ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

志賀坂峠越え

2011-11-08 23:55:50 | 登山(両毛・常総)

【11月6日(日)】
古鉄橋バス停→逢瀬の滝→漣痕化石→志賀坂峠→恐竜センター→恐竜センターバス停
→上野村ふれあい館バス停→万場バス停



神流マウンテンラン&ウォークの大会当日になった。
宿泊先のI家のお宅を出る前に、奥さんがお茶を煎れてくれて
それを飲みながらテレビの天気予報を見ると、昨夜の雨はやんだものの
これからの予報は芳しくなく、外は濃霧で雲も低く、いつ雨が降り始めてもおかしくないように見えた。
雨とランナーに踏まれて登山道がぐちゃぐちゃになっていることを恐れたのと
天候が定まらないのを承知で歩くかということを考えただけでも
父不見山登山をあえて決行するまでの強い気持ちはなくなっていた。
奥さんの運転で万場まで送ってもらい、途中小越の名水に寄って水を汲む。
万場までの間でも、どこに行って時間を潰すか悩みに悩み
最終的には、登山とは言い難いが、歩いて志賀坂峠を越えることに決めた。

万場バス停7時5分発の上野村ふれあい館行きのバスを待つものの、来る気配がない。
行ってしまったのだろうかと不安になったが、ロングクラスの選手達が通過すると
その最後尾についてくるかのように、バスが姿を現した。

20分ほどバスに揺られ、古鉄橋バス停で下車すると、霧に包まれた叶山が望めた。
志賀坂峠を境に、埼玉県と群馬県を結ぶ街道は、埼玉県側からの呼び名は「信州街道」である。
まさか信州街道を歩くことになるとは思っていなかったため、旧道の調査はしておらず
残念だが舗装されている国道299号を歩くことにした。

国道299号は間物沢川に沿って走っており、天候もあってか自動車もほとんど走っていない。

歩き始めて35分で、神流七滝と呼ばれるうちの逢瀬の滝(おうぜのたき)がある。

逢瀬の滝から約1kmで、恐竜の足跡が残る漣岩と呼ばれる漣痕化石がある。

岩には全体に多少の規則性をもった浅い凹凸があり、これが水の流れの痕である。
水の流れの痕が化石になって残っているだけでもすごいのに
さらにこの岩には、赤線で囲んだ部分に恐竜の足跡が残っているのだ

瀬林・間物の二つの集落を通過し、神流の方角を眺めると、山の頂は雲の上。
ちょうどダーリンが出場するミドルクラスのスタート時刻があと5分後に迫ろうかという時で
これなら案外1日天気はもつかもしれないと、淡い期待を抱いたのだった。

この辺りの山は、基本的には落葉樹の山で、一部の山肌にスギなどの針葉樹が植林されている。
黄葉しているカラマツも植林されたものか。
間物の集落を過ぎて少し行った所に、志賀坂諏訪山の登山口があるが、今日は見送る。

おおーっ、こんな所にもぐんまちゃんが
可愛いぐんまちゃんは、イベントに工事現場にと大活躍だ。

もうなんだかアスファルトの舗装道路を歩くのが嫌になってきて、戻ってしまおうかと思った頃に
志賀坂トンネルがやっと見えてきた。
埼玉県側の出口が見えているからまだいいようなものの、トンネル内部は節電のためという理由で
電灯は間引きされており、場所によっては昨日のタトロ鍾乳洞と変わらないような感覚に
旧天城トンネルを歩いた時も怖かったけれど、志賀坂トンネルだとて1人で歩くのは怖い

埼玉県側に抜けると、あまり良くない天候にもかかわらず、素晴らしい眺めが広がっていた。

赤平川に沿って山の稜線が落ち込み、谷あいに集落が出来ている。
雲海の下の秩父盆地の先に、石灰の採掘で手前がテーブル状になった武甲山が聳えている。

東には股峠を挟んで、二子山の東岳と西岳が対峙している。
もう少し二子山の全容が見たかったので、そのまましばらく埼玉県側を下りることにしたが
800mほど進んだところで不安になり、引き返したのだった。
というのも、このままずんずん下っていくと、小鹿野町の坂本からバスに乗りたい衝動に駆られ
神流町に帰ることが出来なくなってしまうのではないかと危惧されたのだ
舗装道路の急勾配を上り返さねばならないだけでなく
ここまでの距離を正確に把握してはいないものの、ほぼ休みなしで2時間歩いていることから
帰りの余力も残しておかなければと、思い直したのだった。

木々の間から見える両神山の西岳と東岳(多分)。
西岳と東岳の間には、龍頭神社(りょうかみじんじゃ)の奥社が祭られている。
天候の事情もあったが、なぜこの日に志賀坂峠を越えてみようと思ったかというと
この龍頭神社の信仰圏が、地元の旧両神村・旧小鹿野町のみならず
志賀坂峠を越えた万場・魚尾、さらには南牧、十石峠を越えて佐久穂にまで亘っていたからだ。
それらの信者は、講と呼ばれる信者の集団を組織して
信州街道(長野や群馬方面の人は武州街道とでも呼んだのだろう)を歩いて龍頭神社に参拝し
両神山に登拝した。
それらの人々が歩いたのは、舗装されていない旧道だが、志賀坂峠を越えてみることによって
遠路はるばる信仰心に支えられてやってきた人々に、思いを馳せてみたくなったのだ。

再びトンネルを通り、群馬県側へと戻る。
しばらく歩くと、行きには気付かなかったが、恐竜センターまで8.2kmという表示があった。
その後、古鉄橋まで戻ると、恐竜センターまで0.8kmという案内板が出ていた。
ということは、概算でも行き7.4km、帰り8.2km、志賀坂トンネル~埼玉県側往復1.6kmで
合計17.2km、カシミール3Dの計測では、累積標高差1426mを歩いたことになる
疲れるわけだ

へとへとになって恐竜センターに着いた時には11時26分で
11時21分発の万場行きのバスは、既に出てしまった後だった。
その次のバスは14時21分発で、3時間も時間がある。
まずは恐竜センターを見学。

恐竜自体にも興味がないわけではないが、骨が好きなぴすけにとって
骨格標本は垂涎で、その美しさに思わず見とれてしまう

展示も、国立科学博物館に引けをとらない立派なものである。

中庭には、全長12mのティラノサウルスの産状骨格が展示されており、
実際に触れることが出来る。

頭部の大きさに比べて、前足がやけに小さい。

企画展の恐竜展2011の会場にも、たくさんの骨格標本が展示されている。

トリケラトプスの足の形状が面白い。

ティラノサウルスの恥骨の前方への張り出しと大きさが、骨格標本だと圧巻だ。

ティラノサウルスの左後ろ足は、素人目には鳥の足にそっくりだ。
存分に骨の鑑賞を済ませて外に出ると、雨が本降りになっていて
バス停の近くにあった小さな塔のような建物で雨宿りをしながら、パンをかじってバスを待った。
万場へ向かうバスを待つのもつらいので、12時38分発の上野村ふれあい館行きのバスに乗る。

乗客は誰もおらず、神流川沿いの道を雨に濡れて鮮やかさを増した紅葉の中をバスは走る。

13時10分、バスは上野村ふれあい館に定刻どおり到着。
バスにはぴすけ1人だったのに、自家用車で訪れた人で館内はそこそこの賑わいだ。
万場に向かうバスは13時50分発なので
上野村の特産品である木工品などを販売している上野村クラフトマンショップこかげ
ダーリンの完走祝い(走るにかけて箸)を購入。
どれもこれも魅力ある工芸品で、汁椀などは良い物があったが、ちょっと手が出ない金額だ
13時50分、万場に向かうバスに乗り、少ししたところで、携帯電話にメールが届いた。
「あと1.5きろ」
「え早い。私、ゴールに間に合わないよ
結局バス時刻の都合上、ダーリンのゴールには間に合わず
ダーリンをゴールで迎えるどころか、バスから下りた所でダーリンに出迎えられたのであった



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