私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

篠田節子の絹の変容

2011年04月28日 12時19分43秒 | ホラー

直木賞作家の初期の作品。190ページ程度の中編小説で、これですばる新人賞を受賞。
短い短編ながら一気によませるホラー(?)もの。
不気味できもちわるくて、こわかった。

ジャンル的にゆうなら、バイオホラーというのか。
でも、パラサイトイブのような超科学的ではなく、
日本の代表的な産業の養蚕にまつわる産業バイオ。
ラバトリーだけではなく実際に応用されているような現実的な話。

美しい絹をつくる野蚕を大量生産するため品種改良し、超蚕をつくる。
登場人物を最小限におさえ、また人物背景、キャラクターなども抑えて、蚕に焦点をあてている。
短い短編だが実によかった。"天使の囀り"といたジャンルかもしれないが、こちらのほうが日本の日常に沿っていて怖かった。
とくに、芋虫の大量発生のようすや、芋虫がふみつぶされる様子、芋虫がむしゃむしゃと食べる様子、描写がよすぎて気持ち悪かった。


真保裕一の栄光なき凱旋

2011年04月25日 18時30分20秒 | ミステリー/文芸


久しぶりに読み応えのある大作を読んだ。
山崎豊子の沈まぬ太陽や大地の子のような後読感。
この作家の本は奪取やホワイトアウトなど読んできているが、この本は間違いなく抜きんでている。
今のところ私のBEST OF 2011


真珠湾攻撃目前のアメリカ。 そこに住む日系人1世、2世を描いた小説。
複雑な1世、2世の関係。帰米組と2世の確執。さらにロスアンジェルスに住む日系人とハワイに住む日系人との違いなどの要素もとりいれた実にリアリテーあふれている。 この本に登場してくる人全てが丁寧にえがかれているし、上下の長編ながら実にスムーズ。 作者はよほど戦時中のの日系人の勉強もしたのであろう、ちゃんとキャンプの中でききとりされた踏み絵のごとき質問表にもふれていた。この質問が1世と2世の溝をされに深めたものとして話に登場するのにも関心。ちゃんと歴史背景にそっている。

アメリカに住む人(現在1世)にはより身近な1冊になると思う。
大学のときこのテーマを勉強していたが、私は1世と2世の両方の気持ちがわかる。

梯久美子の"昭和20年の夏、女たちの戦争"と"昭和20年の夏、僕は兵士だった"

2011年04月24日 14時38分51秒 | ノンフィクション


2冊まとめて読んでみた。
それぞれ、著名人の戦時中の体験をインタビューし本にまとめたもの。
女たちの戦争には近藤富江、吉沢久子、赤城春惠、緒方貞子、吉武輝子、僕は兵士だったには、金子兜太、大塚初重、 三国連太郎、水木しげる、池田武邦の体験談がのっている。
本1冊ではおさまるようなインタビューではないだろうが、核心をついていて実によくまとまっているとおもった。

三国連太郎が徴兵をのがれ大陸に渡る途中に特高に捕まった話、水木しげるのラバウルでの体験。 池田武邦の洋艦矢萩の沈没の瞬間など貴重な話がのっている。
三国連太郎が徴兵のがれだったというのは初耳だった。水木しげるが戦争で片腕をなくし、その経験をもとにまんが"総員玉砕せよ"をかいたのは知っていたが、さらに詳しくのっている。

赤城春惠(渡る世間は鬼ばかりの女優)は戦時中には中国にいて、大変な苦労をして2年かけて日本に引き揚げてきたらしい。
そころもう女優として慰問団に加わり中国にいて、その後も芝居でくいつなげながら日本に帰ってきたらしい。
それとは対象的な緒方貞子の話も耳をひかれた。緒方貞子はなるべきしてなった偉い人らしい。言わずとしれた、犬飼首総の孫娘にあたり、父親はいくつもの国で総領事をつとめた外交官。戦時中は軽井沢に疎開しており、トーストと紅茶で朝ごはん、その後、自転車にのり、三笠ホテルの仮外務省で事務員として雇われていたらしい。
この二人のインタビューはじつに対局的だった。

中学生、高校生にも推薦できる図書だと思う。

高田郁の八朔の雪

2011年04月18日 13時13分58秒 | 歴史/時代物

これまた、NHK朝の連続小説にぴったりな本だった。
昨今はやっている食をテーマとする江戸時代もの。女性(18歳)ながらに大阪の一流料亭の板場で見習をしていた澪。
若旦那の賭博のせいで店が潰れてしまい、お女将さんと2人で細々と長屋ぐらしをしながら、料亭の再建をめざしている。

江戸での奉公先は蕎麦屋のつるや。しかし、大阪の味になれている澪は江戸の客にはうけいれられない。
いろいろ工夫をして、大阪らしさと江戸らしさを合わせた料理をつくりだす澪。
澪の料理が人気になるとともに、やっかみ、便乗などの被害にあう。逆境の中でも料理にひたむきにがんばる澪。本編はその第1作目。

ちなみに、本の最後にはレシピつき。古本屋でみかけたらどうぞ。

古本屋でおもいだしたが、週末公立図書館へと足を運んだ。
図書館の一部が公営の古本屋となっていて、これをのぞくのもまた私の楽しみとなっている。今回はなんと掘出し物発見
日本語の本6冊入手した。誰かが寄付したものらしい。 しかも、そのうちの一冊は私が前から目をつけていた京極夏彦の豆腐小僧双六道中。
1冊25円でトータル125円と破格の値段だった。







鳥の巣

2011年04月17日 14時04分53秒 | 日常の話

うちの庭の小さな木に鳥の巣を発見してはや1週間。
2メートルちょっとぐらいの小さな木で、幹なんか私の両手のひらでかるくまわせるぐらい。
しかも、風がよく吹くので斜めにかたむいている情けない木なんだけれど、そこに巣を作ったらしい。


写真をクリックすると巣がみえます。

さいしょは木の下で雑草とりをしていて、ピーピーとなく音できずいた。 もう、怖くなって(鳥にがて、しかもヒナ)、それ以来木には近寄らなかった。
この週末、お天気がよかったので窓をあけると、あのピーピーの声が。 すっかりヒナも大きくなったらしく、家の中にいてもピーピーがきこえてくる。
あとは、このままなにごともなく巣立ってほしい。 夢にまでヒナがでてくるのでまいってしまう。

ヒナのお父さんとお母さんの写真は速すぎて取れなかった。でも、見ためこんなかんじ。

今年もまたまた

2011年04月14日 22時08分17秒 | 日常の話
やってきました、確定申告の日。今年も例年どうり4月の18日の期日ぎりぎりの提出。
どうせ税金払わなければいけないんだし、と嫌気ムードたっぷりでしぶしぶやった。
思ったとうり、家を買ったのもかかわらず、またまたというかさらに税金を払わなければならなかった。
家をかったのが12月だったので、家のローン・利子・税金を払っていなかったためらしい。 
来年こそはと希望をもってる。

税金とあわせて憂鬱なのが健康保険。 
今年は大幅な改正があったため、州の公務員むけに行われた説明会に出席してきた。
もう会場大混乱。ただでさえ難しいのに、新しいプランやらプログラムやら。
毎月の保険料が値上がりしますが、このプランに入るとお得になります、でも入らないとこの特典はうけられず、でも糖尿病のかたはこちらのプランにするとさらにお金の節約になりますが、65歳以上に人は国が保障する保険を使いきってから出ないとダメですが。。。さらにこっちのプログラムにすると1年で7万円ほどの医療費プリペイドカードがもらえますが、これを使って毎月の保険料は払えませんが、使わなければ翌年にもちこませますが、来年からの支給は一ヶ月ごとになりますが、今年は1年分7万円一括支給になります。。。と延々とこんなかんじ。  みんなあきれるやら、怒るやら。
とりあえず、粗品のペンとノートをもらってきた。

仕事があってリストラされなかっただけありがたいと思うけれど、だんだん厳しくなってくるな。

今週たてつずけに待っていた本が図書館から届いた。トータル10冊。 貸し出しは計画的に。

写真

2011年04月12日 19時48分24秒 | 日常の話

先日事故のため亡くなった職場の同僚が趣味としてとっていた写真がうちの図書館のギャラリーに飾られることになりました。
まるでプロのようなでき。どれもすてきな写真です。
かざられのはこのうちの12点。みんなの投票によって決めるのだけど、さて困った。

http://www.woodrockmetal.net/p277990770

さっきニュースを読んでいたら、本屋大賞が決定したというのをみた。
今年の大賞はまさかの大逆転。東川篤哉の”謎解きはディナーのあとで”。短編が収録されたものらしい。
この本おもいっきり賛否両論なので買うのにかなり迷う。まずハードカバーではかわないな。
本命だとおもっていた、”悪の教典”は7位。

佐々木 譲のエトロフ発緊急電

2011年04月10日 16時46分23秒 | ハードボイルド
真珠湾攻撃前を舞台にしたハードボイルドなスパイ小説。ちょっと納得いかないところもあったがなかなかおもしろかった。
佐々木譲といえば警察小説とおもっていたが、第二次世界大戦を舞台に3部作をかいている、これはその第2作目。

日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会賞ととっているので、よんでみた。 なんとなく日本のスパイ小説というと安っぽく、嘘くさくなってしまいがちだが、これは設定、プロットがしっかりしているのですんなり話にはいれた。

1946年、真珠湾攻撃を目前にして攻撃舞台が集結したエトロフ島のヒトカップ湾。アメリカのスパイとして日本に入国した主人公(日系人)は情報をもとにエトロフまでたどりつき、出撃目前の部隊を確認し最後の電報をエトロフから打つ。

著者のノートによると、フォックスというコードネームで1946年11月26日エトロフ島ヒトカップ湾から日本海軍機動部隊の出撃とその予想される目的地の報告が発信されているらしい。歴史的事実をもとに物語りをつくりあげ、おもしろいフィクションとなっている。

ただし、最後の最後で出会った主人公とロシア人とのハーフの女性ゆきをめぐる恋ものがたりは納得いかなかった。
よんでいる私でさえ、いったいいつそんな深い仲に???と驚いた。 最後はそんなつたない恋の話でやや鼻じろんだ。
あと、スパイを追跡するのが、なぜ中国からの因縁の憲兵ではなく脇役のそのまた脇の軍曹だったのかがなぞ。

こちらは古本屋でみかけたらどうぞ。

トマト

2011年04月03日 15時45分45秒 | 野菜
トマトを植えてみた。 





植物を育てるなんて小学生のときのへちま以来。
そんな初心者なのに、いきなりトマト、しかも砂漠の気候で。

先週のかぜが強い日など、か細いのに外ではかわいそうと家にいれてあげてしまった。
過保護はよくないので、今は24時間外。 これからいかに砂漠の太陽をさけるかが勝負になる。

あとついでに土があまっていたのでバジルとタイムと三つ葉(いただきもの)もうえてみた。
バジル弱すぎ。もう葉っぱが焼けてきてしまった。