ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

那須・朝日岳~中の大倉尾根

2012-09-17 21:10:27 | 登山(両毛・常総)

【9月14日(金)】
那須ロープウェイ山麓駅→峰ノ茶屋避難小屋→朝日岳→清水平→北温泉分岐→中の大倉尾根
→北温泉→北湯入口バス停



最寄り駅5時56分発のJR宇都宮線に乗り、宇都宮駅で黒磯駅行きに乗り継ぎ、黒磯駅で下車。

黒磯駅のロータリーから空を見上げると、どんよりとした曇り空であったが
駅で雨が降っていても、那須湯本温泉までバスで上がると極上の青空が待っていたこともあり
今日もそれを期待して、8時15分発那須ロープウェイ行きのバスに乗った。

目論見どおり、那須湯本温泉辺りから青空が広がり
ロープウェイ山麓駅ではくっきりと山が見え、眼下には雲海が広がっていた。
まずはロープウェーの売店に向かい、御主人に、ここ数日間の天気の傾向と情報を伺う。
地元の方の、生の情報は大いに役立ちました。
ありがとうございました
登山カードを提出してから、パンを1本平らげ、9時30分に出発。

駐車場と峠の茶屋の間の道を進み、那須岳登山指導所を過ぎて鳥居をくぐると、山道になる。

樹林帯を抜けると、眼前に朝日岳がドーンと立ちはだかる。

登山道脇のウラジロタデは花の盛りを過ぎ、大半が茶色くなっていたが
この株はまだ桃色の花をつけていた。

剣が峰と茶臼岳の鞍部には、小さく峰の茶屋跡避難小屋が見えてきた。

峰の茶屋跡避難小屋が近づくにつれ、登山道の左側の斜面にはリンドウの花が増える。
オヤマリンドウか?エゾリンドウもあるのだろう。

10時14分、峰の茶屋跡避難小屋がある稜線に出る。
西方を眺めると、隠居倉のピークの奥に、流石山・大倉山・三倉山の稜線が続く。

ここから先は、剣が峰を巻きつつ、朝日岳の肩を目指す。

花数が多いとは思わなかったが、登山道脇にはいたるところでリンドウが咲いている。

ホツツジの小さな花も、山肌に彩りを添えている。

いつも思うのだが、茶臼岳の突起と、そこからつながる稜線のライン
山肌を横切る登山道にカットされたその形は、大海を悠然と泳ぐマンタのようだ。

剣が峰の東側を巻いた後、鉄輪に鎖が通された手掛かりのある急斜面を2箇所越え
鎖の手摺りがある岩場をトラバースして、最後に急なザレ場を登れば、朝日岳の肩だ。

朝日岳の肩は、ちょっとした広場のようになっており、5分ほど小休止して朝日岳へと向かう。
南から、三倉山の稜線に雲が迫ってきている。

11時ちょうど、朝日岳の頂上に。

この日は、北面の展望が特に素晴らしく、右手雲の先に見える山並みは安達太良連峰だ。
そこから左へ、吾妻連峰・磐梯山と続く。

この日は、南方に雲が上がってきており、あまり遠くは見えなかったが
これまで歩いてきた道が、山肌にくっきりと刻まれているのがわかって面白い。
南西には、燧ケ岳の特徴ある山頂部分が雲の上に出ており、それとわかった。
山頂はそこそこ人がいたので、5分ほど眺めを楽しみ、再び朝日岳の肩へ戻る。

北側から眺める朝日岳は、独特の山容だ。

熊見曽根の東端を過ぎ、歩きにくい丸太の土留めを下ると、清水平だ。
11時40分、清水平の北側にあるベンチで、三本槍岳を眺めながら
インスタント豚汁を作り、おにぎり2個でお昼にする。
もしかしたら気温は高かったのかもしれないが、風が大変心地よく、快適な登山日和
ところが…、清水平のベンチ付近はゴミだらけ
ベンチの木が朽ちかけた窪みや、ちょっとした隙間に
コンビニおにぎりの包みやら、錠剤のシート、お菓子の袋などが押し込まれている。
これは悲しい
こうした登山者の心ない所業が、クマを呼び寄せる原因になったりすることを知らないのだろうか。
ひとしきり、取れるゴミを拾った後、12時8分に腰を上げた。

12時14分、北温泉へと向かう中の大倉尾根への分岐に到着。
ここから三本槍岳を往復しても1時間かからないが
朝、ロープウェイの売店の御主人から得た情報を踏まえて、午後の天候を思案する。
迷わず、三本槍岳はパスし、中の大倉尾根を下ることに。

あの雲が、朝日岳にかからないうちに、北温泉まで下りられるか…

中の大倉尾根は、開けた尾根を行く、爽快な道だ。

登山道脇には、リンドウがそこここに咲いている。
この日歩いたルート中では、リンドウの株数といい、花数といい、色といい、申し分ない。

一緒に撮れなかったのが残念だが、リンドウの青にミヤマアキノキリンソウの黄色が映えて
とても楽しい、下りの道となった。

ヤマハハコの花期は、終わりに近い。

振り返ると、ミネザクラの葉が、うっすらと色づいているのがわかるが
ナナカマドが若干赤っぽくなっているものの、那須はまだ紅葉を感じさせるほどの変化は少なかった。

見晴らしの良い尾根歩きから、樹林帯に入る。
所々洗掘された箇所があるものの、傾斜もきつくなく、大変歩きやすい道だ。
途中、マウントジーンズスキー場の遊歩道が現われると、シロヤシオの林になる。
開花期は混雑する事が予想されるが、シロヤシオの大木を眺めながら歩いていると
一度は訪れてみたいと思う。

林床に、鳥の羽根が落ちているのを発見。
何の鳥だろう。
樹林帯に入る前にホシガラスが飛んでいたが…。

中の大倉尾根を下り始めて約1時間半後の13時46分、北温泉へ0.5kmの道標が現われた。
ここから北温泉までの0.5kmの下りが、もしかするとこの日いちばんの急傾斜

14時、泳ぎ湯のある、北温泉に到着。
このままゆるゆるとバス停まで歩き、15時5分のバスに乗っても良かったが
バス停で40分近く待つのも嫌なので、温泉に入って帰ることにした。
北温泉の玄関を入り、立ち寄り入浴である旨を告げると…
まるで3年前にダーリンと訪れた時と同様のことが起こった。
玄関にいた浴衣姿の翁が(媼はいなかった)
「いらっしゃいませ。こちらは初めてですか?あ、2度め。ならば最初にこちらのお湯へ。
 お次はあちらのお湯へ。ほかにもこれこれの湯がありまして、メインは天狗の湯でございます。」

千葉から来た常連客だという翁に言われるがまま、まずは「芽の湯」へ。
湯量が豊富なうえに、上がり湯用の湯温は低めで、体を慣らすのにちょうど良い。
細長い湯船の奥から湯が注ぎこまれているため、手前の方が湯温が低く、ぴすけ向きだ。
窓から外の景色を見やると、雨が降ってきたようだった。
もうこうなりゃゆっくり湯に入り、雨が上がるまで待つとするか…
「芽の湯」から上がると、玄関の翁は次々と訪れる客に、例によって例の如く湯の説明をしていた。
「おやおや、お上がりになりましたか。お次は『河原の湯』に行かれるとよろしいですよ。」

再び翁に言われるがまま、「河原の湯」へ。
先ほどの「芽の湯」とは泉質が違うのか、大変肌に柔らかな湯である。
少々熱めなので、長く入っている訳にはいかない。
湯から上がり、玄関のソファで
例の翁と、別荘からバイクで温泉に入りにきたというお兄さんと、談笑。
話は弾んで、長い待ち時間も苦にならず、にわか雨もやんだので
16時5分のバスに乗るからと、15時40分、北温泉を後にした。

北湯入口バス停から山を見ると、すっかり雨雲の中だった。
定刻に来たバスに乗り、黒磯駅前の明治屋で温泉饅頭を購入。
17時12分発のJR宇都宮線に乗り
途中、宇都宮駅で湘南新宿ラインに乗り継ぎ、最寄り駅に19時2分に到着。



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6 コメント

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新米は未だ食べず。 (can)
2012-09-18 17:48:07
登山をするのは無心になるため。私もこの考え理解できます。でもこのレポートを読んでいると、無心では書けない内容ですね。
”翁”さんどこにも居ますよね?
多分”無心”で案内していると思いますが?
いろんな”無心”ありますね。新米はこれからです。
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書くことと山に登ること (ぴすけ)
2012-09-20 18:43:23
書いているときは、あれこれ考えます。
なので、とても遅筆です。
書くことは内省でもあり(こんなどうしようもない記事ですが、私としては内省しています)、その山行の最終章というか、書くことで山行が完結します。

山に登る時は、山のことしか考えていませんよ。
畏れを抱いて山と対峙し、無心で足を動かしていると、私が山になる?か、山が私になる?感覚が生じます。
うまく言えませんが、自分がなくなる忘我の境地ともいうような、自分が薄まって大地や天空の丸い球体に広がるというか、その逆で球体の世界のなかにたった一人というか、そういう感覚を味わうことがあります。
あ…、音楽で得られることがごく稀にありますが、私はまだ3度しか経験していません。
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私はぎっくり腰 (芝刈り爺さん)
2012-09-20 20:30:37
3連休、いつまでいけるかわからない飯豊に行こうとしていました。つれあいさまが私の留守中、庭の水マキがしやすいように、植木鉢を移動していて、コキンとなってしまったぎっくり腰。3連休は安静にしていました。今はいくらか回復。那須の山山を楽しく、気持ちよく拝見しました。俗っぽい割には山として那須は好きです。花も紅葉も山の姿もいいですね。
私も今年また秋の紅葉狩りに行きたいですね。皆様、ぎっくり腰を防ぐにはどうしたらいいのでしょう。それにしても、最初は山に行けないで悔しかったけれど、山でなったらどうしましょう。ぞっとしました。
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お大事に (ぴすけ)
2012-09-20 22:01:10
芝刈り爺さん、ぎっくり腰ですか…。
お大事になさってください。
ぎっくり腰って、繰り返される、癖になるというのでしょうか、そういうものなのですか?
ぎっくり腰になると、その場から身動きが取れなくなってしまうのですか?
ダーリンも、先日腰を痛め、イテテ、イテテと言っていました。

山での単独行の事故・怪我は、私も念頭に置いてコースを決めています。
実際に、半単独のような時に顔面挫傷、ダーリンと離れて歩いていて尾骨損傷もしていますので、単独の時はなおさら用心が要りますね。
私の場合は、単独で行く山域は限られていますので、登山計画書を出す、家族にはエスケープルートも知らせておく、登山前と下山後に連絡を入れる、山岳保険に入る、多少きつい登りでも下りが安全になるようにルートを計画するなどのことはして、後はひたすら集中、それでももしもの時は、運を天に任せると腹を括るしかないのかもしれません。
本人も、家族も、です。
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空がきれいだな。。 (ぽぴ)
2012-09-24 07:54:59
私は花に詳しくないし、歩いていたら花を眺めるどころではないので、このように詳細なレポートはとても楽しく、へええほおおと読んでおります。

空のブルーに元気もらえるな。


腰コメントがありましたが、それなりに鍛えてる人の場合、ぎっくり腰は運だと思います。鍛えてる人の場合はちゃんと治るから、どうぞお大事に(^^)
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臭いと重さがね… (ぴすけ)
2012-09-24 13:58:52
ぽぴさん、山の空の青さも、水の青さも下界と違う色ですが、私は空気の臭いと重さが断然違うと感じます。
山から下りてきて、その御当地の最寄駅であればさほど違和感はないのですが、新幹線であれば大宮駅に、在来線であれば最寄駅に降り立った時の臭さと、まとわりつくような重さ
これじゃ病気にもなるわな

腰は運ですか
常日頃の姿勢は関係ないの?
芝刈り爺さんの姿勢が悪いとは思いませんが、ダーリンは骨盤?腰椎が傾いている(うまく説明できない)姿勢でいることが多いような。
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