人類遺産
ニコラウス・ゲイハルター監督
かつて人間の手によって作られ利用され、やがて人間の都合で放置され、朽ちゆく世界の「廃墟」
そこには人物は一切登場せず、音声、音楽も流れない。
それでも最後まで見続けてしまう圧倒的な映像美とメッセージ。
病院の廃墟ではポリ袋も登場する。
大部屋の病室にはベッドが3台と保育器だろうか、キャスター付きの機器が放置されている。
病室の中央には透明なクラゲのような物体が開け放たれた窓から入る風でせわしなく動いている。
最初に動いたポリ袋は半透明でシャリシャリと音を立てる。
間違いなくハイデンポリエチレン製の袋だ。
何も入っていないがゴミ袋だろう。
次に透明の袋が風になびく。
先ほどの袋に比べて透明度が高く風になびく姿がしなやかなのでローデンポリエチレンとわかる。
風になびく音もハイデンポリエチレンと比べて小さい。
ポリ袋は集会でも開く気なのか部屋の中央に集まる。
廃棄されてから時間がたっていないのかポリ袋はまだ柔軟で透明度も良い。
今後、風と紫外線でボロボロになる。
風に舞い外に飛び出すこともあるだろう。
そしてさらに細かいポリエチレン片となり。
最後には海にたどり着く。
そのころにはさらに細かくなりマイクロプラスチックと呼ばれるほどの小ささになり海洋汚染を引き起こす。
この映像に映し出される廃墟は石油を原料としているものが多い。
石油は人の手が加わると循環しないものなる。