビにもでていたと思う。
イラストつきで、江戸のひとびとの気楽な暮しを身近に堪能できる一冊。
知っていましたか? 江戸の人々は夏休みを1月楽しんでいた事。貧しいが、夏の暑いときには商売にならないので、夏休みをとるかもしくは朝夕のみ働いていたらしい。江戸ッ子は風呂が好きというけれど、まさにそのとうり。
1日2回多い時には5回もはいっていたらしい、しかも混浴。銭湯は混浴だったらしい。こういうエピソードがイラスト交じりでつづられている。思わず "へーー"といわせる本。

ナンシー関の"聞く猿"

2007年07月06日 04時51分06秒 | ノンフィクション
先日毎日新聞でこの記事を見て、ナンシー関の"聞く猿"を思い出した。

記事

神奈川県小田原市の市立小で昨年1月、20代の男性教諭が当時担任をしていた6年の男子児童の背中に「僕は、女子更衣室に侵入しようとして失敗したおバカさんです」と書いた張り紙をしていたことがわかった。児童が侵入しようとした事実はなく、同市教育委員会は同6月、「不適切な行為だった」として教諭と校長を訓告処分にした。
 同市教委によると、教諭は昨年1月30日昼ごろ、同じクラスの女児に「(男児が)更衣室に入ろうとしている」と言われ、事実確認をしないまま張り紙をした。後で女児は事実と異なることを言ったと認めた。男児の保護者が翌日抗議し、校長は「教師としてあるまじき行動だった」と謝罪した。児童はショックで約1カ月間欠席。3月上旬から登校し、卒業した。
 教諭は市教委に「軽い気持ちでやってしまった。男児の心を傷つけたと深く反省している」と話したという。市教委から報告を受けた県教委は懲戒処分には当たらないと判断したという。県教委はこの点について「児童や保護者への影響、教諭の反省状況などを総合的に考慮した」と説明している。(7月3日11時39分、毎日新聞)

ナンシー関は以前週刊朝日でコラム/けしごむ版画を書いていた人。おしくも2002年に亡くなった。週刊朝日はかっていなかったけど、必ずこの人のコラムは立ち読みしていた。辛口コラムとよくいわれているけど、私は洞察力が鋭く、切れるコラムニストだと思う。辛口といわれる人の中には多数、とんちんかん、うざい、うるさいなどの言葉でもまた言い換えられる人がいるが、ナンシー関のコラムはそういうものとは違い鋭く正直なのだ。

私は、エッセイ、コラムといはれるものはまず本では買わない。特に、芸能人、有名料理家などが書く"ステキな私の生活"や"私の自分探し" や"私と猫"などというたぐいのどうでも良い御託の垂れ流しには600円どころか、古本屋で50円すら払う気はない。例え、私の好きな作家が書いたものでも、そんな手ぬきな仕事にお金は払えない。そんな私が、この人のエッセーだけは全て持っている、そしてどれも思わずニヤニヤするほど面白い。 話題が古いと感じる人もいるかもしれないが、たいていは覚えていることなので懐かしさ半分で楽しめる。

長くなったが、ナンシー関の"聞く猿"と上記の記事の関係。
"聞く猿"の中で、ナンシー関はこう書いている。"小学校から高校までの自分が知っている先生のなかで、この人は会社勤めができないだろうなと思われる先生を私は直ぐに7人は挙げることができる" (注: 記憶で書いているので、一字一句同じではない)。いかに"先生"と呼ばれる種のひとたちが"学校"という特殊な環境でしかいきられないかという話だったと思う。確かに、"先生"よばわりされている人たち(弁護士、政治家、作家、医者)には、他とは違う空気が漂う。この毎日新聞の記事やその他いろいろな先生がらみの不祥事、さらに私の小学校から高校までの先生などを見ているとやっぱりちょと違うなと思う。 そういう事するか?それが仕事?というような事を平気でやってのける。時々おもうけど、"先生"たちは世間が思う"先生"像に僻癖しているのでは? なかには、すごい先生もいるさ、夜回り先生とかヤンキー先生とか金八先生とか、でもほとんどの人は教師ではなく教員だろう。4大出ただけでいきなり"先生"呼ばわり。これはいくらなんでも荷が重いと思う。人口のほとんどか小学校出ただけという時代だはあるまいし、4大出の22才、しかも実社会経験0、が"師"になれるか? やっぱり、"先生"ドラマに毒されていると思う、"先生"も一公務員、市役所の受け付けの人と何ら変わりはなし。私たちも時代にあわせて"先生"像をかえるべきでは?

梯 久美子の"散るぞ悲しき"

2007年06月29日 10時01分42秒 | ノンフィクション
散るぞ悲しきは、硫黄島総指揮官・栗林忠道の話。クリント、イーストウッドの映画でよく知られるようになり、一時期は映画のせいで栗林忠道関係の本が多数並んでいた。私もいくつかパラパラと立ち読みしたけど、その中でこれが断然いいと思った。
ドキュメンタリータッチの本で実によくかけている。リサーチもしっかりとしている、けれど一般向け。特に、最後のページでタイトルの意味が分かりつらくなります。とてもよくまとめられています。1言では今回はかんそうはいえません。この本を読んで、映画が見れなくなりました。