紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

4・旅立ち

2004-08-09 14:55:10 | 8・山と旅の思い出
イギリスへ行こうと決めた時、アーサー=ランサムの物語の湖に行くのはもちろんだけど、できればそこ以外の場所を訪れて、本を書きたいと考えた。一作目の本は、新人賞を受賞したものの、一向に本になる気配はなかった。ただ待っていても仕方がない。次の本を、何とかして書こうと思った。

いろいろな資料を調べているうちに、ピンと来たのが、自然豊かな、古城がたくさん残っているウェールズ地方だった。後半、イングランドの北部の湖沼地帯に行くことにし、前半は、ウェールズを旅しよう、と日本にいる時に決めた。

けれど、イギリスに行ってみると、Kさんの家は居心地がよかった。Fさんと一緒にそこを飛び出して、また4人の子どもたちをぞろぞろ連れて、旅をするのには、決心がいった。
でも、Kさんの家にいただけでは、本は書けない。
気が重いまま、旅に出ると決めた日は近づいてきた。



ウェールズへ旅立つ朝のことだ。この先一ヶ月半も、どうなるんだろうと不安だった。口には出さなかったが、それがY氏にも伝わったのだろう。
「あなたたちの旅立ちを祝って、歌を聴かせてあげよう。」といって、CDウォークマンをもってきてくれた。
聴かせてくれた曲は「いい日旅立ち」
山口百恵さんの声はしみじみと、心に響いた。涙が出そうなほど、感動した。あの時の、あの曲が私の肩をぽんと押してくれたと今でも思っている。



★ イギリスの旅
1・おそろしくも楽しいイギリス旅行
2・なぜイギリスにいくことにしたのか
3・二つの幸運
4・旅立ち
5・ウェールズ地方で
6・湖水地方
7・コニストン湖へ
8.最後に