烏合庵奇譚

Welcome to Raven's roost
渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

“あぶらこ”を“ちゃんちゃん”で喰らう

2009-03-29 10:40:03 | 烏合庵の食卓
週末の食材を仕入れに出かけたスーパー.ショウケース,氷の上のあぶらこと目が合ってしまった.一本五百円也,思わずキープ.ちゃんちゃんにでも仕立ててみようか.
襟裳(様似)の漁師に手ほどきを受けて以来,ちゃんちゃんについては青鱒(カラフトマス)原理主義の拙庵だが,北部日本海では,ほっけちゃんちゃん原理主義も根強いと聞く.ココは一番,搦手のあぶらこ辺りから融和の道を模索せねば為りますまい.


あぶらこと言えば北海道では主にアイナメとウサギアイナメの2種を混称するが,今回求めたのは後者.丸く扇型の尾びれでアイナメと区別できる(アイナメのそれは角張り,中央がやや切れ込む).店頭にならぶサイズなら体色が赤っぽいのは雄で,雌はやや黄色味掛かった褐色である.ちなみにホッケもアイナメ科の魚.


先ずはあぶらこの捌き,鱗を落し兜を割って背開きに(素直に二枚に卸しても無問題).鰓と腑を外し,身に水気を当てぬ様,汚れた腹腔と鰓際だけをさっと洗い,肝は味噌に練りこむので取っておく.




次に練味噌.酒と味醂を合せて煮切り,とろ火に落としたところに肝を入れて粗く解し,味噌を溶いて練り上げる.あとは野菜(拙庵では茄子・青椒・長葱・茸類が定番)を細かめに切り分ければ下拵えは整った.早速,焼いてゆくことにしよう.




熱したホットプレートに薄く胡麻油を引き,身頃を下に魚を入れる.青鱒の場合はここに野菜と味噌を仕込んで蒸し焼くのだが,今回はこのまま身頃を少し焼き込む.骨身に焼き目を入れたら皮目に返し,周りに野菜と練味噌を仕込み,蓋をして焼き(蒸し)上げてゆく.野菜がしっとりとして,味噌が沸々わいて来れば頃合だ.熱の通ったところから,ちゃんちゃん解して,頂きます!


舌の上で,ほろほろ・ホクホクと崩れる身,味噌を纏った野菜の甘さ.渾然一体の味わいがちゃんちゃんの身上と思っているが,あぶらこも青鱒に劣らず野菜との絡みが良い.そして身の下から現れる皮目の圧巻.もっちりと甘い脂の味わいは,鱒類では得られないものだ.
いや,あぶらこ恐るべし! 桜鱒でも,時不知でも揺るがなかった青鱒原理主義が大きく揺らいだ一瞬であった.宗主ほっけにも,ゼヒまみえたいモノである.

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