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烏合庵奇譚

Welcome to Raven's roost
渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

桜 ちゃんちゃん

2008-03-31 00:33:56 | 烏合庵の食卓
久々に訪れたデパ地下.
魚屋に手頃な大きさのサクラマスが入荷していた.



塩振り焼きにはやや脂乗りの足りないサイズとは言え,
価格も手頃.こちらでは花にはまだ早いが,
内地からは満開の報頻り.旬のこいつを使って,
一足早い春のちゃんちゃんを楽しむことにする.

“ちゃんちゃん焼き”と言えば,近頃はつとに知れ渡った感もあり,
鮭を使った郷土料理として,秋の味覚と思われる方も多いだろう.
然し….

私が“ちゃんちゃん”を知ったのは,
その知名度がまだ高くはなかった昭和年代.
仕事先で知り合った襟裳の漁師に教えられてのことだ.
そして彼はマキリを振いながら,これを“鱒の料理”と言い切った.

胆振・日高方面で“鱒”と言えば,
一番はサクラマス(口黒鱒・本鱒)で,漁期は春先
(接岸し始める3月~川に遡り始める5月頃).
もう一つは,カラフトマス(青鱒・背張鱒)で,
こちらは初夏から土用頃.

このときは初夏で,青鱒だったと記憶している.

何れにせよ,彼にとってのちゃんちゃんは,
春から夏の食べ物であるらしかった.
そして,彼の手になるその旨さを堪能して以来,
私もちゃんちゃんと言えば鱒を思い浮かべるようになった.


まずは身卸し.
サクラマスの鱗は剥がれやすく,残っていても小さく柔らかいので,
神経質に落とす必要はない.繊細な身が傷まないよう,
順目にさっと洗う程度にする.

2枚に卸せば名の如し.明るい紅も艶やかだ.




雌だったが,内子はこれから秋に向け急速に熟す手前.
とは言え昆布の一片を添え,醤油と酒を塗しておけば,
明日にはコレで酒の一合もすすむことだろう.





練味噌は,好みの味噌を酒と味醂で伸ばし,
軽く火を入れて練っておく.






野菜も好みだが,香りのあるものを中心に.
今日は,長葱・ピーマン,茄子.
茸は舞茸とエリンギ.ともに細めに切って混ぜておく.

ホットプレートを暖め,油を敷く.
北海道をアピールするため,バターを使う向きも多いが,
こと鱒の場合は,ウチでは胡麻油を使う.




身を下にして鱒を並べ,周りに野菜を仕込む.
プレートの端の肌を出し,練味噌を落し込んだら,
蓋をして味噌が沸々するまで蒸し焼きにする.





レアの加減で蓋をとり,さあ,頂きます!!
銘々の箸で鱒の身をチャンチャンと崩し,
野菜や味噌を混ぜながら,好みに焼き上げて口に放り込む.




混ざってしまうと,鱒の身自体に秋鮭ほどの存在感はないのだが,
しっとりとした筋繊維が味噌とともに野菜に絡み,
昆とした味わいを醸し出す.

若い鮭鱒特有の甘い香りが,
追いかけるように鼻を抜けてゆく.
桜鱒の本領,極まれり,である.

プレート一杯のちゃんちゃん.
人数前にはチト多いかと思ったのだが,
何のことはない,あっさり喰いきってしまった.

多めに造った練味噌だけが残ったが,
これとても勿体無いことにはならない.

プレートにこびり付いた旨味をこそげながら,
軽く火を入れて練り返せば,立派な嘗味噌の出来上り.
明日辺り,私の昼弁当,握飯の種として,
再び私の舌を楽しませてくれることだろう.

ご馳走さま.有難う.

昨日ぶり返した寒さもものかわ,
今日の日差に庭の木の根の雪も解け,
桜の予感誘う,今日の夕餉であった.

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