私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

伊坂幸太郎の"死神の精度"

2008年09月28日 13時27分48秒 | ミステリー
伊坂幸太郎の"死神の精度"

DEATHNOTEに引き続き死神もの。最近、死神多い。
DEATHNOTEもすごくよかったけど、"死神の精度"はもう最高によかった。私の中の伊坂BOOKナンバー1。

やっぱり、うまいね。文章を読んでいてすぐに引き込まれる。
"ずいぶん前に床屋の主人が、髪の毛に興味なんてないよ、と私に言ったことがある。" というのが一番最初の出だしの文章。これを読んで、うまいなと思った。すぐに、え?なんで?と思ったから。ここで、死神の仕事にたいする態度や哲学が紹介されるのだが、それが、この床屋の主人と同じものだったというところから、話がはじまる。一人死んでいくたびにこの死神のことが分かりやや身近にかんじられていく。
もちろんこの床屋の主人もその後とうりまに刺されて死んでしまったけど。

"陽気なギャングが地球を回す"ではそのウィット感もやや鼻につくようなわざとらしさがあったけれど、この本はそんな感じがぜんぜん無く、さらにウィットさもありでとても満足。話も短編5作だけれど、実際つながりがあったりして、ちゃんと1冊としてまとまっているし。とりあえず大満足な本だった。


和田竜の"のぼうの城"

2008年09月20日 15時36分33秒 | 歴史/時代物
和田竜の"のぼうの城"


直木賞候補にもなったこの作品、時代ものと直木賞ではめずらしいなと思っていた。

じつはこの前の直木賞(だれがとったのかは忘れたがこの作品では無い)、伊坂幸太郎が候補にまた上がるだろうとおもわれていた。
伊坂幸太郎の最新作ゴールデンスランバーは本屋大賞、山本周五郎賞とあいついでとったので、ほぼ間違いなく直木賞もとるだろうとおもわれていた。評判もいいし、私もぜひ読みたいとおもっている一冊である。しかし、なんと候補作品発表直前で候補辞退。執筆に専念したいというのが利用らしいが、いかにもわざとらしい。こうして、2008年の直木賞は本命を欠いてのレースとなった。 それにしても、伊坂幸太郎すごい自信。まー前もって候補になったことは知らされていたのだろうが、発表前に候補辞退とは。下手をしたら、お前なんか候補に挙がってねえよと言われそうだ。人気作家であるが故の自信だろう。出版社などは必死で説得したのだろうが、つむじを曲げて次の作品を他のところで出されたら本も子もないのでそう強気にも出られないのだろう。
それにしても、直木賞委員、人気作家を怒らせるのが得意らしい。
伊坂幸太郎と委員の間に実際確執があるのかどうかは知らないけど、横山秀夫に続きまたまた。直木賞などなくとも100万部を売る作家にしか出来ないことである。

話がそれたが、"のぼうの城"大変おもしろかった。直木賞という質ではないなと思われたが、それとは違ったおもしろさがあった。
映画化の話もあるらしいが、当たると思う。

主人公の成田長親は領民から"のぼう様"と呼ばれている。でくのぼうだから"のぼう様" そう呼ばれても怒りもせずちゃんと返事をする。
百姓たちの田植えや麦踏みを手伝う"のぼう様"、でもやっぱりやや遅く不器用なので、百姓のほうも敬遠するが、そんなこととは知らず仲間に入ろうとするのぼう様。しかし、そんな平和な時はそう続かず、天下統一を目指す秀吉の軍勢が長親の忍城にせまっていた。敵は石田三成の2万の軍勢、対す長親の忍城は2千。総大将としての器量があるのか無いのか、戦に持ち込むことになった。木偶の坊なのになぜか人を引きつける力のある長親、3人の家臣に支えられ決戦に望む。忍城はどうなるのか。主人公とその他の登場人物が実に魅力的なので素直に話ののめり込て、最後までハラハラドキドキさせられる。
敵である石田三成にもかなりページを割いて画かれているのでただの敵としてではなく、人間味あるキャラクターとして読める。


話じたいは家臣の一人で長親の幼馴染みの丹波の目をとうしてだいたい進んでいく。家臣であるが幼いころからなにかにつけ、のぼうの世話をやいていたので上下関係はなく、実に単刀直入に話す。他の2人の家臣も長親の不器用ぶりを長いこと見ているので、やれやれという感じで対応していく。歴史小説なのだけれど、典型的な歴史小説とは異なり、話し方もやや現代ふう、人間関係もやや現代ふうに創作されている。最初は戸惑ったが、このほうがこの話には映えると理解できた。作者の意図なのだろう、ユーモアがありよくできている。

私はこの本を2時間で読み終えてしまった。お昼を食べるのも忘れて。
1500円の価値は十分にあり。

弱い話

2008年09月15日 07時32分07秒 | 日常の話
ほとんど毎日読売新聞、産経新聞、朝日新聞をオンラインでチェックしている。
こうして日本のニュースお天気などをみている。
最近、読売新聞オンラインの広告のところに、火垂るの墓の広告がでてきた。
火垂るの墓とはあのジブリの映画の火垂るの墓。 新装版のDVDが出たとかでいろいろ広告をだしているのだけれど、その広告が現れる度に目がうるうるしてくる。あの兄妹の絵を見るだけで、ストーリーを思い出して泣けてくるので困っている。
まずいなと思っているのに、その広告が現れるとおもわず目をとめてしまう。

この手(戦争中の話)話には大変弱い。中学高校のころは、はまるようにこのジャンルの本を読んだけれど、最近は手にしただけで心が重くなる。例えば、横山秀夫の"出口のない海" これをオンラインの本屋で見た時、横山秀夫の本なので内容など読まずに買ってしまった。届いてみて、びっくり、予想していた警察ものではなく第二時大戦中の魚雷特攻隊"回天"の話だった。どうしようと本当に困った。結局その週末に読んだけど、その後2週間はあとをひいた。その上よせばいいのに、映画化になったのでそのオフィシャルウェブサイトまでいってしまった。

こういうたちなので、福井晴敏の"終戦のローレライ"を借りようかどうしようか結構迷った。書評には"ページ繰るごとに、死んで行った者達の無念を痛感し"などと書いてあるし。
でも、借りることにした。

今読んでいるもしくは借りている本

終戦のローレライ
屍鬼
沈まぬ太陽 第4巻
のぼうの城
死神の精度

小畑健のDEATHNOTE FINIS

2008年09月14日 10時08分10秒 | マンガ

DEATHNOTEやっと読み終わった。なにせ、人気のある作品なのでいつでも貸し出し中。では、買えば?と思われるかもしれないけれど、1冊$8もするのでやっぱり図書館で借りることにした。待ちリストに名前をのせてから3週間もまってやっと10、11、12巻を先日手にした。
すごくおもしろかった。
期待どうり! 最後のの12巻目にいたってはもう最後が待ち切れず、最終話から読み始めた。

7巻目でKIRAこと夜神ライトの宿敵Lが死んでしまってビックリ、えっ?どうなるの? このままドラゴンボールのようにえんえんと敵を出し続けて引き伸ばす作戦か?と一時は心配したけれど、Lがそこで死んでも話がナアナアになる事なくむしろリニューアルを図る効果があり、話がさらに一段もりあがった。そのころから、死神のリュークの出番が全然ないのが気になっていたけれど、それもKIRAの独裁傾向をアピールするのに効果的だったし、最後にはリュークもちゃんと活躍したし、なんともまあ実によくまとまった作品だった。読んでいて、この作者なにを書いているのか、どこに行こうとしているかちゃんと読者を導く力がある。子供っぽいまんがのためのマンガだけと言うのではなく、ちゃんと作品を通してのテーマがあるのもいい。KIRAの理想は本当にRIGHTEOURなのか? それともただの殺人犯の言い訳にすぎないのか? 善か悪か関係なく死は平等にやってくるという真実がKIRAの理想事態を一笑するかのごとくリュークの最後のセリフになっているのも実によく出来ている。

結局2から12巻まで英語で読んでしまったけど、ガイドブックなどにある日本のことを英語で読む不自然さは全然なかった。
機会があったらぜひ日本語で全巻とおして読んでみたい。
DEATHNOTE大人買いする価値あり。

高野和明の13階段

2008年09月12日 11時52分01秒 | ミステリー
2001年に江戸川乱歩賞をとったこの作品おもしろかった。賞をとっただけあるなと納得する作品だった。
死刑制度の是非、加害者の更生、などの重いテーマを負っている一方でミステリーの要素もあり、実にこの2つがうまくブレンドされている。

主人公の前科を持つ三上が、刑務官の南郷の手助けをして犯行時記憶を失った死刑囚の冤罪をはらすのが話のすじ。
この記憶喪失の死刑囚、記憶が事故でなくなっているので全く罪の意識がない。再審請求をするが、改悛の情がないといわれ、棄却、それでも死刑執行の日が着々と近づいてくる。その中で、ひとつだけ思い出した記憶があり、それを弁護士に知らせる。その弁護士が南郷を雇ってもう一度この事件をあらいなおす。前科がある三上も複雑な思いで南郷とともにこの死刑囚の事件を調べていく。しかし、事件はこの死刑囚のものだけではなく、三上の犯した事件も新たにうきぼりにしていく。3つほどの事件がからまって複雑なのだけれど、実によくまとまっている。

あとがきの宮部みゆきが書いているが、この第47回乱歩賞は選考委員の門場一致で決まったらしい。


話は変わるが、先日私の友達が善光寺のおみやげに携帯ストラップを買って送ってくれた。
すごくうれしかったので、早速つけようと思って見ると、私の携帯にはストラップの付けるところがない。
おかしいなと思って、いろいろな人の携帯をみせてもらったけどストラップを付けるところがない。
日本こゆうの物らしい。どこに付けようか今考えている。

新学期

2008年09月09日 13時12分01秒 | 日常の話

8月の25日からいよいよ新入生をむかえて新学期がスタートした。それにともなって8月18日ごろから、図書館はすごいこみよう。図書館のカードをもとめるべく連日長蛇の列。
図書館に長蛇はないだろうとお思いかもしれないが、これが大げさではなく本当に朝から晩まで50人ほどの列が途切れない有り様。その新入生の多くが両親をともなってやってくるので、またまた混むこと。その上新しいPINナンバーを照会しないと外からアクセスできないようになったので、それを求めてさらに列が長くなる。
まーこんなかんじで最初の2週間ほどがすぎて、やっと落ち着いてきた今日このごろ。

それにしても新入生なんかたよりない。大学にくる年にもかかわらず、両親がしっかりなにもかもやってくれるので、いろいろな準備も親の後をついていくだけ。うちの図書館はカードをつくるにあったて、個々の生徒のアカウントを開くので、基本的な個人情報(EーMAILとか電話番号とか)を初めに聞くのだけれど、それの全てに答える親がいる。生徒に"電話番号はなんですか?"と聞いているのに、横に立っている母親が即座に"XXXーXXXX"と答える。
"住所は?"と聞くと母親つかさず"校内のOO寮に住んでいます"と答える。"お母さんあなたはOO寮には住んでいませんよ。"と言いたくなった。 質問があれば生徒本人が聞くであろうに、母親がまたしても"どうやってコンピューター使うの?"とか"本は何冊まで借りれるの?"と聞いいてくる。さらにはこちらが聞いてもいないのに、"今から大学の生協にいって教科書買ってその後で大学の寮のカギを受け取りに行くの"とやたらうれしそうに報告するお母さん。もちろん、母親が住む寮ではなくその息子が住む寮なのだが。 その後も息子はどこにいるのか知らないが、母親が息子の学生証を持ってきて、息子の図書館カードを作ってくれと言ってくる、本人のサインが必要ですと言っているのに。こういう親子がやたら目立った。
ご両親本人がまるで18歳にもどったかのようにうきうきして、新学期の準備をして回るなか、子供がその後を携帯メールしながらついて行く、そんな妙な光景だった。

さて、先月でたのだめカンタービレ最新刊の21巻は面白かった。かなり盛り上がり次が楽しみ。
累計で2200万部以上の売上らしい(2007年3月で)。すごいな。ちなみに、本だと100万部突破すれが大大ヒット。

米山公広の誤診

2008年09月08日 07時21分39秒 | ミステリー
米山公広の誤診

作者自身も神経内科の医学博士なので、この本を実に楽しみにしていた。きっと、業界の内幕みたいのが出るのだろうなと。がっかり。
出来損ないの"白い巨塔"というかんじ。"白い巨塔"という題名を出すのもおこがましい。内幕を知っているからもしくは体験しているからといっていい本が書けるわけだはないのだな、と当たり前のことを思った。 白い巨塔の山崎豊子、医師ではないがあんなに凄い本を書いている。

まあ図書館で借りたのであまり文句はいえないが。それにしても、1600円とは高すぎる。図書館で見かけてもオススメできない。まーヒマならどうぞというところ。

だいたい、業界の秘密みたいのが全然ひみつではないし、悪役である院長がじつは結構いろいろあり、ただの悪役だはない難しい役どころなのだが、そういうなが全然書ききれていないし、中途半端に少年期のトラウマみたいのを強引にこじつけて院長の複雑さ安易にだそうとしているし、 なんか全てにわたって中途半端な本だった。