ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

東吾妻日記その2 ~吾妻小舎~

2007-06-30 09:22:56 | 登山(東北南部)

吾妻小舎の夕食は、夢のような時間だった。
献立は、各種山菜のてんぷら・山菜の味噌汁・切干大根の煮付け・豆腐サラダ・野菜の浅漬け・身欠きにしんと野菜の煮物・ご飯。
ご飯と味噌汁はおかわり自由だ。
味噌汁はコンロに載せられて、温かいものがいただけるようになっている。
山小屋の食事に贅沢は望まないが、
その土地の食材や山菜が出ると、やはりうれしくなる。
吾妻小舎で、これだけの材料をそろえることができる要因としては、
地の利や環境がよいことが挙げられる。
また、管理人御夫妻の、おもてなしの精神もおありなのだと思う。

食事をしながら、また、食事が済んでからもしばし、
我々を含めて、川崎からいらしたという御夫婦と山形からみえた親子、
管理人の旦那さんの7名で、各地の山や日本百名山に対して
話がはずんだ。
こんな楽しい山の夕食は初めてだ。

居間に戻り、各自明日の準備や寝る前の支度をし、
8時30分に消灯。
「電気消しますよ~」という管理人の旦那さんの掛け声で電気が消され、
居間にはやわらかいランプの明かりが残された。
アレルギーのせいか、山小屋では常に鼻づまりに悩まされ、
ハッカ油と鼻テープが欠かせないが、
吾妻小舎ではどちらのお世話にもならずに朝までぐっすり。
2時ごろ、暑くて(布団が良質だったから?)着ていたフリースを脱いだが、
それ以降も5時に目覚めるまで、熟睡した。
山小屋で、こんなにしっかり寝られたのは子供のときぐらいで、
山登りを再開してからは初めてだ。
山での睡眠は重要だ。
熟睡できたことで、昨日までの疲れなど全く感じない。
雲取山荘での、悪夢の一夜が嘘のようだ。

身支度を済ませ、6時に朝食。
なんとなんと、そこにも驚愕の食卓が繰り広げられていた。
献立は、目玉焼き・サラダ・納豆・山菜の味噌汁・グリーンピースご飯・あとなにかまだあったぞ・・・。
夜はご飯と味噌汁は控えめにしたので(?)、
朝はご飯も味噌汁もおかわりし、おかずも全て平らげて熱源を確保。
「よく食べるね~」と相方に冷やかされる。
お昼用のお弁当(おにぎり?)を受け取って
出発の用意をし、7時に吾妻小舎を発つことにした。

管理人御夫妻にあいさつをし、吾妻小舎を後にする。
到着したときもそうだったが、出発のときも御夫妻がそろって
見送ってくださった。
わざわざ庭まで出て、大きく手を振りながら、
「いってらっしゃい、気をつけて」と。
今その光景を思い出しても涙が溢れてくる。
それだけで、ここに来てよかったと思った。
疲れた気持ちが元気になって、なにか満たされた気がした。

山小屋に、ビールもワインもいらない。
山小屋に、風呂も個室もいらない。
着いたときに「よく来たね。ゆっくりしていきなさい」
発つときに「気をつけて」
その言葉があれば、それで十分。

吾妻小舎には、それがある。



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