道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

人治の弊害

2006-03-07 18:22:47 | 旅中
昨日はかつての恩師の家で、夕飯をご馳走になった。
彼女は著名な大学の教師で、地位も収入も非常に高い。
しかし、家で料理をしているのをみたり、話したりしていると、
良い意味で、普通のおばさん、という印象を受ける。

もっとも、一昨年、日本語をまったく話せないのに一人で日本に派遣されて、
大学で我々に中国を教えながら、一人でアパートに住んで、自分で買い物をして、
電車に乗って、一年間生活していたのだから、やはり尊敬すべき人である。

そんな先生と一年ぶりにあって、色々な話をしたのだが、、

「ところで、南京駅から、旅館までタクシーでどのくらいかかった?」
「途中渋滞だったのと、旅館がわかりにくいところにあったのとで、
2時間かかって、100元(1元は約13円)以上しました」
「そりゃ、ボラれたよ。だって、南京のタクシーは距離で計算するんだから、時間は関係ないよ」
「えー!」
「上海とかは時間も計算に入れるけど、南京は違う。
でも、外地人(南京以外の人)はそんなの知らないから、ボるんだよ」

そう、外国人だからではなく、外地人だからボるのである。

また、税金の話になった時、
「日本では、どの地方に住んでも、課税率はほぼ同じなんだよね?」
「ええ。中国では違うのですか?」
「中国だと、地方によって、全然違う。同じくらい経済が発達していても、
政府の意思によって、全然課税率が違う」
「そんなの不公平じゃないですか」
「そう。きっちり法律で決めていないから、
その時その時の政府の方針で、すぐ変わっちゃうのよ」

ここ中国では、何事も「ルール参照」ではなく、
「その時その時の人間の都合」によって物事が決められるのである。
それは良く言えば柔軟であり、悪く言えば不透明なのである。

西の国から

2006-03-07 18:05:16 | 旅中
春休みを利用して、一昨日(日本時間では昨日)から中国にいます。

「一昨日(日本時間では昨日)」とあるが、中国と日本の時差は一時間。
こんな微妙な時間に中国についたのだが、時間帯のみならず、
トラブルまであって、さあ大変という到着であった。

まず、成田で夜の9時出発予定だったのが、30分ほど遅れる。
その後、約3時間程経って、機内アナウンス。
「ただいま、上海浦東空港は濃霧のため着陸ができず、杭州空港に着陸致します」

夜遅くでほとんどの機能がすでに停止している杭州空港、少ない人数で作業するから、
乗客みんな荷物待ちで1時間半ほど待機。
その後、航空会社が上海に行くバスを3台手配したのだが、乗客があふれて、
かつ荷物も多くて、なかなか乗り切らない。

私はどうせ南京に行く予定だったので、バスに乗らなくていーやと思っていたのだが、
乗務員が「乗れる、大丈夫」と力強く言ってくれるので、半ば無理やり乗る。

その後バスで2時間ほどで、上海の市内に到着、乗客放り出される。
時刻は朝5時前。それから旅館に泊まってもお金の無駄というもの。
私は幸い(もしくは「無謀にも」)、もともと宿を予約していなかったので、
ネットバーで時間を潰して、朝8時くらいに列車に乗って南京へ。

こういう時に、中国人は強い。てきとーなのである。
予定がいくら乱れても動じない。
空港の職員たちも、動揺せずに応対している。

試しに、
「飛行機が上海でなく杭州に到着した証明書を発行してくれますか?」と訊いてみたら、
「なんか紙を出して。書いてあげるから」
そこで、てきとーなプリントの裏紙を差し出したら、、書いた。平然として。
「あー、じゃあ、あなたの身分と名前も最後に書いてください」
「あいよ」
……ハンコも押してない。

日本でだったら、
「空港の機能がただいま停止しておりますので、証明書を発行するのは後日まで云々」
と困った顔で応対するところであろう。

およそ国家ごとに、法が物事を定める割合と人が定める割合とは異なる。
中国は、人治の割合が非常に高いのである。