外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

リスニング力を上げるためには文法力が必要。VOAの優れた英文法コラムから。

2018年03月25日 | 英語学習、教授法 新...

 

リスニング力を上げるためには文法力が必要。VOAの優れた英文法コラムから。

「××すれば英語が面白いほど聴き取れる」という広告がウソであるということはだれでも気づいていることですが、人々の「藁をもすがる」という気持ちにつけいるので、けっこうこの種の広告はまだ効果があるようです。

Everyday Grammar常識で考えてみれば、単語を知らなければ聴き取れるはずがありません。同じ内容なら読んで分からないものがどうして、耳で分かるのでしょう。聴きとるというのは複合的な作業なので、ある一つの障害を除いたら聴き取れるようになるということはありえません。

とはいえ、文章英語とは違ったとくゆうの問題が音声言語にあることは否定できません。ここで取り上げるVOAの優れた英文法番組、Everyday Grammar TVで述べていることは以下のとおり。日常のnative speakersが話すときは、教室での英語の先生の発音と違い、下に挙げた4つの操作を自然に行なうため、学習者にとってリスニングが困難になるのは避けられない。

squeese,
shorten,
combine,
and drop sounds all the time

常に、音を圧縮し、短縮化し、合体させ、省略する、です。

では、英語学習者はどうしたらよいか。
男性プレゼンターのKavehは、次のように言います。

KavehI think it’s important to listen for key grammar words like “be”, “have”, “do”, “to”, and “will”. These words are often shortened.!
「be, have, do, to、それにwillというような文法上カギとなる単語を注意して聴くことが大切です。これらの単語は短縮されることが多いのです。」

それに続けて、女性プレゼンターのLuciaは、例を挙げます。

LuciaThat’s true. My friend always says,
“D’ya wanna go?” instead of
“Do you want to go?”

その他代表的な例がいくつか挙げられた後、Kavehは次のように言います。
They key is to train your ears to listen for shortened grammar words.
「カギは、短縮化された文法的な単語を注意して聴くよう耳を訓練することです。」

2分間のこの番組では、これ以上のことは言っていませんが、「耳を訓練する」といういかにも身体トレーニングのような言い方の裏には、文法力を身につけるという、とても知的作業の必要性が隠されています。
ある表現のあとには「これがくるはずだ」という、この「はず」をたんなる推論にとどめずに、直感的に身につける作業が必要なのです。

最近英語スクールのレッスンで扱った、刑事コロンボ一回目の一場面を上げてみましょう。(クリップを挿入するテクニックがないのが残念。Sorry)
犯人の精神科医が被害者を装って、「妻が事故にあったのですか」と尋ねます。成り行きからそういうセリフがくることは予想できる場面です。
とても早口で話しますので、この台詞の単独の聴き取りは英語学習者には難しいかもしれません。しかし、意味から、ここで言われる可能性のある台詞は、以下の4つ。
この4つのセンテンスが頭のなかにすでに用意されて、頭に浮かぶ寸前まで来ているかどうか、これが実力というものです。これがステップ1。

コロンボ1 妻が事故にでも① “Did she have an accident?”
② “Has she had an accident?”
③ “Was she in an accident?”
④ “Has she been in an accident?”

答えは④(音声が欲しい!残念)ですが、過去に起きた殺人であっても、今も事件は続いているのですから、過去形ではなく、現在完了形が使われるという、意味的、文法的予想が頭にすでにできていることがつぎの条件。これがステップ2。そこにbeenの音がかろうじて聞こえるというステップ3が積み重なります。以上の3つの条件をクリアして、⓶ではなく、④だということが分かるわけです。

一瞬のリスニングをスローモーションの映画のように分解して説明すると、上記の3ステップの段階を踏んで初めて「聴き取れる」ということが成り立つことが分かります。学習の最初の過程では、こうした分析的な理解を完全にすべきでしょう。そのあとで、この知識が感覚になるまで「耳を訓練する」のが、学習の手順ではないでしょうか。

Everyday Grammar: Understanding Fast Talkers 速い英語を理解する (2分)

https://learningenglish.voanews.com/a/3137098.html

February 28, 2016

この番組のシリーズはもう3年目に入り、100以上のアイテムがあります。おしむらくは、文法的整理がされてなくてばらばらだということ、いったん冒頭のページに戻ると、前に見たところへ戻るのが大変という欠点があります。
そこで、今までの連載を文法項目的に整理してみました。のちほどブログで紹介しましょう。


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