ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

過去の山行(1) ~八甲田山・毛無岱(2004.10.12)~

2012-10-19 11:35:32 | 登山(東北北部)

おことわり
デジタル化導入以前はともかく、写真が残っている過去の山行について
記憶と写真の記録をたどり、記事化しようと思い立ちました。
皆様のお役に立つことより(そもそもこれまでの記事とてそれは怪しいのですが…)
私的な備忘録として捉えていただければ幸いです。
そのため、カメラの時計が合っていなかったり、記憶が曖昧だったりして
正確性に乏しいことについては、どうか御勘弁願いたいと、切に望むものです。


 

2004年10月12日

青森駅でレンタカーを借りて、前日に三内丸山遺跡八甲田山雪中行軍遭難資料館
及び、雪中行軍で遭難・落命した兵士が眠る幸畑墓苑を見学した。
宿泊先は、元湯 猿倉温泉
12日は丸1日を八甲田で楽しめるため、酸ヶ湯温泉にレンタカーを置いて
八甲田ロープウェーまではJRバス・みずうみ号を利用し、酸ヶ湯温泉に下山することにした。
9時に猿倉温泉を出発し、途中、大岳・小岳・高田大岳を背にした睡蓮沼に寄り、紅葉を楽しむ。
八甲田ロープウェーでは、たくさんの人がゴンドラの出発を待っており
101人乗りのゴンドラは7割方埋まって発車した。

八甲田ロープウェーは、山麓駅から山頂公園駅までを10分で運行している。
遠くに陸奥湾を望み、晴れていれば岩木山の秀麗な姿も眺めることができるが
この日は生憎の曇り空で、岩木山には雲がかかっていた。
ロープウェーの山頂公園からは、八甲田ゴードラインと呼ばれる周遊歩道があり
田茂萢岳(たもやちだけ)の周辺を、約1時間で歩くことができる。
10時50分に山頂公園駅を出発した我々は
八の字の半分だけを歩き、田茂萢湿原を通って赤倉岳の分岐に出た。
ここから直進すれば、五色岩のある赤倉岳に向かい
井戸岳の噴火口をお鉢周りのように歩いて大岳に登るルートとなっている。
これまでにぴすけは何度となく北八甲田の山々には登っていたが
ダーリンの体力がわからなかったため、この日は、毛無パラダイスラインと呼ばれている
ほぼ下りのハイキングコースを歩くことにした。

赤倉岳への分岐を右手に折れ、少々ぬかるんでいる下りを歩く。
12時44分、上毛無岱から、下毛無岱を一望できる階段を下りる。
この景色は、どの時期に来ても天空の楽園のように素晴らしいが
やはり草紅葉と紅葉のピークがいちばんだと思う。
かつて母と訪れた時、ちょうど良い時期だったらしく、その美しさに絶句するしかなかった。
観光写真や絵葉書のそれより美しく、モザイク画を眺めているようだった。
ダーリンと訪れた2004年10月12日は、山頂付近も毛無岱一帯も
既に落葉している木の方が多かったため、全体的に茶色い。
風が強く、体感温度も低く感じられ、下毛無岱のベンチでおにぎりを食べたのだが
年配のグループ山行の人達は、風でゴミが次々と飛ばされているというのに
全く拾いに行かず、ダーリンとぴすけをあきれさせた
年配者は風に飛ばされるゴミに追いついていけないのだろうか。
だとしたら、ゴミが飛ばされないように、工夫は必要だし
たとえ結果として追いつかなくても、行動として、腰を上げて拾いに行ってほしい。
紅葉狩りに行く時には足が動くのに、ゴミを拾いに行く時には足が動かないのだろうか。

13時37分、レンタカーを置いてある酸ヶ湯温泉の茶色い屋根が見えてきた。
13時55分、酸ヶ湯温泉に下山。
酸ヶ湯周辺の紅葉は、ちょうど見ごろのようだ。
まずは汗を流しに、名物ヒバ千人風呂へ。
そこでびっくり。
ぴすけが学生の頃、酸ヶ湯千人風呂に男女を仕切る塀のようなものはなかった。
脱衣所こそ男女別であったが、脱衣所の階段を下りると混浴の浴場になっていて
仕切りなどなくてもなんとなく男女の領域があって、皆それを守っていた。
ところが、一時、混浴ブームのようなことがあったらしく
そういう流行りに乗っかったか乗せられたかした若い男女が、ここ、酸ヶ湯にも押し寄せて
どうやら男女の領域などお構いなしに侵入し、地元の人達を困らせたようだ。
そこで、なんと湯船の中心に塀を作り、「男」「女」と目に見える形で区分けをしたらしいのだが
湯船の中に塀だなんて、風情もなにもあったものではない。
東北の、のんびりした、素朴な温泉が、一気に俗物化したようで幻滅した。
今はどうなっているのだろうか。
ホームページを見る限りでは、湯船の塀は取り除かれたようだが…。

強風に当たって冷えた体を温泉で温めた後は、酸ヶ湯温泉の向かいにある
東北大学附属植物園八甲田分園へ。
園内を30分ほどで歩くことができ、イタヤカエデの目の覚めるような黄色が印象的だった。
そしてお隣の「まんじゅうふかし」と呼ばれるふかし湯へ。
高温の温泉蒸気が中を流れる木箱に腰をかけると、お尻がじんわりと暖まる。
人が少ない時など、枕を持ってきて板の上に寝転がっている人も見受けられる。
お尻からじわじわと、身体の芯が暖まり、いつまでもホカホカとしていて心地よい。

しっかり身体が暖まったので、地獄沼へ。
夕日に照らされて、木々が輝いている。
沼の奥からは熱水が湧き出ており、湯気が立っている。
16時19分、のんびりハイキングを終え、レンタカーで猿倉温泉に戻ることにした。
空の色が灰色で、いまひとつ光に乏しかったが、八甲田の紅葉を堪能した1日であった。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。