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沖田瑞穂『すごい神話』49.「『対』の英雄――アルジュナとクリシュナ」:アルジュナの父は「戦神」にして「神々の王」インドラ神!クリシュナはヴィシュヌ神の(第8番目の)化身!

2023-11-02 12:18:30 | 日記
※沖田瑞穂(1977-)『すごい神話』(2022)第四章 インドの神話世界(42~52)

『マハーバーラタ』の主役である「アルジュナ」はクル国の王子「パーンダヴァ」五兄弟の三男だ。アルジュナの父は「戦神」にして「神々の王」インドラ神。アルジュナは『マハーバーラタ』随一の英雄である。彼は弓術の達人でありアグニ神から授かったヴァルナの神弓ガーンディーヴァを操りクルクシェートラの大戦争を戦う。

アルジュナの特徴の一つに「クリシュナ」との友情がある。クリシュナはヴィシュヌ神の(第8番目の)化身として『マハーバーラタ』の時代に地上に生を受けた。クリシュナは名高い英雄であり、クルクシェートラの大戦争においては「パーンダヴァ」の参謀の役を果たすとともに、アルジュナの戦車の御者として、クリシュナはアルジュナを導く。

《参考》「クリシュナ」はビシュヌと一体視され、さまざまなクリシュナ伝説が生まれ、ヒンドゥー教の神話の中で活躍が著しい。クリシュナはしばしば「青い肌」で表現される。叙事詩『マハーバーラタ』の中で「クリシュナ」はヴィシュヌの化身として主要人物の一人である。『マハーバーラタ』中の『バガバッド・ギーター』(神の詩)はパーンダヴァ軍の王子「アルジュナ」と、彼の導き手であり御者を務める「クリシュナ」との対話という形式をとる。
《参考(続)》クルクシェートラの戦争直前、親族同士が殺し合い、師を殺すという罪悪感に耐えきれなくなったアルジュナは、戦を放棄しようとする。これに対し、クリシュナはアルジュナに対し、武器を手に取って戦うように説得する。『バガバッド・ギーター』と呼ばれるクリシュナとアルジュナの問答において、クリシュナは、偉大なヴィシュヌ神の姿をアルジュナに見せたり、クルクシェートラの戦いでアルジュナに討たれた者は天界へ至ることを説いたり、あらゆる説得を行う。アルジュナは遂に決心し、神弓ガーンディーヴァを携えて戦に望む。

★インドネシア・ジャワ島のワヤン・クリ(影絵)のアルジュナ
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沖田瑞穂『すごい神話』48.「『マハーバーラタ』の世界――神々と人間が織りなす豪華絢爛な大叙事詩」:「パーンダヴァ」五王子と「カウラヴァ」百王子の「クル国」継承をめぐる戦争!

2023-11-02 09:41:13 | 日記
※沖田瑞穂(1977-)『すごい神話』(2022)第四章 インドの神話世界(42~52)

(1)インド神話の宝庫である『マハーバーラタ』!
世界最大級と言われる長大な叙事詩『マハーバーラタ』(全18巻)はインド神話の宝庫である。『マハーバーラタ』は紀元前4世紀頃から紀元後4世紀の頃の間に次第に形作られたものと推測される。

《参考》『マハーバーラタ』(バラタ族すなわちクル族にまつわる大叙事詩)は、紀元前4世紀頃からテキスト化が開始され、特にアショーカ王(在位:紀元前3世紀頃)の時代に進展し、紀元前2世紀中葉〜紀元後1世紀末頃に完成したとも言われる。なお『ラーマーヤナ』(ラーマ王行状記)(第1~7巻)の成立は紀元後3世紀頃だが、その核心部分の第2~6巻の成立は紀元前4-5世紀頃とされる。『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』はインドの二大叙事詩と呼ばれる。
《参考(続)》『マハーバーラタ』は、バラタ族のパーンドゥ王の息子である五王子(「パーンダヴァ」)7軍団と、その従兄弟である百王子(「カウラヴァ」)11軍団の間の、「クル国」の継承を懸けた「クル・クシェートラ」(クル平原)における大戦争を本題とする。18日間の凄惨な戦闘の末、戦いはパーンダヴァ側の勝利に終わるが、両軍ともに甚大な被害を出す。(この戦いで百王子は全滅した。)本題は全編の約5分の1にすぎず、その間に神話、伝説、宗教、哲学、道徳などに関する多数の挿話を含む。(Ex. ヒンドゥー教の 宗教哲学的聖典『バガバッド・ギーター』など。)
《参考(続々)》『ラーマーヤナ』はラーマ王子が、誘拐された妻シーターを奪還すべく大軍を率いて、ラークシャサ(羅刹or鬼神)の王ラーヴァナに挑む姿を描く。
★クルクシェートラの戦い


(2)『マハーバーラタ』の主役:「パーンダヴァ」(パーンドゥ王の5人の王子)と「カウラヴァ」(クル族の100人の王子)!
さてここからは『マハーバーラタ』のあらすじの紹介である。『マハーバーラタ』の主役は「パーンダヴァ」(パーンドゥの息子たち)と総称されるパーンドゥ王の5人の王子と、彼らの従兄弟にあたる「カウラヴァ」(クル族の息子たち)と総称される100人の王子である。この「パーンダヴァ」と「カウラヴァ」による「クル国」の王位継承権をめぐる確執が、やがて周辺の国々を巻きこんだ大戦争に発展する。

(3)『マハーバーラタ』は「大地の重荷」(人類)を軽減させるため「増えすぎた人類を戦争で減らす」という神話だ!
『マハーバーラタ』は、「大地の女神」が増えすぎた生類による「大地の重荷」という苦境をブラフマー神に訴えたことから始まる。ブラフマーは神々に命じて化身を地上に降ろさせ、「大地の重荷」(人類)を軽減させることにした。こうして神々の化身として生まれた英雄たちが、大戦争で戦い多くの命が大地から失われることになる。
《参考》『マハーバーラタ』は戦争で人口が調整され、「大地の重荷」が取り除かれたと述べる。「増えすぎた人類を戦争で減らす」という神話だ。『マハーバーラタ』の主題である大戦争がまさにそれだ。4つの宇宙期(ユガ)の最初、クリタ・ユガの時代に大地はくまなく多くの生類によって満たされていた。その頃、神々との戦いに敗れたアスラ(悪魔)たちが天界より落とされて、人間や様々な動物に生まれ変わった。ある者は力ある人間の王として生まれ変わり、力に奢り、かくて「大地の女神」は苦しめられた。創造主の「ブラフマー神」は大地女神の悩みを知って、全ての神々に「大地の重荷を取り除くために、それぞれの分身によって地上に子を造りなさい」と命じた。人間が増えてやがて地上において「クルクシュートラ(クル平原)の大戦争」が行われ多くの戦士(人間)が死んだ。こうして戦争で人口が調整され、「大地の重荷」は取り除かれた。

(3)-2 神々を父として誕生した「パーンダヴァ」の5人の王子!「カウラヴァ」百兄弟はアスラや羅刹の化身として生まれた!
この神々の計略に基づき、『マハーバーラタ』における主役となる「パーンダヴァ」の5人の王子がそれぞれ、神々を父として誕生させられた。法の神ダルマの子として①ユディシュティラ、風の神ヴァーユの子として②ビーマ、神々の王インドラの子として③アルジュナ、双子神アシュヴィン(医術・生殖の神)の子として双子の④ナクラと⑤サハデーヴァの5人だ。一方、ドゥルヨーダナを長兄とする「カウラヴァ」百兄弟は、アスラ(悪魔)や羅刹(ラセツ)の化身として生まれた。

(4)妃「ドラウパディー」は前世の因縁により「パーンダヴァ」五兄弟の共通の妻となった!
「パーンダヴァ」五兄弟は、従兄弟たち「カウラヴァ」百兄弟の殺意から逃れるため、母クンティーと放浪の旅に出る。その途中、ドルパダ王の王女ドラウパディーの婿選び式(スヴァヤンバラ)に参加し、アルジュナが弓の競技に勝利してドラウパディーを獲得した。ドラウパディーは前世の因縁により五兄弟の共通の妻となった。

(5)骰子(サイコロ)賭博に目がないユディシュティラ(「パーンダヴァ」五兄弟の長兄)は骰子(サイコロ)賭博に負け、王国と兄弟、ドラウパディーをも失う!「パーンダヴァ」五兄弟の13年間の王国追放!
その後、王国を獲得した「パーンダヴァ」五兄弟は繁栄を享受した。これに対し「カウラヴァ」百兄弟の長兄ドゥルヨーダナは嫉妬を増大させた。ある時、ドゥルヨーダナとその叔父シャクニは、骰子(サイコロ)賭博に目がないユディシュティラ(「パーンダヴァ」五兄弟の長兄)にいかさまを仕掛けた。負け続けたユディシュティラは、王国と兄弟、ドラウパディーをも失う。これにより「パーンダヴァ」五兄弟とドラウパディーは12年間、森に住み、13年目には誰にも正体を知られずに過ごさなければならないという取り決めになった。

(6)「クルクシェートラの戦い」:「パーンダヴァ」五兄弟の側が「カウラヴァ」百兄弟の側を倒す!
やがて「パーンダヴァ」五兄弟らの13年間の王国追放の期間が終了するが、「カウラヴァ」側が王国を返却しようとしないので、周囲の国々を巻きこんだ大戦争(「クルクシェートラの戦い」)に発展していく。「パーンダヴァ」側のアルジュナは、親族を敵として戦うことをためらい武器を捨てようとした。その時、ヴィシュヌの化身である英雄クリシュナがアルジュナに説いたのが、『バガヴァッド・ギーター』(神の詩)と呼ばれる聖典だ。戦争は18日間続き、アルジュナの戦車の御者を務めるクリシュナの詐術によって、敵方(「カウラヴァ」側)の将軍が次々に倒され、最終的に「パーンダヴァ」側の勝利に終わった。
★馬車に乗ったアルジュナと親友のクリシュナ(青い人物;御者)


《参考》「クリシュナ」はビシュヌ神の第8番目の化身。紀元前7世紀ころ実在した人物が神格化されたといわれる。ビシュヌと一体視され、さまざまなクリシュナ伝説が生まれ、ヒンドゥー教の神話の中で活躍がもっとも著しい。しばしば「青い肌」で表現される。叙事詩『マハーバーラタ』(バラタ族の戦争を物語る大史詩)の中で「クリシュナ」はヴィシュヌの化身として主要人物の一人である。『マハーバーラタ』中の『バガバッド・ギーター』(神の詩)はパーンダヴァ軍の王子「アルジュナ」と、彼の導き手であり御者を務める「クリシュナ」との対話という形式をとる。

(6)-2 「カウラヴァ」側のアシュヴァッターマンによる「パーンダヴァ」の陣営への夜襲と殺戮!
「カウラヴァ」側の将軍ドローナの息子アシュヴァッターマンは、父が「パーンダヴァ」側の詐術によって戦場で殺されたことを恨み、勝利に酔う「パーンダヴァ」の陣営に夜中密かに潜り込み、殺戮を繰り広げた上で焼き討ちした。この時不在であった五兄弟、そしてクリシュナ、クリシュナの親友サーティヤキを除く「パーンダヴァ」側の全ての英雄が命を落とした。
(6)-3 「パーンダヴァ」側のアルジュナと「カウラヴァ」側のアシュヴァッターマンの戦い!  
「パーンダヴァ」五王子とクリシュナは、壊滅した自分達の陣営を見て怒り、アシュヴァッターマンの後を追った。アシュヴァッターマンは、魔術的な武器「ブラフマシラス」で、「パーンダヴァ」側のアルジュナと一騎打ちをしようとした。だが聖仙ヴィヤーサが「ブラフマシラス」の使用は世界を壊滅させかねないと両者に武器を収めるよう言った。「ブラフマシラス」は清浄な魂の持ち主でなければ回収できないため、アルジュナは「ブラフマシラス」を回収できたが、アシュヴァッターマンはそれができず、武器をアルジュナの息子アビマニユの妻であるウッタラー王女の腹に向かって放った。こうして「パーンダヴァ」の系譜を永遠に断とうした。この時死んだ胎児がパリクシットである。胎児はクリシュナの力によって蘇り、後にクルの王位を継ぐことなる。
(6)-4 5人の息子たちを殺されていたにもかかわらず妃ドラウパディーは、アシュヴァッターマンの生命を見逃す!
アシュヴァッターマンは、命をもって償うかわりに額の「宝石」(Cf.  アシュヴァッターマンの額には、生まれつき宝石が埋め込まれており、これによって彼は、武器や病気や空腹、神々やダーナヴァや羅刹の恐れから守られた)を外すよう聖仙ヴィヤーサから言われた。5人の息子たちを殺されていたにもかかわらずドラウパディーは、アシュヴァッターマンの生命を見逃すことを受け入れ、「宝石」をユディシュティラの頭に載せた。

(7)「パーンダヴァ」側の長子ユディシュティラがクル国の王として即位した!
「パーンダヴァ」五王子は、クル国(クル族すなわちバラタ族の国)の老王ドリターラシュトラ(「カウラヴァ」百王子の父)と王妃ガンダーリーと和解し、「パーンダヴァ」側の長子ユディシュティラが王として即位した。しかしやがて「パーンダヴァ」五兄弟の神的な力も翳りを見せ、五兄弟と妃ドラウパディーは山へ死の旅に出て、そこで一人ずつ人間としての罪を問われながら命を落とし、天界へ昇った。
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